雁夜おじさんのバオー来訪者ネタ Staynight編 作:蜜柑ブタ
後半は、イリヤに誘拐された士郎救出へ。
ライダーの見方によると、ランサーは、消滅寸前ぐらいまで魔力を奪われているらしかった。
このまま、この場に放置していくわけにはいかないので、雁夜がランサーの肩を貸し、間桐邸まで連れて帰った。
「…水、飲めますか?」
「……わりぃな…。」
「いや、むしろお前は被害者なんだ。謝るなよ。」
ランサーは、ライダーに水を飲ませて貰っていた。雁夜は、その様子を見ながら、そう言った。
ランサーを布団に寝かせて、動けるまで魔力の回復を待つことになった。
なお、この場にはツツジはいない。こっちはこっちで、魔力の大量吸引で酔っていて、自室で治るまで待っていた。桜は、ツツジの看病をしている。
「へん…、サーヴァントともあろうモンが、この様だぜ…。」
「仕方ないぞ。ツツジが相手じゃ、サーヴァントも形無しだからな。」
「あの嬢ちゃん…何者だよ?」
「ちょっと、変な寄生虫を持って生まれた、人間さ。」
「人間ねぇ…。」
ランサーが胡散臭そうに言った。
「アレを、人間だっていうなら、他の普通の人間がどうなんだって話だぜ。サーヴァントを食う人間がいるなんてよ。」
「アイツの暴走に気づけなかったのは、こっちに非がある。…すまなかった。」
「迂闊にアイツに近寄ったのは俺だ。」
ランサーが寝ている布団の隣で頭を下げてくる雁夜に、ランサーは、そう言った。
「たまたま見かけて…、ついつい出来心で近寄ったのよ。」
「おまえ、仮にも英霊だろ? 抵抗しなかったのか?」
「顎にとんでもない重い一撃食らって、脳しんとう起こしたところに押し倒されちまった。」
は~、情けねぇわっと、ランサーが腕で目を覆った。
「雁夜、なんでしたら、あなたの魔力をランサーに与えては? その方が早く回復するかと。」
「魂食いする気はないぜ?」
「いつまでも寝とくわけにはいかないだろ? それともやっぱ男の、それもおっさんの血はイヤか?」
「別にその点については文句はねぇよ。」
「じゃあ、さっさと飲め。」
そう言って、雁夜は右腕をまくり、少しだけ武装現象を発動して、鋭く尖らせた爪で、右腕を傷つけてから、ランサーの顔の前に差し出した。
「じゃあ、いただくぜ。」
ランサーは、そういうと、雁夜の腕に噛みついた。
「だめぇぇぇぇ!!」
「うお! 桜ちゃん!?」
そこへふすまを開けて桜が飛び込んできた。
「ライダーか、セイバーさんならまだしも、他のサーヴァントに雁夜さんの血をあげるのは、イヤ!」
「桜ちゃん。一応…人命救助みたいなもんだし…。」
「イヤ! 雁夜さんの、血肉は私の物!」
「おーい! なんか危ない発言してるよー!!」
「ごっそさん。」
「あ? もういいのか?」
そうこうしている内に、魔力を供給したランサーが布団から起き上がり立ち上がった。
「動けりゃいい。…それにこれ以上やると、そっちの嬢ちゃんに何されるか分かんねぇからな。」
ランサーは、そう言いながら、桜の足元で揺れている帯状の影を見た。
「やれやれ、こえぇ女揃いだな。苦労してるだろ?」
「えっと…その…。」
「じゃあな。サンキュ。」
そう言ってランサーは、霊体化して消えた。
「雁夜さん?」
「あ、さ、くら…ちゃ…。」
「…酷いわ……。」
「えっと、だから…人命救助……、あ、あーーーー!!」
「まあ。桜は強烈ですわね。」
桜にお仕置きされる雁夜を見て、ライダーがお熱いことだという風に呟いたのだった。
それから、十数分後だろうか。
突然電話が鳴り、ライダーが出ると…。
「大変です。衛宮士郎殿が、バーサーカーのマスターにさらわれたもようです!」
セイバーからのSOSだった。
***
アインツベルの森の入り口で待ち合わせをして、ツツジを家に残して雁夜と桜、そしてライダーが急行した。
「遅いじゃない。」
「ごめん。色々とあったんだ。」
腕組みして待っていた凜に、雁夜は謝った。
「救援、感謝します。」
「先輩は?」
「おそらく、この森の先にある、アインツベルンの城にいるかと…。」
「それが、妙なのよね。」
「っというと?」
「アインツベルンが保有するこの土地には、一般人がまず入り込まないように魔術の結界や、人よけの魔術がかけられてるはずなの。それが、微妙に…ないのよ。と、言っても、私くらいの魔術師でないと分からないくらいのレベルだけど。」
「…つまり俺達を誘っているって事か。」
「必ず私達がシロウを救出しに来ると考えているのでしょうね…。」
「雁夜さん。」
「なんだい?」
「この先に行けば、必ずイリヤとバーサーカーとかち合うわ。そうなったら、バーサーカーの相手をして貰えるかしら? セイバーも万全じゃないの。」
「…分かった。」
「雁夜さん…。」
「だいじょうぶだ、桜ちゃん。」
不安そうにする桜に、雁夜は微笑んで見せた。
「私も援護しますよ。」
「ありがとう、ライダー。」
戦いの援護をすると申し出てきたライダーに、雁夜はお礼を言った。
そして、士郎救出のため、一行はアンツベルンの森へ入っていった。
次回は、vsバーサーカーかな。
なお、ランサーがキャスター達を討ったことを、雁夜達(ツツジ抜く)は知りません。