エイギル艦隊 彼の海にて、斯く戦えり   作:凡人作者

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艦隊合流、そして再会

先程の海戦から数時間後、ハーンはエイギル艦隊本隊と合流を果たした。しかし、明らかに艦艇数が少ない事に気が付いた。

エイギル艦隊はコーンベース港寄港時には、戦艦1、空母1、イージス巡1、ミサイル巡9、駆逐10、潜水7、揚陸艦2、補給艦2の計33隻の大艦隊だったのだが。

 

今目の前に居るのは艦隊唯一の空母ジオフォン。

艦隊の中核を成す巡洋艦ベルガ、ラズーリ、ムスペル。

そして自分が元々所属していた、第7駆逐隊の駆逐艦アルヴァルディ、タイチ、チアシ、ハールシネイション

の計8隻しか居ないのである、潜水艦も居るかもしれないと味方艦隊に伺って見ても。まだ潜水艦とは合流してないと返事が帰ってきただけだった。

 

 

ハーン《タイチちゃん、アルヴァルディさん、それにみんなぁ…………。あ゛、あ゛ひ゛た゛か゛った゛よお゛うぅぅぅ……………。》

 

ジョージ「(うっわ、女の子が出していい声じゃねぇぞ…………。)」

 

ジョルジュ「(声が汚いな………………。)」

 

リュミドラ「(入力するの面倒くさそう。)」

 

コンスタンティン「(……………皆ハーンに対して厳しくないか………?)」

 

 

心の中で罵倒されまくりのハーン、ここまで見下されている主人公(笑)はいただろうか?

なおハーンと再会した第7駆逐隊のメンバー達は、かつての仲間との再会と、駆逐隊勢揃いとあって大いに喜んだ。

それはもう艦隊無線をほぼ私用で占領するぐらいに。

 

 

アルヴァルディ艦長《おい、お前らいい加減にしとけよ?軍用無線は私用するなって言われなかったのか?》

 

 

隊旗艦アルヴァルディの艦長を務めるタム・ヴァン・リー中佐がこの場を抑えた。彼はジョルジュ中佐と連邦共和国海軍大学の同期であり、水雷戦の権威とも言われている。

数々の論文を出す程の秀才で、後のエルジア海軍を牽引する人材とも噂されている。

 

 

ジオフォン《もうっ、ホントに駆逐隊の子達は落ち着きがないんだから…………。》

 

ジオフォン艦長《……………君はそれが言える立場なのかね………?》

 

フレデリック《錯乱して艦内を駆け回ったコイツが言える立場では無いですなぁ。》

 

ジオフォン《むがぁ?!》

 

 

呆れ気味のジオフォンに対して呆れるジオフォンの艦長、ドミトリー・ガガーリン大佐はそれはさておきと茶番劇を止めて、ハーンからの報告を再確認した。

なおジオフォンはフレデリックに弄られている途中であり、しかも茶番劇扱いされてさらに弄られてるが。

 

 

ドミトリー《君の話では、この世界は二つの勢力がドンパチを初めて。で、君はその片方と接触したと言うことだな。》

 

ジョルジュ「ハッ!!話が通じる方で助かりましたね。」

 

ドミトリー《これは幸先が良いな…………。これが大井とやらの彼女が言う深海棲艦であれば、訳の解らないまま一方的に嬲られる所だったかもしれんな…………。》

 

 

フム、と考え込んだドミトリーは数秒間考えたあと、有る事に気が付いた。

 

 

ドミトリー《そう言えば君達は大井と別れたのだな?》

 

ジョルジュ「はい、そうですが……………。」

 

ドミトリー《で、その後どうするのかね?大井とは再度連絡は取れないのか?あわよくばショートランドと言う港に寄港させて貰おうと思ったのだが……………。》

 

ハーンCIC全員「「……………あっ……………。」」

 

 

その時ハーンのCICは凍り付いた、まるで時が止まったかの様である。そう、大事な事を協議していなかったのだ。

大井の為に囮になったのは良いが、もしも生き残る事が出来たらその後どうすれば良いのか決めていなかったのである。

 

 

第7駆逐隊司令《何をやっとるのだ貴様らは……………。》

 

 

アルヴァルディから落胆と失望の色を含んだ無線が入ってきた。声の主は第7駆逐隊司令エドワード・キング准将である。大佐から准将に至る狭き門を潜り抜けた猛者だ。

 

 

レーダー員「レーダーに感、3時方向。ショートランドからです。」

 

ジョルジュ「なに、ショートランドからだと?」

 

レーダー員「水上艦艇6隻、うち一隻は大井のIFF反応があります。」

 

ハーン「大井が迎えに来てくれたって事ね。よかったぁ…………。」

 

ジョルジュ「危うく隊司令にシメられる所だったがな。」

 

ハーン「またそんな事言うぅ………………。」

 

 

ジョルジュの悲観的な発言に文句を言いつつ、ハーンは新た友人に対して期待を持った。大井達の仲間はどんな子達なのだろう、同じ仲間としてやっていけるのか仲良く出来るのか。そんな事をモニターを眺めながら考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レスター「で、それにしても何で俺達は砲口向けらんなけりゃいけないのかねぇ?えぇ?」

 

マルセル「向こう側にもそれなりの筋って物が有るんじゃないか?知らんけど。」

 

 

数時間後、人類側と合流したハーン達は停船命令を受け、砲口を向けられていた。拿捕した船舶を臨検するあれである。

海軍軍人であるため頭では理解しているつもりのレスターではあったが、必死に身代わりとなって戦ったのにこれは無いだろうと考えていた。

それを同期であるマルセルが、同級生としても船務長として臨検する立場であるとして諫めたが、艦橋は重苦しい雰囲気が漂っていた。

 

 

ヴィリバルト「で、交渉は誰がやっているんですか?」

 

タルデッリ「そりゃあ、駆逐隊司令のエドワード准将だろ。一応准将なんだしさ。」

 

ハミルトン「私語は謹め、整備員に示しが付かないぞ。」

 

 

飛行甲板では、整備の為Ka-25が一時的に外へ出されており。ヴィリバルトとタルデッリがパイロットとして整備員を手伝っていた。

そこでは重巡洋艦とアルヴァルディが互いに接舷していた。

 

 

リュミドラ「砲術長、あれもノースポイントの艦艇ですか?」

 

ダスティン「あぁ、あれば高雄型重巡洋艦ってクラスだな。あの大きな艦橋と舷側の単装高角砲から見るに、結構初期の性能だな。」

 

ジョージ「そこまでわかるんすか。軍艦マニアってすげえな…………。」

 

 

CICでは殆どのCIC要員が自室で休息を取っている為、ダスティン、リュミドラ、ジョージの三人だけが居た。大体自室に言っても寝ること以外やることが無いからなのだろう。交渉が終わるまで、取り敢えずここで暇でも潰そうと考えている。

特にダスティンは高雄型重巡の様な古典的な艦艇を生で見ることが出来て大満足であった。

 

 

ジャン「はい、ハーンちゃんの体には特に異常は見られないね。何処か痛む所はあるかい?」

 

ハーン「いいえ、これと言って特には。」

 

ジャン「じゃあ、後は安静に。艦長、彼女の自室は何処へ当てるので?」

 

ジョルジュ「あぁ、それについてなんだが。取り敢えずは、今は使われていない隊司令の仮眠室を貸し与えようと思っているんだ。」

 

コンスタンティン「まぁ、彼処は普段は使われていませんからね。スペースの有効活用になるでしょうな。」

 

ジョルジュ「そうだ、そう言うことだ。」

 

 

医務室ではハーンが精密検査を受けていた。CICでいきなり服が破れる珍事が起こったのだ、何か異常が有ってもおかしくない筈なのだが。本当に服が破れただけと、またジャンを困惑させただけだった。

 

 

ハーン「えー、彼処飾り気がないじゃん。女の子の部屋じゃないじゃん。」

 

ジョルジュ「そりゃ軍艦なんだから最低限の装飾しか無いだろうが。」

 

ハーン「リュミドラとか女性士官の部屋はキャラグッズだったりアニメDVDとかあるのにぃ……………。」

 

ジョルジュ「…………………ハァ?!」

 

コンスタンティン「何で知ってるんだよ…………。」

 

ハーン「私とこの艦は共に私の体なのよ?知ってて当然じゃない。」

 

 

ハーンから語られる新たな新事実、そんなのってアリかよと当事者達は頭痛を感じた。この話が艦内に広まれば大惨事になりかねないだろう、そんな事目に見えている。

 

 

ジャン「プライバシーも糞もないね。」

 

コンスタンティン「これは将兵の士気に影響が出るぞ…………。」

 

ハーン「ジョージ達水雷科のメンバーはエロ本を…………。」

 

ジョルジュ「もうそこまでにしておけ。」

 

 

流石に鬱陶しくなったのかジョルジュはハーンのカミングアウトを止めさせた。自慢を続けたかったのかハーンは頬を膨らませて、如何にも不満ですと謂わんばかりである。

 

 

通信科「艦長、入電です。」

 

ジョルジュ「どうした、隊司令からか?」

 

通信科「ハッ、発第7駆逐隊司令、宛て艦隊各艦長。ショートランド泊地所属艦隊との交渉終了。0530時にて艦隊前進し、0610時に入港予定。」

 

ジョルジュ「わかった、艦橋で各科目幹部を召集、俺も後から行く。」

 

通信科「ハッ!!」

 

 

 

 

 

 

午前6時10分、エイギル艦隊はショートランドへと入港した。コーンベース港と比べると、とても簡素で必要最小限の運用能力しかないように見えた。

まぁユージア大陸の海外貿易を一挙に担う大規模港湾都市と、南洋未開の地であるソロモン諸島を比べるのはどうかと思うが。

そして未開の地で有る為か、あるアクシデントに見舞われた。300mを超えるジオフォンを何処へ停泊させれば良いのか。

ショートランド泊地の最大艦は、旗艦を務める鳥海や羽黒の様な重巡だった為、まだ発展途上だった事もあり整備ドックが無かったのだ。

 

 

ドミトリー「一難去ってまた一難、か…………。」

 

フレデリック「艦長、如何なさいますか?」

 

ドミトリー「我々に出来る事と言えば、沖合いで停泊するしか有るまいよ。他に何か手があるのかね?」

 

 

ドミトリーはエドワードへ沖合いに停泊する事を進言し、そしてショートランド泊地に対して対潜警戒を行って貰えるよう要請を行った。

ショートランド泊地側では多少の論争が起こったが、無事に駆潜艇や内火艇を警備に寄越して貰う事になった。

 

 

通信科「ジオフォンより通信、各艦艇艦長は本艦へ参集せよ。」

 

ジョルジュ「マルセル、艦載艇を出せ。」

 

 

艦載艇に乗り込んだジョルジュは、真っ直ぐジオフォンへと向かった。ジオフォンでは既に何人か艦長が乗り込んでおり、軽く談笑したりしていた。

そして人類側とエイギル艦隊の歩み寄りへ向けて、最終調整が行われるのであった。

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