ガールズアンドパンツァー×仮面ライダーエグゼイド 作:ジョルノ利家
大洗女子学園 運動場 倉庫前
今日から一年間を通しての戦車道の授業が始まる。だと言うのに目の前に集まった生徒の数は私が思っていた以上に少ない。
「かーしま、何人?」
「18人ですね。我々を含めても21人です」
21人、やっぱり少ないなぁ。でも生徒会への評価を考えれば、これでも集まってくれた方かな。
私は手元の資料を見る。これには、現在大洗女子に残っているであろう戦車のデータがいくつか纏められており、その中から今の人数で運用できそうな物をいくつかピックアップしていく。
「うーん、こんなとこか」
選んだのは、倉庫内のⅣ号戦車を含め、Ⅲ号突撃砲、ポルシェティーガー、三式中戦車、M3中戦車の5輌。他にも人数的には問題ない車輌もあるが、戦力として考えるとこれがベストだろう。最大の問題はこれらが見つかるかどうかということだけど…。
「会長、そろそろ…」
「うん?あぁ、そうだな」
河嶋に呼ばれ、皆の前へ出ていく。わざとらしくごほん、と咳を一つ。
「諸君!まずは戦車道の授業を選んでくれてありがとう。我々と共に戦車道を学べば、君たちのこれからの学園生活はより豊かなものとなるだろう!」
「会長!挨拶はいいですから、早く戦車に乗せて下さい!」
そう言ったのは2年C組の秋山ちゃん。そういえば説明会の直後に生徒会に戦車道をやるとわざわざ言いに来たのもこの子だっけ。
「…あー、うん。戦車ね…」
「ん?まさか会長、ウチには使える戦車が1輌も無いとか言うんじゃないだろうな?」
「えっ!?いやいや、ちゃんとあるから」
「だったら見せて下さいよー、戦車」
「そうですよ。ちゃんと見せて下さい」
「分かった分かった。かーしま!」
私は河嶋に倉庫の扉を開けさせて、皆にⅣ号戦車を見せる。
「うっ、これは…」
「随分ボロボロだな」
「へー、これが本物の戦車なんだ」
「これ動くんですか?」
「まぁ、ちゃんと整備とかすればね」
「えっ!だったら今日はⅣ号の整備をするんですか?」
「いや、整備は自動車部に任せるから」
「なら今日は何を?」
「お前達には他の戦車を探してもらう」
「他の?」
「ああ。ここに大洗女子に残っている戦車の一覧表がある。お前達にはこの中に載っている戦車を見つけて来てもらいたい」
「見つけてこい、ということは戦車がある場所についての見当がついていないということか?」
「残念ながらその通りだよ、松本ちゃん」
「ちょっ!会長!その呼び方は止めてくれ!」
「学園艦のどこにあるかわからない状態で探すのはちょっと難しいんじゃ…」
「いや、根性さえあればなんとかなるんじゃない?ね、磯部ちゃん」
「さすが会長!その通りです!」
「根性だけではどうにもならないと思いますけど…」
「まぁ、喋ってても何も始まらないんだから、澤ちゃんもとりあえず探しに行ってよ」
「…分かりました」
とりあえず戦車を捜索するために西住ちゃん達三人に秋山ちゃんを加えた1班、磯部ちゃん率いるバレー部の2班、松本ちゃん達歴史好きが集まった3班、そして澤ちゃん達仲良し一年生の4班に分かれてもらう。
「会長達は探さないんですか?」
「うん?私たちは皆から連絡を受けて、自動車部を向かわせる係だから」
「それ三人も要りませんよね?」
「怠慢だー!」
「横暴だー!」
「生徒会も探せー!」
「探せー!」
「ええい、会長の決めたことにつべこべ言うなっ!お前達はさっさと戦車を探しに行けぇ!」
河嶋、ナイス?アシスト!やっぱり持つべきは権力とイエスマンだなぁ。
結局夕方まで掛かってしまったが、今日1日でなんとか5輌揃えることが出来た。出来たんだけど…。
見つかったのはM3中戦車とⅢ号突撃砲、ここまではいい。問題は残りの2輌、38(t)と八九式中戦車だ。
38(t)はまぁ使えなくはないが、八九式は中戦車と言いつつもそのスペックは中戦車のそれには及ばない。作られた時代を考えれば仕方ない事なんだけど…。
とにかく、今はこの5輌でなんとかしていくしかない。
自動車部による各部品の選定の結果、結構な数の部品を交換する必要が分かったから、まずはその対応をしないと。
はぁ、昼の時間をこっちに使えたらなぁ。
SIDE:秋山優花里
今日から待ちに待った戦車道授業のスタート!
大洗女子に住んで結構経つけど、まさかこんな日がくるなんて。しかも!目の前にいるのはあの西住流の次女で黒森峰で一年生ながら副隊長を務めていた西住みほ選手が!
あぁ、これは戦車を愛し続けてきた私へ神様がくれたプレゼントに違いない。神様、ありがとうございます!
いよいよ授業が始まり、生徒会長が前に出て挨拶を始めたが、一刻も早く戦車に乗りたい私は自分の気持ちを抑えることが出来ず、つい会長の挨拶を遮ってしまった。
しかし、会長の返答はなんだか歯切れが悪く、それに突っ込むようにドイツ軍の軍服と軍帽を着用した生徒が発言し、他の生徒も戦車を見せろと続く。
そしてついに倉庫の扉が開かれ、中には本物の戦車が!
「うっ、これは…」
間違いなくⅣ号戦車のD型なんだけど、長らく整備されていなかったせいで錆びまみれでボロボロになってしまっている。
いや、ここはポジティブに考えよう。このボロボロのⅣ号を私たちの手で甦らせるのだと!
「これ動くんですか?」
「まぁ、ちゃんと整備すればね」
「えっ!だったら今日はⅣ号の整備をするんですか?」
「いや、整備は自動車部に任せるから」
「なら今日は何を?」
「お前達には他の戦車を探してもらう」
おお!他にも戦車が!大洗女子の戦車道は随分前に廃止されたからもう戦車は残っていないと思っていたけど、まだちゃんと残っていたなんて。しかも捜索するチーム分けで西住選手と一緒になった。
いや~、なんというか、最高だなぁ!
「私、普通科2年C組の秋山優花里です。本日はよろしくお願いします!」
「五十鈴華です。こちらこそよろしくお願いいたします」
「私、武部沙織!」
「あっ、私は…」
「存じ上げております!」
「わっ!」
「あの戦車道の名門、黒森峰女学園で一年生でありながら副隊長を務めていた西住みほ選手!ですよね」
「あっ、はい。そうです」
「いや~、私小さい頃から戦車が好きで、そこから戦車道も好きになって。あの西住選手に出会えて、私凄く嬉しいです!」
「あっ、私もう選手じゃないから」
「はっ!そういえばそうですよね」
では西住選手のことを私は何と呼べば?初対面だし、失礼の無いように「西住さん」か?それとも会長のように「西住ちゃん」?思いきって下の名前というのも、いや、それもなんだかなぁ…。
「うーん…、うーん…」
「何やら悩みだしてしまいましたね」
「おーい、秋山さーん?」
「あ、あのー、秋山さん?」
「っ!はいっ!なんでしょうか西住殿!?」
「西住殿?」
「えっ?あっ!違っ、そうじゃなくて…」
「いいじゃん、それ!」
「えっ?」
「なんか響きが可愛くない?◯◯殿って」
「たしかに可愛らしいですね」
「ねぇ、私も呼んでくれない?」
「へっ?えっと、武部、殿?」
「うん」
「わたくしもお願い出来ますか?」
「あっ、はい。五十鈴殿…」
「はい」
「よし、仲良くなったところでそれじゃあ戦車探しに行こっか」
「あっ、はい」
なんか◯◯殿呼びで纏められてしまった。でも西住殿とお近づきになれたし、まあいいか。
その後我々は五十鈴殿の並外れた嗅覚のおかげ?もあり38(t)を見つけることが出来た。嬉しさのあまりつい38(t)の説明をペラペラと喋ってしまい、武部殿には若干引かれてしまったけれど。
他の班も無事Ⅲ突やM3リー、八九式を見つけたらしい。
他にも見つかっていない戦車はあるが、練習に必要な数は揃ったらしく、明日は洗車と整備を行い、明後日から本格的に練習を始める予定だと言っていた。
ううむ、戦車に乗れるのは明後日かぁ。こうなったら、せんしゃ倶楽部で自主トレだ!