まさか私の総武校生活はまちがっているのか!?   作:ばなナイン

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見切り発車の弊害が出てしまいました・・・・

発想が・・・・です。

どうぞ・・・・


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「比企谷....君、どうだ? 昼食を一緒に?」

 

「....ん? お、おう....」

 

 

 

四時限後いつもの通り教室から離れてベストプレイスにへと赴こうとする瞬間、かの転入生

十条姫依氏が我が座席の側へと滑り込んできた。何事!! ....とクラスの連中を見渡わしたが十条さんのあまりもの自然な身の捌きに誰の注意を引くことが無かったようだ。由比ヶ浜を除いて....

 

 

 

「....ひっ、ヒッキー! わたしも一緒に食べるし!」

 

「お前は雪ノ下と部室でじゃないか?」

 

「....じゃ、じゃあみんな一緒だし!!」

 

「お前は雪ノ下の所へ行け。ああ見えてもあいつはお前が居ないと寂しがるようだからな」

 

「わ....私はどうする?」

 

「んー? はあ....わかった。俺と来るか? 場所を代える」

 

「じゃあヒッキー、ひよりん!....また後で....」

 

「おう」「では、失礼する。由比ヶ浜さん」

 

 

 

由比ヶ浜は由比ヶ浜なりに気を廻しているのだろう。葉山グループとの諍い以来何と無くクラスで孤立気味の十条さんを励ますため....あーしさんの目を盗んで....部室では明るく十条さんに接しているからな。

クラス内での俺と十条さんとの関係もむしろ推奨しているかの様でもある。そんな訳で俺たちはかの駐輪場近くの出入り口へと歩みを進めているのだ。

 

 

 

「....貴方はこんな所で昼食を取っているのか?」

 

「おう。ここはいいぞ。人の出入りは無いし面倒に煩わられることも無い、

日差しのいい日はここでうたた寝もできるしな」

 

「これから寒くなるぞ。その時はどうする?」

 

「....ここで凍えている....」

 

「そうか、成る程」

 

 

 

....あっさりと納得されてしまった....やはりボッチはボッチを知るのか....ただ俺のボッチ成分は飽くまで一歩引くどころか姿を消してまでこの世界を見渡そうとする欲求にも駆られているがこの十条さんは常に直接的に環境に関わろうとして却って孤立を招いてしまうタイプなのか....? それでも

ブレ無いのが俺や雪ノ下と違うところか....

 

 

 

「サンドイッチ、焼そばパン....ミルクコーヒー....そんなのでいいのか!? 仮にも男子高校生

だろう! もっと栄養価の高い物を....!」

 

「おう、この高校に入ってからずっとこの調子だ。朝晩は食べているしそう問題は無い」

 

「....どうだ! ここから少し摘まんでみては!」

 

「おい....これは....」

 

 

 

....模範的とも言える女子弁....! 上下細長い箱のなかに一方は御飯と沢庵、一方は定番の卵焼き、

ソーセージ、ブロッコリ....云々、勿論これは男子高校生の理想の弁当でもある....ここからおかずを摘まんでいいというのは一体どういうイベントなんだ!? 摘まんだ途端夢から醒めるんじゃ無いか!? 小町にもこんなの作って貰ったことは無い....

 

 

 

「いやそれは悪い....量が少ないんだから俺が食ったら貴女の分が....」

 

「かまわん! 私はひとの為に弁当を作ってあげたことが無いんだ! ....だから....その....

感想を....聞かせて欲しい....」

 

「お、おう....」

 

 

 

イベント続行か....そんな俯き加減に上目遣いでとは....

では....定番の....卵焼きを....ひとつ....おい....十条さん! アーンでか!?

平城学館は女子校と聞いたがこんなコト平気でするのか!? 無自覚なのか??

まあ女子同士おかずのあげっこくらいしてるだろうから何気無くだろう....あんまり

自覚を持たせて止めさせても勿体無い。ここはひとつお言葉と仕草に甘えて....

 

 

 

「....どうだ....!?」

 

「....おう....いけるぞ....甘さ加減が丁度いいぐらいだ....」

 

「そ、そうか!! 実は少々砂糖をいれ過ぎたのではないかと思ってな!

よかった....そうか....貴方はこのぐらいが丁度いいのか....」

 

「おう! 俺は甘い物には目が無いからな。この甘さが丁度いいというのは一般人的にだ。

俺ならこの倍ぐらいは平気で行けるまである」

 

「そうなのか!? ....よし! 明日は思い切ってこの倍の砂糖を....味見が恐ろしいが....」

 

 

 

なに? このイベント明日も続くの?? 雪ノ下の言う処のモテ期が....この俺に到来したとでも

言うわけ?!? いや待て! これは罠だ....足が地上から10cm浮き上がったと思った瞬間!

....俺を奈落の底へと引き摺り落とさんとする何某かの陰謀じゃ無いのか....!?

 

 

 

「おい、比企....谷....君.... その....いけない....の....だろうか....?」

 

「....おおおう! 全然OKだ!! とことこん甘くしてくれ!!」

 

「そうか!! ヨシ! 極限まで砂糖を加えてみせてやる!! 是非楽しみにしてくれ!!」

 

 

 

反射的に何某の陰謀に乗ってしまった....そんな目と仕草で断れる男などいるわけがない....しかも

タラシ込もうという意図も全然感じられない! つまりは....慣れてないんだよな....俺もだが....

だから明日も大人しくこのベストプレイスでの昼食を楽しみに....しててイイんだよな??

今日これまで、てことないよな? ....俺相当人間不信に陥っているんだな....

 

 

 

「うん....確かに....まだこの季節なら....うたた寝も....悪くないようだな....」

 

 

 

昼食を終えてしばしここでの休憩....十条さんは半ば睡魔に襲われているようなのだが....ん? おい....まて! そこは俺の右肩だぞ....何故寄りかかる....! 黒く艶のある髪が俺の頬を掠る....んん....

この香りは....石鹸?? しかも芳香剤の匂いなど無く健康的な....俺んちで使っている牛○石鹸と同じか....まるで香りが無いようでほのかに香る....しかもこんなに艶が....おい俺変態じみてるな....それに俺は過敏系ラノベ主人公タイプなんだぞ! そんなことされたら俺に気があると思い込まれても仕方が無いんだぞ!! ここはひとつ常識というものをだな....

 

 

 

「・・・・スー・・・・」

 

 

 

・・・・常識の届かぬ世界へと旅立たれてしまった・・・・ 疲れているのか? ....平塚先生の話では二年前、鎌倉東京でのあの壊滅的大災厄の折り、十条さん始め多くの中高生の女子達が『刀使』として刀を奮い無数の荒魂を鎮めたという。彼女達の活躍が無ければ東京だけで無くここ千葉も危うかったかもな....それにあの衛藤も刀を振い化け物と戦ってたとは....おい二人とも当時まだ中学生だったんじゃないのか....? 何て重労働を....ここ二年ほどは荒魂同時多発出現のニュースも無く刀剣類管理局も刀使達に息抜きを、とのことで民間校への短期転入制度を進め今月この二人がウチの高校にやって来たと、こういうことらしい。しかしこの十条さん、刀を振るって戦ってたにしては随分華奢な....この娘が特別祭祀機動隊でもエース級の刀使と言われてもにわかには信じ難い。もっと信じ難いのは衛藤もエースだという事実だが....しかし一向に目を覚ます兆しが無いな....もうすぐ昼休みも終了だというのに....おい! こんな時オレどうすればイイ?? おしえてモテるヒト!!

 

 

 

・・・・おお....天の恵みか・・・・無情のチャイムが鳴る・・・・

 

 

 

「おい、十条....さん、姫和....さん! もう時間だ! そろそろ教室に戻らなければだぞ!!」

 

 

 

・・・・指で突つくのもナンだから・・・・肩で揺すってみた・・・・

おう、寝息が止んだな・・・・

 

 

 

「・・・・んー・・・・なにごとか・・・・またあらだまが・・・・

んー・・・・? ....っ?!? なっ....な! ナナナナナンだっ!?!? キキキサマこれは

ドウいうコトだっ!!!!」

 

「・・・・おっ! おおいっ!!! おちつけ!!! くびがっ!! ぐぐぐるぢい!!!・・・・」

 

「・・・・ワ、わ! わるいっ!!! ね....! ねぼけていたっ!!!

だいじょうぶかっ!!??」

 

 

 

十条さんに両手で襟を掴まれ頚を締められ・・・・○ぬかとおもった・・・・比企谷八幡孤独の

うちに駐輪場側にて果てる....!・・・・ところだった・・・・

 

 

 

「すっ....すまんっ!!! あやうく貴方を○なせるところだった!!

わたしのせいだっ!!!」

 

 

 

・・・・ふう....どうやら正気に戻ったらしい....刀使という仕事はいついかなる時も荒魂に対する様に臨戦体勢で臨め! との事らしいがこれでは紛争地帯から帰還した海兵隊員みたいだぞ....

こんな普通の高校に来てまでもそんなに身体から緊張感が抜けないものなのか....

 

 

 

「まあいい....これで完全に目が覚めただろう....さ、行くぞ! ん?」

 

 

 

思わず俺が先に立ち上がった....てことは....十条さん....まだ自分の条件反射的な行為に

『・・・・ぅわぁ〜〜〜!!!・・・・』と顔を覆ってしゃがみ込んでるな....はいはい....

 

 

 

「ん」

 

 

 

らしくない....手を差し出しちまった....取ってくれたな....

 

 

 

「お....おう....その、ありがと....う....」

 

「....おう、楽しみだな、明日の卵焼き」

 

「おっ....そうだな!! そうだ....明日もまたここだな! 次はうたた寝なんてしないから....

安心してくれ....!」

 

「....俺も無理に起こさないから安心して油断してくれ。ここでの昼寝は気持ちいいからな」

 

「おう....そうだな....日中うたた寝するなんてこれまでなかったしな....

よろしく....お願いする....比企....谷君....」

 

「おう」

 

 

 

 

結局五時限目は遅刻、しかも悪い事に現代文の授業だった....結果行き遅れアラフォー?

女史に腹パンブリッドを喰らわされ授業中自席にて蹲る事と相成る....俺一人だけな....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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