ガールズアンドパンツァー×仮面ライダーエグゼイド 作:ジョルノ利家
五時間目の授業が始まってもみほは席に座って茫然としたままだった。様子から察するに生徒会に何かされたのは間違いない。出来たばかりとはいえ、私の友達に何かあったのだからこれは放っておけないわ。
みほのおかしな態度に気づいた先生が保健室へ行くよう促すと、みほはフラフラと立ち上がって教室から出ていく。
私はすぐさま後ろの席の華にアイコンタクトし、仮病を使って一緒にみほを追った。
保健室に着いたわたくしたちはそれぞれベッドで休ませてもらうことになりました。みほさんも大分落ち着いてきたのか、さっきまで暗かった表情も少しは明るさを取り戻したように見えます。
「ねえ、みほ。生徒会に何かひどいことされたんでしょ?」
「えっ?」
「だってかなり様子おかしかったもん。なにがあったの?」
「もし言いづらいことでしたら無理にとは言いませんけど、わたくしたちで力になれることでしたらなんでもお手伝いしますよ?」
「…ありがとう、二人とも。さっき私が呼び出されたのは明後日からの選択授業についてだったの」
「ああ、たしかこのあと六時間目の代わりに説明会やるよね」
「それで、選択出来る授業の一つに戦車道があるの。実は私前の学校で戦車道やってたから、それで大洗でもやってくれって言われて…」
「戦車道…。たしか伝統的な武道の一つで、“立派な婦女子になるための乙女のたしなみ”でしたっけ」
「へー、そうなんだ。でもそれ言われてあんななっちゃうってことは、みほは戦車道やりたくないんでしょ?」
「うん……」
「だったら別にやんなくて良いんじゃない?」
「えっ?」
「いくら生徒会が権力持ってるからってさ、人のやりたいこと勝手に決めて良いわけないじゃん」
「そうですよ。わたくしもみほさんがしたいことをすれば良いと思います」
「でもやらないと退学させるかもって……」
「はぁっ!?なにそれ、横暴過ぎるでしょ!文句言おうよ!文句!」
「それは流石に許せませんね。ちゃんとカチコミましょう、みほさん」
「うぅ……」
みほさんは大人しい性格の方ですからあまり乗り気ではないようですが、一人の生徒に対して権力を振りかざすような生徒会の横暴を許すわけにはいきません。ここは決して退いていいところではないと思います。
大事な友人のためについエキサイトしてしまったわたくしたちですが、結局はみほさんの進退にも関わる可能性がある問題ですから、もう少し慎重に、とりあえずはこのあと開かれる説明会で戦車道というものを理解してから改めてどうするか考えることになりました。
全校生徒を集めての選択授業の説明会が終わりました。と言ってもその内容のほとんどは戦車道のアピールに使われ、それ以外の授業に関しては説明らしい説明も無かったように思いますけれど。
戦車道連盟から配布されたプロモーションビデオが流れている間、みほさんはスクリーンから顔を背けるように俯いていました。おそらく戦車道そのものに嫌な思い出があるのでしょう。
ただ、わたくし個人としては戦車から放たれる砲撃の力強さには心惹かれるものがありました。それに履修すれば特典として学食の一部メニューが無料になるのだとか。
学食のメニューは学園艦内で食材を生産していることもあり、他の一般的な飲食店と比べれば比較的安い価格設定になってはいますけれど、それでも学生ですから時には財布にあまり余裕がないという日だってあるでしょう。もしその時学食が無料で食べられるというなら、それはかなり魅力的だと思います。
他にも履修者には様々な特典が付くらしく、授業の単位や遅刻の取り消し等々。
そして最後の方になって白衣の殿方が壇上に出てこられました。
その方は戦車道連盟から派遣されたスタッフの方で、授業の手伝いをしていただくということだったのですが、その時わたくしは見たのです。隣に座る沙織さんの目が獲物を狙うライオンのようになっているのを。