エイギル艦隊 彼の海にて、斯く戦えり   作:凡人作者

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演習って言った割には、あまり演習要素無いんですけど、他に良いタイトルが思い付きませんでした。

読みにくいとか、疑問に思った事があれば感想欄等で受け付けます。



演習

「「・・・・・、えぇ……………………。」」

 

返信を受け取ったショートランド泊地司令部に、どんよりした空気が流れた。

いま、何と言った?本土のジジイ共は老人ボケしたのかよ、えぇ?

 

長瀬「いや、いやいやいやいや。可笑しいでしょコレ、可笑しいでしょコレ。」

鳥海「司令官さん、二回も言ってますよ。」

長瀬「大事な事だからよ、大事な事は二回言うのよ。」

鳥海「はぁ。」

 

まぁ、鳥海に軽く当たっても意味無いし、理不尽よね。と長瀬は気持ちを切り替えた。オンオフがハッキリしている指揮官である。

それは置いといて、問題は連合艦隊からの通信である。内容はエイギル艦隊相手と演習しろと言う、至ってシンプル簡単な事だ。言うは易く行うは難しが唯一の欠点な所もシンプルである。

この前も言ったように、長瀬は自衛隊隊員を務めて居たこともあり、自国のはたかぜ型のスペックも海軍へ移る際に少し齧っている。その経験則も必要無いぐらい、1940年代の艦で2000年代の艦艇とやり合う事なんて、無理だと解る。

 

長瀬「鳥海、ハッキリ言って勝てると思う?」

鳥海「無理ですね。」

長瀬「デスヨネー、はぁ………………。」

 

長瀬は深く長い溜め息を付くしかなかった、だってこんなんムリゲーだろと嘆く事しか無かったのである。

そんな司令官の落ち込み様を不安がってか、司令室に居た瑞鳳は、

 

瑞鳳「だ、大丈夫よー。チャフとか、フレアとか有ればぁ。まだ何とかなるんじゃない。逆探や電波妨害装置だってあるんだし?」

 

と希望論を述べて見たが、長瀬の低いテンションは下がり続け、そして無理だとキッパリ言い付けた。

はたかぜ型や自衛隊のレーダー周波数は解るけど、エイギル艦隊のレーダー周波数は解らないし、教えてと頼んだ所でブラックボックスである周波数を教えてくれるかって話である。これによりチャフとECMはボツ。

フレアだって熱線が煙突からダダ漏れの艦船じゃ、大して効果は見込め無いだろう。多少マシにはなるかもだが。

 

長瀬「はぁ…………。てか演習した所で仮に消費物資が多かったらどうする訳よ?補給までの空白期間で敵攻めて来たらどうするのよ?」

鳥海「それは、司令官が貯めてた建造用の資材でどうにかするしか……………。」

長瀬「あれで我が泊地発の戦艦を建造しようと思ってたのよぉ……………。扶桑とか金剛程度のヤツ。」

鳥海「諦めてください、演習が大切です。」

長瀬「ちくしょう……………。」

 

そしてエイギル艦隊とショートランド泊地艦隊との演習が行われた。結果は見え見えなので割愛するが、負けました。やっぱりな。

結構エイギル艦隊側に譲歩してもらい、エイギル海軍第7駆逐隊対ショートランド泊地海軍のほぼ全力の戦いとなった。

駆逐艦5隻対13隻(軽空母2重巡2軽巡1駆逐艦8)と、エイギル艦隊の駆逐艦がWW2の駆逐艦であれば勝てた戦いだった。

 

千代田「なによあのインチキ!艦隊に突入する前に全滅じゃない、なにが艦載機による飽和攻撃よ!!」

瑞鳳「まあまあ、千代田も落ち着いて……………。」

 

開幕から千代田と瑞鳳は21機づつ有った零戦を全て爆戦として発艦させ、6機づつの97式艦攻も雷撃機として投入したのだ。合計して54機の攻撃隊であり、イ級相手なら過剰攻撃だったと常識的な評論家は言うだろう。

 

爆戦妖精「ミサイル相手に零戦が避けきれる分けないだろうが、死にに行ったような物じゃねえかよ。」

 

ハーン一隻だけであればまだ勝機が有ったのかも知れない、飽和攻撃になったかも知れないが、エイギル海軍第7駆逐隊の息の有ったコンビネーションにより。

攻撃隊はなすすべもなく殺られて行った、スタンダード対空ミサイルだけで40×5=200発も有る。

単装発射機だったとしても、ミサイルを抜けた後は130mm速射砲とミストラル近SAMとF2機銃の洗礼が待っているのだ。突破出来る筈がない。

 

足柄「水上戦闘ならばまだ勝てるって思っていた、戦う前の私を殴ってやりたい……………。」

 

軽空母部隊の攻撃が不発に終わった為、今度は重巡2、軽巡1、駆逐艦5で突撃を敢行した。

これが中々の激戦となり、二番艦のタイチを撃沈判定にまで追い込んだが、これがショートランド泊地唯一の戦果となった。

鳥海と足柄と長良はエグゾゼの飽和攻撃(8×5=40発)を受け、駆逐艦部隊もWW2の艦砲より正確な130mm砲のアウトレンジ攻撃を受けて全滅させられてしまったのだ。

残った瑞鳳、千代田、駆逐艦4隻も追撃を受け、L5長魚雷によって処された。

 

長瀬「勝てるか、こんなもん!!」

 

長瀬は吠えた、吠えなければ抑えられない程にキレた。

やる前から負けるとわかっているクソゲーを、無理強いさせられてやったような感じである。

あの髭オヤジどもめと呪詛を吐いていた時に、彼女の部屋のドアがノックされた。

 

鳥海「司令官、妖精さん達からエイギル艦隊の消費した物資の集計、終わりました。」

長瀬「わかったわ、見たくはないけどね。」

 

そして長瀬は鳥海からレポートを受け取った、結果は概ね彼女が予想した通りである。

しかし例外があった、以外に燃料も消費を喰ったのである。ディーゼル推進であるカサール級は燃費が良い筈であったが、200発以上もミサイルを乱発した為にその分の燃料消費も加算されたのだ。彼女唯一の希望が此処で潰えた…………。

 

長瀬「鳥海…………………。」

鳥海「はい。」

長瀬「私泣きたい。」

鳥海「………………胸を貸しましょう………………。」

長瀬「うぅ、ふわふわだぁ…………。」

 

長瀬は半泣きになりながら、鳥海の豊かな胸に顔を埋めた。鳥海の謎の母性が長瀬を優しく包み込む、適役は鳳翔なのだが彼女は演習帰りの艦娘の食事を作る為に不在だった。

鳥海からは何処か落ち着く匂いがした、恐らく演習終わってすぐに風呂に入ったのだろう。あっそう言えば私昨日からシャワーすら浴びてない、そんな事を長瀬は何と無く気付いたのだった。

 

エドワード、瑞鳳「「え?何これは…………。」」

 

そしてこの場面に居合わせたエドワードと瑞鳳は、彼女達がとうとう一線を越えたのではないかと勘違いするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曙「ぢぎしょぉ~~~、あんなのに勝てるわけないじゃない!!」

漣「33-4だったね。」

潮「4は…………、あったね一応。」

朧「4もあって良かったねって思うよ。」

 

鎮守府内にある食事処『鳳翔』(深夜では居酒屋)にて、黒あんみつを食べつつ第7駆逐隊メンバーは先程の演習について反省会を開いていた。とは言ってもその殆どが悔しがって、ブツブツ言うだけに終わるのだが。

 

アルヴァルディ「いや、君達は良くやったと思うぞ。軍人としてベストを尽くしたとも言って良い。」

 

何処か武人らしい言い方で彼女達をフォローするのは、エイギル艦隊第7駆逐隊の旗艦を務めるアルヴァルディであった。背筋をピンと伸ばし、豊かな胸を強調するかの様に両腕を組んでいる。ふんぞり返って見えるのは彼女の自信のせいだろうか?

 

タイチ「そぉですよぉ、技術力に格差が有るなかで私を打ちのめしたんですからぁ。誇ってもいいんですよぉ。」

 

間の抜けた話し方で、気の抜けた雰囲気を醸し出す彼女の名は、先程の演習で撃沈判定を貰ったタイチである。

実は彼女重巡から猛攻を受けたのにも関わらず、足柄を速射砲やミサイルで大破判定にまで持ち込んだ猛者である。

 

チアシ「そうです!!タイチさんがやられた時は相当焦ったんですから!!」

 

ハーンよりも更に幼そうに見えるのは、彼女達の中で最新鋭の艦であるチアシだ。彼女達の属しているのは『アングルボザ級駆逐艦』なのであるのだが、チアシは最も最新のフライトIIIである。当然艦内装備は最新の物であり、それを考慮しい今の姿なのだろう。

 

ハールシネイション「……………グッド………………。」

 

白髪赤眼で、その自我の薄さから幻想に生きてそうなこの人物はハールシネイションと言う名前だ。チアシと共にフライトIIIだが、彼女と違い体型に恵まれている。

サムズアップをしているその手は、彼女の雰囲気にそぐわずかなりの怪力を誇っている。

 

ハーン「そうよ、誰も貴女達を軽蔑しないわ。胸を張りなさいな。」

 

そして締めを括ったのは、主人公であるハーンであった。

同年代相手では中々話を持って行くのが上手い、コミュニケーションは人生経験が物を言うので有ろうか?

これがハーン乗組員だったら、速攻で可愛がられただろう……………。

 

浜風「そう言って頂けて、何だか気が楽になりました…………。」

雪風「まったくですよ、はぁ……………。」

 

彼女達の心遣いを有り難く思う、浜風と雪風だった。まぁ彼女達も無駄に対抗意識を出させる程、余り溝は深めたくはないとは思っていたのも理由の一つ。

 

タイチ「でもまぁ、特攻位してきてくれた方が、盛り上がった気がするのよねぇ。」

ハーン「た、タイチちゃん物騒な事言うもんじゃないの。」

 

これもまた戦術の一つだよぉ、と言うタイチの容赦の無さをハーンは諫める。しかし軍人としては覚悟する必要は有ると、タイチは譲らない。

実際にそれを敢行仕掛けた彼女は、芯が強すぎる所がある。その言い方の様に、やんわりとしてほしいのだがとアルヴァルディは思うのだった。

なお鎮守府側の艦娘達は若干引いた、覚悟キメ過ぎでしょと。

 

ハールシネイション「タイチやる気有りすぎ~。」

タイチ「貴女はやる気無さすぎだと思うのぉ……………。」

 

お互似たような喋り方なので、一見邪険な雰囲気に見えないが。勘の良い彼女達には激しい火花が散っている様にしか見えなかった。

 

速吸「二人ともそこまでです!!ほらこれでも食べてリラックスしてください。」

 

二人の視線の間に大きな特盛パフェが出現した。驚いて横を向いてみればジャージ姿の艦娘がいた、声の主の名前は速吸と言う高速給油艦である。

特例でショートランド泊地に配属された給油艦で、普段は鳳翔の手伝いをしている。

彼女は二人のささやかな喧嘩を見かねて、終止符を打ちに掛かったのである。

これにはタイチとハールシネイションも毒気を抜かれてしまった。

 

ハールシネイション「……………ゴメン……………。」

タイチ「此方こそゴメンねぇ、ハールちゃん。」

 

そして二人揃って特盛パフェを食べ始め、その光景を見てハーン達は胸を撫で下ろすのだった。

 

アルヴァルディ「すまん、助かった。」

速吸「いえいえ、困った時はお互い様です。」

 

アルヴァルディはこの勇敢な艦娘に敬意を払い、感謝の気持ちを述べた。返ってきた言葉はアルヴァルディだけでなく、他の艦娘も敬意を抱くほどである。

そして反省会と言う名の交流会は続いて行くのだった。

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