ガールズアンドパンツァー×仮面ライダーエグゼイド   作:ジョルノ利家

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戦車道の授業も終わり、生徒達はそれぞれの時間を過ごすみたいだけど、僕にはまだやるべきことが残っていた。それは練習試合用に会場の各地に設置したカメラの片付けだ。

大洗女子学園にいる間は戦車道連盟の外部スタッフでもあるので蝶野さん達と協力して準備や片付けをするのは当然ではあるんだけど、今回の試合のために設置されたカメラは全部で100台以上もあり、それら全てを僕一人で回収しなければならない。

「あらかじめどこに設置したかは全て記録してあるので、この地図を見ながらお願いしますね。これくらい男性なら楽勝でしょ?」と、蝶野さんは言っていたけれど、僕としてはこの半分でもキツイ。だが、任されてしまった以上は後に引くことも出来ず、僕は必死で練習場内を探し回った。しかし、いくらやる気を出しても回収作業はなかなかうまく進まない。

大洗女子は学園艦の中でも小さい部類に入るそうだけど、その大洗女子の敷地の一割程度を占めているらしいこの練習場のあちこちにカメラを設置してあるもんだから、だいたいの位置は地図で確認出来ても、実際にその周辺まで行って探しだすだけでも一苦労だ。

それでもなんとか探し続けた結果、思っていたよりも多少時間は掛かってしまったけれどついに残すところあと一台、それももう僕の目と鼻の先にあった。

よし、これで最後だ!と、気合いを入れ直し、僕はカメラへと腕を伸ばす。

…ん、あ、あれ?思っていたよりも遠いな。いや、でももうあとちょっとなんだ。僕は体全体を使ってさらに腕を伸ばした。するとようやくカメラを掴むことが出来た。

やった!これでミッションクリアだ!

だがその時、僕の悪癖が発動してしまった。

カメラを掴めたことで気が緩んでしまったのか、僕の体は天を仰ぎながらゆっくりと地面へ倒れていった。分かりやすく言うならズッコケてしまったのだ。

僕は元々運動神経がそこまで良くなく、普段からよく段差も何も無いような所で派手にズッコケてはケガが絶えない日々を送っている。

だから一瞬、ああ、またか…。今回は痣にならなきゃいいなぁ…。なんて思ったりもしたのだが、さすがに今回ばかりはのんきにしている場合じゃない。

これまで苦労して集めてきたカメラを、コケた拍子にぶつけて壊してしまうわけにはいかない。幸い、カメラはさっきコケた時の衝撃で宙に浮かんでいる。なら、この状況で僕が取れる最善手は。

「パラド!カメラを頼む!」

僕は自らの意思でパラドを分離させる。僕の体から飛び出すように出てきたパラドは、少し驚いた表情をしながらもしっかりとその手の中にカメラをキャッチしている。

その姿を確認した次の瞬間、僕の体は地面へと叩きつけられていた。

「ぐうっ!」

ドスンと鈍い音が身体中に響く。…やっぱり、こういう痛みには何度経験したって馴れないな。

さすがにいい加減受け身の一つでも覚えた方が良いとは思うんだけど、いかんせん身に付く未来が見えないんだよなぁ。

「おいおい、大丈夫かよ、永夢」

「…ん、あ、ああ、まぁ、なんとかね」

「ほらよ、カメラなら無事だぜ」

「悪いな、助かったよ」

「まったく、次呼び出す時はちゃんとゲームする時にしてくれよ」

パラドはそう言ってカメラを僕に手渡すと、体をウイルス状に変化させ再び僕の体の中へ入って行った。

ありがとう、パラド。今度一緒に遊んでやるからな。

「ちょっと宝生先生!?大丈夫?」

パラドと入れ替わるように蝶野さんが僕の方へと慌てた様子で近寄って来てくれた。おそらく回収作業に時間が掛かっていたので様子を見に近くまで来てくれてはいたのだろうけれど、さっきの落下の瞬間を目撃して心配してわざわざここまで来てくれたのだろう。

「結構危ない感じで落ちてたように見えましたけど、ケガとか大丈夫ですか?」

「ああ、すいません、大丈夫です。実は僕、いつもこんな感じで、それで周りの人達にも心配ばかりかけてしまっていて…」

「いつもって…。ハァ、さっきはあんなに凄かったのに、人間こうも変わるなんて分からないものね」

「あはは、あの時は文字通り変身してますからね」

「それはそうなんでしょうけど…」

「…それより、任された回収作業はこれで全部ですよね」

「ええ。お手伝い、ありがとうございました。…って、もしかしてさっきコケたのってコレのせいだったりします?」

「え、ああ…まぁ、そう、言えなくもない、ですかね?」

「もう、こんなののせいでケガなんてしちゃダメですよ。カメラなんて試合していればどうせバンバン壊れるんですから、もっと適当に扱ってくれて良かったのに」

「えっ!?」

「あれ?私適当で良いとかって言いませんでしたっけ?」

「言われてないですよ、そんな事…。」

壊したり傷つけちゃいけないと思って結構慎重にやってきたのに…。

「…それにしても、これだけのカメラを毎回準備しなくちゃいけないなんて、戦車道のスタッフも大変なんですね」

「あら?なに言ってるんですか。こんなの全然少ない方ですよ」

「えっ!そうなんですか?」

「ええ。例えば高校戦車道の全国大会なら、最低でも一試合でこれの3倍から5倍は用意しないといけませんからね」

「そんなにも!?」

「まぁ、試合会場がここよりも数段広いからって言うのもありますけど、見に来てくれた観客のために迫力ある映像を映す用のとか、戦車道に馴染みのない人に向けて分かりやすくアピールする用とか、選手達を更に美人に映す用のカメラとか色々とありますから」

「…最後のって必要なんですか?普通、戦車に乗った状態で試合しているんだから、あまり必要じゃないと思うんですけど」

「基本的にはそうなんですけど、戦車道の名門である西住流や島田流では、実際の状況を見ることで試合の流れとかを感じ取りやすくするためや、感覚を研ぎ澄まさせるためにキューポラから体を出すよう教えていたりしてまして、しかもそういう教えを受けた子達ってみんな可愛い子ばっかりなんですよ。だから連盟としてもそういう面から戦車道のファンになってくれる人達がいる以上、あまり軽視も出来ないんです。実際にそれがきっかけになって夕方のニュースで取り上げられたりもしましたからね。あ、もちろんこういうのは選手達本人の気持ちが最優先ですけど」

「…なんと言うか、どこも色々と大変なんですね…」

「ええ。連盟も戦車道人口を増やすために色々と頑張っているんですよ。そんな現状だからこそ、自分達から戦車道やりたいって大洗女子の子達が言ってくれたのが個人的にも本当に嬉しくって、もう私大洗女子のファンになっちゃいましたよ!」

「え?あ、ありがとうございます」

「とは言え立場上あまり肩入れは出来ませんけどね。それでも普段の練習程度なら見れる日もあるでしょうし、宝生先生もわからない事やアドバイスなんかが必要でしたらいつでも構いませんから」

「ありがとうございます」

「ところで…」

「なんですか?」

「宝生先生、この後って空いてます?もしお暇なら、一緒にどうですか?」

ぐいっと右手でビールジョッキを持ち上げる仕草をする蝶野さん。

お酒か…。別に嫌いではないんだけど。

「すいません、せっかくのお誘いなんですけど、まだ報告書とか書かないといけないので」

「そうですか、なら仕方無いですね。それでは宝生先生、残りのお仕事、頑張ってくださいね」

「あはは、ありがとうございます」

そう言って蝶野さんは回収したカメラが入った袋を勢い良く背負うと、鼻歌を歌いながら去って行った。

なんと言うか、パワフルな女性だなぁ。

蝶野さんを見送り、僕は体と心を少しリラックスさせるべく一度大きく背伸びをする。

「…ふぅ、さてと、それじゃあもう一頑張りするか」




幕間的な話なはずですが、予想以上に長くなってしまいました。
現時点ではそこまで書くかどうかは決めてはいませんが、みほ達のお風呂シーンがあるなら次回になるかと思います。
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