エイギル艦隊 彼の海にて、斯く戦えり   作:凡人作者

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ずっと前から書きたかった小説です。
作者が他の小説に行き詰まっている時に描くので結構不定期です。





プロローグ コンベース港

2004年11月23日12時00分

 

エルジア共和国軍の電撃戦により、占領されていたコンベース港では多数の艦艇を擁する艦隊が停泊していた。

 

その名はエイギル艦隊

古代の海神の名を持ち、世界に知られる無敵艦隊である。

 

彼らはきたるノースポイント攻略作戦の尖兵として、その黒金の巨体を休めている。

 

しかし彼女等は目的地のすぐ目の前で立ち往生していた。

 

送り届ける陸兵達と弾薬は輸送機と共に燃え尽き、その身を動かす油は海の藻屑となった。

 

従って彼等彼女等は本土から回航する輸送船とタンカーを待たねばならず、戦う機会を逸した事でイライラは最高潮に達しようとしていた。

 

 

 

 

話をコンベース港に戻そう

 

丁度昼食の時間であり、半舷上陸により陸上で羽休めを行っている者、艦内にて新聞片手に食後のコーヒーを嗜む者、この後の戦況について暇潰しに語り合っている者と、何時もの日常と変わらない風景が至る所で見られる。

 

駆逐艦ハーンにて、士官が艦橋のウィングで喫煙をしていた。

ふと水平線を眺めて見ると、雲と雲の間に黒点が見える。

初めは鳥の群れかと思ったが段々と大きくなって行く。

そしてジェット機特有のキーンと言う音が耳に届き、飛行機だと言うのが分かった。

 

はて?今日は基地航空隊の飛行演習でも有ったかな?

 

と呑気に考えていたが、エンジンの音は段々大きくなって行き、相当なスピードで飛翔しているのが分かる。

 

何故味方の制空権内でスピードを上げているんだ?と疑問に思っていると艦橋内の艦内電話が鳴った。

 

士官1「こちらCIC、こちらCIC!!艦長、艦長応答してください!!」

 

士官2「こちら艦橋、艦長は此処には居ない。何が有った?」

 

士官1「なぁ?!嘘だろ?!緊急電だ!沿岸レーダーが敵機を捕捉した!!」

 

士官2「はぁ?!敵機だと?!何で敵機が此処まで来るんだよ?!」

 

士官1「超低空で突っ込んで来たらしい、早く艦長に知らせてくれ!!」

 

士官は急いで艦内放送で艦長を呼び出した。敵はすぐ目の前まで近付いて来ている。

艦長に無断で戦闘用意の武鐘を鳴らした。

 

呑気にお昼を楽しんでいたクルーは突如鳴った武鐘により、弾かれたかの様に戦闘配置に着くべく走り出す。

艦内は混乱により通路が混雑したり、転倒したりする者が出るなど様々である。

 

クルーが持ち場に着いた時、既に湾内は地獄と化していた。

 

生き残りの逃げ道を塞ぐ様に沈む巡洋艦。

 

船体から重油が漏れだし、炎の壁を作る駆逐艦。

 

対艦ミサイルが直撃し、永遠に潜航するハメとなった潜水艦。

 

皆、惨劇に目を奪われていた。

ただ一人、艦長のみが冷静に指揮を取っていた。

 

艦長「皆気を引き閉めろ!!一刻も早く湾内から出るぞ!!砲雷長、対空戦闘頼むぞ!!」

 

艦長の声によりハッと正気に戻る砲雷長。

 

砲雷長「CIC指示の目標、目標群α、トラックナンバー2234、スタンダード攻撃初め!!」

 

砲雷長の指示により、mk.13からスタンダードが発射される。

mk.74ミサイル射撃指揮装置によって誘導されたスタンダードはF-4Eを爆発四散させた。

 

CICにて歓声が巻き起こったが、艦長の一喝によりクルーは戦闘に集中する。

 

 

 

 

だが状況は好転しない。

空母ジオフォンから緊急発艦したF-14、F/A-18は多数の敵機に囲まれ、虚しく墜ちて行く。

そしてジオフォン自体も戦闘機を発艦させようとした時、急降下してきたA-10が無誘導爆弾を投下し、飛行甲板目掛けて直撃した。

爆発は戦闘機、給油車、ミサイルの誘爆を引き起こされ、甲板は火の海となる。

それは空母としての機能が喪失した事を意味する。

 

旗艦であるタナガーはその豊富な火器と分厚い鎧によって必死の防戦を行っていたが、対処能力を大幅に上回る敵機とミサイルによる飽和攻撃でダメージが蓄積し、数時間で浮いているのがやっとの状態になった。

 

沿岸哨戒として配備されてあったミサイル艇は、艦隊を守る為に76mm砲を乱射し少しでも自分に注意が向くよう攻撃した。

 

しかしこの小さな勇者の努力が実る事など無く、一隻、また一隻と沈められてゆくエイギル艦隊。

今日この日は、エイギル海軍史上最悪の日として刻まれるであろう。

 

 

 

 

 

 

駆逐艦ハーンはこの地獄を切り抜ける為に、必死に抗っていた。しかし、着実に持ちうる矢は一本ずつ消耗して行く。

 

砲雷長「トラックナンバー4221、ミストラル攻撃初め!!」

 

艦後部に備え付けられてある最後のミストラルがA-10に向けて放たれる。

しかしA-10はフレアを撒いて急旋回し、フレアに騙されたミストラルはビルに直撃した。

 

艦長「取り舵一杯!!近接戦闘初め!!」

 

艦橋に設置されてある20mm単装機銃が最後の足掻きを開始する。

射手は必死の思いで目の前から突っ込んで来るA-10に20mm弾を掃射するが、対空機銃と言う物の命中率など無に等しい。

逆にA-10から放たれた30mm弾が艦橋を目茶苦茶にし、飛散した破片や着弾によって起こる衝撃波で射手や艦橋要員がバタバタと倒れる。

 

一時的に操舵不能となったハーン、無慈悲に投下される誘導爆弾。

 

吸い込まれるようにハーンのどてっ腹に直撃した誘導爆弾は艦内通路まで食い込み爆発した。

 

艦長「各科、受け持ちの部署のチェックを!!」

 

応急員1「こちら応急班、第二通路に直撃弾、火災発生!!」

 

艦長「何だと?!主砲弾薬倉付近ではないか!消火を急がせろ!!」

 

応急員2「こちら第七隔壁付近、浸水発生!もう手の付けようが無い!!放棄する!!」

 

砲術士「レーダーに反応、二機同時に来る!!」

 

砲術長「対空機銃、砲手何やっている?!早く射撃しないか?!」

 

砲術士「先程の攻撃で艦橋と連絡が付きません!!わあぁっ?!来る!来る!!」

 

二機同時に突っ込んで来た機体はそれぞれA-10とF-14であったが、対抗手段を失ったハーンにはそれは関係ない。

 

A-10とF-14から放たれる無誘導爆弾と対艦ミサイルは何の障害を受ける事もなく直撃した。

 

その内無誘導爆弾は艦深くにまで食い込み、機関室、ミサイル弾薬庫にて炸裂した。

 

続く対艦ミサイルは、ハーンに備え付けてあるエグゾゼ対艦ミサイルに直撃し、弾頭に蓄えられてある双方の高性能爆薬が爆発、手負いのハーンにはたまった物ではない。

 

機関がやられただけでなく、船体自体にダメージが入ったハーンは、体をくの字にして急速に沈んで行く。

 

 

 

乗組員全員と一緒に。

 

 

 

ハーンの沈没を見届けたA-10。

青いリボンのエンブレムが付いたその機体は更なる獲物を求めて、まるで猛禽類の様に力強く飛び去って行った。

 

 

 

 

コンベース港は燃えている。

 

この日、エイギル艦隊は水上から完全に姿を消した。

 

 




感想、アドバイス受け付けております。
作者は知識不足なので技術的に無理だったり、用語的におかしい場合は教えて頂けるとありがたいです。
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