(冷たい………………此処は…………海中?みんなは…………?みんなは何処……………?)
私は頭だけを動かして周りを見てみる。
すると直ぐ近くに見知った顔が此方を見つめているのが目に映ってギョッとした。
恐怖に顔を歪め動かなくなった仲間、巡洋艦ラズーリの遺骸が私を見つめる。
反対側を見てみれば驚いた様な顔をした妹分、駆逐艦チアシがゆっくりと沈んで行くのが見えた。
海面を見上げて見ると、また一人、また一人仲間が沈んで来る。
余りの恐怖に堪えきれなくなったのか、私の意識は少しずつ闇に呑まれて行った。
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ガタガタと少しうるさいエンジン音か耳に入り、私はゆっくりと起き上がる。
此処は、医務室?それも私、ハーンの医務室の様に見える。
計器の配置や僅かな錆、寸分違わず私の艦内だ。
???「やっと目が覚めたみたいだね。」
何処からか声が聞こえて周りを見回しても、声の主は見つからない。マイクかスピーカーからの声だとしても、綺麗に聞こえるため違うだろう。
???「此処だよ、ここ。」
下から声が聞こえた為驚いてその方向に目を向けると、そこには身長1.3m位で二頭身の人?が居た。
何だお前(素)
???「いやぁ艦橋で女の子が倒れていると報告を聞いた時には、唯でさえ混乱していたのにトンでもない報告で頭がフリーズしたよ。」
ハーン「あの……………、ここは?」
何となく自分だと結論付けたが、本当に此処は私なのか信じられなかったので、この言語を発する生物に此処は何処か質問してみた。
???「まさかこの船が何なのか解らずに入って来たのかい?此処は軍艦ハーンの医務室だよ。
あぁ一応自己紹介するよ、私はこの艦の軍医を勤めているジャン・ベルナール・アルノーだ。」
その時私は衝撃を受けた。
私の大切な乗組員、何時も皆に気を使ってくれる大切な仲間。この二頭身の小人は自分の事を、ジャン中尉と名乗ったからだ。
彼は最後の戦闘で負傷者を治療し続け、そして私と一緒に海中に呑まれた人だ。
沈んだ筈の自分は何故か生きて人の体をしており。そして一緒に死んでしまった乗組員は姿は違えど生き返って目の前に立っている。
立て続けに目を疑う様な光景を目にして、私はその場で固まってしまった。
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航海科「天測計算の結果、出ました。」
航海長「よし、見せてみろ。」
ハーン航海長、レスター・ホーキンス少佐は部下が持ってきた座標を確認して呆れ返った。何故なら部下が計算した座標は太平洋を示す値であり、自分達が根城にしていたコンベース港はユーシア海に接する地域である。
何をどうしたら太平洋って出てくるんだよ。
レスター「おい、ふざけてんのか?」
航海科「な、何回も計算を行ってもこの座標しか出ませんでしたよ!!」
レスター「じゃあ何か?ここは太平洋の南西部だと言いたいのか?
この数値が正しいって言うのなら俺たちはユークトバニアの"陸上"を航行してるって事だぞ!!」
艦橋は何時まで経っても正確な数値、いや"ある意味正確"な数値しか出てこない為、何処に進むべきか判断を下せずにいた。
当てもなく未知の海域を進んでも、いずれ燃料が尽きるのがオチである。
艦長の判断により、情報収集と保守点検の為に取り敢えず陸地を捜索する事となった。
停泊する陸地は周りが島に囲われているのが望ましいという結論に至る。
捜索範囲を広げる為に、艦尾に格納されてあるKA-25によって水上レーダーを広げさせた。水上レーダーは高度が高くなればなる程広くなってゆくのだ。
無事に陸地が見つかれば良いが、と言う不安が艦長の胃を締め付ける。なんとか冷静に努めて、この異常事態に対応していた艦長の疲労は一分刻みで蓄積していった。
船務長「艦長、少し休まれては?」
副長「船務長の言う通りです、此処は私に任せて仮眠を取った方がよろしいかと。」
船務長マルセル・ファルケンマイヤー少佐と副長のコンスタンティン・ヴィシネグラツキー少佐は艦長の体調を気遣って仮眠を取るように進言する。
いざと言う時に倒れてしまっては不味いという思惑と、皆が頼りにしている艦長が倒れてしまうと士気に関わるからである。
艦長「あぁ、少し仮眠を取るとしよう。何か有ったら伝えてくれ。」
駆逐艦ハーン艦長ジョルジュ・ヴィエンヌ中佐はこの後の状況を鑑み、そして皆の迷惑にはなりたくないので素直に部下の進言に従った。
ジョルジュ「はぁ…………、一体どうなっているんだ?何か体が二頭身になってるし、女になってるし……………。」
自室に帰り、いざ寝ようとした時に艦内電話が鳴った。
電話先は医務室で、軍医から艦橋で倒れていた少女が目覚めたとの報告であった。
そのまま対応させるよう指示し、艦長は自分より何倍も大きくなったベッドで眠りに付いた。
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ジャン「うんうん、君はホントに面白い事を言うね。」
ハーン「だから本当なんですってば!!」
ハーンは自分はこの船、駆逐艦ハーンなのだと何度も訴えた。しかしジャンには子供のイタズラとしか受け取って居なかった。
自分は軍艦だと言って信じる者が何処に居るだろうか?そんな事を信じるのは馬鹿しかいないだろう。
ならば今度はとハーンが取った行動は、乗組員全員の名前、階級、経歴を言い連ねる事であった。
ここまで来れば流石に信じてくれるだろうと思ったが、自分が求めた反応とは違う反応を取られるハメになった。
言い終わってフンッと鼻を鳴らしてふんぞり返ったハーンがジャンを見てみたが、ジャンは先程と変わらぬ表情、しかしその目は懐疑心に満ちていた。
十中八九スパイか何かかと思われているのだろう。
しかしジャンは何か思い付いたのか、突然顔がハッと驚いた表情になる。やっと信じて貰えたのかとハーンは期待したが、次の言葉で見事に期待は裏切られた。
ジャン「この艦に親戚が居るのかい?」
ハーン「何でよ!!」
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