雁夜おじさんのバオー来訪者ネタ Staynight編 作:蜜柑ブタ
どないしょ…っと思いながら書いたので、おかしいところだらけかも…。
ツツジさんが、子供(子種)が欲しいと言ってます。注意。
桜がメチャクチャご機嫌だ。
「どうした、間桐? メチャクチャご機嫌だな。」
「うふふ…。」
士郎が聞くと、桜はご機嫌なのを隠しきれず笑う。
「実はですね…。雁夜さんの、ファーストキス……もらっちゃいました!」
「おぉっ。すごい…進展だな?」
「もう嬉しくって!」
「それでご機嫌だったのか。」
「あの……。」
「あ…。そうだった。」
話が脱線したので、セイバーがおずおずと言ってきたので、話を戻すことにした。
「それで、話ってなんだ? ライダーまで連れてきて…。まさか、また戦うのか?」
「いいえ。実はあれから話し合って……。セイバーさんが良ければ、ライダーとセイバーさん。二人が生き残った場合。私達が聖杯戦争を降りるって決めてきたんです。」
「間桐…。それでいいのか?」
「はい。私は別に聖杯にかける願いはありませんし…。」
「ライダーには、願いは?」
「私は、そもそも願いなどありません。」
桜の隣に座っているライダーが首を振ってから答えた。
「けど…。本当にこのまま聖杯戦争を続けていいのでしょうか?」
「っと、いうと?」
「雁夜さんが言ってました。」
桜が少し間を置いて話し出した。
かつて、雁夜は、自身の目の前で聖杯が破壊され、そして天に空いた黒い孔から、冬木市を煉獄のような大災害をもたらす災いが降ってきたことを。
「なっ…。」
「…先輩……。」
「アレが…、私が聖杯を破壊したから…!?」
「セイバー?」
セイバーが血相を変えて叫んだ。
「それでは…、私がやってしまったことは…、シロウを…。」
「セイバー…、おまえ…。」
「すみません…シロウ…。私は…!!」
士郎からの視線にハッとしたセイバーが、顔面蒼白で、体をガクガクと振るわれてスカートの裾を掴んで俯いた。
「どうしたセイバー…? なんで…謝る?」
「私は…私は!!」
「…そうです、先輩…。」
「間桐?」
「あの時…、十年前のあの大災害のきっかけになった聖杯の破壊を行ったのは…、セイバーさんです。」
「…………………………えっ?」
「そして、セイバーさんの、過去のマスターであった人物は…、先輩の義理のお父さんである、衛宮切嗣でした。」
「…………………………まさか?」
「そうです、先輩…。セイバーさんに、聖杯を破壊させたのは…、令呪の強制力を使った貴方のお父さんです。」
桜が辛そうに語ったその言葉。
士郎は、何を言っているのか理解できなかった。
士郎の隣で、激しい後悔に苦しみ、うめき声を上げるセイバーの声で士郎は、それが事実だと真っ白になった頭で、なぜか理解した。
そして、ついに感情が決壊したのか、セイバーが大声を上げて泣き出した。
「雁夜さんは、聖杯の正体を知りません。私ももちろん知りませんし、ライダーも知らない。おそらくセイバーさんも知らないと思います。ですが、あんな大災害を起こした聖杯が、万能な願望器とは思えないんです。」
「…桜。話の順序を間違えましたね。」
「あ…。」
机を挟んで対面している士郎が、呆然と俯いて、思考の袋小路に入っていて、その隣にいるセイバーが嗚咽を漏らして泣いているのを見て、桜はマズいことをしてしまったと、口を押さえた。
「ですが…、いずれは対面する事実なのですから…。よくお考えください。」
ライダーが、士郎とセイバーにそう言い、桜を立たせた。
「先輩…。ごめんなさい。」
「話は以上です。では。」
ライダーに手を引かれ、桜は衛宮宅から去って行った。
「桜ちゃんを責めないであげてね。」
「ツツジ!?」
桜とライダーがいなくなったあと、どこからともなくツツジが部屋に現れた。
ハッと我に返ったセイバーが警戒する。
「いずれは…、話すって決めてたんだけど…。」
「ツツジ…さん…。」
「あの災害を経験した生き残りである、貴方を見つけたのは、その元凶をもたらしてしまった衛宮切嗣だった。貴方は…、彼を恨む?」
「……ない…。」
「ん?」
「恨むわけないだろ! 爺さんは、俺に生き方と魔術を教えてくれた恩人であっても、恨むなんてこと…!」
「シロウ…。」
「私は、知ってた。」
「はっ?」
「あの煉獄のような大火災の中、死にかけていた貴方を見つけ、衛宮切嗣が貴方を見つけてほんの一握りの希望を見いだしたことを。」
「……きぼう…?」
「貴方が生きていたこと、それを見つけられたことが、早計による災いをもたらしてしまった罪に苦しむ彼にとって、最後の心のよりどころだったんだよ。」
「俺なんて…ただ死にぞこなっただけだったのに…。」
「それでも、貴方は希望だった。彼にとっては。…セイバー、貴女は、知ってるんだよね? 衛宮くんの心に残っているあの赤い光景を…。」
「…セイバーが?」
「ライダーが言ってた。サーヴァントとマスターは、パスを通じてそういう過去の記憶を共有することもあるんだって。」
「っ…。」
「セイバーの過去の記憶…、見てるでしょ?」
「…シロウ?」
「……見てる。」
「セイバーの記憶が見えたなら、衛宮くんの記憶を、セイバーが見てても不思議じゃないよ?」
「そうなのか、セイバー…。」
「………………………はい。」
「だから、余計に辛かった。聖杯を破壊した後のことを見てないから、余計にそう思えたんだよね、セイバー。」
「…はい。」
「セイバー…。」
「…分かってます。どれほど謝っても、どれほどにこの仮初めの身を引き裂いても、私が犯してしまった罪は消せないのだと。」
「そんないい方!」
「切嗣の罪は、私の罪も同然です。重ねがけられた令呪の強制力に抗えなかった……、私も同罪なのです。」
「セイバー…。」
「………話を変えるけど…。」
ツツジがスッと人差し指を突き出した。
「ひとつ、頼みがあるの。」
「なんです?」
「衛宮士郎くん。……私に、子種をくれない?」
「…………………………はい?」
「ちょっ!!」
衝撃の言葉にセイバーが吹き出しかけた。
「なーんで、こんなに君のことが気になるのかって、色々と考えたの…。それで、思い当たったのが…。私の中にあるマザー・バオーが、きっと本能から、衛宮くんの子種があれば、強い子が産まれるから欲しがってるんじゃないかって。」
「なんでさ!? だだだだだ、だからって!? 何言ってんですか! 意味分かってんですか!?」
「そうです! 貴女は何を言い出すんです!? あの寄生虫を与えようとしていたのは、まさか…。」
「きっとそうすれば、操れるからだよ。そうすれば、簡単に子種が貰えるじゃん。」
ニマ~と笑うツツジに、士郎とセイバーは、絶句した。
「で? くれる?」
「丁重に…お断りします!!」
「私が相手じゃ不服だった?」
「いや、そういう意味じゃ……。」
「シロウ! 乗ってはいけません! マザー・バオーというのがどれほどの脅威なのかは私には計りかねますが、雁夜殿の力を考えれば…とんでもないモノが産まれるということでしょう!」
「そうだね…。単なる母体である私の想像も出来ないようなとんでもない子が産まれるかも…。」
「ダメです! ただでさえ、あなたは凜から、とんでもない脅威だと警戒されているのに、子が産まれたとなっては、それ以上と判断されますよ!?」
「ま、それはそれ、コレはコレ。ま、痛くはしないから、一晩だけ…。」
「ダメです!!」
「あいたっ。」
顔真っ赤かになっている士郎に手を伸ばそうとしたツツジの手を、セイバーが渾身の力で弾いた。普通なら腕が千切れ飛ぶほどの力だが、頑丈なツツジは、手がちょっと痛くなっただけで済んだ。
「シロウは、私の…。」
「セイバー?」
「あ…、なんでもありません…! 今のは忘れてください、シロウ!」
パタパタと違う違うという風に手を振るセイバーに、士郎はキョトンとした。
「あらら…先客がいたか…。残念。」
「違いますから!」
「セイバー、どうした?」
残念だと大げさに振る舞うツツジに、顔真っ赤にしたセイバーが怒鳴る。
「大事にしてあげなよ?」
「何を言っているんですか!?」
「だから、どうした? セイバー?」
「ごめんね。散々騒がせといて、なんだけど、今日はごめんね。じゃっ。」
そう言ってツツジは、玄関から出て行った。
嵐が去ったような静けさとなり、セイバーが、プルプル震えていた。
「セイバー? どうした、ほんとうに…?」
「シロウ…。私は決めました。」
「は?」
「絶対に! 私が、シロウを幸せにしますから!!」
「ええーー!?」
「切嗣のように、生き方や魔術の使い方は教えられませんが、私は…、うっ…!」
「セイバーーー!?」
勢いのままに告白したセイバーが、とうとう魔力不足すぎてぶっ倒れて、凜が緊急招集されたのは、また別の話である。
なんか勢いで、剣鞘に収めてしまった……。
このあと、恐らく魔力回路移植イベントがあったかも?
次回、ツツジがおかしくなります。