迷宮の都市のアリス   作:RyujiOturu

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どうも、ニャラルトです。

更新が遅くなってしまい本当に申し訳ありません。
書くためのスマホがですね、壊れてしまったんですよ(言い訳)いや、ホントなんですけどね。何が言いたいのかと言うと、本当にすいません。

それでは本編をどうぞ、後書きでは今回出てきた新要素について説明をいれたいと思います。




例の女神様と出会う御話

 

 

 

 ステイタスの確認をしていたところ、仲間設定と言うものに気づいた私はベルさんやリリさん、アイズさんにベートさんなど知り合いの冒険者を登録していった。これで〈SS(ストレートショット)〉だったりの誤射がなくなるんだから今までの細かい苦労はなんだったのだと言いたくなる。

 〈スキル〉は仲間と認識している。と効果が発動するらしい、ならこれで発動しているはず。

 そう思うと早く試したい気持ちが沸き上がる、素早く支度を済ませ、ヘスティア様を起こしてご飯を食べてもらい、衣類を渡してから、階段を上がる。

 

「それではヘスティア様! いってきます!」

 

「いってらっしゃい! 気を付けてね!」

 

 扉を開け、気分高らかに走り出す。

 まずは〈黒衣の病館〉に向かう。裏口から入った私はやけに高めなテンションのまま医院長室に突撃する

 

「あら、おはようアリスちゃん」

 

「おはよーございます!」

 

「やけに元気ね? 何かいいことでもあったのかしら?」

 

 柔らかい笑みでこちらを見るのは〈黒衣の病館〉の医院長でエイル・ファミリアの主神エイル様。優しく、お茶目な神様だ。

 

「久しぶりにダンジョンに潜るのでそれが楽しみで!」

 

「そう、ふふふ、でも怪我には気を付けなさいね?」

 

「はい!」

 

 その後もエイル様との話は弾み、小一時間が過ぎた頃、

 

「失礼しまーす。ってアリスちゃん? 速いね」

 

 医院長室に入ってきたのはエイル・ファミリアの団長アルナさんだ。

 いつもの白衣ではなく動き易いように薄めの布で作られた服にレザーアーマーを上から着込み、裾の長いロングスカートといった、冒険用の衣装に身を包んだアルナさんが、それらの衣装を着崩し豊満な肉体を大気にさらしていた。

 

「何してるんですかっ!? 服はだけてますけど!? と言うか服意味無いんですけどっ!? しっかり着てください! 服!」

 

 同性だから特に興奮するとかは無いんだけど、自分たちのその、貧相なソレと比べたらなんだか悲しくなってきたのでとりあえず八つ当たりにアルナさんの後ろを顔を背けてついてきたアルベスさんに飛び蹴りを食らわせる。

 

「ガフッ!? ......何で、俺なんだい? ......」

 

 アルベスさんは私の容赦ない飛び蹴りを-ステイタスに補正がかかった状態のをもろに-受けてしまったため、少し飛んでコロコロと転がり、私にごく普通の問いを投げ掛け、ガクッ、と力尽きる。

 

「すいませんアルベスさん。八つ当たりです」

 

「アルベス? あらら、気絶しちゃってるわね」

 

 エイル様はコロコロと笑いながらアルベスさんの状態のチェックをしていた。

 私はむうう、と唸りながらアルナさんの膝の上にのせられ左目の治療を受けていた。アルナさん曰くあと二週間もあれば戻るそうだ。

 ずっと閉じている左の瞼の下で形どられている眼の感覚に最初こそ戸惑ったが今では慣れたものになった。

 治療を始めておよそ1ヶ月半。アルナさんも驚くスピードで治って行く、エイル様曰く成長期前だったからではとのこと、うーん、アリスちゃんに憑依している方はすでに成長期は終えているからなー。アリスちゃんに感謝だね。

 

 

 どうしたの?

 

 あ、ううんなんでもない。ただ、アリスちゃんの怪我が早く治りそうだからって

 

 ふーん、やったねアリス

 

 うん!

 

 

 なんだか私が戦い易くなるから感謝したなんて言えない、純粋過ぎるんだよねーアリスちゃん達。まあ、それをカバーするのが私だけど。

 

「これからダンジョンに行くの?」

 

「はい、そうするつもりです。少し潜ったら帰るつもりですけど」

 

「そうなの、気を付けてね。怪我したら怒るからね」

 

 少し笑いながら私を心配してくれるアルナさんに思わず抱きつき、豊かな胸に顔を埋める。柔らかい胸は私の頭を包み込めるほどの大きさがあり、ほんのりと甘い匂いがする。

 その双丘に埋まって数分が過ぎ、ゆっくりと顔を上げる。

 

「どうしたらこんなに大きくなりますか?」

 

「おおう、いきなりだね」

 

「私のはこんなのなので......はぁ」

 

 私はアリスとしての体のつるぺたなそれを手でぺったぺったと触る。それを見てアルナさんとエイル様が可哀想な目で私を見る。

 この体に不満は無い。無いのだが街を歩いていて見る目が少し、無遠慮なのだ。

 なんと言うか幼女趣味の男性から嫌らしい目で見られているような嫌な視線を感じるのだ。リトル・アリスが可愛いのは当たり前として(思考放棄)え? 可愛いのはわからんことも無いけど人にもよる? 知らんな。

 なんてふざけずに可哀想な人を見る目をしているアルナさんとエイル様の誤解を解いた。少し欲しいと言う気持ちはあるがそこまで大きいのもいらないしなー、地味に肩こるし。実際あったからなー......って話が脱線しまくってる。とまあふざけながらもエイル様達に礼を言ってダンジョンに向かったのだが、ギルドの職員にランクを聞かれた。

 何故かと聞くと何でも上層でミノタウロスを見たという証言があり注意を促しているらしいのだ。まあ今の私はランク2なので特に止められることなくダンジョンに潜った。

 

 

 一層から全力で下に向かう、おそらくだがベルさんたちなら朝から潜っているだろうし二人の早さならもう五層までは降りているだろう。

 元々高い敏捷が補正により磨きがかかり、怪物(モンスター)や他の冒険者を置き去りにしてどんどんと降る。

 そして二時間ほどかけて六層に降りる階段まで到着した。

 そこには小休止を挟んでいたベルさんとリリさんがいた。

 

「ようやく追い付きました」

 

「アリスちゃん!? もう追い付いたの!?」

 

「アリス様! ?速すぎです!?」

 

「声大きすぎです、ここはダンジョンですよ?」

 

 いきなり現れた私に驚き、思わず大きな声を出してしまうベルさんとリリさんだったが、ここがダンジョンだと言うことを思いだしハッとした表情になるがすでにコボルトの群れと数匹のウォーシャドウが声に反応してこちらに走って来ていた。しかし私の《SS(ストレートショット)》の多重展開で大半が消滅し、残った数匹もベルさんとリリさんが倒していた。そして落ち着いて話を始める。

 

「治療はしっかりとしてきましたよ? 後二週間ほどで治るとのことです」

 

「二週間ほどですか、早いですね」

 

 リリさんの驚いたような声に私も同意を示す。だって目みたいな複雑なものが一ヶ月ぐらいで治ると言っている訳だ。それだけアルナさんの魔法が規格外なのか。

 

「だから二週間後からは私もしっかり戦えるよ」

 

「そうなんだ、でも、無理しないでね? 女の子なんだから」

 

 ベルさんが笑いながらそう言う。

 

「なるほど、これは天然タラシですね。そのくせ一途とかどれだけ厄介なんですか」

 

 ヘスティア様やリリさんが少しかわいそうに思えてしまった。ベルさんは天然で私達の心に綺麗に刺さる行動や言葉をかけてきたりするのだ。

ヘスティア様は自身の始めての眷属だからってところが多いだろうけど、リリさんはベルさんに危険な時に助けられたらしく、その上に優しく心にくる言葉をかけられたのだろう。うん多分落ちるな。私ならまだしも普通だったら落ちるわ、でもベルさんはアイズさん一筋と言う、酷いな。

 

「頑張ってくださいね、リリさんにヘスティア様」

 

「はい? リリがどうかしましたか?」

 

「あ、ううん、何でもないよ」

 

 心の中でヘスティア様とリリさんに頑張ってとエールをおくりながら、辺りを注意する。

 先程の戦闘音で近付いてくる他の怪物(モンスター)がこないか注意しているのだが特にそんな気配はない。

 

「危険は無さそうですね、それで今回はどこまで潜るんですか?」

 

「はい、十一層までの予定でしたがアリス様がいるのであれば十二層までは行けるかと」

 

 妥当な判断だとうなずきベルさん達の休憩が終わるのを待ってから階段を降りる。

 七層自体は特に危険は無いのだが近くにいた別のパーティーから怪物進呈(パスパレード)をされてしまった。

 硬い蟻(キラーアント)が視界を埋め尽くしたのは恐怖意以外の何物でもなかった。思わず『大きくなるよ!』を使ってしまうぐらいには怖かった、ホントに。

 

 まあ、その話は兎も角順調に降りて行った私達は現在十一階層にいる。ここは部屋(ルーム)で霧が発生するから注意が必要だ、まあ私は遊撃に徹しているからそこまで戦う機会が無いんだけど。オークとかの魔石を騎槍(ランス)でドスッ!とかしてるんだけど、まあなぜか上手くいかない。ベルさんあんなに上手いのに何故だろう?

 そんなことを考える暇はあるほど安定して迷宮(ダンジョン)を探索している訳なんだけどやっぱり左目が見えないのは痛い。上手く距離を掴めないし、左側見にくいし。今はレベル差があるから大丈夫だけどこれ以上、中層だとまともに戦えるかどうか怪しいだろう。まあ後二週間で治るそうだし気長に待とうかな。

 

「ブモォォオオォォ!」

 

 っと、無駄なことを考えてたら新しくオークが産まれてきたので魔法を打ち込み爆殺する。騎槍(ランス)もいいが私と言うかリトル・アリスの強みは長い射程を持った高威力のSS(ストレートショット)。使えば強くなるし悪いことは無いよね!

 

ビキビキビキィッ!!!

 

 と言うわけで新たに産まれた-次はシルバーバックだ-怪物(モンスター)に魔法を多重展開してぶっぱする。

 怪物(シルバーバック)の硬い毛皮をものともせず魔石ごと胸元が抉れたり、頭部が爆散していたりとする。ふぅぅ、スッとしたぜぇ。

 なんてカッコつけていたらベルさん達もインプとハードアーマード達を討伐し終わり、こちらに来ていた。

 それなりに広い部屋(ルーム)だったため両端で戦う形だったのだが、私の方に何故か大量に産まれていたらしい。倒すだけ倒して魔石の回収をしていなかったのでリリさんがあせあせと魔石を取り出している。

 なんか、ごめんなさい。

 心の中で謝りながら私はマップを見る。え? 手伝わないのかって? ......下手なんですよ。どうしても上手く魔石を取り出すことの出来ないんですよねー。だからリリさんにしてもらうのが一番速いんですよ、ええ。

 とりあえずリリさんが魔石を取り出すのを待ってから私はベルさんとリリさんに来てもらう。これから少し行ったところに十二階層に降りる階段があることを伝える。壁を傷付けていないにも関わらず迷宮(ダンジョン)は沈黙を保つ。少し不気味に思いながらも私はベルさんに問いかける。

 

「十二階層に行きますか?」

 

 特に意味はなく、ただ降りるかを聞いただけ。それなのに少し緊張感が増すのは私がやられた階層だからだろうか。まあ気にしてはいないが。

 

「どうしますか? このまま帰ってもいいですが」

 

 再度問いかける。ベルさんは少し迷ってから、

 

「いや、今日は帰ろう。エイナさんにも言われてるしね」

 

 冒険者は冒険をしてはいけない、と言うものである意味的を射ている気もするが私としては違うと思ってしまう。怪物祭(フィリア祭)で冒険をした私は冒険はするべきだと思う。自分の殻を破る為にもベルさんは特に。

 ミノタウロスと言う恐怖といつか対峙する時に、冒険は必要になってくる。速めになれてほしいと私は思う。

 しかしまだまだ中層には行かないだろう。せめて私の左目が治るまでは、冒険もまだまだ必要ない。私自身もそう思いベルさんの意見を受け入れる。リリさんもうなずき迷宮(ダンジョン)から撤退する。何か起きることもなく地上に戻った私は換金所に向かった。

 魔石は一から六層の怪物(モンスター)のものが百ほど七から十一までのが百ほど、その他ドロップアイテム複数と中々の量を換金してもらった結果は、約八万ヴァリス。袋の重みに口元が思わずにやける。これは嬉しい。

 ベルさん達のところに行って金額を伝えると飛んで喜ぶベルさんを見れたのでさらにほっこりした。とりあえずリリさんに報酬分の二万五千ヴァリスを手渡す。そして残りをベルさんに渡して一旦別れる。

 特に行くところも無いのでロキ・ファミリアにでも行こうかなと思っていた矢先、

 

「そこの娘、リトル・アリスだな?」

 

 不意に後ろから声を掛けられた。

 低く男の人の声だと思われる声に私は後ろを振り向くとそこには二メートルに届くかと言う長身に服の上からでもわかる鍛えられた体。そして濃い茶色の髪と頭に生える猪の耳。猪人(ボアズ)の冒険者が立っていた。

 

「そうですけど......何かご用でしょうか?」

 

 丁寧に返答する。追加で疑問をぶつけると

 

「ああ、俺についてきてもらいたい」

 

 ついてきてもらいたい。とのこと。

 少し気になる言い方だがついて行っても良いだろう。ベルさんにヴァリスは渡しているし、そう考えた私は猪人(ボアズ)の冒険者にいいですよ、と返答し横に並ぶ。歩き出した冒険者が向かった先は、

 

「え? 摩天楼施設(バベル)?」

 

 

 あれから摩天楼施設(バベル)に入り、エレベーターを使用して上の階に登ること十分程、ようやくついた目的地は最上階。フレイヤ・ファミリアの主神、フレイヤが住んでいると言う場所だった。

 猪人(ボアズ)の冒険者-オッタルさんと言うらしい-につれられ奥の部屋に入るとそこには臍までバックりと真ん中の空いたドレスのようなものを見にまとった銀髪の女神が椅子に座って片手にワインの入ったグラスを弄びながら微笑んでいた。

 

「あなたがリトル・アリスちゃんかしら?」

 

 こちらに視線を向けられて思わずゾクゾクッ!!と背中を不意に撫でられたような、よくわからない刺激を感じる。

 

「はい、そうです。私に何かご用でしょうか?フレイヤ様」

 

 ゆっくりと息を整えて答える。

 その姿を見て何故か驚いたような表情を浮かべると、不意に笑い出す。

 突然のことに驚き、固まっているとフレイヤ様は椅子から立ち上がり何故か目を引く足取りで近付いてくる。

 そして、私の前まで来て顔を近付け私の瞳に覗きこむ。紫色の綺麗な瞳が私の両方の瞳を占領する。

 同性でありながらどぎまぎしてしまうほどの美貌を持つ女神が目の前に少しすればキスすらも出来てしまいそうなほど近付いていて、顔を真っ赤にして硬直していると、ふふっ、微笑み椅子に戻る。

 

「いえ、良いわ。私の物(・・・)になってくれない子も時には良いもの」

 

 椅子に座って私に向けて放った言葉にゾクゾクッ!! とした。今回は最初のような曖昧なものではなく、背筋の凍るようなもの。思わず私は一歩後ろに下がる。

 それを見たフレイヤ様は、オッタルさんに何かを伝える。と言うかいつの間にオッタルさんはフレイヤ様の後ろに!?

 そう思っているとオッタルさんが私のところに来ると、

 

「もういいそうだ。メインストリートまで送ろう」

 

 お、おおう。もういいのね。

 とまあそんな感じでフレイヤ様との初会合は終わった。それから教会の地下室に向かったのだが、迷宮(ダンジョン)を出たときはまだ夕暮れだったのにすでに真っ暗になったメインストリートを走り抜け、教会までたどり着く。

 

「すいません遅くなりました」

 

地下室の扉を開けながらそう言うと、ヘスティア様はこちらを向く。ベルさんが見当たらないと思ったらステイタスを更新していたようでヘスティア様に跨がられていた。

 

「お帰りーアリスちゃん。待ってたんだよー?」

 

「ハハハ......すいません。私も後でいいですか?」

 

 ヘスティア様はニッコリと、笑顔で労ってくださった。それに苦笑いで答えながらテーブルにつく。ベルさんのステイタスの更新が終わったのかヘスティア様が次に座り、黒いインナーを着たベルさんも席につく。それを確認したヘスティア様が手を合わせて言う。

 

「いただきます!」

 

「「いただきます!」」

 

 三人で和気あいあいと晩御飯を食べる。

 私がつくったわけではないのでジャガ丸君だが、美味しそうに頬張るヘスティア様とベルさんを見ながら食べるといつも食べるご飯より美味しく感じる。

 十数分で食べ終わった私達はベルさんは皿を洗い、私とヘスティア様はステイタスの更新をしていた。

 

「なぁ、アリスちゃん」

 

「はい? 何ですか? ヘスティア様」

 

 不意に上から掛けられた声に声だけで返す。

 

「今日は帰りが遅かったみたいだけどどうしたんだい?」

 

「ああ、フレイヤ様? に呼ばれたので」

 

 私がそう答えると、そうだったのかー、フレイヤねぇ......といつも通りの雰囲気でいると。

 

「フレイヤだってぇぇぇぇ!!!???」

 

 いきなり大きな声を出して私の背中に針がブスッと刺さった。

 

「痛っ!!?? ヘスティア様っ! 針! 針っ!!」

 

「はっ! ご、ごめん! アリスちゃん!!」

 

 私の背中に刺さった針を抜いてポーションを振りかけるヘスティア様は落ち着きを取り戻して、再度私の背中に神の恩恵(ファルナ)を刻んでいく。少しして他の紙に共通語(コイネー)で記されたステイタスを確認する。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

Lv.2

 

 

 

《発展》

 

 

 

情報:G

 

 

 

《ステイタス》

 

 

 

力:F372→D528

 

 

 

耐久:D514→D581

 

 

 

器用:G291→E419

 

 

 

敏捷:C675→B742

 

 

 

魔力:B723→A867

 

 

 

《魔法》

 

 

 

[ボムバルーン+1]

・全性能微量上昇

 

 

 

《スキル》

 

 

 

第五唱聖(テイルマスター)+1]

・全性能微量上昇

 

 

 

盤面破壊(ワンダースキル)!+1]

・全性能微量上昇

 

 

 

孤狼焦心(フェンリスリーフデ)+1]

・全性能微量上昇

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 プラスがついた。

 いやーWLWにもあったけど、WLWに関係ないやつも+がついているのが謎。使用回数かなー+のつく条件は。

 

「アリスちゃん、フレイヤのところに行ったんだよね?」

 

 何時にもなく真剣な表情と声音でそう聞いてくるヘスティア様が何故そんなに真剣なのかはわからないがとりあえずそうなので頷く。すると、ヘスティア様は私の体をまさぐり、

 

「大丈夫かい!? 何もされていないかい!?」

 

「え、えっと......少し話したぐらいですけど......」

 

「は、話したのかい!?」

 

「え、ええ」

 

 何故かヘスティア様は慌てているがどうしたんだろう。

 

「魅了されていないかい!? 本当に大丈夫かい!?」

 

「魅了? 状態異常は[盤面破壊(ワンダースキル)]で弾けるはずですけど」

 

 魅了は迷宮(ダンジョン)の二十五階から二十七階で出現する〈マーメイド〉の歌声を聴くことで発生する特殊な状態異常だ。普通の対異常では防げず、耳を塞ぐか強靭な精神力が必要らしい。私の場合は[大きくなるよ!]で弾けるっぽいのだが、なぜ聞くのだろう、

 

「一部の女神は子供達(キミたち)を魅了できる種類がいるんだ」

 

「なるほど、フレイヤ様はそう言う種類だと言うことですね。大丈夫そうですけど」

 

 ヘスティア様は私がフレイヤ様に魅了されたのではと心配していたらしい。特に魅了された感じはしないが、フレイヤ様がものすごく好きなわけでも無いし、

 

「ならいいんだ、ふぅ、本当に焦ったよ」

 

「アハハ......すいません」

 

 本当に安堵したように息を吐くものだから申し訳ない気持ちになる。すいません。

 

「まあ、大丈夫なら問題ない。明日は早いんだろ?」

 

「はい、ベルさんは朝から潜るといっていましたし。今日で特訓は終わったそうなので、私は治療をしてもらいに行きますし」

 

「じゃあ、早く寝るんだ! 体は基本だからねっ!」

 

 ヘスティア様にそう言われては私は反論する必要は無いので今日は床にシートをしいてそこに転がる、ベルさんはソファーで、ヘスティア様はベッドに潜り込む。

 眼を閉じてゆっくりと息を整える。規則正しく息を吐いて吸う。それを数回繰り返すだけで私の意識は暗闇に沈んで行った。

 

 

 

 

 

 

 一人の男が迷宮(ダンジョン)を走っていた。

 男の名はカヌゥ。ソーマ・ファミリアの団員で、リリルカ・アーデから金をむしりとり私腹を肥やしていた人間の一人。

 一週間程前にリリルカ・アーデから奪い取った魔剣を使って威張り散らしていた頃の姿はなく、その男の本当の姿があった。

 無様に転げるようにして迷宮(ダンジョン)を駆け回る、仲間はすべて異常事態(イレギュラー)である牛人(ミノタウロス)によって殺された。そしてカヌゥも牛人に追いかけられていた。

 目の前の角を曲がったカヌゥはそこで表情が絶望に染まる。袋小路となっていたその曲がり角に後ずさると、背後からズンッ! と地響きを伴って死が顔を出す。

 カヌゥはその瞬間に赤色の短剣、リリルカから奪い取った魔剣を振りかざす。

 劣化した魔法が牛人(ミノタウロス)に突き刺さり爆炎をあげる。そして脚が止まる。それを見たカヌゥは狂ったように魔剣を振り続ける。

 その度に爆炎が上がり、そして

 

パキィン!

 

 使用限界を迎えた魔剣が砕け散る。

 カヌゥはそれを見た瞬間に硬直し、後先考えずに後ろへと、袋小路へと逃げ込む。

 後ろからはズンッ! ズンッ! と地響きが繰り返され、死が迫ってくる。銀色に光る大剣は脳漿や血液によって赤黒く染まり、カヌゥもその一つになるのだと言ってくる。

 カヌゥは袋小路の壁際に追い詰められ、顔を様々な液でぐちょぐちょにしながら自身の剣を構える。

 もはや自棄になったカヌゥは剣を構えて突進をし、壁を彩る赤い染料に変わった。

 牛人(ミノタウロス)はゆっくりと歩き出す。白髪の少年を、兎のような少年を探して迷宮(ダンジョン)を闊歩する。そこは彼がいるべき中層ではなく、初心者や少し力を付けた程度の冒険者が集まる上層の十階だと言うこと。そしてこれからすぐに白髪の少年が来るわけではなく、その間に幾人もの犠牲者が出ること。

 それを地上の冒険者達は愚か、神ですらも知らない。知っているのは迷宮とたった一人の美の女神だけだと言うことを。

 

 




いかかでしたか?

終わらせ方こそ微妙ですが、次で原作の三巻が終わります。
誤字報告を毎回毎回ありがとうございます、本当に助かっています。



今回の新要素

(+について)

WLWではカードが被ったときに入る補正で、基本的には消費MPの減少で一定数になると効果時間延長や効果上昇等の強化が入る。この作品では全性能の微量(1~5%)上昇としています。



評価や感想など頂けたら幸いです。モチベーションにも関わるので是非ください(催促)

ふざけましたが、評価や感想、お気に入り登録等をこのような作品に頂けて感謝が絶えません。本当にありがとうございます。

それでは次の作品でお会いしましょう。
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