PPShー41にいろいろと妊婦がしてはいけない事、避けたほうが良いこと。
それから色んな心構えを聞かされているけど……これは避けて通れないのが……
「金欠だね」
「まぁいくらか本社やI.O.Pのサポートがあったとは言え一気にこれだけ揃えたらなぁ」
悲しいかな、現実的なお金の問題でございます。稼ぎはあったとしても一気に大きな買い物をしすぎです。
一応ながら私とヴィオラは妊娠初期段階、体質的なことは全くの不明。
だから流産の可能性もあるとして大事を取って安静にしていることを命じられている。
私とヴィオラの二人は基本的に動けないって事になる。他の人形が動けるからその子に頑張ってもらうしか無い。
私達で可能なお仕事と言ったら身体を動かさなくていい物に限られるかな?
若しくは……あ、そうだ……喫茶店を開いたりしたらちょっとは良いのかも……?
「そんな訳で拾ってきた仕事なんだが」
「んん?なーに?」
「フルダイブ式のモジュールのテスターだ」
「うわぁ……16Labってでっかく書かれてる」
持ってこられたのはこれまたアニメーションとかで見たようなヘッドギア。
脳神経に干渉して体感時間を1秒をかなーり増幅させる代物らしい。
これもまた実験段階の物で手慰みに作った代物らしい。
どうせ私とヴィオラが暇を持て余しているっていうのも知った上での事だ。
どんな実験をしてるかは存じないけど……私やヴィオラと同じ様な子宮環境を再現して色々試しているらしい。
現状では流産しやすい体質とかではないらしい。でもまだ経過観察中だから動くのはNG。
結局私の妊娠だってまだ実験段階であるのは変わりない。不安定なものだ。
「で、これで何をするの?」
「主に人間の娯楽用に作ったらしいけどな、テストプログラムを動かすらしい」
「ふーん……」
テストプログラムねぇ……そのテストプログラムがバグってたりしたらどうなるんだか。
というか娯楽用にって銘打ってるけどこれ実質あれでしょ……VR訓練用じゃない?
今は人形用だったりするけど人間にも使えるようにしていくって事かな?
電脳も脳味噌の電気信号とかを解剖、トレースしたものだからほぼ一緒と考えれる。
実際生身の肉体に電脳を乗せている人間も少なからず居るらしい。
あとは赤子の時に脳炎等を患った人間が手術に耐えれる年齢になってから電脳移植を受ける事もあったり。
お金さえかければ認知症等を患う事もなくなるっていうのが今の世の中だ。
ただかなり高額なので電脳移植を受けれる人間は極々僅かだし……手術失敗のリスクも大きい。
死亡確率は50%だったっけか。まだまだな技術だからどうなんだろうね。
「じゃ、工廠でさっそくやってきてくれ」
「うん、一応整備員が手を出さないように誰か見張らせて?」
「416に監視させるから安心して行ってこい」
――――――――――――
んん、今日はまた騒がしいな……I.O.Pのトラックと16Labのトラックか。
あぁついにアレのダミーが来ちゃうんだよね……M16、お姉ちゃんの因縁の相手。
正確にはどこで動いているか知られていない416の因縁の相手なんだけどね。
きっちりその流れはAIにインプットされているから漏れ無く喧嘩に発展しそう。
ダミーとは言えどもM16っていうネームの人形であることは変わりないし。
「チッ……例によって16Labのお偉い方に締め出されたぜ」
「お、417ちゃんじゃん、今日も良いおっぱいしてんな」
「あんまり見てると……」
「ん?あっ」
「今日もいい天気ね、スケベ整備員?」
かなりいい笑顔を湛えたお姉ちゃんがこれでもかと威嚇たっぷりに指をポキポキ鳴らしていた
まぁ勿論整備員の目線はお姉ちゃんのおっぱいに行っているんだけど。
危機的状況に陥っても視線は欲望に忠実なのは評価したほうが良いのか……
「ふんっ!!」
「あばっ!」
「暇だからって417に手を出したらどうなるかはわかってるでしょうね?」
「あー!あー!困ります!!腕が腕がっ!!」
お姉ちゃんがきっちりとアームロックを仕掛けてから腕をへし折る一歩手前のトルクをかけている。
なおその関係上でかなり大きくなってるおっぱいが押し付けられているけど気にしちゃいけない。
まぁ、まだお姉ちゃんはかなり脆い弱点ってほどにはなってないもんね……
私が仕掛けたら間違いなく十分なトルクかけられなくなってるもんなぁ……
「ふむ、またかなり人形が増えるな……」
「お、主任おはよう♪」
「納入リストを見てるんだが本当に一気に増えたもんだよ」
NTW-20、M16A1、M4A1、AR-15、Ameli、MG3、M60、カルカノM91/38、SPAS-12
おまけにほぼほぼ全員がD仕様にカスタマイズにされているらしい……
Ameliは……私の友達でもあるあっちのAmeliとどう区別をつけようかな?
いや、そう言えば警備部隊になってから暇になったとか言ってたっけか。
「まだトロピカル風宿舎も基礎が出来上がったばかりだしなぁ……」
「もう個室は出来ているから取り敢えず眠ることは出来ない?」
「いやいや……工事中の音で眠れないでしょ」
――――――――――――
一応16Labによる規制が解除されて工廠が開放されて準備に入る。
M16とM4とAR15のD-Customはまだ工廠の片隅で眠っている。
他の人形は各々起き出してそれぞれ基地の案内を受けに行った。
特にカルカノ姉妹がちょっとはしゃいでいた。主に姉であるM1891がだけどね。
じゃ、私はちゃっちゃと稼ぎのためにテスターをかって出ましょう。
一応出力を制限かけて体感時間は約二倍、30分で自動終了する設定。
さて何をする事になるのやら。テストプログラムの中身は全く知らされていない。
「じゃ、ちょっと楽しんできまーす」
おー……これはこれは、擬似的にVR空間に飛び込んでいるみたいだ。
いや、電脳に直接アプローチしてるから体感していると言っても過言ではないか。
身体に感じている感覚っていうのも同じだし……ふむふむ、これは良いね。
UIを呼び出してから身体の状態を確認しているけど身体は一ミリも動いていない。
目の前に映し出された光景は何処かわからないけど都市部っぽい感じ。
仮想データの名前は2005JPか……あぁ、これが昔のヤーパンか。
流石に嗅覚とかまでは再現されちゃいないけど……頬を撫でる風の感じとかは再現されている。
触覚とかはあるから嗅覚だけ無いのがちょっと不思議な感じ。
理論的にはこれで天然物の脳味噌の人間に色んな世界を見れるのかもしれないね。
電脳を移植するだけのリスクを冒したくない、金もない……けれども光を得たい。
そんな人達に一筋の光明となれるかどうか。今の所は私に問題は無い。
お腹にかかる負担ってのも無いし一応お腹にはしっかり掛け物かけて温めてるし。
整備員がおっぱいを揉んだりして刺激しないようにお姉ちゃんには監視してもらってるし。
「仮想データだけど……人間の繁栄が緩やかに進んでいた頃の世界かぁ……」
大戦を乗り越えて発展を遂げていった時期の世界の一端を今垣間見ている。
D地区は比較的に平和な所だけど……それでも人口は確実に減ってきている。
強盗、殺人……鉄血による襲撃やテロリズムに巻き込まれての死亡。
今の世は緩やかに死に絶えつつある。その現状を打破しようと私達が居る。
「これが……海か」
ざざぁ……ざざぁとさざ波の音が私の耳に飛び込んでくる。
見る限りのディープブルーの水平線と押し寄せては返す波……
真っ白でサクサクとした感じで脚を受け止めてくれる砂浜。
もうコーラップスにより拝めなくなった天然の海……これはかなり貴重だ。
「これだけでもVRで体験出来るのは……良いね」
残念ながら人々のデータとかは入っちゃいないし……自分の体ってのも再現されちゃいない。
簡素なポリゴン製の手と脚がそこにあるだけだ。
良くも悪くも開発中なんだなってのがよく見て取れる瞬間だね。
一応自分の体のデータを取り込んだり……プリセットで入っていたお姉ちゃんのモデルとかを使えば……
さながらお姉ちゃんになりきったようにこの世界に舞い降りる事ができる。
「まぁ元々私はお姉ちゃんと同じボディなんだけどね」
ここまでシュミレーション出来るならもう完成は間近なんじゃないだろうか。
あ、でも手と手のコリジョンがダメっぽいな。手をたたくとめり込んでいて気持ち悪い。
しかもきっちり触覚があるもんだから尚更気持ち悪いぞぅ。
これはさっさと修正してもらわないとね……ほかは良い感じなんだけど。
あ、そろそろ時間っぽいな……意識がふわーっと浮いてくる……
「ぁー……」
「きっちり30分ね、おかえり」
「貴重な体験だったと思う……うぉー……」
目が覚めてVRヘッドセットを取り外してから伸びをしてみる。
整備員が騒ぎ立てそうだったけど全員そっぽ向いているな。お姉ちゃんのアームロックが怖いか。
「さてと……問題点と感想を送りつけてから金を貰おうかな」
「次のテスターは私がしてもいいのよ?」
「いーのいーの、こういうのは私がやるから」
動けない分、こういうのは私がやって稼がないとね!
ママも働かなくちゃ
まぁVRとかのテスターなら良いんじゃね?ってことです