私の朝は早い、毎朝早く起きては朝食を作らなければならない。
それも一食だけでは済まない、私達家族はかなりの大家族。
家族全員で換算すると……何人に膨れ上がるかって?それはもう桁が違うわ。
そもそもだけど重婚だからね、最初の結婚式で9人だもんな。
「ふぁぁぁぁ……おはよう」
「おはよう、ダーリン」
朝からお仕事に向かう私の夫、ディーノ・タカマチが寝室から降りてきた。
鉄血とのゴタゴタが落ち着いた最近ではG&Kのお仕事もちょっと落ち着けてから……
前線基地から身を引いて内地でカフェG&Kの運営と治安維持の方に移った。
ちょっと稼ぎは……いや、カフェの方がかなり盛況だから今のほうが良いかな?
「おはよー……ママ……パパ……」
「おはよ、ネーナ」
ネーナとは私とダーリンの間に産まれた子供でこの世界における最初の人間と人形との間の子である。
もう小学生もなって初潮も来た健康そのものな女の子だ。
私の遺伝子を強く引いているのか見た目はそれはもう可愛いものだ。
学校のマドンナ的な存在になっているんだ。おまけに小学生とは思えないとんでもないナイスバディだ。
ダーリンの遺伝子がいい具合にマッチしてから背丈はもう私より大きい……
母親としてはすごく微妙な所だけど娘の方がもっといい女になるのは良いね。
ちなみに私が作っているのはダーリンと娘のネーナの分と……
「あら、おはようシーナ、手伝うわ」
「ん、おはようフローラ」
嫁の一人が起きてきた、FAL……カフェの看板娘の一人だ。
戦術人形だった頃だったらFALって言い合っていたけどカフェで働き出した時から人間名を呼びあっている。
という訳で家庭内でも普通に人間名で呼び合っている。
もう私達は人間に紛れて生活を送っている、もう銃を握ることはよっぽどのことがない限りは無い。
たまーに犯罪者がドンパチしてると駆り出されるけどね。
「はい、ダーリンとネーナは先に食べてて、ママはまだ他の子のご飯を作るから」
「おーう……シーナおっぱい……」
「もう朝飲んだでしょ!」
「ママ、私にもおっぱーい……」
「いい加減乳離して?」
もそもそとテーブルについたダーリンと我が娘はそろって私のおっぱいをせがむ。
そう、この娘は私のおっぱいをまだ飲みたがるのだ。ダーリンの血強い。
この子3歳になっても平気な顔しておっぱいちゅっちゅしてたしなぁ……どうしてこうなったんだろう。
ちなみにお昼寝してると大体吸われている、気持ち良くて目が覚めちゃうんだよね。
「ソフィアはまだおねんね?」
「まだ呑気に寝ているわ」
ソフィアはFALの子供でネーナに遅れて一ヶ月……つまり私がつわりでゲロった翌日には仕込まれてた子だ。
亜麻色の髪の乙女というのが似合う美少女だ。この子もまた小学生離れしたナイスバディ。
朝早いのは私とFALと……あとはお姉ちゃんくらいか?
ヴィオラとかは案外朝が遅いからね、平成の時からずーっとそうだったらしい。
「おはよう、今日も良い朝ね」
「お姉ちゃん、おはよ♪」
さぁ朝はこれからです、お料理が終わったら次はお寝ぼけな嫁仲間を起こさなくちゃ。
カフェG&K、D08支店。それが私と嫁仲間が働くお店だ。
美人の店員と美味しい自家栽培コーヒーとスイーツ各種が自慢のお店だ。
さらに軽食、ランチ等も対応していてからお客の入りはかなりあるよ。
今日も元気に開店と同時に固定客の皆さんが押し寄せてくる。
「いらっしゃいませ、カフェG&Kへ♪」
従業員は多く身内で固まっているから気安いし統率も何も家族だしね。
案内は近くに居たウェイトレスがやって……お料理は全員できるし……
オーダーに合わせて交代していく感じだ。
大体はスプリングフィールドが居たらどうとでもなるんだけどね。
今はモーニングタイム、お仕事に行く前のサラリーマンや打ち合わせをする感じの人達……
お勉強に勤しむ学生等が多い。大学も近くにあって利用客層は幅広い。
「モーニングセット、シーナさんのアイスで」
「はい、かしこまりました」
メニューはG&Kから言われている物もあるけど結構自由が効く。
そこでここD08支店では特別アイスなんかを作っていたりする。
シーナのアイスとは私手作りのアイスである。かなり甘みが強くてミルクの風味があるのが良いんだって。
他にも作っているのはミルクプリンにミルクレープ、ショートケーキなど。
基本的に私の担当はデザート類になる。
勿論他にも作るものはあるけどモーニング時間帯だとまず無い。
「はい、おまちどうさまです」
モーニングセットの内訳はコーヒーとマフィンバーガーだ。
毎朝早くから来たら焼き立てマフィンとカリカリで肉厚なベーコンが美味しい物が食べれる。
そしてデザートにショーケースに並んでいる物から一つ選べば贅沢な朝だ。
頭の栄養補給に訪れる人も多いし……今日も大賑わいな予感だ。
「すいませーん、注文をお願いします」
「はい只今おうかがいしますー!」
――――――――――――
慌ただしく過ぎていくモーニングタイムは過ぎ去ってアレだけ騒がしかったカフェの中は静まり返る。
この時間を狙ってくる客も居たりする、静かな時間が好きなんだろうね。
「ん?なんだろう……あら、あの子ったら」
私譲りの銀髪をポニーテールにして学校に行っている娘からのダイレクトメッセージだ。
携帯端末を開いて見てみるとそこにあったのは学校の花壇で育てていた花だろう物と……
「いつもありがとう」と書かれたメッセージカードと満面の笑みの写真が送りつけられていた。
ん?後もう一つのメッセージはなんだろ……
お昼にお店に行くからおっぱい飲ませて?あーもう……あの子はー……
「ねぇ皆、子供からメッセージ来てない?」
「来てますね……ふふ、そう言えば今日は母の日らしいです」
「なるほど……だからいつも恥ずかしがってDMなんかしないあの子が送ってきたのね」
D08基地に居た時と全く変わらない私達だけど皆お母さんになっていた。
スプリングフィールドは一男一女をもうけているしお姉ちゃんは双子ちゃんを授かっている。
ヴィオラはかなり欲張っておねだりし続けて今も妊娠してたりする。
アイツコレで三児の母だよ……ただ特筆すべきは女の子が多いことだね。
男児を産んでいるのは片手で数える程だ。
みんなそれぞれに娘、息子からのメッセージにニッコニコですよ。
「ウッ……ごめん、ちょっとお手洗い……」
うーんこみ上げるこの吐き気……いや、まさかなぁ……
妊娠チェッカープログラムちょっと動かすか……そう言えばゴムが不良品だった時があったような……
いくら稼ぎがあるからってここで私も妊娠とかしたらまーた家計が……
というか我慢している連中の抑えが効かなくなるぅ!
無事に吐いた上に妊娠チェッカーではおめでとうございますと通知がポップアップした。
あーあ、当たっちゃってるよ……
「もしもし、ダーリン?」
『ん?シーナか、珍しいな……お前が仕事中に電話かけてくるなんて。寂しくなったのか?』
「それはいつもだけど……聞いて、私の第二子がめでたくお腹に宿りました」
『マジ……?ってことは……』
「また子育てが大変になるからちゃーんと稼いでね、パパ♪」
『…………いぃぃぃょぉぉぉぉぉぉっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』
電話置いて駆け出したな……御年40のダーリンだけどまだまだ若い活力に溢れてるなぁ……
さてと……まだまだ動けるうちは頑張って働こうじゃありませんか。
「ママー!!」
「ネーナッ!?あ、ちょっとここでやったら……いやぁぁぁん!!」
「お、お、ロリ巨乳親子の公開授乳か!?」
「なにっ!?」
カフェG&Kは今日も今日とて騒がしくなっていくのでした
はい、という訳で12年後のこのメンバーです