まさか私の総武校生活はまちがっているのか!? 作:ばなナイン
「はちまーん! いるー?」
ある日の放課後の部室、久々に『とある方』が御降臨なされた....
「おう、戸塚....珍しいな」
「戸塚君、入る時にはノックをだな....」
「あ! サイちゃんヤッハロー!」
戸塚彩加、俺と由比ヶ浜と十条さんのクラスメイト。一応の性別はオトコとはなっているが、その愛らし....愛しい容姿のため一目では女子と見分けのつかないほどの美少....イヤ天使だ!! 地上に降臨後何らかの手違いでオトコノコで戸籍登録してしまったに違いない! さらにこの俺にも登校時に
『はちまーんっ!』と満面の笑みで挨拶をしてくれる得難い親友でもある....! 一部女子からは
『王子様〜!』などと呼ばれ隠れた人気を誇る様でもある....勿論同じクラスの十条さんとも顔
見知り....当たり前だが....でもこの二人、クラスの中でもわりと普通に喋ってるよな....? ウムム....
それにおい....衛藤、オマエ何故戸塚をニックネームで呼ぶ....しかもヤッハローだと!?
「あ! かなみちゃんやっはろー!」
・・・・この部における公式挨拶に認定しよう。だがこの二人も顔見知りだったっけか?
「うん! テニス部の一年にかなみちゃんのクラスメイトがいてねー、僕も一緒にお昼食べたことがあるんだー!」
「うん! そう! それからわたしたち友達なんだもんねー!」
「「イェ〜イッ!!」」 パンッ!!
そ、そう....そうなのか....衛藤まで....イヤ八幡妬いてなんかない....んだからね!
「....んで、戸塚、ひょっとして寄り道の誘いか? そうだ! サイゼだな! よし! 今日は誰にも邪魔されず....」
「ん? 夕食なら
おい十条さん!....俺たちの逢瀬の邪魔をしないでいただきたかった....まあウチで十条さんお手製の夕食を頂くのが一番のもてなしなんだろうけどな。
「はは! ありがと! また今度ね! でも十条さん! すっかり部長さんとして馴染んでるね! もう幾つかの依頼もこなしてるんでしょ?」
「ああ、主な仕事は生徒会からの書類整理や会議、催しの手伝いだ。他の部活からの指導の依頼も少しだが請負ってる」
「剣道部とか面白かったよねー!」
「衛藤....あの時少しは遠慮をだな....」
「んー? みんな楽しそうだったけど??」
運動神経抜群の十条さんと衛藤がこの部に入ってから運動部からの依頼が増えた。しかしながら部員の代りに試合に出るという依頼は断っている。『魚の釣り方を教える』という先代の部長の方針は現部長にも受け継がれているのだ。こういう処が十条さんの『義理堅い』とされる所以だ。剣道部の時も....
『わたしが奉仕部の衛藤可奈美だよー! 部長の姫和ちゃんの指示でここに来たんだー!』
『おい衛藤....ここの部長にも後輩としての態度をだな....』
『・・・・エトウ? あの衛藤かっ!?』
『『『『『!!っ・・・・ゥオ〜〜〜ッ!!!!』』』』』
男子部員が群なして衛藤を取り囲んだっけな....俺は知らんかったが剣道関係者にとってこの衛藤と十条さんは途轍もない有名人らしい。二人は所謂現代剣道とはまた違う古流....時代劇でよく聞く何とか流カントカ流....の
『あれがエトウさん!?』
『・・・・カワイ〜〜〜ッ!!』
『キャ〜!!妹に欲し〜!!!』
・・・・やはり衛藤の人気って凄いんだな・・・・昼飯に引っ張りだこなわけだ・・・・
『ん〜こう?』
柳生新陰流? という江戸時代初期の流派の衛藤からすれば現代剣道の動きと剣道用の防具の着用にかなりの違和感があるようだ。美濃関にいた時の稽古では防具は着ずに袴着かジャージで、公式の試合には制服のまま出場していたそうだ。そして荒魂鎮圧の時も....ここ総武高の剣道部では対面稽古の際には一応防具着用で練習に勤しむ。衛藤も剣道着を着用してでの練習は初めてなようだが戸惑いながらも面白がってるな。
『いや、衛藤さんは自分の構えでいいですよ....』
『でもこの流儀もやってみたいから! こーかな??』
右足を前に出し左足を後ろに、しかも後ろの足はべた足では無く爪先立ちで向きも前足と並行に....竹刀を中段に構えて剣先を軽く揺さぶる....
普段衛藤が部室や自宅でやっている一人稽古の動きとはかなり異なるが衛藤自身は興味津々といったところか。剣先を動かす処は衛藤の幼馴染の『舞衣ちゃんと同じ動きだ!』....とも。
『・・・・うん! わかった! いいよー!』
『じゃ、俺から行く』
『始め!』
ないが衛藤も気合を掛けている。そして....
『....勝負あり!』
ん? もう終わり? 背の低い方....つまりは衛藤が瞬時に背の高い男子部員の面を二度も取ってしまったのか....? 呆気ない....
『ん? どうした? ○○?』
....しかし、面を打たれた方の動く気配がない。竹刀を中段に構えてボ〜と立っているままだ。ん?!
『!!・・・・大丈夫か!?』
『おい! 面を外せ!!』
『えー・・・・どおしちゃったの・・・・』
そのまま腰を崩してバッタリと仰向けに倒れてしまった・・・・おい・・・・マズイんじゃ・・・・
『一応保険の先生を!』
『お水....いる?』
『濡れタオルだ!』
倒れた男子部員の周りを他の部員が取り囲み介抱している。そして面を外すと・・・・
『・・・・・・・・・・・・ホワ〜・・・・・・・・・・・・』
・・・・とした顔が....ナンかシアワセそうな顔してません?? 気を失っているでも無く、しばらくして立ち上がったが....
『・・・・エトウさん! もう一本!! 御願いしますっ!!』
『へ??』
ハア!? この部員、こんなことがあった直後に衛藤に頭を下げて懇願しているぞ! 俺もだが衛藤も周りもアキれている....勿論周りからは大事を取ってやめさせたが....
『よし! 今度はオレだ!!』
そして....ナンかいかにも屈強そうなな三年部員が名乗りを挙げてきたぞ....おい衛藤、ここの部員達を本気にさせちまったな....今度はタダじゃ済まないんじゃないのか....?
『△△先輩だね....』
『ヤベっ!
『え〜衛藤さんやめさせたほうが....』
女子部員からも心配の声があがる。俺も....コイツばかりはヤバイんじゃないのか? 『いかにも!』 って奴だぞ!!
『いいんですか? 衛藤さん....』
『うん! いいよー!』
コイツは・・・・もう知らん。剣道部員に囲まれてる衛藤に俺の声は届かんし、十条さんに連絡しとこうかな・・・・
『・・・・始め!』
『勝負あり・・・・!』
・・・・スマホを取り出そうとしてる間にすべてが終わった・・・・おい・・・・無事なのか・・・・
『・・・・△△さん!!』
『ゆっくりと横にして!』
『やっぱり保険の先生を・・・・!』
『えー・・・・大丈夫??』
・・・・二の舞だった・・・・この結果に当の衛藤でさえ何がなんだか分からない顔をしている・・・・
『センパイ・・・・わたし、いけなかったの??』
『いや・・・・俺にもわからん・・・・』
・・・・相手の面を外してみたようだ。そして、その御尊顔たるや・・・
『・・・・・・・・・・・・ホケ〜・・・・・・・・・・・・』
ハァ・・・・ 成る程・・・・ と....周りがみな呆れた顔をしてその先輩を眺めている....そして立ち上がりそしてまた・・・・
『衛藤さん!! ・・・・ 俺にももう一本っ! 頼むっ!!』
『えー・・・・』
勿論今回もやらせる訳が無く、この先輩は退場....保健室行きになったが....もうこれでこの依頼はお終いだな。今回初めて剣術家としての『あの』衛藤の実力をまざまざと観せつけられるという、俺にとっても得難い経験にはなったのだが....これ以上怪我人を出してウチの部の評価を下げてしまうのもな....
『・・・・衛藤さん! 俺にも稽古を着けて下さい!』
『俺....私も! どうか御願いしますっ!!』
『おい! 先輩のオレ....私からだ! 衛藤....さん! どうかこの私と!!』
おいナンだ・・・・この剣道部で一体何が起ころうとしてるんだ?? 我先にと失神希望者が現れるとは・・・・まさかあの二人を観てナニかを察したんじゃ無いだろうな・・・・ソノ手の趣味に目覚めたとか? ・・・・コノ手の連中のアタマの中はようわからん・・・・
『え、えーと・・・・はは!』
これ以降、衛藤は女子部員の担当になった。いきなりの対面稽古では無く、軽く自分と相手を立ち会わせて、相手の弱い処を指摘するやり方で相手にも衛藤を打たせるという、これはこれで実践的な方法を取っている様には観えるな。
『・・・・キャーッ!! 衛藤さんから一本取っちゃったー!!』
『うん! 凄いねー! ○☆ちゃん!!』
『イヤ〜ッ!! 衛藤さんから○☆ちゃんて呼ばれちゃったーっ!!♡♡♡・・・・』
....衛藤、相手は先輩だぞ....とにかくキャーキャー尽くし....これでホントに練習になるのかね??
剣道の試合形式についてはネットや動画で確認した程度での描写です。
至らない処は大目にお願いします....