「ねぇ見てみてダーリン♪」
「見てる見てる」
くるーりと身を翻して見せているのは今朝方届けられた私達9人のドレスだ。
9人っていうのが示している通り、届けられたのはお嫁連中です。
ドレスっていうのは結婚式で着たウェディングドレスの簡素版とも言うべきか。
華美なレースや花飾りを排したフォーマル風なドレスだ。舞踏会とかにも持ち出せるかも。
私のドレスはちょっとどころでなく露出が激しいんだけどね。
両肩?ばちくそ見えているし胸元だって深い谷間をこれでもかと見せている。
背中だって腰上までV字に見えちゃう物だから眩しいくらいだ。
それでもってスカートだってミニ丈で私の生足が覗いていてウェディングドレスにしてはいやらしく見えたかも?
一応の気遣いで薄手だけどロング丈のスカートがあって二重構造になっている。
しかし前はミニ丈しか無いので前から見たら普通に生足がみえるのである。
つまりこのドレスはフォーマル風ではあるけど普通にエロティックなんです。
私が着ているから?いいや、誰が着てもこれはエロティックになるわ!
でもどうしてかエロさの他にも可憐さを見せれるのはスゴイと思うな。
あ、一応ウェディングドレスは大事に取っている。また着てみるのもいいし……
「これでお外に出掛けてみるのも良いかも♪」
「それで?」
「うん、これで」
「……ほー」
ダーリンの目がちょっと怪しい光を見せた。うんうん、これは良い感じかも♪
「お散歩途中でムラっと来たら襲ってもいいんだぞー♪」
「は?お前犯すぞ」
「やーん♪」
「妊婦が盛ってるんじゃないわよ」
「あ"い"っ!?」
ごっちーんと頭に激痛が……お姉ちゃんのゲンコツが頭に降ってきたんだ……!
おごごご……背が縮むぅ……的確に真上から拳を振り抜いてくるから痛いんだよ……
まぁ確かに妊娠中のエッチはあんまり良くないと思うけどムラムラするんだもん!!
皆そろって夜はヒィヒィ喘がされてるのに私とヴィオラだけお預けなんだぞ!!
せめてご奉仕位させてもらっても良いじゃん!良いじゃん!!私だってエッチしたい!!
「良いからアンタは普段着に着替えてゆっくりしてなさい」
「はーい……」
「もう一発打つわよ」
「ひえっ」
――――――――――――
今日は移動用にと改造が加えられた装甲車両が納入された。
昨日は昨日でレオパルト戦車が納入されてるしこの辺りの情報は友好関係にある基地には伝えている。
特に補給路でもあるハブ基地にはしっかり伝えておかないとね。
補給というのは絶対に大事なものであるよ。いかに強力な物を揃えても動かせなくちゃ意味がない。
コブラの予備弾薬は纏めて送りつけられてるけどレオパルト戦車に関してはNOだしね。
それにどっちを使うにしても……いや、普通にヘリコプターを動かす際に燃料は大量に必要だ。
そういう観点からも補給基地にはきっちりと防衛強化をした事を伝えておかないといけない。
「で、これはなーに?」
「AGFサーバル、戦闘用車両」
「これいつ使うんだよ……」
バリバリ軍用のお古が回ってきた。この形から考えるにM-BのGクラスがベースか。
全長4.88 m全幅1.82 m全高1.87 m重量3.3 t乗員数4名か。
まぁ普通の乗用車レベルに抑え込まれているね。これなら悪路走破性も悪く無さそう。
それでいて備え付けのHMGがこれでもかと威圧感を放っている。
さらにはLMGのMG3を固定武装として備え付けていてこれに防楯も着けたら安全だね。
危険を最小限に留めて警備や反撃に出れるって奴だね。戦車隊の随伴になるのかな?
「で、こっちがARRグリフォン」
「これまたでっかくG&Kのロゴがはっつけてありますことー」
ブッシュガードにスキッドプレート、ロールバー等でガッチガチに固めて……
各外装、ドア周りを装甲材で固めた装甲車両が納入されてきた。
ベースとなったパジェロの原型は辛うじてとどめているけど……
見た感じの武装は無いけど何処かに武装があるんだろうか?
ボンネットにはコレでもかと素敵なOVMがくっついているな。
このデカデカとくっついているスペアタイヤにショベルとか好きだよ?
それにこれまた強力そうなウィンチまでくっつけちゃって……これはこれは……
グリフォンと銘打ったのはG&Kで運用することもあるんだろうけどね。
伝説上の生き物であるグリフォンと同じ様に強く早くって所なんだろうね。
「主任、武装は?」
「パッと見何もないだろ」
「うん、何もなく見えるけど?」
「はい、野郎ども、エンジンをつけなー!」
「「アイアイサー!」」
野太いディーゼル機関の音が響き渡る。おぉこれはスゴイ……早く走りそうだなー……
と思ったらボンネットの一部がせり上がってくるではないか。
取り付けられているのはリモコン操作式のMG3と見える。
そして後方ハッチにはこれまたデカイミニガンが設置されている。
うわー……これはスゴイけど……過剰防衛過ぎやしないだろうか。
「武装されているのはこっちのモデルだけでW型エンジン搭載型、ARRコメットは非武装だな」
「あれ?」
「アレ」
指で確認を求めた先には車体が跳んでいかない様にくっつけたのだろうか……
ごってごてのエアロパーツでダウンフォースを発生させるつもりだろ?ってパジェロイオの姿が。
防弾仕様にしているけどその中身はガッチガチのレース用ラリーレイドマシンだ。
兄さんが見たら食いつくこと間違いなしなカリッカリにチューンナップされたマシンだろ?
ちなみにARRとはArmordRallyRAIDの頭文字を取ったものだ。
W型エンジンを収めたボンネットからすんごい轟音が流れている……
「おぉ、これが今日来たマシンですか」
M14がこれに反応してきた。あーそう言えば何となくドライバーしてたことが多いな。
かなり前に後方支援の輸送護衛任務でも運転手を勤めていたしね。
興味深げにコメットを見ている。安全運転をしてくれると思うんだけどね。
取り敢えず私は妊婦だし危険に身を晒すつもりは無いからね?
運転するにしてもグリフォンぐらいでお願いするよ?私は赤ちゃんを怖がらせたくない。
「今日早速試運転ですか?」
「軽く誰かにって思ってたけどな、M14ちゃん乗るのかい?」
「はい♪」
「同乗で何人か選んでくれよ」
「じゃあG28ちゃんとスオミちゃんとスコーピオンちゃんを連れていきますね!」
これまた元気いっぱいにM14が走っていった……おぉーバルンバルンしよるって。
ツインテールも元気いっぱいおっぱいも元気いっぱい……整備班の目が突き刺さるぅ。
しかしピックアップの基準はなんだろうか?仲良しだっけか?
G28はまぁ同じRF人形仲間だしなぁ。スオミは同じ様にバルンバルンになった仲間……
スコーピオンは元々同じ部隊だったしその繋がりで……だろうか?
「ねぇ主任、サーバルはどうするの?」
「ん、まぁ誰かに……まさか417ちゃん?」
「ほら、ダーリンとちょっとドライブ♪」
「飛ばさないでくれよ……「ダーリィィィン♪」げぇっ」
――――――――――――
「で、こうなる訳か」
「いーじゃん、私もちょっと身体を動かしたかったし」
「ふむ、軽い刺激にはなるな」
「わたくしも誘ってくれたのは嬉しいわ、417?」
「こうしてドライブもいいでしょー?」
サーバルを動かして私が運転、助手席にはヴィオラ、後部座席にはMk23とダーリン。
時速40キロ前後でゆるーくドコドコと転がしていく。
ふわっふわのサスペンションがロードショックをきっちり吸収して極上に近い乗り心地を提供してくれる。
快適装備も各種揃えられていて中々……まぁ今の時期は走行風だけで良いんだけどね。
近くの悪路をかるーく走っているだけだけど私は楽しい。
ダーリンは執務の合間のちょっとした息抜きになるし……ヴィオラとMk23はまぁ普通にダーリンと一緒だから良いでしょ。
Mk23はこれみよがしにおっぱいの合間にダーリンの腕を抱き込んでいる。
「そういえば、この車内でヤれるのかな」
「ム……無理ではないか?」
「やっぱり降りてからじゃないと無理かー」
ちぇー、これだけデッカイGクラスボディなら普通に内部空間余裕かと思ったら……
「ん、後方からなにか来る……」
「なんだぁ?」
「あれは……」
バックミラーに何か土煙とヘッドライトの光が見える。何事かと思うが横に避けてみる。
あ、このエキゾーストはアレだ、グリフォンの音だと思う。
「イエーイ!」
「もっとじゃんじゃん飛ばそー!」
「いーじゃんいーじゃん!!」
「もう少しだけスピードを落としてぇぇぇぇぇぇぇ……」
M14の運転だと思うグリフォンがすごい勢いですっ飛んでいった。
多分時速は80キロは出てると思う。びょいんびょいん跳ねてたよ。
スオミの半べそっぽい悲鳴がドップラー効果効かせて彼方へと消えていく。
「やっぱり私とヴィオラは同乗しなくてよかったね」
「だな……最悪流れているぞ」
終始私は安全運転で基地までサーバルを転がした。
そしてガチガチな装甲車両に戦闘車両が並ぶ。