雁夜おじさんのバオー来訪者ネタ Staynight編 作:蜜柑ブタ
セイバーとの関係について相談しに来る士郎。
後半は、雁夜とツツジの会話。不穏な未来?
バーサーカーとの激しい戦いが終わった。
聖杯戦争に敗北したイリヤは、士郎の家にやっかいになることになった。
その件から以降、セイバーの様子がおかしいと、士郎がなぜか雁夜に相談しに来たのだった。
「なんで、俺?」
「すみません…。」
「まあ、いいけど…。」
「とどのつまり、嫉妬じゃない?」
お茶をお盆で運んできたツツジがそう言った。
「しっと? セイバーが? 誰に?」
「衛宮くんって意外と鈍いね~。」
「俺、鈍いですか?」
「セイバーから幸せにするって言われてるんでしょう? ……意味分かる?」
「えっ?」
「気にするな。こいつの地獄耳は今に始まったことじゃない。」
「い、いいえ、そうじゃなくて…、俺、確かにセイバーにそう言われましたけど…。それって……、えっと…。」
「仮にもアーサー王なんだよ? 性別偽ってたとはいえ。ようするに、伴侶として幸せにしますって言ったようなものなんじゃない?」
「!?」
その瞬間、士郎の顔がボンッと赤くなった。
「セイバーって、可愛いかつ綺麗だもんね~。大事にしないといけないよ?」
「ななななな…そ、そそそそそんな! 俺みたいなチンチクリンなんて、セイバーにふさわしくなんて…。」
「ふさわしいとかふさわしくないとかっていうのは、別に関係ないと思うよ。」
「でも、でも、でもぉぉ!!」
「あ、でも待てよ……。」
「はっ?」
「セイバー的には、衛宮くんをお嫁にって感じじゃないかな?」
「俺が嫁!?」
「セイバーの男女感覚が、女性よりなのか男性よりなのか…、まあそれは別に問題はないとして、衛宮くんってずいぶんと家庭的だから、お嫁さんにしたいって思ってたりして。」
「なんか、あり得そうだな…。あっ。」
ツツジの言葉が妙に真実味をおびているように感じて、雁夜がそう納得していると、ハッとして雁夜が士郎の方を見た。すると士郎は、混乱しているのか、俯き耳まで真っ赤にしていた。
雁夜とツツジは、顔を見合わせた。
これ…、満更でもないのではないかと。
「でも…、俺男だし…。セイバーは、女の子だし…。」
「今は、主夫って言葉があるように、昔の男尊女卑が当てはまらないよ。堅く考えないで、焦らず、じっくり考えてみたら?」
「……はい。」
「あれ? 俺が相談に乗られたんじゃなかったっけ?」
「どうせロクに答えれないでしょ?」
「うぐっ!」
ズバリ言われ、雁夜は呻いた。
恋患い歴、約11年の男……。間桐雁夜。他人の恋路の相談なんて助言できるわけがない。
***
それからというもの、士郎は、ツツジにセイバーとの関係についての相談をするようなった。
そういう類いの経験の無いはずのツツジは、相談に乗り、士郎を導いた。
「おまえ…、どうしたよ?」
「なにが?」
「色恋沙汰なんて越えて、子供が欲しいって言ってただけのお前が…、どういう風の吹き回しだって思ってな。」
「別に。なんて言うか…、子供の相談に乗る母親の気分ってやつ?」
「おまえが? ハハ…想像出来ねぇ。」
「それって、私が母親になれないってこと?」
「そうじゃないって。ただ、俺もだけど…、お前も見た目が変わってないじゃないか。もっと大人になった淑女になったお前だったら、また話は別だっただろうなって。」
「…そうだね。」
「これも…バオーの影響か?」
「分からない。でも、ただ老いたら、子孫を次には残せないもの。だから時間を遅らせていても不思議じゃない。」
「かりに…、俺に子供が出来たらどうなる?」
「あ、ついに大決断…。」
「そうじゃなくて! もしもの話だ! そうなったら、俺の中のバオーはどうなる?」
「……雁夜は、男だから子供に移行はしないと思うよ。」
「……お前は?」
「……たぶん、死ぬ。」
意外にもあっさりとツツジは言った。
「蟻にしても、蜂にしても、女王は次世代を産んだら、死ぬんだよ。」
「それだと、生まれた子供はどうすんだよ?」
「さあね……。誰かが育ててくれるよう、私のように孤児院に連れて行くしかないね。もしくは、生まれた時点で一人で生きられるほど強いかもしれないし。分からないや。」
「生まれる子供の能力が未知数か…。」
「私のマザー・バオーだって、マザーだなんて言われたけど、実際のところ進化の途中過程だし…ね。」
「そうなのか?」
「うん。」
「もしも…、お前の子が産まれて、その子にマザー・バオーが、次の世代の卵を植え付けたら……。」
「…その子が望めば世界は変わるだろうね。」
ツツジがそう言うと、場がシンッとなった。
「だいじょうぶ。まだ、そこまで切羽詰まってないから…。」
「じゃあ、切羽詰まったら、ヤバいって事だろ?」
「私の中のコレ(マザー・バオー)がそこまで望んでないのが幸いだった。」
「じゃあ、こないだのアレなんだよ?」
「うーん…、生理でホルモンバランスが崩れて、影響されたのかなぁ?」
「ツツジさん、雁夜さーん!」
そこへ、桜が駆け込んできた。
「どうした、桜ちゃん?」
「先輩が…。」
「衛宮くんが?」
「セイバーさんとデートするらしいんですよ!」
「わぁお。思い切ったね。衛宮くん。」
「はー…。若いなぁ。」
「あの、雁夜さん…。」
「えっ?」
「ほら、雁夜。良い機会だから、行けば?」
ツツジを見ると、ツツジは、ニヤニヤと笑っていた。
「デート…してください!」
「えーーー!?」
こうして、桜と雁夜によるデートが決まった(強制)。
原作漫画じゃ、士郎とセイバーのデート回なんですが……。
それは、セイバー陣営サイドの話なので、桜と雁夜のデートを突っ込むことにしました。
ダブルデートではありません。