最近仕入れた天然物の紅茶の芳しい香りが兵舎の中を満たしている。
休日でのんびりしている私達をよけいに堕落させる魔性の香りだ……
まぁ私とヴィオラはドクターストップが掛かっているために飲めないけどね。
FALやらお姉ちゃん達も何でか知らないけど控えてるんだよね。
「そう言えばPPSh-41がこっちに来る動きがあるって本当?」
「えぇ、調べた所あちらの基地は新たに超音波検査機を購入したそうよ」
「ふぅん……他には?」
「この前攻撃ヘリを寄越した501部隊を覚えていまして?」
「勿論、D08地区に天然物の紅茶をもたらしてくれている所だね」
「彼処がまたちょっと動いているみたいですわ……どうにもM1戦車を用意しているみたいですの」
「……え?」
「ですから、M1戦車ですわ……エイブラムスと言えば伝わりまして?」
「あのね、PPK……理解しているけど理解したくないの」
優雅に紅茶を飲みながらリラックスしているPPKに近頃の事を聞いてみた。
S09基地に動きがあるのは通信でも聞いていたけどね。
では実際にどんな事をしていたかと言うのはPPK達諜報班が調べている。
超音波検査機って事はお腹の中の状態とかを見るのかな?
画像越しでも私達の赤ちゃんが見れるのかな、かなり楽しみだ。
だがそれの後に飛び出た話が爆弾過ぎて笑えない。え?何?エイブラムス戦車?
ランニングコストがかなり重いけど戦闘力抜群のあの戦車?
というか今現時点で判明している防衛兵器がオーバーキル状態なのにさらに増やすつもり!?
そもそもだけど動かす人形がまた必要になるじゃない!もう……
兵舎は今絶賛建築中でまた収容人数が激増するけど……けどぉ!!
「維持費でじわじわと殺されるやつだよ……」
「出産祝いとして用意しているようですからまだまだかかるのではなくて?」
「長く見積もっても五ヶ月後ね……」
「I.O.Pは更に人間よりも遥かに丈夫な人形ならば……と実験しているそうですわ」
「どんなー?」
「人間の発育サイクルを早める実験ですわ」
そう言ってPPKは私のお腹を撫でてきた……詰まるところはそういう事か。
人間の発育っていうのは今までずっとそのまま置かれていたけど……
この人口が減少していく現代において10ヶ月も待つのは不味い。
ましてや妊娠後期には身動きすら取りづらいなんて事もザラであって有事の際に動きづらい。
益々持って妊娠しようとする女性というのが減っていっている。
望む望まないにしても妊娠機能を失っていたりする人も居たりするけどね。
人形に搭載されている人工子宮を使った妊娠状態を再現しての実験をしているって言ったけど……
まさかと思うけど人形を使った人工増加計画とか考えてなかろうか。
「目標は現在の6ヶ月を更に半減、3ヶ月でのスピード出産らしいですわ」
「胎児への影響は考えて……無さそうだねー」
「テストケースで精子提供者を募ってさらに人形の人工卵子を用いて実験しているそうですわ」
「またヴィオラみたいな事は」
「していないみたいですわね、流石に消されたともなると動きが慎重にはなりますわね」
「そっか……ならまだ良いけど」
でも命を弄ぶような事を嬉々としてやっていることには変わりないし……
あんまりやっちゃうのはいけないと思うけどなぁ……人類存亡の危機ってやつだしなぁ。
私とヴィオラって例が出来上がっちゃったしこれ幸いに実験を開始したんだろうな。
「他の動きとかはなにかある?」
「以前テロリストの潜伏先で殲滅に向かったらしいR06基地を覚えていまして?」
「うん、覚えてるよ」
「この雑誌を」
「わぁぉ……ブライダル誌かぁ」
見た感じ面影があるけど……シーラ指揮官だね。めっちゃくちゃいい笑顔じゃん。
体には古傷っぽい物がいっぱい刻まれているけど本人の笑顔がすばらしいから気にならんね。
幸せそうな涙を讃えた笑顔だからねぇ。これ演技だったりするんだろうか?
告白された時は私もギャン泣きしてたしヴィオラもおんおん泣いていたしなぁ。
やっぱり女の子は幸せな時は泣いちゃうよね。そしてその泣き顔はすごく綺麗なんだ。
「へぇ~戦場の女でも結婚出来るって特集かぁ」
「この45とのツーショットなんて幸せそうですわよね」
「ねー、流石夫婦って感じ」
幸せそうな写真がつらつらと並んでいて見ている私達にも幸せな気分を与えてくれる。
「こういうのはもっとあっても良いよねー」
――――――――――――
しかしまぁ休みの日と言うものあってからみーんなだらっとしている。
毎日警備に出ていっていたFive-seveNとかガーランドとかものんびりしてる。
そして皆天然物の紅茶を片手に私とスプリングフィールドが焼いたマフィンを食べている。
お姉ちゃんはM16のダミーと睨み合いながらポーカーをしている。
そんな剣呑な二人を見てオロオロしているM4でしょ、SOPⅡの遊び相手になってるAR15でしょ。
ROはSAAと特撮談義してるし……この基地のTHE平和な基地の日常だね。
M14やスオミは何か話し合っていて結託してるし……んーどうしたものか。
「ヴィーオラー」
「ん、なんだ417」
「ダーリンの夏服の進捗どう?」
「まぁまぁだな、そちらはどうだ?」
「夜にちまちましてるから上着がようやく半分ってところかな」
「フッ、私はもう上着を縫い終えた」
謎のドヤ顔でヴィオラが勝ち誇った感じをしているが……その手を見るには……
「絆創膏まみれじゃん」
「何のことだ?」
「ほらこの絆創膏」
「いたいっ!にゃにをするぅ!!」
針でブスブスぶっ刺したと思われる跡が指に絆創膏って形で出来上がっていた。
指摘してからツンツン突っつくと涙目でヴィオラがこれまた可愛らしく訴えてくる。
うん、これはダーリンは普通に可愛さで堕ちるなって思うなー。
妊娠発覚前とか私共々いじめられプレイにドハマリしてたしねー
出産したらそれこそ私がやったことをそのままヴィオラもやったりしないだろうか?
「妊娠発覚してからもう何日だっけ?」
「9日だな、もう一週間経ったんだぞ、早いな」
「まぁでも私もヴィオラも子育て体勢は出来てるよね」
「そうだな……」
家事をしようかなーって思ったらG36に止められるしじゃあ裁縫しようかなってなったら……
それはそれでお姉ちゃんに休日くらいはちゃんと休みなさいと止められるし。
こうやって妊婦同士で喋ってごろごろするしか無いんだよねー
「あ、妊娠後期には色々音楽を聞かせてあげたりするのが良いらしいね」
「あと父親の声をしっかり聞かせておくのもいいらしいな」
「カフェに行ってピアノの練習とかしてみる?」
「ん、良いな……ちょうど良い暇つぶしになるな」
「そうだ私もギターがあるし練習しよっと♪」
よっこらせっと……お腹をいたわりながら立ち上がって部屋からギターを取り出そう。
――――――――――――
カフェには小さくもピアノが設置されている。電子制御されていて勝手にクラシックを流す事ができる。
もっぱらカフェのインテリア兼ジュークボックス代わりになっている。
今はキラキラした目をしたヴィオラが座って鍵盤を叩いている。
弾いているのはピアノの練習曲でド定番のトルコ行進曲か。
その隣に私が椅子を持ってきて座ってからアコースティックギターでセッションをする。
お互い知ってる曲ならこうやってセッションが出来るんだ。
ヴィオラも最初の音の確認とかでちょっと戸惑った感じは出していたけど……
「らららら~♪らららら~♪」
とまぁ上機嫌で弾いていて心底楽しそうに弾いてらっしゃる。
これダーリンを呼んだほうが良いなと思って一応端末にコールをかけておいた。
「突然何をするかと思いましたけど、楽しそうで何よりです」
「子供に音楽が良いらしいって話になって暇潰しにねー」
「いま~わたしの~ねが~いごとが~♪」
っとトルコ行進曲を弾き終えたヴィオラが間髪入れずに次の曲を弾き始めた。
これは翼をくださいって曲だったっけか。ギターの出る幕はないな。
カフェの準備中のスプリングフィールドがピアノを弾いているヴィオラを見てニッコリ微笑んでいる。
ヴィオラの過去を知ればこうしてのびのびと笑顔を見せて何かをしてくれているとねー……
暇潰しだけどついでに皆に何かは提供したいし純粋にリラクゼーションが欲しいんだよね。
動いてないと暇で死んじゃう、干からびちゃう。例外はダーリンの腕の中。
「……主人の匂い!」
「ん、ホントだ」
「そうですね」
真っ先にヴィオラが弾くのを止めたと思ったら叫んで出口の方を見る。
そう言えばそうかなって感じで鼻を鳴らせば私の鼻孔にもほんのりダーリンの香りが。
スプリングフィールドも同意して頷いて見せてから全員で見ている。
するとベルをならして入ってきたのは愛しのダーリンで……
「え、何皆こっち見てるの……演奏会は?」
「演奏会?あ、あぁ私のピアノを聞きに来たのか」
「コーヒーで良いですか?」
「いや、ちょっとウィスキーを貰うわ」
「私のギターもあるから楽しみにしててよ?」
お昼前だけど今日は一日出ないことを決めたのかダーリンが珍しく昼間から酒を頼んだ。
嫁と嫁による演奏と嫁から提供されるお酒でダーリンはさぞいい気分だろうね。
あーあ、運動禁止令が出てなかったらダンスを披露してたのになぁ。
「で、スオミとM14はいつからそこに?」
「え?さっきからですけど」
お前らもか。お前らもなのか?
社内報君が息を潜めたけどそのうち出るから(
あとM1エイブラムスも来たらまた人形増えるパターンやぞ
あ、そうだ(唐突)
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イベント完走まだ出来てない組だけど戦友受付てるゾ
皆もイベント頑張ろうな!