まさか私の総武校生活はまちがっているのか!?   作:ばなナイン

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「・・・・やっぱりすごいんだねー! かなみちゃんて!」

「そおかなー? みんな練習熱心だったし!」

「でも剣道部ってこの前の交流試合圧勝だったんでしょ!?」

「うん! なんかみんなにお礼いわれちゃったー!」

 

練習の成果はあったようだ。某高との交流試合で男女とも五対五の試合で全勝だった。これなら

予選や全国にも! と剣道部ではいつにも無く盛り上がっている。

 

「でもわたしだけじゃないよ! 姫和ちゃんだって!」

「あれは! ....可奈美が美濃関に呼ばれて仕方が無く請負ったんだ!」

 

 

『....今日は可奈美の代りに私、奉仕部部長、十条姫和が相手をします!

どうか宜しく頼む!』

 

『・・・・はい!』

 

おう....衛藤の時とは受け応えがエラく違うな....俺もマネージャーとして十条さんにも付き添ってはいるが道場内での緊張感がハンパない。引継ぎのときに衛藤が『わたしより強くてこわいよー!』て脅してたからか?

 

『....そうじゃ無い! こうだ!』

『はいっ!!』

『ああ....脇が甘い! それでは鍔迫り合いに持ち込まれたとき....!』

『わかりました!!』

 

・・・・十条さんの稽古のスタイルはスパルタの様にも見えるがむしろ『やれやれ....』な感じの指導だな。見るに見兼ねて声を荒げてしまう感じだ。でも相手は体育会系、相手の実力が上と認めたらどんなシゴキにも耐える....この国の悪しき習性だがそれでも十条さんの指導の仕方は素人目にも理に適っているようだ。それに衛藤の時とは違ってここには凛とした空気が漂っているしな。

 

『....十条先輩! 私はもう....』

『なに言ってる! まだ一時間じゃ無いか!』

『私には実力何て無いんです! 小四の頃からやってるのに一度も試合に出た事が....』

『私は中二の頃だったな....平城の学長に目を掛けられて中途入学だった。それまでは母さんと家の庭で稽古の真似事ぐらいだ....』

『じゃ、生れつきの才能なのですか....?』

『何事も練習しなければなれる物にもなれん! 私はそれから一年毎日剣術漬けだ。ある願いを叶える為に必死で稽古をしたんだ。ただ貴女の稽古の方法が理に適っていなかっただけだ。貴女には惜しい処がある。そこを改善したらあるいは....』

『教えて下さい! その至らない処を! 十条さん....』

 

・・・・うむむ....途中でスポ根からあらぬ方向へと向かう気配を感じる事もアル....十条さんは男子部員にも稽古を付けているが特に女子からの支持が厚い....つまり、衛藤の稽古の時とはまたナニか違う『波動』を感じるのだ....結果、とある日....十条さんは練習相手の後輩の女子部員から体育館裏に呼び出されて・・・・

 

『・・・・ 十条先輩! 好きです! お付き合いして下さい!!・・・・』

『・・・・・・・・・・・・・・えええ・・・・・・・・・・・・・・』

 

・・・・こうなってしまったらしい・・・・それ以来十条さんは剣道部には顔を出していない。

その女子部員を辞めさせない為の気遣いもでもある。この事は衛藤にも内緒だ....

 

 

「そういえば噂だけど謎の剣道家が稽古を付けに来たって話もあるよね!」

 

「ああアレ・・・・」

「そんな事あったのか?」

「んーナニ? ねーセンパイ?」

 

....おお衛藤のヤツめ、悪戯っぽい顔をしながら返事をしているぞ。そう『あの』日、剣道部の連中にコイツにしては珍しく策士っぽい悪戯を仕掛けたからな。この俺にも『ねーおてつだいして!

エヘっ!!』....なんて『可愛らしく』頼まれたモンだから仕方なく裏で手を貸しちまったし、このことは十条さんにもナイショだ。

 

 

『....その人がその無敗の剣道家というのか? 衛藤さん?』

 

『うん! そだよー!! 訳あって顔見せられないけど!』

 

その『無敗の剣士』とやらは衛藤と剣道場に入りこんだ時にはすでに剣道防具を着用して面も被っていた。華奢で猫背で外からは顔も確認出来ない。いったいどこで着替えたのやら。まさかこの高校の外から! て事はないよな....

 

『とにかく試合、ですか? 衛藤さん』

『うん! とにかくやってみて!』

 

衛藤の無邪気なお願いに逆らえる男子部員はいなかった。みな衛藤の実力を思い知らされているのと同時にココロも腰砕けに....つまりハートを掴み取られているって訳だな。こうなると男は無力だ....さて相手は、

 

『では、この私から』

『□▽先輩頼むぜー!』

『おう!』

 

おう....なかなかイカついのが出て来たな....(くだん)の剣士の体格より二倍もの貫禄を感じさせる部員だ。重心もドッシリと腰から下に落ちていて安定性もあるし、コンナのに打ち込まれたらあの件の猫背の剣士などあっという間に吹き飛ばされてしまうぞ....

 

 

『始め!』

 

試合が始まり相手の部員が気合を掛ける。しかしながら件の猫背剣士は竹刀を中段に構えながら声を掛けないどころか動こうともしない。例の剣先を動かすことも。相手も苛立ってきたか....どちらか先に打ち込もうとすればいいものを双方とも打ち込もうとしない。次第に周りがどよめき始めた....

 

『おい....何で打ち込まない?』

『あの猫背、がら空きだぞ!』

『....ねえ、何かヘンな気配感じない?』

『感じない? というより....感じないんだけど....』

『なに? 漫才? て....私も何か違和感感じるんだよね・・・・』

 

・・・・そうしている内に試合時間4分が過ぎた....審判も....

 

『・・・・っ! 両者引分け!』

 

試合時間も意識させないままプツリと試合は終了した。周りも余りもの呆気無さにボーゼンとしている....

 

『おい、どうした!』

『わからん・・・・途中から目の前の相手が・・・・』

『よし、今度はオレだ!』

『頼むぞー! ◎△!』

 

そして、次はコイツか....この部員、体格はさっきのよりスマートな奴だが動きもスマートでテクニックで相手を翻弄するタイプだったよな。

 

『始め!』

 

さて、気合を掛け相手を牽制....のはずがこの部員、もう既に何か混乱を来たしてる様子だ。では件の剣士とは言えば?....相変わらずボ〜と突っ立ってるだけ。何の変化もありはしない。コイツは一体何者??

 

『ハッ! ハーッ! ヤーッ!!』

 

スマート部員は気合を掛けながら何とか打ち込もうとするが・・・・結局試合時間終了・・・・

 

『はあ・・・・』

『◎△、お前もか....』

『やっぱりアレか!?』

『さっきもそうだったのか? そうか、アレがそうか・・・・』

『ねえアレって?』

 

試合終了後、部員達が『アレ?アレ!』と盛り上がっている。試合の相手をした者にしか味わえ無いナニカかも知れん。

 

『ねーどおだった?』

『何が何だか・・・・ひょっとしたら衛藤さんや十条さんより凄いのでは....』

『うん! やっぱり?? じつはわたしも一度も勝てたことないんだー! やっぱりすごいねー!』

 

この衛藤の発言に一同キョトンとなった。俺もだが....そして件の剣士は衛藤と共に剣道場を後にしていった....

 

 

 

「・・・・て話だよ! 剣道やってる部員が僕の後輩の友達にいてね! でもたしかその時かなみちゃんも....」

 

「えーわたし知らない! 噂でしょ? なんでだろーねー?」

 

おう!白々しいヤツめ....コイツ嘘つくの下手そうだが戸塚には....

 

「そーなんだ! ハハ!」

 

通用した....人が良過ぎて人を疑う事を知ら無い....戸塚! どうかこのオレを永遠に照らし続ける娘天使(オトコノコ)のままであってくれ....! ついで歳も取らんで容姿も永遠の十七歳....ておい。

 

「ほう? なるほど....私がみるにその謎の剣士というのは....この高校の生徒なのではないかな? ふふっ!」

 

「えーほんとー? 誰なんだろうねー!? 僕たちの知り合いかなー?? ねー! かなみちゃん!!」

「んー誰だろー? ねー! センパイ!」

「おう....そんな凄いヤツ一度顔を拝んでみたいもんだ」

「ふふふ! 実はもう何度も校内で擦れ違っているかも知れん」

 

まあ十条さんならもう気づいているようだがな。別にバレたって構わない事だが。

 

「でも剣道部員がその剣士を必死に探しているみたいだよ。何でも『果し合いをするんだー!』

てね。物騒だねーはちまん!」

 

「お、おう・・・・」

 

おいホントにナニか物騒な事になりはしないか....? 『そいつ』は文化祭の時『ヤっ』ちまったし

その事で悪名だけは流通してるからな....面は割れて無いが....そして今度の一件でソノ顔がバレたらソイツはボコボコなんてコトに....おいっ!!

 

 

 

 

 

 

 

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