午前中G28と一緒に洗車してから基地内に戻ると何やら司令室方面が騒がしい。
何事かと思ったらお兄ちゃんが執務中に不調を訴えてからトイレに篭ったっきり出てこないんだって。
それで心配したG36CやらMk23やらがオロオロしてるってわけか…
んー…まぁ考えられるのは幾つかあるな。食品系で死んだってことはなさそう。
体質的な所はこれもボツだな。今までこうやって腹関係で死んでたのは見たことない。
体質的によくやらかすのなら慣れてるだろうしそもそも隔週でやらかしてる。
寝てる時に腹を冷やしたか…まぁそんな事だろうから心配することはないけど。
「はいはいどいたどいた」
「え、417そっち男子トイレ!」
「あー?心配なんだろ?手っ取り早く確認するからちょっと待ってろ」
元男なめんな。今更男子トイレなんざにビビる私じゃないよ。
男子トイレ内に入り込むとあーうん…酷い臭いだ。まぁ完璧に腹を下してますね。
個室がロックかかっててそこから凄い音してるし臭いの発生源もそこだ。
「やっほーお兄ちゃん、げんきー?」
「しんでまーす…ぐぉぉぉ…」
「あーこりゃ酷い、いつから?」
「今朝から…」
「腹出して寝たでしょ?」
「……」
「はいはい、救護室から下痢止めと胃腸薬取ってくるから無理しない程度にお仕事がんばってよ?」
ビンゴ、お兄ちゃんはどうやら寝相か何かでお腹を出して寝ちゃったらしいな。
ウイルス系でやらかしてたらバイオハザードが発生して以前の調理班みたいなことになりかねなかったけど…
まぁ私達人形には関係ないこった。さっさと私は薬の用意とお兄ちゃん用のお昼の用意だな。
「417、指揮官はどうだったのですか?」
「んー?ただのぽんぽんぺいんだね、薬飲ませりゃなんとかなるよ」
人間にはよくありがちな事だから心配なし。ただ本人は死ぬほどつらい。
だから私達にできることって言ったらアフターケア位なんだよね。
あと下痢ってあんまり腹の中に残留させてもいけないみたいなんだよね。
所謂防衛反応で出してるらしいからさ。悪いのをそのまま押し流してるんだって。
それであんなすんごい痛みになるのが人間の体の不思議というか…不条理と言うか…
ちょっと残っててもすごい痛みになるからなぁ…まぁそのせいでお兄ちゃんもトイレフレンズなんだろう。
救護室の薬品棚を漁ってっとー…胃薬と下痢止めだね。夜中にまたグルグル来るんだろうけどね。
――――――――――――
「指揮官が腹を下した?」
「うん、念の為みんな近づかないようにね」
んー…お腹が逝っちゃったお兄ちゃんの為に作るのは…卵粥です。
水気を多く含んでグズグズ一歩手前のライススープって奴かな。
それに溶き卵を混ぜ込んでからお塩で味付けをした奴。ヤーパンでは病人にはこれって定番らしい。
きっとお兄ちゃんもちっちゃい頃とかこれを振る舞われたんじゃないかな?
で、念のために近づかないようにって言ってんのはウイルスの可能性危惧ね。
他に腹をやらかしてる人は居ないから多分違うと思うけどね…念の為。
感染性だったらもれなくパンデミックで基地がダウンしちゃうし。
「417?あれ、今日はもしかして417の手料理!?」
「残念、今日はお兄ちゃん用の別料理を作ってるだけ」
「じゃあそのおっぱいを揉ませろー!」
「はいはい、ダミーで我慢な」
「え?」
「ひゃっはー!!」
「本体てめー!!あにゃぁぁあああああああああ!!!」
ちょうど良いタイミングでダミーが通りかかったからダミーにけしかけた。
やつらも私と同じでおっぱいが太ってるから揉み心地は私と変わらんらしい。
ちなみにそうレビューしたのは他ならないG28である。あとは胸枕を堪能してるG11か。
んー…ちょっと味が濃ゆすぎたか。味見してみると塩味が効きすぎてる。
ただ卵の溶け込み具合は良いかな。香りもきつすぎないしお腹を温めるにはいいね。
他にもうどんって言うヌードルを振る舞うのも案としてあったんだけど…
それは時間がないのでボツ、手軽にさっさと作れるのはお粥だった。
さて、熱々な内に運んでから食べてもらいましょうか。
下痢で腹が痛くても確実に時間とともにお腹の中身は無くなっていく。
空腹と体調不良が重なるとかなり心細くなるんだよね。特に風邪とかで寝込んだ時。
私はまだ兄さんが傍に居たからそうでもなかったんだけど…料理は出来なかったからなぁ。
えーっと…ご近所のおばちゃんにヘルプ頼んだっけか。気前のいいおばちゃんだったなぁ。
「よし、出来た…G28程々にねー?」
「うへへ…うへへへ~♪」
「ぁぁぁぁぁぁ…」
G28が乙女らしからぬ笑みを浮かべて私のダミーにマウント取ってる姿は…もうこの基地の名物だな。
他に押し倒されてるのはお姉ちゃんかお姉ちゃんのダミーだな。私も隙を見せると張っ倒されるけど。
――――――――――――D08基地司令室・昼
「調子はどーお?はい、お薬とお昼だよ」
「ぁー……」
「無理のない程度で良いから食べてね?」
飲水と一緒にお薬とお粥をトレーに乗せて持ってくるとお兄ちゃんは気怠げ。
うーん、お腹の痛みが原因だろうけどつらそうだなぁ…お腹を暖めたらマシになるんだけどね。
トレーを置くと意外そうな顔して私を見上げてくる。
「これ、417が?」
「ん、消化に良いかなって」
一口食べてみるとお兄ちゃん顔色変えて食べ始めた。食欲はあるみたいだね。
まぁゲロったりしてなかったしお腹の痛みだけだからへーきだろうね。
食べれば食べるほど顔色は良くなっていくな。お粥パワー恐るべし。
それともお兄ちゃんに流れるヤーパンの血がそうさせてるのかもね。
ヤーパン人はお米と味噌だけあれば一週間は戦うって言うしね。
熱々だったんだけどそれも気にせずお兄ちゃんは直ぐ様平らげちゃった。
お薬も飲んでから満足そうに椅子に身体を預けてる。
「夜も消化に良さそうなのを作ろうか?」
「いやー…良い、普通に食堂に行く」
「ん、でも無理そうだったら私に言ってよね」
「おう、ありがとよ母さん」
「……?」
「あ、いや…」
あれかな、信頼を置きすぎて気安さ的についママって言っちゃった奴?
友達にも居たな、間違って母さんなんて言って爆笑されてた子。
ママと同じくらいに思われてるのは良いことなのかな…?
「もう一回言ってみてもいーよ?」
「勘弁してくれ…」
「ふふ、こんなちっちゃいママはないもんねー」
空になった食器を下げてっと…ふふ、ママか♪帰り道はとってもルンルン気分でした。
このお粥ってのがもしかしたら所謂家庭の味ってやつだったのかもね。
ヤーパンの家庭料理今度研究してみようかな…若しくは端末をハッキングして…
――――――――――――
夜中、やっぱり薬の効果が切れるとお兄ちゃんは無事トイレフレンズとなりました。
ただ今度は出来ったぽくて出てきた後は幾分スッキリした表情だった。
皆心配して様子見てたけどそんなお兄ちゃんの様子にほっと胸をなで下ろしてから戻っていった。
「でもここで寝ちゃうんだね…これだからお腹下したんじゃないの?」
残ったお仕事を片付けていたんだろうけど疲れからか机の上に突っ伏してた。
様子を伺うまでもなく…完全な寝落ちだね。司令室は空調もクソも無い。
夜になれば冷え込んでかなり寒くなる。多分そうなったら否応にも起きるんだろうけど。
そうなったらもうお腹は冷え込んで内蔵が悲鳴をあげるんだろうな。
今回の下痢騒動の原因がわかった気がする。副官は就寝まで見届けないといけないな。
「よっこいしょ…」
肩に担いでから私室まで運んで行ってっと…電子ロックを外してから入り込む。
ぶらんと垂れ下がった腕が私のおっぱいに当たるが別にどうでもいい。
ベッドに寝かしつけてから上着を剥ぐ。それからその下のYシャツとズボンを剥いで…
パンツ一丁の姿になるまで剥いでお布団を被せる。これで良いだろう。
じゃあ後は上着とズボンをハンガーに掛けてからYシャツと靴下はお洗濯物として回収っと…
「………」
寝相で蹴ったりしないかな…誰かが重しになったりしたらそうでもないかも…
お兄ちゃんのことを想っての行動だから文句は言わせなーい…
*衣擦れの音* *布団をめくる音* *スプリングが軋む音*
「わぁ元気…ちょっと…ちょっとだけ…」
翌朝、隣ですやすや寝る私を見てお兄ちゃんが転げ落ちた。何をしたかって?
言えるわけ無いじゃん。お兄ちゃんのためにも私のためにも…
ただお兄ちゃんの事を想っての慈善行為です。スッキリはしてると思うんだ。
お兄ちゃんも調子は良いみたいだし良いじゃん、些細な事はいいっこ無し。
けぷ…ふぅ、苦かったな…喉に絡むし癖が強いなぁ。でも美味しかったかも、何度も飲んだら病みつきになっちゃうかな?
さぁ何をしたんでしょうねー?