雁夜おじさんのバオー来訪者ネタ Staynight編 作:蜜柑ブタ
でも予定としては、彼が登場するのはこれっきりの予定。
後半は、ランサーとライダーの戦いをちょっと。
最後の方、桜が雁夜を性的に……?な描写があります。
雁夜は、ぼう然としていた。
「ほら、現実逃避しない。」
「……現実逃避させてくれ…。」
雁夜とツツジの目の先には、帯状の影で、青髪の少年を逆さに吊るしている桜の姿があった。
青髪の少年の名前は、間桐慎二(まとうしんじ)。
雁夜の血縁上の甥っ子であり、間桐に養子に来た桜の血の繋がらない兄である。
なお、雁夜の兄・鶴野の子だ。
秘密機関ドレスを潰すため、間桐邸を離れていたときに、鶴野が慎二を連れて間桐邸から離れた遠い土地に避難していたらしいのだが、つい最近慎二が自分の家系のことと、聖杯戦争の話を聞いてしまい、聖杯を求めて自分だけ間桐に帰ってきたのである。
しかし、間桐にいる桜がすでにライダーを召喚しており、自分には、父親の言うとおり魔術の才能が無いということが分かると、あろうことかツツジに刃を向けて人質とし、桜にライダーを寄越せと言ったのだ。
ところが、ツツジが普通じゃないことを知らなかったため、雁夜達の反応の薄さに…逆に慎二は驚き狼狽えた。
そのすきにツツジが、慎二の手からナイフを奪って折り曲げ、距離を詰めた雁夜が人様に刃物を向けるんじゃありません!っと、げんこつを食らわせた。
それでも諦めない慎二が、父・鶴野から聞いていた、雁夜が化け物だということで罵り、世間に広めるぞと脅してきたため、怒った桜が影の魔術を使って逆さに吊るしたのだ。
「ねえ、桜ちゃん知ってる?」
「…なに?」
「人間って、逆さまに吊るされてると、そのうち、頭に血が上りすぎて、顔の穴という穴から血が出てくるようになるんだよ。」
「…へ~。」
「ひっ! た、たすけ…、たすけてぇぇぇぇ!」
ツツジのこわ~い囁きを聞いて、目を細める桜の姿に、完全に怯えきった慎二が雁夜に助けを求めた。
雁夜は目をそらして、ムリムリっと手を振った。家の女性陣が強すぎるので強く出れない雁夜だった。
「ひいい! 雁夜おじさんお願い助けて! あ、頭に血が…、お、お願いたすけてぇぇぇぇ! ぎゃああああ!」
必死に助けを求める慎二に巻き付いている影で、逆さにしたままぷらん、ぷらんっと振り回す桜。慎二はたまらず悲鳴を上げる。
「じゃあ、もう二度と桜ちゃんからライダーを取らないって約束するなら、助けてあげなくもないよ?」
「はい! もう絶対しません! 約束します! 誓います! だから、助けてください!」
「ほんとうに~?」
「ほんとうですからぁぁぁぁ!!」
「桜ちゃん、どうする?」
「うーん…。しょうがないなぁ。」
「うぎゃっ!」
仕方なしにっといった様子で、桜は、影から慎二を解放し、解放された慎二は床に落ちた。
顔から落ちたため悶絶していると、ツツジが近寄ってどこから出したのか、ロープで慎二を括り始めた。
「ねえ、雁夜ー、宅配代って幾らくらいになると思う?」
「そもそも人間は宅配じゃ送れないっつーの。」
「へ、変な縛り方するなーーー!」
「アハハハ、これが噂に聞く亀甲縛りってやつだよ。」
「わー、ツツジさんいつの間にそんなの覚えたんですか? 私も覚えたい。」
「桜ちゃん…、何を考えてるのかな~?」
目をキラキラさせて覚えたいと言っている桜に、雁夜は、僅かに青ざめ、ブルッと震えた。
その後、散々弄ばれた慎二は、ボロボロになって冬木市を去ったのだった。
***
その夜、ライダーは、間桐邸の元蟲蔵がある荒れた庭の方の塀を見つめていた。
そこには、一人の青い男がいた。
月夜の明かりの下でもハッキリと分かる。赤い目と、手にしている赤い槍。それだけで十分すぎるほど不吉を感じさせる。
「おねーさん。見ろよ。月が綺麗だねぇ。」
青い髪を夜風になびかせ、ランサーがにやりと妖艶な笑みを浮かべた。
「あら? 月も高いうちに、女の寝床に来る殿方がおられるなんて。思いませんでしたわ。」
「その割りにゃ、物騒な獲物を手にしてるじゃねぇか。」
ランサーは、顎をしゃくり、ライダーが手にしている鎖の付いた短剣を示した。
「何かご用かしら? 言っておきますけど、貴方と夜を共にする気はこれっぽっちもありませんわよ。」
「かたいね~。もうちっと楽しく考えられないか?」
「無論、貴方のそのご自慢の槍で貫かれる気も、ありませんので。」
「ハハハハ! そう言うなって、楽しもうぜ、なあ、おねーさん!」
タンッと塀の上から軽やかに飛び降りたランサー。
十年前にアーチャー(ギルガメッシュ)により荒らされた庭はほとんどそのままで、足場は正直悪いが、サーヴァントである二人には些細なことだ。
ライダーが、間桐邸から離れ、ランサーと向き合う。
そして、戦いが始まった。
大振りの槍ではあるが、凄まじいスピードを誇るランサーの攻撃を二本の短剣でさばくライダー。
その戦いは到底並の人間ではこなせないものだ。まさに人ならざるモノ同士の戦いだ。
戦闘に特化したクラスであるランサーの攻撃を、機動性に富むがそこまで武芸に秀でていないライダーがカバーできるのは、マスターである桜からの魔力供給が高いためだ。
打ち合いのすえ、いったん距離を取った両者。
ヒューっと、ランサーは口笛を吹いた。
「やるじゃねぇか。見たところ武に名を連ねる英霊ってわけじゃなさそうだが、よっぽどマスターがよかったのか?」
「ええ。彼女は素晴らしい魔術師よ。」
「ほーう。そりゃ羨ましいねぇ。」
「貴方は、マスターに恵まれなかったかしら?」
「…色々とあるのよ。」
「ですが、そろそろ終わらせるわ。」
ライダーがおもむろに目を覆っているベルトのような封じを外そうとした。
「ダメだって、桜ちゃーーん!」
「待って、雁夜さーーん!」
そこへドタバタと廊下を走る足音がして、緊迫した戦いの空気が壊れた。
「! ライダー、ちょっと助けてくれ! って、誰だ? って、おまえ…。」
「チッ。邪魔が入っちまったか。じゃあ、おねーさん、また次の戦場で会おうぜ。」
雁夜に顔を見られて舌打ちをしたランサーは、槍を抱えて、高い塀を跳び越えていった。
「捕まえたー。」
「わー!」
ランサーの姿を見て立ち止まった隙に、後ろからすごい下着姿(どこで買った!?)の桜に捕まる雁夜。雁夜は、パジャマが乱れていた。
「あらあら。」
ランサーが去ったことで武器を納めたライダーが、ほうっ…とため息を吐いて悩ましげに頬に手を置いた。
「見てないで助けろよ!」
「あら? どうしてかしら?」
「えっと…、だ、だから…。俺は桜ちゃんの…。」
「ここでは人目が入るかも知れませんわよ、桜。」
「それは、イヤだわ。雁夜さん。寝室に…行きましょう、ね?」
「えっ? ちょ、影はダメ! 影は! あーーー!!」
桜に手荒なことが出来ず全力で抵抗できないでいた雁夜は、桜の影に巻き付かれて、抵抗を封じられて、そのまま寝室に運ばれていったのだった。
「……私も混ざりたいわ…。」
っと、危険な呟きをするライダーだった。
このあと、雁夜がどんな目に遭ったか…、そもそも食われたかどうかはご想像にお任せします。
全力で抵抗できないのは、バオーの武装現象が普通の姿の時でも発動できるようなっているので、桜を傷つけられないからです。
ライダーがランサーといい勝負できているのは、原作より桜が魔術師として強いというのもあります。まあ、ランサーもライダーとの初戦で、手を抜いているのもありますが。本気を出してきたら、魔眼を使わないとまともに戦えないでしょうね。
このネタでの、桜ちゃんは、Sっけが強いかも……。