ガールズアンドパンツァー×仮面ライダーエグゼイド 作:ジョルノ利家
「ふわぁぁ…はぁ」
欠伸をしながら今日も重い体を一歩一歩目的地へと運んで行く。
私は今、人間の欲の中でもとりわけ強い欲、いわゆる三大欲求の一つである睡眠欲と脳内で激しい戦いを繰り広げている最中、つまり今、物凄く眠い。
太陽は今日もこれでもかと言わんばかりにギラギラと大地を照らしており、その光と熱は私の気力を少しずつ削っていく。
暖かな日射しと眠気のコンビネーションはひどく暴力的だ。だがそれでも、私はこんな所で立ち止まるわけにはいかない。僅かに残った理性を総動員してなんとか足を動かし続ける。
そうして歩き続けて結構な時間が経った頃、ようやく私が通う大洗女子学園が見え始めた。
いつものことながら学園までの道のりは私にとってはまるで天竺かのように長い。その長い道のりを今日も眠気に負けずよく歩いて来た。自分で自分を誉めてやりたい気分だ。
だが、まだ学園までたどり着いた訳ではない。私はもう一踏ん張りするべく大きく伸びをする。その時、住宅のベランダに干された布団が目に入る。それを見た瞬間、脳内で我が家の風景がフラッシュバックする。
ああ、そう言えば布団干してないな。こんな天気の良い日は、布団を干すのにちょうど良いよな。ちゃんと干していれば、あそこに見える布団のようにふかふかで温かくて、倒れ込んだ瞬間に夢の世界へ旅立てる様な布団が私の帰りを待っていただろうな。実に惜しいことをした。…はぁ、私も温かい布団に包まれたい。温かい布団で寝ていたい。いや、別に温かくなくて構わない。とにかく布団で寝ていたい。
「大丈夫ですか!?」
突如私の体に衝撃が加わる。私は声の主に抱き抱えられる形になっていた。眠気に襲われていた私を倒れそうだと判断したからだろうか。
振り向いて顔を確認すると、そこにいたのは私と同じく大洗女子の制服を着た少女。彼女はかなり心配そうに私を見ていた。
…なんでここに大洗女子の生徒がいるんだ?他の生徒は皆既に登校しているはずだが…。そこでふと気づく。おそらくこいつは寝坊でもしたのだろう、と。でなければこんな真面目そうなやつがこんなところにいる訳無い。
「…ああ、大丈夫だ。すまんな」
「本当ですか?今にも倒れそうだったから咄嗟に抱き抱えちゃいましたけど」
そんなつもりは無かったんだが、見ず知らずの人にそんな顔をさせるほど、私の歩き方ってヤバかったのか。意識して治せるとは思えんが、もうちょっとくらいは頑張って歩こうかな。
しかし、遅刻しているであろうこの状況で見ず知らずの他人を助けようなんてよほどお人好しなのか?しかも咄嗟に私を抱き抱えるなんて、色んな意味で凄いやつだな。
「朝が弱くてな。…いつもこうだから、あまり気にしないでくれ」
「そうなんですか?」
「ああ。…ああ、そうだ。助けてくれたのに悪いんだが、ちょっと頼みがある」
「なんですか?」
「すまんが学園に着くまでの間、肩を貸してくれ」
校門前では今日も変わらず風紀委員長のそど子が待っていた。こいつにも授業の準備とか色々あるだろうに、ご苦労なことだ。
「冷泉さん、あなた今日も遅刻よ。これでもう何日連続だと思っているの?」
「知らん」
「まったく…。いくら成績が良くてもこのままだと貴女留年しちゃうわよ、わかっているの?」
留年か…。それだけは避けねばならないが、先にこの体質をどうにかしないことにはどうにもならんからな。
「…まぁ、なんとかする」
「それから貴女、西住さん?困っている人を助けるのは立派だけど、それで遅刻するのは良くないわ」
「は、はぁ」
「今回は特別に見逃してあげるけれど、次は無いから気をつけなさい」
「あ、ありがとうございます…」
そど子は真面目だから、見るからに人助けをしているようなポーズをして見せれば遅刻の一回くらいはどうにかなると踏んだが、その通りだったな。
しかし、このくらいではあの時善意で助けてくれた西住さんへの恩返しにはならんか。
「あの、えっと、冷泉、さん?」
「うん?」
「あの、ありがとうございました」
「別に礼を言われるようなことはしていないが」
「えっ?でも、冷泉さんと一緒だったから遅刻を免れられた訳ですし…」
「私は単純にダルかったから肩を借りただけだ。それがたまたまそど子から見たら人助けしているように見えただけだろう。だから別に西住さんが礼など言わなくていい。むしろ礼を言わなければいけないのはこちらの方だ。なにせ命の危機を救われたんだからな」
「そんな事…」
「…もう授業時間か。…この借りは必ず返すから、待っててくれ」