まさか私の総武校生活はまちがっているのか!?   作:ばなナイン

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「ウゲ・・・・!」

 

会いたくないヒトに....よりによってこんな時に!

 

「あれー? 雪乃ちゃん以外の女の子二人も! 一人はあのガハマちゃんじゃ無いのねー? それにこの制服ってー」

 

「うす....この二人は....高校の短期転入生で....」

「うん! 衛藤可奈美だよ!」

「私は....! 十条....姫和と申します!」

 

「刀使の子達!? うわ〜私話しするの始めてー! 私雪ノ下陽乃! よろしくー!」

 

雪ノ下陽乃。言わずとしれた雪ノ下雪乃の姉。あの一色にも通じる外面上のあざとさを更に強化し外骨格したかの如きバケモノ。第一印象は明るく社交的、誰からも好印象を受ける理想的な女性を演じて見せるが見る人が観れば....しかも見抜いた相手にはとことんまでの好意を示すか踏み潰すか....いずれにせよ身抜いてしまった者は早々に退散するのがこの世界における処世術だ。て訳で俺達も早々に....

 

「....雪ノ下?」

「えー? ゆきゆきちゃんの??」

「あれー? 二人とも雪乃ちゃんのこと知ってんの?」

「この二人は....ウチんとこの体験入部部員で....」

「そっか、じゃ、話は早いね! どう? 雪乃ちゃん、生徒会の選挙....」

「....いったいどこからそんな話しが出てくるんスかね....」

「だってもうそんな季節じゃん! めぐりからも聞いてるし」

 

はあ....城廻先輩余計なことを....このヒト妹が好き過ぎて余計なちょっかい出して振り回して雪ノ下に嫌がられてそして又....のスパイラルに落ち込んでんのむしろ愉しんでない?? まあでも今回は....

 

「....そのことなら問題ありません。もう決まりましたから」

 

「へ? ....そう....ひょっとして隼人に頼んだとか?」

「何でヤツのこと知っててしかも名前呼び捨てなんスかね」

「雪乃ちゃん本人....とか?」

「いや、由比ガハマが立候補しますよ、本選で」

「マジ!? あのガハマちゃん?!」

 

おお驚いてるぞ! これも雪ノ下....はるのんの滅多に観られない素顔だな....

 

「....ふ〜ん、そのガハマちゃんと例の一年の一騎討ちなんだ....」

「そこまで情報が漏れてたんスね....」

「....あの、比企....谷君?」

 

ホント暇なのこのヒト? もう卒業してんじゃん! ....それに十条さんも見抜いたクチか....俺達のやり取りを観て唯ならぬ雰囲気を感じているようだ。もう一人は知らん。

 

「そっか、雪乃ちゃん立候補しないんだね....つまんなぃ....」

「んー? ちがうよー! ユイちゃんが当選したらユイちゃんがゆきゆきちゃんを副会長に任命するんだってー!!」

「「ハイ!?」」

 

おい衛藤! 余計なこと喋んな!! また面倒なことになるかもだぞ!! まずは既成事実をこさえてからだな....!

 

「....ふーん? 成る程ね....これも比企谷君の差し金なんだ....」

「それは違う!! この案を出したのは....! えー・・・・」

 

勢い余ったな十条さん....この案を出したのが他ならぬこのア....

 

「うん! わたしー!!」

 

....ホが自分でバラしちまった....また厄介事が....

 

「へ〜え貴女が! やるじゃない! 比企谷君が目論みそうな遣り口なのに! ....そっか、雪乃ちゃん生徒会に入るんだね。でもその動機と方法がね....」

 

....おい、衛藤がはるのんに賞められちまったよ....! これで衛藤もはるのんファミリーの一員になってしまうな....ただ何も気付かずノーテンキなとこがコイツの救いだが。しかし....雪ノ下姉が持つ雪ノ下への期待と要求は今の雪ノ下にとってハードルが高い。自分が出来る事なら妹でも....と思う反面自分の跡を追うだけでは....この相反する期待を雪ノ下姉はどこまで自覚しているのか、結果振り回される雪ノ下の迷いをこの姉はどこまでも無自覚に....いや無自覚を装ってまでとことん追い詰めるつもりか? 俺にはこの陽乃さんの意図がまるで読み取れない....

 

「ま! いいわ! 聞きたかった事もわかったし私もこの辺で....」

 

ふぅ〜・・・・何とか乗り越えたか....まあ時間もだし俺達もそろそろ....

 

「あっれ〜!? 比企谷じゃん!! すっごーいレアキャラ!!」

「んー? かおりの知り合い?」

「ん! そう! ウケるー!!」

 

「・・・・ウゲっ!!」

 

ナンだ今日という一日は!? 一難去ってまた....! お前こそレアキャラだろ!! なんてコッタ....

 

「へえ〜! 比企谷総武校なんだ! アッタマ良かったんだね〜!!」

「おう・・・・」

 

・・・・折本かおり。中学3年時のクラスメイト。明るく・楽しく・騒がしく....とこれまた社交的才能に溢れるある意味これもバケモノ....ただ一色のように異性専門に媚びるのでも無くはるのんのように完璧な社交仮面を被るでも無く....裏表無く只々騒がしい....ボッチだった俺にも気軽に声を掛ける程だから他にも勘違いさせてしまうヤツも多かったであろう罪深いオンナでもある・・・・もう一人は初顔だ。

 

「・・・・んでこの子たち....まさか比企谷の!?」

「ンなワケあるか!! 部活仲間と、その....」

「ん? な〜に? 比企谷クン??」

 

おう....そうだった....まだ『一難』がここを離れていなかった....はるのんナンて厄介な子!!

 

「わたしー? んー? 何だろねー? 友達ってのもねー? お姉さん? あ!

その中間をとって彼女とか!!」

 

「えー!! そおだっなの〜!? どおりでイチャイチャしてたんだね〜!! ウワ〜!!」

「....お前は少し黙っていろ! ややこしくなる! ....で、そうなのか? 比企....谷君....」

 

衛藤は無邪気にはしゃぎ十条さんは真顔でコチらを窺う....

 

「ちがうちがう!! 雪ノ下さん! アンタも余計なコトを....!」

「ははー! だよねー! ウケる!!」

「ハハッ・・・・」

 

ったく余計な事ばかり....! この二人まで誤解させるとこだったじゃ無いか! ....ウケてる場合か!!

 

「わたし、折本かおりです。比企谷とは同じ中学です」

「私、かおりと同じ高校の....」

「えー!? 比企谷君と同じ中学ー!? ねー! ナンか無い? 比企谷君の面白い話!!」

「そーですねー!」

 

おい折本、連れのもう一人がデクノボーと化してるぞ....それにはるのんさんも相変わらず前のめりなヒトだね....

 

「....そうだ! わたし比企谷にコクられた事があるんです!!」

「えーマジかおりー!?」

「マジマジ!!」

 

 

おい折本・・・・唐突の暴露・・・・コンなトコでナンてコト言うんだ・・・・

 

 

「へーえ!? 比企谷君がね〜! やるじゃない!!」

 

「・・・・へへっ・・・・」

 

 

そう・・・・その勘違い第一号とは他ならぬこの俺であった・・・・ああ・・・・こんな時にまでつくり笑いとは・・・・オレ顔キモいのがわかる・・・・卑屈だなオレ・・・・

 

 

「ねー? コクられる、てナニ??」

「おい可奈美! ・・・・そのだな、つまり・・・・」

「衛藤ちゃん!『好きだー!』て告白されることだよー!」

 

 

はるのんさん....標準語訳なんて余計なコトしないでくれません? ああ....いたたまれない....

 

 

「わ〜っ!! スゴいっ! すごいねセンパイっ!! わたしんとこも共学だからそんなことあるけどセンパイもなんだね!! わたしも何回もソの『コク』られたことあるもん!!」

「「「「ヘ??」」」」

 

ハイ!?....エトウ?? ....お前ってヤツは! その言い回しなら俺が折本から....てことになるぞ!

ったくアホなのかナンなのか....周りもポケ〜としているぞ!!

 

「姫和ちゃんもだもんね〜!! 姫和ちゃんは女の子のほうが多いけど!」

《ガタッ!!》「カッ!! 可奈美ッ!! バカなコトを言うなっ!! ちっ! 違うんだ比企谷君っ! 私からでは無くて相手の娘から....だ! 信じてくれ!!」

「お、おう・・・・」

 

!・・・・身を乗り出してオレに顔が....チカい! アカいぞ十条サン....!! ナゼ話がアラぬ方向へ....?? 取り止めが無さ過ぎて正気を失いかけるぞコレ・・・・

 

「でもわたしお兄ちゃんが好きだから断わってたの! み〜んな友だちになったけど!! でもわたしひきがやセンパイもだ〜いすきっ!!!」

「カナミ!!・・・・ハァ・・・・」

 

アハッ!! とまたも無邪気な笑顔で言い放つエトウ・・・・オレも・・・・ハァ・・・・だぞナンだこの展開は・・・・

 

 

「えー・・・・そうなんだ・・・・良かったねー・・・・比企谷」

「・・・・アハハハハハハッ!! こりゃヤラレたわーっ!! エトウちゃんアナタサイコーっ!!」

「かおり・・・・私どう反応すればいいの??」

「・・・・お祝いすればいいとおもうよ・・・・ウケる!!」

 

 

はるのんさんは腹を抱えて爆笑し言い出しっぺの折本は余りものカオスっぷりに只々ウケる! ....を連発しあと一人は置いてきぼりを喰らい....誰?アナタ??

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「・・・・仲町ちかです....かおり! アンタのせいで私只のカカシだったかんねー!」

「ゴメンゴメン! じゃさー! お詫び替りに比企谷! 葉山君て知ってるー!?」

 

一息付いたと思ったら....! なんでお前のお詫びに俺が付き合わされなければならんのだ? 中学から変わらずコイツは自由でざっくばらんだな....

 

「....まあ、ウチの高校の名物だからな....名前ぐらいは....」

「ん?? はやまってー??」

《ダンッ!》「葉山だと!? あの葉山隼人の事か!? 他でもないアイツはこの比企谷君を....!」

「まてっ! 十条さん!! この事は他には....!」

「お、おう・・・・」

 

 

十条さんがまたまた身を乗り出して幕したて始めた....オイ今だに....自分の事でも無いのに余程正義感が強いんだな....

 

 

「なに・・・・今の剣幕・・・・ウケる・・・・」

「・・・・ふ〜ん? じゃ! お姉さんが紹介しちゃうぞ〜!!」

「「へっ!?」」

 

 

はるのんがスマホを取り出し何処かしらへ連絡....もしや....

 

 

『・・・・隼人? そうワタシ、来てくんなーい? いや来て』

 

「・・・・アンタ....なにしてんスか....?」

「ふっふ〜ん! だって面白そうじゃない? あ! ついでに雪乃ちゃんにガハマちゃんもおマケにつけて....!!」

「やめてくれっ!! これ以上のカオスは....!!」

「わかってるわよ〜! 私もこれ以上雪乃ちゃんに嫌われたくないものねー」

 

 

 

 

「え・・・・と、かおりー・・・・ホントにいいのかしらー・・・・ナンかもう修羅場ってんだけど・・・・」

「だよねー・・・・これアリー・・・・? ウケなかったらどーしよーちか・・・・」

 

 

 

 

今になって....いや早めにこのはるのんの怖ろしさに気付くのも悪くはない。今後このようなウケるー! をはるのん相手にだな....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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