雁夜おじさんのバオー来訪者ネタ Staynight編 作:蜜柑ブタ
後半は、桜がライダーと共に士郎に戦いを挑みに行く。
「士郎! 聞いてるの!?」
「シロウ、ちゃんと聞いてるのですか!?」
「あー…、はい…。」
雁夜と会話した後日、人間をやめようとしていることがバレて、凜とセイバーにメッチャ怒られた士郎だった。
「とにかく! あの女にだけは関わっちゃダメ!」
「そうは言っても…、向こうから来るんだぜ?」
「それでもよ!」
「シロウ! 人としての誇りを捨ててはなりませんよ!」
「……じゃあ、雁夜さんは、どうなるんだ?」
「それは…。」
第四次聖杯戦争で、雁夜が人間じゃないことを知るセイバーは、それを言われて少し口ごもった。
「俺は…、力が欲しい。」
「だからって、人間をやめていい理由にはならないわ。そんなことしたら、私が駆除するわよ?」
「遠坂、おまえ、それだと雁夜さんも駆除対象ってことになるんじゃねぇか?」
「そうね。いつか殺すわ。ずっと前からそう決めてるもの。」
「なっ!」
「あの人達は、私の父と因縁があるの。その因縁は娘の私が断ち切る。」
「そんなこと…。」
「これは、私の問題なの。士郎、あんたがとやかく言う資格は無い。」
「あの人が死んだら、間桐が悲しむ。」
「……あの子には悪いけど、いずれは引き離す予定だったのよ。」
「はっ?」
「桜はね。私の妹なのよ。」
凜の言葉に、士郎はキョトンとした。
「魔術師の家系は、一子相伝。二人の子供がいれば、片方を余所へやるしかないの。桜は…、絶えかけていた間桐の家に行くことになった。けど、あの人のおかげでメチャクチャになったわ。」
「どういうことだ?」
「間桐の当主を、その息子、間桐雁夜が殺したのよ。」
「あの人が!?」
「理由なんて知らない。おかげで間桐は、名前だけの家になって、桜が受けるはずだった家の加護はなくなった。いつ魔術協会が桜を狙うか分からない。だから機会を見て、桜を連れ戻す予定だった……。」
「間桐は、それを知ってるのか?」
「たぶん…知らないでしょうね。あの子…、遠坂を恨んでるもの。」
凜は、自分に向ける桜の冷めた目を思い出し、遠い目をした。
十年前の仲の良かった姉妹の仲は、冷え切ってしまったのだ。しかし、凜は、なぜ桜が遠坂を恨むことになったのか、その理由を知らない。
「桜が今回の聖杯戦争のマスターになったのは分かった。これはあの子を取り戻すチャンス。私は、聖杯戦争を制して、妹を取り戻すわ。」
「つまり、雁夜さんから引き離すって事か?」
「そうなるわね。」
「間桐は…、あの人のことを…。」
「ええ。そうらしいわね。でも、あの人はダメ。結ばれるなんてもってのほかよ。」
「そんな…。」
「悪いけど。これは決定事項。覆そうとするなら、許さないわよ。」
「っ…。」
揺るぎない意思をみせる凜に、士郎は辛そうに顔を歪めた。
士郎の脳裏には、雁夜のことを想い、うっとりと恋する乙女の顔をしている桜の姿が映った。
もし実の姉が、自身を雁夜と引き離そうだなんてしていると知ったら…、きっと全力で抵抗するだろう。
実の姉妹が争うなど、あってはならない。だが、凜は、あくまで桜の身を案じているだけだ。そこに他人の自分が介入するいわれは無いだろう。
「シロウ…。」
「俺は…どうしたらいいんだ?」
士郎を心配するセイバー。士郎は、そう呟いた。
愛する人と結ばれたいと願う桜。
桜の平穏無事を願う姉の凜。
どうすれば、二人を仲裁できるか士郎は悩んだ。
***
「…くしゅんっ!」
一方その頃。桜は、くしゃみをした。
「桜ちゃん。風邪?」
「だいじょうぶ。……誰か噂したかな?」
雁夜に心配され、鼻をティッシュで拭いた桜はそう答えた。
「それはそうと……、桜ちゃん、このまま聖杯戦争を続けるのか?」
「うん。だって、面倒ごとは…。」
「さっさと片付けるか……。」
「だから、これから先輩のところに行ってくる。だいじょうぶ。殺したりしないから。」
「ムチャしちゃダメだぞ?」
「分かってる。ライダー。行きましょう。」
「はい、桜。」
ライダーは、従順に桜に従う。
そして、桜がライダーと共に間桐邸を出発しようとして門を通った時。
「私も行くよ。」
「ツツジさん…。それより雁夜さんと仲直りしたらどう?」
「衛宮くんに確認したいの。だから行く。だいじょうぶ。戦いの邪魔はしないから。」
「…もう。」
ついていくと意気込むツツジに、桜はヤレヤレと息を吐いた。
生きてる時臣から、桜がなぜ遠坂の家を恨むようなったのか聞いてない凜。
……zero編の番外編で、制裁されてますからね。トラウマになって口に出せないとか?
凜は、妹の桜の平穏無事を願っているだけで、本当は幸せを奪いたくはないけど、父・時臣と雁夜達の因縁もあるので、遠坂を継いだ者として許すわけにはいかない。そんな状況。
あと、桜が士郎のところへ戦いに行こうとしてますが、敵対するというより、さっさと聖杯戦争を終わらせるために挑みに行くだけなので……、敵対意識は無い予定ですが…。