雁夜おじさんのバオー来訪者ネタ Staynight編 作:蜜柑ブタ
遠回しですが、卑猥な話アリ。注意。
後半は、vsバーサーカー。
翌朝……。
「……聞かないでおくよ。」
「……。」
朝ごはんを並べながら言ったツツジ。
桜は、ムウッと頬を膨らませて俯いている。
反対側の席に座る雁夜も、俯いていた。しかし、チラチラと、桜を見て気にしている様子だ。
昨晩…、桜は雁夜に夜這いをした。
すごい下着姿で現れた桜にびっくりした雁夜は思わず逃げ、ライダーとランサーが庭で戦っている現場を見て、その際に後ろから追ってきた桜に捕まった。
その後寝室に引っ張り込まれ、さあ!食べる寸前というところで、雁夜が身の危険を感じすぎたため……。
……体内にいる寄生虫バオーが反応したのか、武装現象を発動してしまったのだ。
ただし自我はある状態で。じゃないと桜が死んでた。
まあ、当然だが夜這いどころじゃなくなり、別に桜が雁夜の武装現象にビビッたわけではなく、雁夜は雁夜で武装現象を発動してびっくりして大慌て。桜は、そこまで自分を受け入れたくないのかと泣いた。
泣いてる桜を慰めてる最中も、その後泣き疲れて眠った桜の傍にいるときも、雁夜は武装現象が解けず、眠ることも出来ず、結局朝日が昇るまで一晩ずっと武装現象発動状態であったらしい。そして今日…、きまず~い朝を迎えたのだった。
ツツジは、寝ていたが、事前に匂いで桜が夜這いをかけるというのを知っていたため、騒ぎがあっても寝たふりをしていた。
しかし、まさか身の危険を感じすぎて雁夜が武装現象を発動してしまうという予想外の展開が起こるとは思わなかった。
恐らく、雁夜は桜を嫌って拒んだのではない。むしろ愛情はある。だが、幼いときから保護者として育ててきたのだ。美しい乙女になったとはいえ、幼いときから育ててきたのだ、保護者意識が抜けるわけがなく、実の娘を愛しちゃいけないというような背徳感ゆえに拒んだのだ。男としての性より、背徳感ゆえのその意識が少し強かった結果、バオー・武装現象という形で体が暴走を起こしてしまったのだろう。しかも単なる武装現象の発動ではなく、男として生殖本能も加わっていて、自分の意思じゃ制御が困難になってしまったのだ。まあ……、そういう意味での熱と連動してしまったため、武装現象が解けるまで一晩かかってしまったのだ。
……大っぴらに言えない処理をしてればもうちょっと変身が解けるのは早かったはずである。しかし雁夜は気がついてなかったのだ。
もっとも、桜の夜這いによる武装現象発動事件のその真相を知るのは、マザー・バオーという上位種を持つツツジのみだ。なぜ分かったかというと、朝、雁夜と会った時に嗅いだ匂いに混じっていた、発情した男の残り香で大体のことを把握したのだ。
そんなこんなで、ギスギスした悪い空気の中、朝食を食べ、桜は学校に行った。
桜が学校に行った後、食卓で、雁夜は、ベターーっと倒れた。
「机拭くから起きて。」
「…ツツジ…。」
「なに?」
「俺は……、桜ちゃんが嫌いなわけじゃないんだ。」
「うん。知ってる。」
「なのになんで変身したのか、分かんねぇ…。」
「それ本気で言ってる?」
ツツジが片眉をつり上げて聞いた。
「コレ(バオー)について聞けるのはお前しかいないんだから、嘘言うかよ!」
「……ようは、発散できなかったのが原因だよ。」
「…何を?」
「男としての欲求が溜まってるでしょ、雁夜。」
「ぶほぉっ!!」
ハッキリと言われて、雁夜は吹いた。
「ぶっちゃけ雁夜ほど、長くバオーを宿した人間ってそうそういないから、そういう欲求がバオーとどう繋がってるのかは、私にもちょっとまだ分かってないの。」
「いくら俺でも溜まってるかどうかぐらい分かるわ! だからなんでそれで変身しなきゃ…。」
「身の危険…感じたでしょ?」
「……あっ…。」
「そっちの意識が、ちょっと勝っちゃった結果だよ。合法的に、もう桜ちゃんは、結婚できる歳なんだからさぁ。」
「年の差を考えろや!」
「ぶっちゃけ、おじいちゃんと孫ぐらいの年の差結婚だって、世の中あるよ? かの有名な画家、パブロ・ピカソだって40歳以上の年の差婚してるんだよ? 20歳ぐらいなら、そこまで問題ないんじゃない?」
「なんで俺なんだよ~! 桜ちゃんにふさわしい男なんて世の中にいるだろうに…!」
「じゃあ、仮に言うよ? 桜ちゃんが雁夜じゃない男を連れて来ました。結婚を許せる?」
「まず、鉄拳。」
「それ、許すとは言えないよ。それに…、桜ちゃん…、すっっっっごい一途だよ? 下手にその意志を曲げようだなんてしたら…、どんな化学反応を起こすか分かった物じゃないよ?」
「それどういう…。」
「四肢を縛られて、日の光も届かない場所で、一生監禁とか?」
「!?」
「飴とムチで、躾けられて、例えばワンちゃんプレイとかで、お尻に……。」
「やーめーろーーーー!!」
「普通の人間ならバオーを持ってる雁夜をどうこうできないけど、仮にも魔術師だからね桜ちゃんは。あの影に捕まったら逃げられないしね。頑丈でよかったね、雁夜。」
「……よかないぃぃ…。」
「人生の分かれ目。大決断をしてもいいと思うよ?」
「このままじゃ、俺、桜ちゃんに嫌われたままでいろってことぉ!?」
「それって、また武装現象が暴発するかもって予感してるって事だね。妥協するか、キッパリともう拒むか。ハッキリさせようよ。」
「……なぜ、こんなことになったんだ…?」
「嫌われるより、好かれる方がよっぽどいいよ。」
「それはそうだけど…。」
「……ところで話を変えるけど。」
「なんだよ…?」
「……桜ちゃんがライダーと一緒に、何かのサーヴァントと戦ってる。」
「はあ!? それを早く言えって! どこだ!?」
「桜ちゃんの匂いを辿っていけばいいよ。今の貴方なら容易いはず。」
「分かった! お前も来いよ!」
「分かってる。」
二人は急いで間桐邸から出た。
***
「間桐!」
道路のアスファルトに、血を流してへばっている士郎が叫ぶ。
「くっ…。」
桜が両手をかざす先には、凄まじい筋肉を持つ巨体の英霊がいた。
その英霊は、桜が放った帯のような影で絡み取られていて身動きが取れなくなっていたが、その見た目通りの怪力で強引に影を破ろうとしていた。
「へ~、すっご~い。私のバーサーカーを捕まえるなんて、随分変わった魔術を使うのね。」
長い銀髪の美少女がいた。
バーサーカーと呼ばれている巨人の英霊が、暴れて影を振りほどこうとする。そのたびに、ギリギリミシミシと影が軋み、その痛みが桜の体に伝わった。
「桜! 無理をしてはいけません!」
道路脇に吹っ飛ばされ、ガードレールにめり込んでいたライダーがそう言った。反対側の道の脇には、土嚢に背中を埋めたセイバーがいた。
使いこなせるようなったとはいえ、まだまだ未熟な影の魔術。英霊の底力には、叶わない。
「あら? バーサーカーを取り込むつもり? 無駄よ。そんなことしたら、あなたの魔術回路がパンクするわ。」
無邪気に笑う銀髪の美少女が、バーサーカーに触れている影から吸収分解による煙が僅かに出ているのを見てそう言った。
「やめろ、イリヤ! 狙いは俺なんだろ!?」
「ダーメ。その子、仮にもサーヴァントを持ったマスターでしょ? 見逃すわけないじゃない。」
イリヤという美少女は、そう答えた。
ライダーが起き上がり、短剣を握り直して、イリヤを狙い飛びかかろうとした。
その直後、腕の拘束を破ったバーサーカーの腕が、その手にするごつい武器がライダーを阻んだ。
「うぅ…!」
先ほどの影を破られた衝撃でとうとう桜は、バーサーカーを拘束する影を保てなくなり、その場にへたり込んだ。
「あーあ、頑張ったのに、残念だね。でも、バーサーカーに傷を付けただけでもすごいわ。」
イリヤは、バーサーカーの体に残った、影による分解吸収を受けた火傷のような跡を見てそう言った。
桜は、ハアハアっと胸を押さえて呼吸を整えようとしていた。
ライダーは、そんな桜の盾になるため、脇腹の傷を押さえながら桜の前に立った。
「まず、ひとりめ~。」
「やめろーーー!」
バーサーカーが、ライダーに向けて武器を振り下ろした。
ライダーは、覚悟を決めたが……。
バーサーカーの武器の刃が、ライダーに届くことは無かった。
「…うそ…。」
イリヤは信じられない目でその光景を見ていた。
ライダーとバーサーカーの間に入った雁夜の手が、バーサーカーの太い腕を掴んで止めていた。それも片手で。
バーサーカーは、ぐぐぐっ…っと、武器を握る腕を動かそうとするが、動かない。下げることも、あげることも出来なかった。
「雁夜…さん!」
「よくも…桜ちゃんをぉぉぉ!!」
雁夜は、両手でバーサーカーの腕を掴み、遠くへぶん投げた。
ハッキリ言って、雁夜の見た目は、細身な方だ。なので、巨人のような巨体を誇るバーサーカーを投げるだなんて芸当ができるなんてありえない。
投げられ、アスファルトに叩き付けられたバーサーカーは、すぐに身を起こした。
「ば、バーサーカー、殺しちゃえ!」
イリヤが慌てて指示を出すと、バーサーカーが雁夜に突進した。
その間に、雁夜の体が瞬時に変化し、バオー・武装現象を発動した。
倒れている士郎はそれを見て驚いた。
「なにそれ? あなた、死徒?」
「ウォォォォォム!! バルバルバルバルバルバル!!」
イリヤが雁夜の変化を見て、そう呟く。
バーサーカーの剣が雁夜に振り下ろされる。
その瞬間、そのバーサーカーの手が、手首から切断された。
雁夜の腕から生える刃が、太すぎるバーサーカーの腕を切ったのだ。
「うそ!?」
「バルバルバルバルバルバル!! ウォォォォォオム!!」
雁夜の体が放電を始め、放たれた膨大な電撃がバーサーカーを焼いた。
「バーサーカー!!」
イリヤが悲鳴じみた叫び声を上げた。
放電による爆発の後、煙がもうもうと上がり、人肉が焼ける嫌な匂いが辺りにたちこめた。
煙が晴れると、そこには、ぶしゅぅぅぅっと、全身を焦がしたバーサーカーが仁王立ちしていた。
「信じられない……。バーサーカーを一回以上殺すなんて…。」
イリヤが信じられないと、震えた。
「…当て身。」
「がっ!?」
イリヤの背後からツツジが手刀をして、気絶させた。ハッとしたバーサーカーが振り向く。
「いくらサーヴァントが強くても、元(マスター)を絶ってしまえば、こっちのものだよ。」
「ツツジさん!?」
士郎がイリヤを気絶させたツツジの存在に驚いた。
「ずいぶん…痛めつけられたんだね。さて、どうしようか、雁夜。この子、今なら煮るなり焼くなりできるよ?」
ツツジがイリヤの腕を掴んで持ち上げた。
「ま、待ってくれ!」
「どうして?」
止めるよう声を上げる士郎に、ツツジが首を傾げた。
「見逃してやってくれよ…。」
「どうして? この子は、あなたを痛めつけたし、桜ちゃんを殺そうともした。」
「戦えなくなった意識の無いやつを煮る焼くするなんて外道な真似はしない!」
「……そっか。」
ツツジは、それだけ言うとイリヤをバーサーカーに渡した。
バーサーカーは、イリヤを大事そうに抱き上げると、この場から去って行った。
バーサーカーが去った後、雁夜は、士郎の傍に来た。
「なんだ? っ…。」
雁夜は無言のまま士郎をひっくり返し、傷口に握った拳から垂らした血をかけた。
「! 傷が…!」
バーサーカーに負わされた傷が瞬く間に治った。
「シロウ…。」
「セイバー! 無事か?」
セイバーが剣を杖代わりにして歩いてきた。
雁夜は、ホッとしたように武装現象を解き、へたり込んでいる桜に駆け寄った。
「だいじょうぶかい? 桜ちゃん。」
「うん。だいじょうぶ。ちょっと、疲れたけど…。」
「ほんとうかい? 無茶しちゃダメだよ。」
「それより……。」
桜が士郎の方を見た。
釣られて見ると、ツツジが士郎に寄生虫バオーの幼体を渡そうとして、セイバーに全力で止められていた。
「あのですね、ツツジさん! 俺、人間をやめる気はないから!」
「でも、コレを身につければ…、さっきの雁夜のような力が手に入るんだよ?」
「うっ…。」
「シロウ! 迷ってはいけない!」
「まあ、ちょっとだけでいいから頭の隅で考えてくれるといいなぁ。」
ツツジは、ニコッと笑ってバオーの幼体を自分の口に入れると士郎とセイバーから離れて、雁夜達の方へ来た。
「桜ちゃん、立てる?」
「すみません…。ちょっと足に力が…。」
「雁夜、背負ってあげなよ。」
「ああ。」
「あっ…。」
言われるまでもないと、雁夜は、桜を背中に背負った。
一瞬固まった桜だったが、すぐに雁夜の背中にしがみついた。そして、雁夜の背中から雁夜の鼓動を感じ、甘えるように頬をすり寄せた。
「じゃあ、私達は帰るね。衛宮くん達も気をつけて。」
「あ…、はい…。」
「出来れば二度と近づかないでください。」
戸惑う士郎と、ギッとツツジを睨むセイバーだった。
雁夜のバオーの力を目の当たりにして、ちょっとバオーに興味を持ってしまった士郎さん。
雁夜は、十年以上バオーを宿した結果、バーサーカーの怪力をも越える力を手に入れています。しかも現在進行形で、まだ進化してます。
桜の影の魔術は、最近になってやっと相手を捕まえるぐらいに操れてますが、原作の黒桜ほどのチートまではまだいっていません。なお、Fake編では、それぐらいのレベルにはなっています。
前半の、雁夜の武装現象暴発事件は、捏造です。男のそういう欲求と、保護対象の女の子に手を出したらいけない!っという感情がせめぎ合った結果、ちょっとだけ手を出さないという意思が勝って、体内にいるバオーがそれを身の危険だと誤認して武装現象を発動させてしまったという感じです。しかも、欲求とも直結してしまっため、発散しなかったから一晩も武装現象が解けなかった…というね。下手すると元に戻れなくなってたかもしれない状態だった。