雁夜おじさんのバオー来訪者ネタ Staynight編 作:蜜柑ブタ
触媒も無しに、意図せず召喚したため、昔雁夜が壊した元蟲蔵に放り出されるライダー。
ライダーの口調が分からん…。
なので、間違ってたら教えてください。
桜に、令呪が現れた。
異変に気づいたのは、アーチャーとランサーの戦いが起こる数日前だ。
雁夜は、それはそれは慌てた。
あの陰惨な戦いに桜が巻き込まれることになったなどと、許せなかった。
桜は桜で、冷静ではあったものの…、心底面倒くさがっていた。
桜は、今年でやっと16歳。日本の法律で結婚できる年齢になったばかりだ。
待ちに待ったその年齢への到達で、恋愛対象になっている雁夜に夜這いを…っと計画していた矢先にコレだ。
正直、聖杯にはこれっぽっちも興味もないし、欲しいとは思っていない。
なぜなら、雁夜から、冬木市で起こったあの惨劇の原因が聖杯だと聞いているからだ。つまり聖杯は願望器なれど、その性質はとてもじゃないが願望器とはほど遠いのだと分かった。
桜は、自身の右手の甲に現れた令呪を見つめ、あー、やだなぁ…っという感じでため息を吐く。
令呪が出たということは、必然的にサーヴァントも来るはずだ。触媒など持っていない。だから何が来るかは分からない。
もしそのサーヴァントが自分や、雁夜に仇をなす存在なら、速攻で自身が使役する影で飲み込んで分解してやるつもりだ。
桜は、間桐邸に帰るまでの五年間で、自分の影を操り、実体を持たせたりするなどの謎の魔術を会得した。その能力は、間桐の吸収の魔術と合せることで、対象を影に飲み込み、分解吸収するという技になった。
「サーヴァントを呼ばないって選択肢はないの?」
ツツジが食事を食卓に並べながら、何気なく聞いた。
箸を並べていた雁夜は、うーんっと悩んだ。
雁夜は、聖杯戦争のシステムというかそういう詳細を知らない。あの頃は、ただ参加することだけを目的に必死でその詳細情報を聞く余裕が無かった。そもそもあの頃は、聖杯戦争を降りるという選択肢がなかったのだ。
その時だった。
外の方で、何やら、ドガーンという音が聞こえた。
「なんだ!? 襲撃か!?」
早くも令呪を持つ人間を排除しようとする輩が来たのかと身構え、外に出る。
「雁夜、あっちの方だよ!」
ツツジが、昔雁夜が破壊した蟲蔵の方を指差した。
焼け残った瓦礫だけが残っているそこに、二本のスラリとした足が見えた。
「あれ? この匂い……。サーヴァント?」
すると、二本の足が、ジタバタと動いて、瓦礫から何かが起き上がった。
それは、女性の形をしていた。
目をベルトのようなもので隠しており、長い髪の毛は美しく、妖艶な肢体をしている。
謎の女性は、よろつきながら、立ち上がり、こちらを見てきた。
「……あなた達が、私を喚んだのかしら?」
「喚んでないわ。」
桜がキッパリと言った。
「それはおかしいわね…。あなたとの魔力の繋がりを感じるのに…。」
「じゃあ、今すぐ切って。」
「それは、困るわ。いきなり喚んでおいてそれはなしよ。」
妖艶な女性…、サーヴァント(?)は、そう言って困ったように大げさに振る舞った。
「まあまあ、とりあえず家の中入ろうよ。見られたら色々と面倒でしょ?」
ツツジの鶴の一声で、そういうことになった。
***
サーヴァント(?)の女性を家に上げ、食卓に連れて行って、食事をしながら話をした。
「つまり…、あなたのクラスは、ライダーで。真名は、メドゥーサなわけね? まさかあの伝説の怪物がこんな綺麗な女の人だなんて思わなかったなぁ。」
「それは、私のこの姿が、神話上の怪物になる前の姿だからですわ。」
「けど、目を隠してるって事は……。」
「そうよ。私の目には、相手を石化させる力があるわ。」
「嘘は…言ってないわね。」
「ええ。嘘は言ってないわ。」
「まさか触媒もなしに、召喚することになるとはな…。」
「どうする? 桜ちゃん?」
「……召喚されたモノは仕方ないから、このまま戦う。」
「えっ! 桜ちゃん、それは…。」
「だって面倒ごとは置いといても余計に面倒になるだけだもの。さっさと終わらせるわ。雁夜さん、だいじょうぶよ。私、戦える。」
「だ、ダメだ、ダメだ!」
戦うという桜に雁夜がダメだと言った。
しかし、桜の意思は硬く、首を横に振った。
「桜ちゃん、ダメだ! それなら俺が戦うよ!」
「ううん。私だって、もう子供じゃないもの。私だってもう弱かった頃の私じゃない。だからだじょうぶ。」
「でも…!」
「その代わり…、私の戦いを援護してくれるよね?」
「も、もちろんだ! もちろんだよ!」
「私のことも忘れないでね、桜ちゃん。」
「うん! ツツジさんもお願い!」
ギュッとツツジと手を握り合う桜に、雁夜は、猛烈に不安になった。
第四次聖杯戦争の経験者である彼は、できることなら桜にあんな陰惨な戦いに赴いてほしくはない。
だが運命は、桜を選んでしまった。
そしてこうして、サーヴァントがやってきてしまった。
令呪を自分へ移すという技法や方法を知らない雁夜にはどうすることもできなかった。
食後……。
「ま、考えてることはなんとなく分かるよ。」
「ツツジ…。」
「桜ちゃんが戦う前に、終わらせちゃえばいいって思ってるでしょ?」
「……分かってるなら…。」
「いいよ。私も協力するから。」
そうして、二人は夜になってライダー以外のサーヴァントの匂いを辿った。
そして、アーチャーとランサー、そしてランサーに殺された衛宮士郎を発見することになったのだった。
早くも犠牲者が出て、しかも桜の知人だったこともあり、雁夜は落ち込んだ。
その場に居合わせていた凜のおかげでなんとかなったが、ツツジが何を見込んだのか士郎をバオーにしようとしていた。
しかし、凜に止められ、最初は諦めたフリをしていたが、どうしても士郎をバオーにしたいらしいツツジは、雁夜の制止を振り切って士郎のところへ行ってしまった。
その後一時間とせずツツジが帰ってきたが、どこかガッカリしたような顔をしていた。
「で? どうしたんだ?」
「時臣さんの娘さんに邪魔されちゃった。」
「凜ちゃんか…。そりゃ止めるわ。」
「でも、いいもーん。機会はいくらでもあるからね。」
「どーしてお前は、こだわるわけぇ!?」
「だって…、気に入ったんだもん。」
「もん、じゃねぇよ! そんな理由で巻き込まれたらたまったもんじゃねぇよ!」
「案外慣れるもんだよ。」
「俺なんてお前に無理矢理埋め込まれたから仕方なく、こうなっただけで、あの子がそれに耐えられるとは限らないだろうが!」
「えー。私、ちゃんと聞いたよ?」
「俺は答えた覚えはない!」
十年前のあの時……、雁夜はツツジにバオーにされることを了承した覚えはなかったと、昔の話を蒸し返されて怒った。
「ま、いいじゃん。結果オーライだったし。」
「…うぅ…、俺が今ココで生きていられるのは、確かにお前のおかげだけど……、なんか納得がいかーん!」
うまいこと丸め込まれてることに、雁夜は、頭を抱えたのだった。
こうしてなんやかんやで、桜は、本人の意思に関係なくサーヴァント・ライダーを得て、聖杯戦争への参加権を得たのだった。
士郎に目を付けたツツジ。なんの意図があるかは不明ということで。
原作よりずっと気丈な桜ちゃんです。
できれば聖杯戦争なんて面倒なことしたくないけど、雁夜が巻き込まれるようならと、さっさと終わらせるために戦いに参じることを決定。
聖杯に叶えてもらいたい願いは無く。雁夜から冬木での惨劇の原因を聞いてるので、もし自分が勝者になったら聖杯を破壊するつもり。
ツツジが雁夜のことをさん付けしてないのは、もう十年近くも一緒にいるからそこまで他人行儀じゃなくなってるので。