元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん   作:ムメイ

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独自解釈を振り回していくぞオラァ!!


Day131 当たりました

なんだろう、凄く酸っぱいものが食べたくなっている。

それになんだろう……朝からずーっとだるい様な感じがして身体が重いというか……

異常か何かと思うけどセルフチェックでは問題なしって出るし念の為に工廠に行ってメンテナンスツールで確認しても問題は無し。

では何だろうか?と思っても全然心当たりが無くてこれが困ったものだ。

メンタル的にもココ最近はずーっと嬉しい事ばかりだしダウンするような事はない。

 

「あー……」

「むぅ……」

 

おんなじようになーんかダル気なのがヴィオラ。他のFALとかは元気にツヤツヤ顔で出ていったんだよね。

私達だけ共通するような変なプレイしたっけ……?いや、普通に愛し合ってたよね?

うーん……プレイ中も何ら変な感じはしてなかったし……普通に気持ちよかったし……

まぁ取り敢えず朝ごはんだ。何事も朝ごはんを食べてからにしないとね。

食べれば何とか元気が出てくるでしょ。もしくは大人しく一度眠るか。

ただ朝から二度寝っていうのは勿体無いのでボツだ。飯だ飯。

ちょうど良いし食欲煽るお酢でも使ってやろうかな……身体にも良いらしいよ。

人形の身体には関係ないんだけどね!でも豊富な調味料があるのは良い事。

 

「今日の朝は何だろうねー」

「何でも良いが……重たいのは勘弁願いたいな」

「そうだね……レモンがあったら良いな」

「みかんでも良い」

 

こういう時はあんまり重いのを食べるとよろしくない傾向にあるからね。

気分的に更に急降下するかもしれないからかる~くで良いんだよね。

最悪私達だけ別の料理を作って食ってるのも良いかも。変な悪影響があるかもしれないから隔離していても良いし。

変な感染症とかに引っ掛かっている?いや、それは無いか人形だし。

あくまで人形は生体部品を大量に使って人間と同じ様なライフサイクルを再現しているだけで……

完全に似せているわけじゃないし病気にはならないし休憩だって本来は必要ない。

代謝機能等はあるけれど態々そんな脆弱性まで再現することは無い。

ともなればますます持って私とヴィオラのこの不調が不可解なんだよなぁ……

 

「お、ラッキー今日の朝はご飯にミソスープ……それにサラダか」

「そうだな……」

 

朝からグロッキーなのは私とヴィオラとメチャクチャ朝に弱いグローザくらいか。

夜中に諜報活動しているみたいで深夜のかなり遅くまでしているっぽい。

マカロフが止めるんだけどコレが聞き入れられることが無く大体いつも朝死んでる。

 

「今朝から調子悪そうね、大丈夫?」

「うーん……ウィルスとかじゃなさそうなんだけどねー……」

「わからん……食えばなんとかなるだろう」

 

サラダにコレでもかとお酢をぶっかける。うーん酸っぱい匂いがたまらん。

 

「そんなに匂わせて……そんな趣味だったかしら?」

「いやね、すっごく酸っぱいのがほしいの」

「同感だ……これでも足りないくらいだ」

「……」

 

お姉ちゃんが怪訝そうな顔で私とヴィオラを見ているけど黙っている。

あんまりにも匂わせているから苦言を言いたいのかな?でもこうでもしないとマジ……

 

「「うまー♪」」

「……あれ、美味しいと思う?」

「わたくしはノーコメントよ」

 

驚異的な酸味が私とヴィオラの食を進めるぜ、ヒャッハー

変に調子悪い感じも吹っ飛んでいきそうだよ。これで後はちょっと調子を見てからまたお仕事だね。

今日のお仕事は何だろうか……廃棄施設の巡回だろうか?それともカチコミ?

 

 

――――――――――――

 

 

「「おぶぉぉぇぇえぇぇええ……」」

 

朝食後るんるん気分でいたらいきなり吐き気を催して二人してトイレに駆け込んでいた。

その一部始終をスプリングフィールドに見られて凄く心配された。

うーん……私もヴィオラも変にメンタルブレイクするような事はしてないけどなぁ……

 

「なんでかなぁ……」

「わからん……特に過去のトラウマを抉られたワケでもないぞ……」

 

二人して首を傾げるけどさっぱり回答が思い浮かばない。食欲はね……

これがあるんだなぁ、まだまだ酸っぱいのが欲しい。凄くなうでな。

酸味の効いた美味しいものって何かあったっけ?うーん……献立を考えよう。

今日は多分だけど私とヴィオラは動いちゃいけないんだと思う。

どんな任務が舞い込んでるかは知らないけどお仕事中にゲロったら大変だし。

それがこの前みたいなキャンペーンガールだったら尚の事大変よ。

カチコミならまだ良いけどね。カバーが効くし最悪張り倒した相手の顔にぶちまければいいし。

 

「まぁ動けるなら戦闘系の任務に就こうか」

「そうだな……私がゲロるのはもう日常茶飯事だしな……」

「慣れていこうね」

「慣れたくはないな……」

 

人殺しに対しての忌避感が強いなぁ。私も忌避感抱えてたけどもう払拭しちゃったし……

割り切れなかったらそのままズブズブと自分の心を病ませるだけなんだけどなぁ。

まぁこの変な人間臭さがヴィオラの良いところだから無くしては欲しくないか。

さてと、二人揃って司令室に行ってから現状を伝えてから指示を貰おう。

 

「聞いたわよ、二人して吐いたそうね?」

「お姉ちゃん……あぁ、まぁそうだね」

「今朝から何処か調子が狂っているしな……心当たりがあるのか?416」

「あるわよ、それこそ人形ではありえない事だけど」

 

お姉ちゃんがこっち見つけてすっ飛んできた。スプリングフィールドから吐いた情報聞いてるっぽいね。

酸っぱいのを求めるのとこのゲロ吐きに心当たりがあるのか……流石お姉ちゃん。

しかし私とヴィオラに何が起こっているのかははっきりと伝えてはくれない。

深刻そうな顔じゃないから活動維持に関わるようなことじゃ無さそうだ。

で、これはなんだろう?スティック?これ何処から仕入れたの?

 

「I.O.Pから順調ならそろそろって言って送りつけてきたわよ……アンタ達また変な実験に付き合ってるでしょ?」

 

これには二人揃って目を瞬かせる……はて?

 

 

――――――――――――

 

 

「「陽性……」」

「まさかのまさかね……」

「これ何?」

「妊娠検査薬よ……」

 

ほへ?妊娠検査薬……にんしん?ようせい?あ、あの実験薬マジで利いてたんだね。

へぇー後天的に人形の身体に卵巣をこさえるナノマシンって本当に……

 

「「うぇ?」」

「だから、アンタ達子供を身籠ってるのよ……というかまた大騒ぎよ……」

 

子供?べいびぃ?わーおおめでたー……え?私マジで妊娠しちゃってるの?

夢か?これは夢なのだろうか?いや、ほっぺたを抓ってもガチビンタを自分に食らわせても全然醒めんぞ。

 

「あの時のアレで身籠ったのは流れたし……主人のだよな……」

「ダーリンの赤ちゃん……うへ、うへへへへへ……」

 

私は間違いなくダーリン以外と肌を重ねたことは無い。出してもらったこともない。

つまりダーリンとの子供で間違いない訳ですよ、うへ……うへへへ……

あれ?お姉ちゃんは何処へ行った?ははーん?さてはI.O.Pにアレを強請ってるかな?

人類今減少傾向だし非生産的と言われる人形との婚姻も増えているし……

この臨床実験が成功になればそれこそI.O.Pの独壇場ってなるわけで……

やっぱまだテストの母数は欲しいかもしれないし……ワンチャンあるかな?

 

「とりあえずダーリンに報告だね♪」

「ん……そうだな、産んでいいかも聞かねばな……」

「いや、そこは産もうよ。愛した人との宝だよ?」

 

ねっ♪と言ってから弱気なヴィオラの肩を叩く。過去に何があったかは詳しく話しては貰ってないけど。

が、しかし……ヴィオラの表情は晴れない。よっぽどつらい過去があるのだろうか。

キャンペーンガール中も男の好機の目線や好色の目にかなり嫌悪感を感じていたみたいだし……

最初ダーリンに抱かれる時も半分泣き叫んでいたような……まさかなぁ……

この異様なまでの男性との接触恐怖症というかなんというか……"お楽しみ"していた連中に向けていた憎悪……

導き出される答えというか……予想は女の尊厳を踏みにじる行為だな……

 

「少なくともここ一ヶ月ちょっとはダーリンとしか寝てないでしょ?」

「まぁ……そうだな……」

「ならダーリンとの子で間違いないでしょ、子供ってそんなに簡単に出来上がるもんじゃないんだよ?」

「……そうだな……あぁ、だからあの時は流れたのか」

 

 

――――――――――――

 

 

「にん……しん……?」

「大マジよ、ついにI.O.Pがやりやがったのよ」

「はい、ダーリンのクリティカル判定♪」

「うわ、マジかよ……え、じゃあ俺……パパになるのか?」

「そうなるな……ついでに、私もだ」

 

妊娠検査薬の陽性を見せつけるとダーリンも執務が完全に止まる。

追い打ちのヴィオラからの提示もあって更にフリーズ。思考が追いついてないな。

 

「その……私の子供だが、主人との間の子とは限らん」

「え?」

「黙っていたが……私は過去に性的暴行を受けている……I.O.Pの差金でな」

 

一気に執務室内の温度が凍てついていくのが肌で感じる。

このカミングアウトには私もお姉ちゃんもダーリンも固まってから……ふつふつと怒りが湧いてくる。

 

「………関係ないな。お前の子なら俺の子供に違いない。そんなに疑うんならもう一人拵えてやるから覚悟しろ。ついでに416、諜報班を呼んでこい、I.O.Pの腹の中を漁るぞ」

「正気?流石に出来たての諜報部隊で勝負を仕掛けるのは」

「じゃあウチの嫁にやらかした連中をほったらかしにしろって言うのか?」

「そうは言わないけれど少し冷静になりなさい、頭に血が登って冷静さを欠いたら勝てるものも勝てないわ」

 

うーん……おめでたい雰囲気から一変したけどダーリンは誰との子であっても自分の子に間違いないと育てるんだろう。

雇い主とも言えるI.O.Pに喧嘩を売るような行為も辞さないか……

 

「で、では……私は、この子を産んでも……」

「ったりめぇだろうが、むしろ良くやった……元気な子を産んでくれよ」

「う……ぁ……あぁぁ……」

 

ボロボロと大粒の涙をこぼしながらヴィオラの嗚咽が続く。

 

「SOPダミーのデータからサルベージした研究員から漁っていけるかも知れないわ、続報をまっていて頂戴」

「なんでも良い、下手人を見つけたらとにかく殺せ」

「了解よ、マイダーリン」

 

そうして私とヴィオラの妊娠騒動から大規模なI.O.Pへのカチコミ作戦が勃発しようとしていた。

SOPダミーに紐付いているとなるとI.O.Pでも特別な権限を持つ16Labって部署じゃないかな?

味方につけれたら心強いだろうけど……




はい、という訳で人形でも後天的にカプセル等で人工卵子を生成するってヤツ。
ヴィオラはヴィオラの外観から設計されるDNAデータを
417は417のDNAデータをねじ込んで卵子に落とし込むってヤツ。
そして忠実に再現された子宮の中で受精卵を育んで子供をつくりゅの。


???「あぁ、あのクソ外道な実験した連中?私の権限で更迭中だから居場所も全部リークできるし警備も無効化できるよ?」

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