ガールズアンドパンツァー×仮面ライダーエグゼイド   作:ジョルノ利家

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「…、…子、麻子!」

聞き覚えのある声が、私の名前を呼んでいる。

「冷泉さん!」

「冷泉さん、起きてください」

「れ、冷泉殿ー、だ、大丈夫ですかー?」

…なんだ?沙織以外にも周りにいるのか。

私は目を開けて声の主たちを確認すると、数人の人影があった。どうやら私の周りにいたのは先ほどまで一緒に戦車に乗っていた子達のようだ。

「っ!麻子!気がついた!?」

「…ああ」

「はあ、よかった~」

「あの、冷泉さん、大丈夫ですか?立てますか?」

西住さんから差し出された手を握り、私はゆっくりと立ち上がる。

「すまん、助かる」

「いえ」

「冷泉さん、御気分はいかがですか?」

「ん?ああ、さっきまでと比べれば、大分マシになった」

「それは良かったですね」

「それにしても、私ビックリしちゃいましたよ。急に苦しみだして倒れたかと思ったら、いきなり別人になったみたいになって…」

「なったみたい、じゃなくて、さっきの麻子は別人だったんだよ」

「えっ!?それどういう意味ですか?もしかして多重人格とか…?」

「いや、そういうことじゃないんだけどね。あっ、そうだ。永夢先生、分かりやすい説明お願いしまーす」

沙織が私の後ろの方に向いて声をかける。それにつられるように私も後ろを向くと、そこには一人の男性が立っていた。どこかで見たような顔だが、……誰だ?

「あなたは…」

「僕は宝生永夢。今は色々あって大洗女子の戦車道のサポートをしているけど、本業は聖都大学附属病院の小児科医なんだ」

「はあ」

…ああ、なんだか思い出してきたぞ。以前の選択授業の説明会で、この人を見た気がする。あれだけ戦車道は女性の為のものってアピールしていたのに、そのスタッフが男性なのはちょっとおかしいんじゃないかとその時は思ったが、医者が本業だったのか。

ん?ちょっと待て。さっきこの人は自分のことを何と言っていた?小児科医だと?

確かに、戦車に乗って砲弾を撃ち合う関係上、安全性には十分注意していてもそれでもまだ一定の危険性は残っているであろう戦車道に、不測の事態に備えて医者が関わるのは分からんでもない。だが、そこに何故小児科医が関係しているんだ?普通、こういうのは外科か内科の医者が対応するものだと思うんだが…。

「それだけじゃなくって、永夢先生は仮面ライダーなんだよ!」

「仮面ライダー、ですか?」

「うん」

…仮面ライダーと言えば、以前にニュースで聞いた覚えがあるな。確か、ゲーム病治療を行う医者が変身するヒーローの総称だったか。

それで、その仮面ライダーがいて、先ほどまで私に起きていた異変が治まっている、と言うことは。

「なるほど。つまり、さっきまで私はゲーム病に感染していて、それが原因で色々とおかしくなっていた。で、それを仮面ライダーであるあなたが治療した、とそういうことか」

「うん。麻子ちゃんの人格が豹変したのも、勝手に戦車を走り回らせたのも、全部麻子ちゃんに感染していたバグスターウイルスが原因だったんだ」

「はあー、そういうことだったんですね」

「治療は無事に終わったから、もう麻子ちゃんの体内にはバグスターウイルスは残っていないから安心してね」

「…そうですか」

私は軽く体を動かして、私の意思で体が動かせることを確認する。…まぁ、大丈夫そうだな。

とにかく、これで私に起きた異変も一件落着と言ったところか。

……それにしても、私がゲーム病になるとはな。

「沙織、それからみんなにも、随分迷惑を掛けてしまったな。すまん」

「もー、そんなの謝んなくっていいって」

「そうですよ、私たち全然気にしていませんから」

「ええ」

「私も大丈夫です!」

「…そうか」

「それじゃあ皆、話しは一旦それくらいにして、グラウンドまで戻ろうか。多分他の皆も心配しているだろうし」

「あっ、そうですね」

「よし、それじゃあ戻ろっか」

沙織達がいそいそと戦車に乗り込んで行く。

成り行き上仕方なかったのだろうが、随分と遠くまで来てしまったようだし、どうせなら私も沙織達と一緒に戻るとするか。

そう思って戦車に乗り込もうと手を掛けたところで、私はふと考えてしまう。

別に宝生先生の言葉を疑うわけではない。だが、もしかしたらまだ治りきっていないんじゃないか、もしそうならまた沙織達に迷惑を掛けてしまうんじゃないかと思うと、躊躇してしまって、動けなくなってしまう。

頭ではもう大丈夫だと理解出来てはいるんだがな…。

「麻子?どうかしたの?」

「…ん、いや、何でもない」

「…麻子ちゃん、悪いけど君は僕のバイクで一緒に戻ってくれるかな?」

そう言う宝生先生の傍には、一台の黄色いバイクが置いてあった。ん?そんなバイク、さっきまで無かったような。

「…まぁ、別に、構いませんけど」

「ありがとう、それじゃあ、これ」

私は手渡されたヘルメットを被り、バイクに跨がる宝生先生の後ろに座る。

「落ちると危ないから、しっかり掴まっててね」

「分かりました」

 

「あー!麻子だけズルい!」

「武部殿も宝生先生のバイクに乗りたいんですか?」

「うん。だってああいうの、女子なら結構憧れのシチュエーションじゃない?」

「そうなんですか?」

「うーん、どうだろう…」

「私もあまり聞いたこと無いんですけど」

「もー、みんなもう少し女子力磨いたほうが良いんじゃないの?」

「憧れのシチュエーションと女子力は別に関係無いんじゃないかな…」

 

 

 

沙織達が乗る戦車に付いていく形で宝生先生がバイクを走らせる。バイクが戦車の速度に合わせてゆっくり走っているおかげで、思ったより振動が心地よい。このやかましい走行音さえ無ければ、寝やすそうで良かったんだがなぁ。

それにしても、自分で操縦していた時にはあまり感じなかったが、こうして外から走る戦車を見てみると、実際には結構遅いものなんだな。

「麻子ちゃん、聞こえる?」

「何ですか?」

「君に少し聞きたいことがあるんだ。もし答えにくかったら申し訳ないんだけど…」

「…何でしょうか」

「実は、君のゲーム病を治療している時、君に感染していたバグスターが君について色々言っていたのを聞いたんだ」

「はあ」

「それで、そいつが言うには、君にはバグスターを活性化させるような強いストレスを感じたりすることがあの時までほとんど無かったらしいんだけど、あの戦車に乗ってから急にバグスターが活性化したよね?もしかして、何か戦車に関する悩みとかってあったりするのかな?」

「いえ、そんなことは。と言うより、戦車に乗ったりしたのも今日が初めてなので」

「そうなんだ。なら、他に何か強いストレスを感じる心当たりみたいなものってあるかな?」

「そうですね…」

「…」

「…」

「どう、かな?」

「特には思い当たらないですね」

「そっか」

「ああ、でももしかしたら…」

「もしかしたら?」

「あまり今回の件とは関係無いと思うんですが…、実は私、ゲーム病が原因で両親を亡くしているんです」

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