ガールズアンドパンツァー×仮面ライダーエグゼイド 作:ジョルノ利家
2017年8月 第68回全日本高校戦車道大会 決勝戦 黒森峰女学園 対 プラウダ高校
その日は、試合会場の川が増水するほどの大雨が降っていた。
視界も悪く、この雨のせいで想定していた動きも取れない以上、それを補う為のチーム間での綿密な通信が勝敗を左右するだろうことは分かっていた。
しかしながらそれをうまく出来なかったのは、私がプラウダの作戦にまんまと嵌まってしまったからに他ならない。
こちらが対プラウダ用に重戦車を軸にした作戦を、プラウダ側に上手く利用されてしまい、その対応に追われてしまったせいだ。
戦車の性能や個々の技量において、我々黒森峰とプラウダにそれほどの差は無いと考えるなら、勝負を分けるポイントは指揮官が有能かどうかであり、その点においてはプラウダの方が上であることは間違いない。
プラウダへの対応が後手に回ってしまったのをきっかけに、試合が徐々にプラウダの優勢へと傾いていく。
私は逆転への突破口をなかなか見出だせずにいたばかりか、その焦りのせいからか逆にプラウダに包囲されつついた。
打ち破ろうにもプラウダの包囲は硬く、無理に突破しようとすれば後続に控えている部隊に狙い打ちされてしまうだろうし、かといってこのままではいずれじり貧になり、こちらが撃破されるのも時間の問題だろう。
事前の作戦会議ではこういった場面では別のルートから他のチームがプラウダの背後を突くことで包囲に隙を作る手筈だったのだが、プラウダの絶え間ない砲撃のせいで通信する余裕も無く、他のチームの現状を聞くことさえ出来ない。
絶体絶命とも言える状況で、どうするべきか考えていると、突然、フラッグ車から通信が入った。
『隊長、すみません。フラッグ車、撃破されました』
一瞬、どういうことか理解出来なかった。
フラッグ車が撃破されたということはつまり、我々の敗北を意味している。
まさかと思い、フラッグ車に本当か尋ねようとしたその時、試合終了の放送が入った。
……ああ、本当に負けたのか。
…いや、負けたのはこの際どうでもいい。いくら西住流の教えを受けていようと、常勝無敗などある訳が無いのだから。
それよりも私にとって問題だったのは、フラッグ車を撃破されたということだ。
今回フラッグ車を任せていたのは副隊長のみほだ。
私の妹でまだ1年生ながら、戦力としては私に優るとも劣らない。その上、柔軟な発想力を持ち、私では到底思いつかないような作戦案をその場で立案・実行する行動力もある。時にはそれが部隊運用の邪魔になることもあったが、それでも優秀な隊員であることには変わりなく、だからこそ今回の副隊長及びフラッグ車車長への起用を他のチームメイト達も了承してくれたのだ。
そのみほに詳しく話を聞こうとフラッグ車の通信手に替わるよう言うと、通信手は『それが…副隊長、川に落ちたチームを助けるんだって急に飛び出して行ってしまって…』と、不安げに言った。
………私は頭が真っ白になった。
妹が仲間を助けるために増水している川に入っていった?
いやいや、いくら人助けの為とは言えそんなバカな真似する、はずは…無い……はず。
その瞬間、私の脳内で一つの答えが浮かぶ。
みほの性格を考えると、確かに困っている人を放っておけない一面はある。そのせいで貧乏くじを引くはめになったということも何度か本人から聞いたこともあるが、それでも助けたことを後悔したことは一度も無いとも言っていた。それにみほは昔からあれこれ考えるよりもとにかく行動してみることの方が多かった。大きくなるにつれ段々と大人しくはなってきたが、もしこの最悪な状況でその二つが混じりあったのだとしたら…。
戦車道で使用する戦車には特殊なカーボンが使われており、例え砲弾が直撃しても車内の乗員がケガを負うことはない。
だが、水没となれば話は別だ。万が一の時に備えて水圧のせいでハッチが開かなくなる前に脱出するよう訓練はしてきたが、それを出来るだけの冷静さが当事者たちにあるか分からない。
もしかしたらそうなることも見越してみほは飛び出したのかもしれないが、そもそも服を着たまま水の中へ入ることがどれほど危険な行為か十分知っているはずだろうに。
「悪いが、確認させてくれ。本当に、みほは川に飛び込んだのか…?」
声が震えている…、我ながら情けない。不安に思っているのは彼女らも同じのはず、ならばこそ私が強く在らねばいけないというのに。
『…はい』
「…そうか」
『すみません、私達も止めなきゃって思ったんですけど、でもプラウダの戦車に狙われていて、それで…!』
「…いや、お前達は悪くない。だから気にするな」
『あ…、はい』
そうして彼女らと何度か話をしている内に、回収車と救護車が彼女らの下にやって来たとの報告があった。
到着まで大して時間はかかっていなかったはずだからこれで一先ずは大丈夫だとは思うが、それでも私は水没した戦車の乗員とみほが無事であることを祈らずにはいられなかった。
前書きにもある通り、本文を編集し直しております。
極力原文のニュアンスを崩さないようにしつつも、伝わりやすさ、読みやすさ等を優先して編集したつもりですので若干文章の感じ方が変化しているかもしれません。