雁夜おじさんのバオー来訪者ネタ Staynight編   作:蜜柑ブタ

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前半は、前回ツツジに襲われて瀕死のランサー。


後半は、イリヤに誘拐された士郎救出へ。


SS16 誘拐

 

 ライダーの見方によると、ランサーは、消滅寸前ぐらいまで魔力を奪われているらしかった。

 このまま、この場に放置していくわけにはいかないので、雁夜がランサーの肩を貸し、間桐邸まで連れて帰った。

「…水、飲めますか?」

「……わりぃな…。」

「いや、むしろお前は被害者なんだ。謝るなよ。」

 ランサーは、ライダーに水を飲ませて貰っていた。雁夜は、その様子を見ながら、そう言った。

 ランサーを布団に寝かせて、動けるまで魔力の回復を待つことになった。

 なお、この場にはツツジはいない。こっちはこっちで、魔力の大量吸引で酔っていて、自室で治るまで待っていた。桜は、ツツジの看病をしている。

「へん…、サーヴァントともあろうモンが、この様だぜ…。」

「仕方ないぞ。ツツジが相手じゃ、サーヴァントも形無しだからな。」

「あの嬢ちゃん…何者だよ?」

「ちょっと、変な寄生虫を持って生まれた、人間さ。」

「人間ねぇ…。」

 ランサーが胡散臭そうに言った。

「アレを、人間だっていうなら、他の普通の人間がどうなんだって話だぜ。サーヴァントを食う人間がいるなんてよ。」

「アイツの暴走に気づけなかったのは、こっちに非がある。…すまなかった。」

「迂闊にアイツに近寄ったのは俺だ。」

 ランサーが寝ている布団の隣で頭を下げてくる雁夜に、ランサーは、そう言った。

「たまたま見かけて…、ついつい出来心で近寄ったのよ。」

「おまえ、仮にも英霊だろ? 抵抗しなかったのか?」

「顎にとんでもない重い一撃食らって、脳しんとう起こしたところに押し倒されちまった。」

 は~、情けねぇわっと、ランサーが腕で目を覆った。

「雁夜、なんでしたら、あなたの魔力をランサーに与えては? その方が早く回復するかと。」

「魂食いする気はないぜ?」

「いつまでも寝とくわけにはいかないだろ? それともやっぱ男の、それもおっさんの血はイヤか?」

「別にその点については文句はねぇよ。」

「じゃあ、さっさと飲め。」

 そう言って、雁夜は右腕をまくり、少しだけ武装現象を発動して、鋭く尖らせた爪で、右腕を傷つけてから、ランサーの顔の前に差し出した。

「じゃあ、いただくぜ。」

 ランサーは、そういうと、雁夜の腕に噛みついた。

 

「だめぇぇぇぇ!!」

 

「うお! 桜ちゃん!?」

 そこへふすまを開けて桜が飛び込んできた。

「ライダーか、セイバーさんならまだしも、他のサーヴァントに雁夜さんの血をあげるのは、イヤ!」

「桜ちゃん。一応…人命救助みたいなもんだし…。」

「イヤ! 雁夜さんの、血肉は私の物!」

「おーい! なんか危ない発言してるよー!!」

「ごっそさん。」

「あ? もういいのか?」

 そうこうしている内に、魔力を供給したランサーが布団から起き上がり立ち上がった。

「動けりゃいい。…それにこれ以上やると、そっちの嬢ちゃんに何されるか分かんねぇからな。」

 ランサーは、そう言いながら、桜の足元で揺れている帯状の影を見た。

「やれやれ、こえぇ女揃いだな。苦労してるだろ?」

「えっと…その…。」

「じゃあな。サンキュ。」

 そう言ってランサーは、霊体化して消えた。

「雁夜さん?」

「あ、さ、くら…ちゃ…。」

「…酷いわ……。」

「えっと、だから…人命救助……、あ、あーーーー!!」

「まあ。桜は強烈ですわね。」

 桜にお仕置きされる雁夜を見て、ライダーがお熱いことだという風に呟いたのだった。

 

 

 それから、十数分後だろうか。

 突然電話が鳴り、ライダーが出ると…。

 

「大変です。衛宮士郎殿が、バーサーカーのマスターにさらわれたもようです!」

 

 セイバーからのSOSだった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 アインツベルの森の入り口で待ち合わせをして、ツツジを家に残して雁夜と桜、そしてライダーが急行した。

「遅いじゃない。」

「ごめん。色々とあったんだ。」

 腕組みして待っていた凜に、雁夜は謝った。

「救援、感謝します。」

「先輩は?」

「おそらく、この森の先にある、アインツベルンの城にいるかと…。」

「それが、妙なのよね。」

「っというと?」

「アインツベルンが保有するこの土地には、一般人がまず入り込まないように魔術の結界や、人よけの魔術がかけられてるはずなの。それが、微妙に…ないのよ。と、言っても、私くらいの魔術師でないと分からないくらいのレベルだけど。」

「…つまり俺達を誘っているって事か。」

「必ず私達がシロウを救出しに来ると考えているのでしょうね…。」

「雁夜さん。」

「なんだい?」

「この先に行けば、必ずイリヤとバーサーカーとかち合うわ。そうなったら、バーサーカーの相手をして貰えるかしら? セイバーも万全じゃないの。」

「…分かった。」

「雁夜さん…。」

「だいじょうぶだ、桜ちゃん。」

 不安そうにする桜に、雁夜は微笑んで見せた。

「私も援護しますよ。」

「ありがとう、ライダー。」

 戦いの援護をすると申し出てきたライダーに、雁夜はお礼を言った。

 

 

 そして、士郎救出のため、一行はアンツベルンの森へ入っていった。




次回は、vsバーサーカーかな。

なお、ランサーがキャスター達を討ったことを、雁夜達(ツツジ抜く)は知りません。
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