まさか私の総武校生活はまちがっているのか!? 作:ばなナイン
「雪の....雪ノ下さん、その提案には乗れないな。俺もサッカー部の部長としてあと一年チームを纏めなければならないし、生徒会長との兼任なんて俺には無理だよ」
「そう、よね....ごめんなさい。無理言ってここまで呼び出して」
「ん? ああ....雪乃ちゃん、君は....」
「隼....葉山君、ここでは....」
「いや、すまない....そう....だったな。じゃ、俺はこれで」
「ありがとう....葉....山君....」
「・・・・おう、葉山との会談の成果は」
「察しの通りよ。こんな事彼に求める方がおかしかったのね....」
「やっぱりだし....」
「ダメだったのー?」
「あの様な男に任せようというのがそもそも間違いだ」
「むー! 葉山先輩は忙しいんですぅー! 一々生徒会の事に構ってなんていられないんですぅー!」
「その....一色、さん....その喋り方、なんとかならんのか....」
雪ノ下と葉山との会談のためしばらくの間俺達は部室を空けていた。結論はすぐ出たが....
「他の候補者には....こう言ったら失礼だけど、生徒会長には力不足というか....城廻先輩には備わっている何かが足りないのよね....」
「華やかさ、だな。あの様な人格の持ち主には全くでは無いがそう滅多に出逢えるものでは無い」
そう、現総武校生徒会長城廻めぐり先輩にはただそこにいるだけで周りをポワ〜と蕩けさせる不思議な雰囲気....オーラがある。誰にも分け隔てなくホンワカ〜と接する姿に全校生徒からの人気も高い。この俺にもあの文化祭実行委員会の『やらかした』後も変わらず接してくれているし。ただ、例の会議の際「君って最低だね!」とにこやかに言われたときはやや凹みましたケドね....
「えー? ユイちゃんは? パッと見たらとても華やかだよー??」
「えー? かなみんホントー? ウレシ〜!! ....て!? ダメダメダメだし!! わたしには会長なんてムリだし!!」
「....誰も頼んでいないのだけれども」
「そうだぞ由比ヶ浜、この高校に合格出来たお前の才能を持ってすれば落選なんて朝飯前だし」
「言うなし!! それならいろはちゃんだって!!」
「一色の場合このままでは当選しそうなんだが....」
どこまでも結論がでず三日目の放課後、いい加減何らかの結論を出さないとならんのだが....解答はすぐ目の前にあるのにな....
・・・・・・・・・・・・
「....雪ノ下さん、はっきりと言う。もう貴女しかいないのではないか?
これ以上論議をしても時間が不毛に過ぎるだけじゃないのか?」
おう....流石十条さんまたも直球を投げてきたか....もう時間が無い。ここで本人の隠された希望と覚悟を導き出すのが最後で最善の策だな....
「十条さん....私は自分の立ち位置を良く理解しているつもりなの。この奉仕部は生徒会からの依頼も多く大体のことは理解しているわ。ただ....会長になるには....私には決定的にあるものが足りないの....」
「華やかさ、か?」
「ふふっ? はっきりと言うのね....その通りよ、私に足りないのはそれ。生徒会の会長はただ実務能力があるだけじゃない、その....」
「....人気投票だな、現実には」
「貴方も言うわね....それでこそ貴方は貴方よ、図星ヶ谷君」
....当人も気にしていた事なのか。雪ノ下自身は事務処理能力はそつ無く....いや時に根を詰めて行うが人前に出るのは....俺もそうだが雪ノ下もどちらかといえば裏方で表を支えるのに向いている人材だな。俺は更に裏にてズボラを決め込みたい人材なのだが....
「じゃあ! これならどお? ユイちゃんが生徒会長になって部長さんが副会長! これならはなやか担当は会長で仕事が出来る方は副会長さんが担当すれば!!」
「「「「「ハイ!?!」」」」」
おう....! またも衛藤のいきなりの乱入! しかしこの提案は冗談では無く以外と現実性を帯びているんじゃないか? なにせ由比ヶ浜は俺たちの学年だけでなくこの学校で一番目立つグルーブに属してるからな。加えてこのピンク色の髪に象徴される『アホの娘』キャラのお陰で全学年の男女に静かな人気を誇るまである。ここで生徒会会長に立候補したとしても決して不自然ではない....
「ハアっ!? かなみん?? ....ダメダメダメ〜っ!! サッキもいったよーにダメーっ!!!」
「可奈美! 二人に失礼だぞ!! ....でも....どう思う? 比企....谷君?」
「おう....凸凹コンビで案外上手く出来るかもな....どうだ雪ノ下? それに確か生徒会長は生徒会の人事を会長自身で決める事も出来るんじゃないか?」
「それは....確か城廻先輩は....もともといた先輩の『親衛隊』の人たちに生徒会の運営を任せているみたいなのだけれども....」
「えーっ!?!『親衛隊』〜!? あのめぐり先輩ですよねー!? ・・・・どういうヒトなんですぅ??」
は!? 一色もだがこれは一同目を丸くする以外な事実だ....!
「・・・・あの城廻先輩は私と同じ国際教養学科の3年J組なの。こう言っては....なのだけれどもああ見えてとても優秀なのよ? 帰国子女でもあるのだし」
「そうだし!?」
「初耳だぞ....」
あのふぉわ〜・・・・とした城廻先輩がねえ....じゃ、いつも城廻先輩に付き従って集団で歩いているあのメガネの集団が親衛隊....
「あの取巻きの人達はみんなJ組の先輩。国際教養学科は三年間クラスの変わる事のない教室なのだから」
そういえば雪ノ下にも女子だが御付きの侍従....ならぬ取巻きがいて修学旅行中も供に行動してたな....俺が雪ノ下に近づいたらアカラサマに嫌な顔をされたが....それはさて置き、
「....由比ヶ浜もどうだ? お前はこの高校にも入れたぐらいだしな....ここはお前の隠された才能を久々に十二分に発揮し奇跡の逆転当選を果たして生徒会長になってみるか? そして副会長に雪ノ下を指名する....雪ノ下もそれなら....」
「私は! ....そんな....由比ヶ浜さんにまで負担を掛けさせるだなんて....」
この発言は....墜ちたな雪ノ下....
「・・・・わたしっ!! わたしゆきのんと一緒なら生徒会に入るし!! ゆきのんがわたしをちゃんと支えてくれたら会長だっていけるし!! わたしもゆきのんをちゃんと助けるし!! ・・・・ウン決めたっ!! わたし生徒会長になるっ!!
・・・・だからね〜えゆきの〜ん!《....ダキッ!!》....一緒に生徒会に入ろうよ〜っ!! ねえ〜ってば〜〜〜!!!」
「・・・・!? 由比ヶ浜さん!?? ちょっ....!」
由比ヶ浜が雪ノ下に抱きついてスリスリしながらタラシコミに入る黄金のパターン....! 陥落寸前か....
「うわ〜! 姫和ちゃん! わたしたちみたいだねー!《バッ! ムギュ〜!!》」
「....おいコラっ! お前までナンだ!! お前は少し『他人の振り観て我が振り....』....をだな!」
「エヘヘヘヘ〜!!」
オオ衛藤まで十条さんに跳び付いて....! つまりは十条さんも言う通り由比ヶ浜の振りに倣って....だな? 確かにこの年頃の男子にとってはこの様な女子の有り様は福眼以外何物でもないのだが....ウムム。残りはオレと一色と....ん?
「・・・・ なななナンですか!? そんな目でわたしを見つめて....ハッ! まさかアワよくばわたしに抱き着いてドサクサに紛れて告白するつもりですかっ!?イヤそれは余りにもキモいんで余所でやって下さいワタシ好きな人がいるんでイケませんどうぞゴメンなさいお断りします!!」
「お、おお・・・・」
・・・・ナンか知らんがオーバーゼスチャーで拒絶反応を観せつけられてからペコリとお断りされちゃったよ....てかナンでオレが一色に告白する前提なの?? コイツの意識過剰も結構俺並なのかも知れん。さらにここ奉仕部部室は会議場から一転思わぬ百合畑となりムンムンとその香気をこの部屋に満たさんとしている・・・・んで肝心の『本題』はその噎せ返る香気の中でココロもカラダもヤラれてしまったのか・・・・
「・・・・その・・・・ぜったいに・・・・いや・・・・」
「おい! 雪ノ下さ....」
「十条さん、もう決まったも当然だ。後は....この奉仕部だな....」
「これで決まったんだねー! よかったね! センパイ!!」
「おう、衛藤のお陰だ。お前のあの発言で事が動き出したんだ」
「ホント!? コンドは本当に褒めてくれてるの!?」
「おう! そうだ!!」
「ヤッター!! 姫和ちゃん! センパイがホントに褒めてくれたよー!!」
「可奈美! ....すまない比企谷君、こんな奴で....」
「まあいいさ、こういうのも一人は....二人だったな....」
またも三人での帰り道、今日は衛藤のお陰でいつもより早く解散しまだ陽も高い。雪ノ下と由比ヶ浜と一色は会議終了後改めて生徒会選挙の立候補登録をするため職員室、生徒会室へ。さらには推薦人確保のための署名活動と....しばらくは奉仕部を休部して選挙活動をするそうだ。雪ノ下曰く、部員の個人的利害に関わる事を奉仕部の活動として認める訳にはいかない....とも。どこまで律儀なんだか....んなわけで今日は久々に夕食前からリビングのソファーで足を伸ばせるな....んでもってチバテレビでアニメの再放送を....
「あ! ご褒美にあそこよってこー!」
「おい! 図々しいぞ!」
....まあ寄っていこうか。コイツのお陰で見通しが立ったんだ。ここは一つ先輩の威厳をだな....
「わかった、ドーナツ二個づつだぞ....」
「比企谷君! 私は....!」
「いいさ、卵焼きのお礼だ」
「やったー!! センパイだいすきー!!」
「お、・・・・おお」
「かなみ・・・・」
・・・・オオ! 無邪気な笑顔でナンてコトを・・・・他意は無いんだろうが・・・・ヤダ!じわじわキマすねコレは!! この後輩のために財布の紐だけじゃなく頬まで緩んじゃうじゃん!! よし! 二個と言わず三個までだぞ!!....つまり先立つ物が....
「おいしーね! センパイ! 姫和ちゃん!」
「すまない....この馬鹿だけでなく私まで....」
「まあいいさ。衛藤のお陰で懸案が晴れたんだからな」
「うん! もっとホメて!!」
「かなみ!!」
「じゃ! あたまポンポンして!!」
「・・・・ハイ??」
俺達はカワイイ後輩にねだられてSISTER....じゃないMUSTER DOUNTS
にてドーナツを頬張っている....しかも店内で頭ナデナデまでおネダリされるというのも....
加えてコーヒーもセットだと結構割高だぞ! 結局このカワイイ後輩分は俺が全額払うことになったんだけどな....
十条さんは気を遣ってくれてドーナツ一個であとは自腹だ。正直助かる....
「こうか・・・・」ポンポン・・・・
「ウン! ウレシー!! お兄ーちゃんみたーい!! えへへ・・・・」
「可奈美! ....重ねがさねすまん、コイツには兄がいてな....コイツは相当....その....ブラコン? なんだ」
・・・・一応はカワイイ部類に入るこの後輩のアタマにおテテを乗せるというのも・・・・コレも結構テレますね....それに衛藤はブラコンか。それで実妹のいるこの俺に『お兄ちゃんオーラ』を嗅ぎつけて甘えてくるんだな。成る程アノ懸案を纏めた発言といいこの後輩なかなかカンの鋭い処がある....いや本能に忠実なのか....まあ悪い気はしないがな、ウン。
「あ〜れ〜!? 比企谷君じゃん! ひゃっはろ〜っ!! な〜に女の子のアタマに手を乗せてるのかな〜?? コノ!コノ!!」
*ウチの可奈美さんは書き続けているうちにオリジナルに比べて性格が幼くなってしまいました・・・・ 加えてブラコンです。
*ここでの城廻めぐりさんの学内設定はオリジナルです。原作未読なのでネットで経歴を調べてみましたがよくわかりませんでした・・・・