ガールズアンドパンツァー×仮面ライダーエグゼイド 作:ジョルノ利家
友達に膝枕されて寝ているみほちゃんを診察するため、首に掛けていたゲームスコープを構えてみほちゃんへ向ける。
「みほさんの病気はどうなったんですか?」
「…大丈夫。バグスターウイルスの反応も無くなったし、もう少ししたら意識もハッキリしてくる筈だよ」
「よかったぁ~」
「ええ。いきなり倒れられた時はビックリしましたけど」
「でも、この人がすぐ来たってことは会長たちはみほがゲーム病、だっけ?とにかく病気だって知ってたんですよね?」
「ああ。そのために永夢先生に大洗女子まで来てもらったからね」
「そうだったんだ。って言うかお医者さんだったんですね」
「うん。あぁ、そういえば自己紹介がまだだったね。僕は宝生永夢、聖都大学附属病院で小児科医をしているんだ」
「わたくしは五十鈴華と申します」
「私、武部沙織です!絶賛彼氏募集中です!」
なんだか圧が凄い子だなぁ。でもどことなくだけど大我さんに突っかかっている時のニコちゃんや黎斗さんを叱っている時のポッピーに近い感じがする。
「すいません。沙織さんは女子校生活が長すぎて少々拗らせてしまっている所がありまして」
「ちょっ、変なこと言わないでよ!全然拗らせてなんかないから!」
「拗らせてないなら初対面の人間に彼氏募集中とか言うか?」
「うぐっ!」
「それに永夢先生彼女いるしね~」
「えっ?」
「えっ、そうなんですか!?」
「だからあんまり期待しない方が良いんじゃない?」
「確かに医者って狙う人多そうだから彼女くらいいてもおかしくないか……」
「ちょっと角谷さん!」
「ん、なんかまずいこと言ったっけ?」
「いや、そうじゃないけど、別に嘘吐く必要は無かったんじゃ…」
「ん~、でもさぁ、武部ちゃんほどではないにしても年上の男性にキュンとくる女子高生って意外と多いと思うんだよ。それに医者ってお金持ちなイメージあるじゃない?」
「僕はあんまりお金無いけど…」
「あくまでイメージだから。まぁさすがに金目当てで近づく生徒はいないと思うけど、とにかく余計なトラブルを避ける為には嘘も方便ってやつだよ」
「…分かったよ」
「何話してるんですか?」
「「なんでもないよ」」
僕が最近の女子高生の対応に四苦八苦していると、寝ていたみほちゃんが意識を取り戻す。
「! みほさん、意識が戻ったんですね」
「みほ!大丈夫なの?」
「華さん…沙織さん…うん、もう大丈夫」
「西住ちゃん」
「あ、会長さん…」
「気分はどう?」
「もう大丈夫です」
「そう。じゃあ、返事聞かせてくれる?」
「……」
「やっぱりやりたくない、か…」
「いえ…会長さんが言ってた大洗女子を盛り上げるためなら、やっても良いかなって今は思ってます」
「おぉ!」
「けど、勝つための戦車道なら私はやりたくありません」
「……」
「会長さん。勝つためだけの戦車道はしない、って約束してくれますか?」
「…あぁ。約束する」
「なら、私なんかで良ければ…」
「いいの、みほ?あんだけ嫌がってたじゃん」
「うん。けど、会長さんの話しを聞いて大洗女子のためなら力を貸したいって思ったから」
「みほさんが納得しているならわたくしたちは構いませんけれど…」
「まぁ西住がやると言っているんだから良いじゃないか。それよりお前たちも戦車道やらないか?」
「あー…まぁみほがやるって言うなら」
「…ええ。そうですね」
「おぉ!これで三人は確定ですね、会長!」
「あぁ。…ありがとね」
みほちゃんにとって戦車道はただ勝利するためのものだった。それがいつしかストレスになっていたんだろうけど、これからは楽しく戦車道が出来るように僕も頑張って手伝わないと。
その前にちゃんと自分の仕事をしないといけない。
「それじゃあ僕は衛生省に報告しないといけないからもう行くね」
「あぁ、明日中には戻って来るんだよね?」
「うん」
「それじゃあ戻って来るまでに他の患者についてこっちでも調べておくから」
「ありがとう、助かるよ」
大洗女子を離れ連絡船に乗っている間、今回の報告書を作成する。
はっきり言って今回の症状は異常だ。ゲムデウスに感染したバグスターに、そのバグスターが感染した状態で半年も変化が無かった患者。
ゲムデウスの設定上自然発生しているとは考えにくく、誰かが培養してみほちゃんに感染させた可能性の方が高い。だからといって、あのソルティ自身にゲムデウスウイルスに適応出来る力があったとも考えづらい。おそらく、外部に異変を悟られないようにしながらこの半年間でゆっくり時間をかけてウイルスを適応させた第三者がいるはず。
もし、その人物が大洗女子でのゲーム病の流行に関わっているなら、これからの戦いは一筋縄では行かないだろうな。