「うん、この衣装可愛いね…」
「今日のために頑張った甲斐がありました!」
結婚式までの間に空いた時間を見つけてはダンスレッスンに明け暮れて…
さらに言えばボーカルレッスンもしていて3人の息は完全にぴったりとあってる。
私は正直まだ不安があるっちゃあるけどP38は思いっきり愉しんでと背中を押す。
衣装はと言うとほぼお揃いだけど細部が色違いなアイドル衣装。
私はピンク、P38がイエロー、PP-90がブルーでトリコロールカラーです。
基本形状は変わらない、ただ私がどえらいでっぱいだから調整が難航したなぁ。
ダンス中にたぷんたぷん揺れて揺れて私だけダンスが乱れちゃってなぁ。
体幹を鍛えてからなんとか最近は…ってところだけど…大変だった。
普通に趣味のダンスと一緒かなーなんて思ってたけどそんな事は無かったよ。
一糸乱れず踊らなくちゃいけないし歌だって合わせなくちゃいけないパートがある。
自分のパートを抜かしたらそれはそれで大変だし…はーもうしんどかった。
でもこのダンス合わせとか衣装合わせしてーってしてる間に仲はすごく良くなったかな。
今日はと言うと私がD08基地を飛び出してからS09地区にお邪魔している。
やることは勿論唯一つ、ゲリラライブですよ。P38お得意のゲリラライブ。
私の存在っていうのは勿論の事だが知られちゃいない。
このライブが終わった後はさらにS09地区にまたお邪魔して出来上がっているドレスのフィッティングだ。
大変だったけどさ…私の大変さってそうでもないし…むしろP38とかの方に負担があるよね。
これがウェディングドレス代の代わりっていうの本当に良いんだろうか?
「で、この人形劇が終わった後に?」
「結構やってますから期待半分なお客さんも多いと思いますね」
「で…なんでスチェッキンがここに居るの?」
「そりゃぁ勿論商売、良い稼ぎ時なんだから頼むよー♪」
P38関連グッズをこれでもかと…PP-90のグッズもあるな…ふーん。
財政状況がきっついって感じじゃないはずだけど…商魂逞しいというかなー
「ちなみにキミのも製作予定」
「おまっ」
「一度と言わず不定期で良いからゲストで来てよ、ね♪」
「人妻をマジなアイドルにしようとするのはどうなの…?」
「可愛ければ良し」
良くねーだろ、アイドルって偶像だぞ…男が夢見るのはそんな見目麗しい子とあわよくば…みたいなのだぞ?
既婚でそういうのが許されるのはあれじゃない?役者だったり歌手じゃないの?
まぁ可愛さっていうのは私もそこそこ自信あるよ?元男目線で言えばシコリティ高いボディだし。
顔の造形だってお姉ちゃん譲りでかなり可愛いしねー背もちっちゃいから良いし。
まぁ良いか、今日一回限りのつもりだしなー…ウケが良かったら続けても良いかもだけど。
「メイクは?」
「OK」
「衣装もばっちし」
「後は楽しく歌って踊っていくぞー!」
「「「おー!」」」
とまぁ初めての舞台裏ってやつで気合い入れて私達の出番が回ってくるのを待つばかり。
会場に集まってる人間達の熱気っていうのがちょっぴり伝わってこなくもない。
ただちょこっと見える会場席は…うーん、今やってる人形劇を楽しみにしてるって感じじゃない。
やっぱりスチェッキンの屋台で買ったっぽいうちわとかが目につく…
「ねぇこれ本当にゲリラライブ?」
「ゲリラライブですよ、全然告知してませんもん」
「にしてはP38目当てっぽい客が多いんですけど?」
「ワンチャンにかけてる常連さんですね」
出現率が高いからって毎回来てるのね…その熱意はスゴイと思うな。
聞いた感じどのゲリラライブにも顔を出してる猛者がいるらしい。暇人かよ。
「ん、人形劇が終わったね…」
「じゃあ行ってみましょうか最初はPP-90ちゃんがセンターのBEYOND THE STARLIGHTですね」
「アタシにちゃんとついてきてよ!」
予告にあったステージ公演はここまで…アンコールなどもない。
人形劇を楽しみにしてきていた感じの家族連れや子供は帰ろうと席を立っていた。
アナウンスも流れてさぁ閉幕ですよといった流れ…まぁ打ち合わせ通り。
「ちょぉぉぉっと待ったぁぁぁ!!」
大音量で響くP38の声に客が沸き立つ。帰ろうとしていた連中の足も止まる。
すかさず流れ出すイントロ、始まる前に皆顔を合わせて頷く。
此処から先はアイドルの世界、皆を引き寄せて逃さない覚悟で行こう。
慣れない衣装だけどどうとでもなる!ステージ上に走っていく。
さぁ私達のステージライブの開催だ!うわ、スポットライトが眩しい。
会場はまぁP38のファンが多数でP38コールが耳につく。
出だしの一発はTheアイドルソング。2分ちょっとのダンスと歌。
結構緊張したけど自然体で踊れたと思う、軽くハイになってるのを自覚する。
絶対こんなの恥ずかしくなって途中でボロが出ちゃいそうって思ってたけどね。
「みなさーん!こんにちはー!!」
「「「「こんにちはー!!」」」」
「うーん、いい声だと思います!ね、PP-90ちゃん!」
「そうかな?アタシ的にはもっと出ると思うな…もう一度、こんにちはー!!」
「「「「こんにちはー!!!!」」」」
「よぉし!!今日も今日とてこんな突然のライブでごめんなさいねー!」
一曲終わってからアイドル組が慣れた感じでトークを始める。
コールアンドレスポンスもいい感じで会場のボルテージも上がってきてる。
PP-90の知名度はそうあんまり…って感じだけどファンが根付いているみたいだ。
P38グッズが多い中PP-90グッズを早速装備して応援している人間がちらほら見える。
で、私は一言も喋らずにっこにっこしてお客さんに向かって手を振ってみたり。
「今日はとっても可愛らしいメンバーが一人居るのは皆さんもお気づきでしょう!」
と、ココで私にスポットライトが集まる、P38の言葉どおりで普段は絶対に見ない人物が一人混じってたらそりゃ各々疑問に思うだろうさ。
一歩足を踏み出してから大声を張り上げるぞー
「こーんにーちはー♪」
「「「「こんにちはー!!!!」」」」
「P38ちゃんは可愛いですかー?」
「「「「めちゃくちゃかわいいー!!!!」」」」
「PP-90ちゃんはー?」
「「「「かわいいー!!!!」」」」
「さて私は誰でしょう?」
「とか言って困らせないでください、417ちゃん」
「あー、ひどーい謎の女の子ムーブしたかったのにー」
「今回限り…の予定のHK417よ、覚えていってあげて!」
「という訳で今回のライブ限りの予定ですけど、こんにちは♪反響が大きかったらまた来るかも?」
「もう一回417ちゃんに来てもらいたいかー!」
「「「「もっかい!もっかい!」」」」
なんていう風にトークしていってからステージの方に問いかけてみると案外反響がある。
うーん、ちょっと続けてもいいかな…なんて欲が私の中で鎌首をもたげるぅ…
「まぁそれはそれとして次はあの曲行ってみましょうか!」
「皆覚えてるよね?流れ星キセキ!!」
これもまたバッチバチなアイドルソング。このステージ衣装はこの楽曲用らしいけど…
まぁそんなのはどうだっていい!さぁ二曲目も目一杯歌って踊って盛り上がろう!
私達の輝き、皆の心に届いたら良いな。
――――――――――――
私センターのLove∞Destinyもつつがなく終わってアンコールとかもあった。
流石にそれには私のレパートリーが追いつかなかったからなぁ…
アイドルソングじゃなくて他に私のソロステージにしてしまって極楽浄土とか歌って踊った。
私の名前でコールがかなりあったのは嬉しいかも…これがアイドルかぁ…
P38が夢中になるのも分かるような気がする。まだ熱気が私を包んでるような気がする。
で、今はって言うと…S09基地にお邪魔している。エルフェルトがにっこにこでドレスを着せてくれる。
「おかしいですね…データ通りに作ったはずなんですけど…」
カップなどは無いからキツくても着れないことはない。データ自体はブラ改修時点だよな…ぐぐぐ…
チューブトップみたいになってるドレスだ…真っ白で腰や胸元に白いバラのコサージュが彩られている。
歩きやすいようにか…それともダーリンを喜ばせる為か…
ロングスカートなんだけど前部分だけはミニ丈になっている。
白いソックスにガーター…ヴェールとウェディングティアラを頭に載せてもらったら…
「…これが、私…」
「よくお似合いですよ♪」
長い手袋もして全身純白に染め上げられた私が姿見に映し出される。
後はブーケを持てばいつでもヴァージンロードを歩んで行ける。
「ありがとうございます…なんてお礼を言ったら良いかな…」
「お礼は良いですよ、ほら女子の一世一代の晴れ舞台用の衣装ですから!」
お手製とは思えないこのクオリティだよ…というかこんな良いドレス本当に良いのかな。
宝石の類はダーリンが素材をどっからか調達して送りつけてたな。
「ともかく、胸以外は問題ないですね?」
「はい、バッチリ過ぎて怖いぐらい」
「それでは明日、目一杯見せつけてやっちゃってください!」
明日…明日、遂に結婚式か…実感がちょっと薄いような感じがする。
こうして準備してもらってるけどまだ夢の中のような気がしてならない。
ちょっとの手直しをしてから明日このドレスはD08に納入されて…
さてと…D08基地に戻ってから明日に備えておきましょうか。
――――――――――――
「ただいまー…って何々?何がおこって…る…?」
「あら、417じゃない。おかえり♪」
帰りついたのは深夜、記念にアイドル衣装を貰ってきたんだが…
それはそれとしてにわかにざわついていて何のことかと思っていたら…
その渦中にいたのは…灰色のサイドポニーが目印、45姉だ。
かなりご機嫌なのが真っ先に疑問に浮かんだんだが…違和感に襲われる。
さて、他の基地にも配属されている事が多いUMP45という人形はどうであろう?
各基地の個性が多少なりとも出るだろうけど割と常識人だけど色々と含みがあったり腹に一物抱えてるよねってイメージ。
あと胸がぺったんこで本人は気にしてるしネタにすると漏れなく鼻を差し出すことになる。
私がここで違和感を感じた場所が一つあるんだ。この45姉…気の所為じゃなかったら胸が揺れている。
9姉と同じで着込んでいるから目立ちにくいんだけど…この45姉揺れたぞ?
「嘆きの壁じゃなくなっている…?」
「あの育乳サプリ効果あったわ、良いじゃないこれ♪」
遅効性でじわじわと膨らんでいってるらしい。普段の食事+αで糖質、脂質を摂っていたらしい。
ちなみに45姉はいっくら食べても身体にそういうのが着かない体質だった。
それが改善…いや、改悪?わからん…本人にとってはかなりの改善だろうな。
あとは現実的なところで考えると非常用のエネルギー源ってところかな?
「目指せ416サイズね♪」
「そこまでデカくなるかな…」
披露宴で一波乱あるな…他基地の45姉が来たら絶対に一波乱待ったなし。
パッと見じゃ判別しかねるが…C後半は硬いな。
舞台はS09地区の町中。衣装はNewジェネのステージオブマジックですね。
417ちゃんおっぱいマウスパッドとかがスチェッキンさん所の屋台に並ぶかもね。