元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん   作:ムメイ

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ふんわりからちょっとふるい落として生やした


Day142 この親にしてこの子あり

「あー……皆に今日伝えるのは申し訳ないんだが……今日は俺の両親が突撃してくる」

 

今朝食堂で言われた言葉は文字通りの爆弾発言であった。ダーリンのご両親。

つまり私からして見れば義理の両親になる人が来るんだ。9人の嫁は絶句。

他人形も一部が固まってしまってから食事の手が止まる。

 

「指揮官のご両親ね……ご挨拶しておかなくちゃ」

「ご主人様、では歓迎のご用意は如何しましょう?」

「あー、いや仰々しいのは苦手な人達だから自然体を見せてくれりゃ良いと思う」

 

DSRが何やら目を光らせたしG36は意気揚々と準備に取り掛かろうとしたり……

M14とスオミ、G28、ステンがざわついてくるしガーランドもちょっとおどおど。

これはまーたドタバタの始まりだよ。ってことはアレかな、ベビー用品が来る?

お義母様にはちょっとお腹を見せてみたりしたいしなー……ヴィオラも目をキラキラさせている。

でも自然体ねー……変に気取る必要は無いんだろうか。嫁としてはあんまり変なことは見せたくないし。

いつでもダーリンと並んでいて恥ずかしくない、誇れる自分で居たい。

というかだけど基地に一般人が来て良いものなのか!?そこから私はツッコミたい。

 

「ダーリン、基地に入れるの?」

「もちろんG&Kの規約上一般人の立ち入りは厳禁になっている」

「じゃあどうするのさ」

「街まで行く、お袋は親父になんとか抑えてもらう」

 

やっぱりか。この基地に突撃されてはたまったものじゃないもんね。

そもそも警備に思いっきり止められるのがオチだと思うし本社の意向からしてもねー……

ダーリンのご両親はもうD08地区に移り住んできたんだね。

ほんとフットワーク軽すぎだろ、もう土日で引っ越ししてきてから……

え、それでもうこっちに突撃しようって言ってるの?これ不味いんじゃね?

緊急時は治安維持隊の方に対応をしてもらうけど……普通にそれで無理となった場合や……

大規模テロ等が発生した場合の避難先はこのD08基地だったりする。

つまりD08基地の位置情報とかはバッリバリあったりする。

だからマジで突撃しようってしたら出来る。そう出来ちゃうんだ。

 

「はい、という訳でついてくるやつ準備して車両に乗り込めー」

 

嫁連中は揃って普通にいつでもどうぞ?って感じでお化粧もしてるし……

スオミ、M14、ステン等も普通に薄っすらとお化粧してたり。

グローザとDSRがちょっと慌てて兵舎に戻っていった位か。

 

「運転は俺が」

「あなたは後部座席ね、妊婦に挟まれてなさい」

 

ARRグリフォンのキーを回そうと認証キーを取ろうとしたダーリンの肩を掴んだのはお姉ちゃん。

私とヴィオラは普通にお腹がぽっこりしてきて戦闘服よりゆったりしたセーター着ている。

私服っぽいでしょ?Uziはまぁ……まだ良い感じじゃないかな。

Mk23もギリギリそういう服ですって言えば許され……るかもしれない。

他の嫁連中?普通に外に出ていっても問題ないような服装だから良いじゃん?

で、ダーリンは後部座席のど真ん中に放り込まれて私とヴィオラで挟み込み……

ナビゲーターシートにはFALが座り運転席にはお姉ちゃん。

後方ではさらにサーバルに乗り込むスプリングフィールドでしょ。

ナビゲーターシートに陣取るわーちゃん、後部座席に座るMk23とUzi。

銃座って特殊ポジだけど座ってるG36C

そしてその後に飛び込んできたスオミ、M14、G28、グローザ、DSRの面々がコメットに乗り込む。

G36がちょっと名残惜し気にこっちを見ているけどやっぱりお料理するべきか……と思ってか残ったな?

 

「じゃあそこそこに動かすわよ、待ち合わせ場所のデータを頂戴」

「あいよ、ポイントX……Y……」

 

緯度経度で示してからそのまま発進する、でもこの大人数で押し掛けて大丈夫なんだろうか?

 

 

――――――――――――

 

 

「ディーノ!あらまーまたいい男になってー♪」

「げぇ……ぎゃー!抱きつくな!!」

「あはは……ま、まぁ母さんの愛情表現だから、大目に見てあげて」

 

待ち合わせ場所の小さなパーキングエリアには誰も居なくポツンと小さなEVカーが止まっていた。

二人乗りで一番安価だけど広く親しまれているモデルの物だ。

通称はステルスミサイル。内燃機関車の爆音と違い静音で近づいてくるし……

運転適性が無い輩が運転してよく事故を起こした経緯からもついている。

ダーリンのご両親は普通に良い感じのご夫婦。推定年齢は40代前半だけど……

ふたりとも若い、普通に20代ですって言って通用するレベルの外見だ。

ついてダーリンが降りてくると真っ先にダーリンに抱きついてきてから親愛のキスを降らせている。

これが毎回なんだろう、ダーリンは見るからに嫌そうな顔して拒んでる。

それに対して……なんかダーリンをよけいにナヨナヨさせた感じのたぶんお義父様。

やんわり止めようと手を伸ばすけどお義母様がこれがパワフルで聞いちゃいない。

 

「あらあら、そっちが……あら?」

「えっと、はじめまして。HK417です、その……お嫁さんその1です」

「HK416です、嫁その2で417の姉です」

「FALよ、嫁の一人で一番付き合いが長いの」

 

とまぁ嫁連中の紹介から始まっていって……皆それぞれの顔をじーっと見ている。

人形であること、重婚についても了承してる筈だけど……うーん、どこかマズかったかな?

 

「それで、417ちゃんとヴィオラちゃん?」

「「はい」」

「あ、固くならないで?……このぽっこりお腹は?」

「あーまぁ……その、お袋からしたら孫だな」

 

ダーリンの気まずそうな説明にお義母様固まって私とヴィオラのお腹を交互見。

後ろでオロオロしていたお義父様も目を見開いて私とヴィオラのお腹……とおっぱいを見てるな?

 

「incredibile!mamma mia!!私の孫!?」

「人形って聞いていたが、まさかディーノお前」

「正真正銘人形ですけど……」

「まぁ、技術の進歩で……子宝を授かったんだよ」

「主人との愛の結晶だ、お義父様も触れるか?」

 

お義母様は私とヴィオラのお腹に手を添えて感極まった感じで……ポロポロ泣き出した。

お義父様の方は人形と偽ってと思ったのかダーリンの肩を握り込んでいた。

人形証明証を見せつつまぁ一応健康に育ってくれている事を証明する写真を見せて……

 

「ありがとう、元気な子供を産んで頂戴ね?」

「あはは……勿論そのつもりです」

「無論だ、主人との子だからうんと元気な子を産む事を約束しよう」

 

孕んだ事に感謝しつつ私とヴィオラに頬ずりしてきたお義母様、情熱的だなぁ。

名目上は周辺警戒ついでについて来ただろうM14以下の人形も虎視眈々とお義母様とのスキンシップを狙ってる。

ダーリンを狙ってる感じだけどこれは外堀から埋めようとしてる感じかな?

 

 

――――――――――――

 

 

D08地区のご両親の新居をちょっと視察すると……わぁこれは立派。

一階が小洒落たカフェになっているマンションであった。

嫁と……嫁予定?が顔合わせしたついでにと案内されたんだ。

ちなみに現在基地の統括を仕切っているのはイサカとPPKである。

大人数が入っても……まぁちょっと余裕がある部屋であった。

 

「こっちでもカフェを開こうと思ってちょうど良い物件だったのよ」

「丁度お父さんもお母さんも退役金がたっぷりあってね……」

「今度遊びにいらっしゃい、自分のお家と思って着ても良いんだから、ね♪」

 

そういえば一階のカフェの名前がCafe Takamachiだったっけか。

完全にD08地区に根を下ろすつもりの両親にダーリンはすっかり顔を覆ってる。

 

「マジかよ……」

「まぁまぁ……」

「主人、家族が近くに居ることは良いことだぞ」

「孫が産まれたらベビーシッターしにいってもいいのよ?」

「勘弁してくれ、仕事場にマミーがくるのはやめてくれ……」

「「「「「「「「「マミー?」」」」」」」」」

 

新事実、ダーリンの素の母親の呼び方がお母さんでもお袋でもなくマミー

うっかり出たんだろうダーリンはもう耳まで真っ赤にして蹲った。

これにはちょっと驚いたのかお姉ちゃんを筆頭に励ましに出てる……

 

「ははは……ここは僕に似てるからね……」

「中身はユウの血が濃ゆいものね♪」

「いい具合にベアの影響もあったからおどおどはしないけど……」

「こんなに一気に嫁を貰ってくるのは誰の血かしら?」

「ベアじゃないかな……僕に度胸はないよ……」

 

ご両親もいい歳してるけど普通にラブラブカップルで良かった。

赤ちゃんが産まれたら真っ先に会わせてあげたいな。私のパパ、ママはもう居ないし。

 

「お嫁をさらに増やす可能性は?」

「………わかんね」

「増やすにしても家族計画は慎重にしなさいよ?」

「避妊具はちゃんとするようになったよ……」

 

否定しなかった事でM14がしっかりガッツポーズした。

 

「もう遅いけど」

「お姉ちゃん?」

「なんでもないわ」

 

 

――――――――――――

 

 

「ダーリンいつまで恥ずかしがってるの?」

「うっせ……」

「よしよし、主人……気が済むまで抱かれてるがいい」

 

帰りの車内はすっかり凹んだダーリンを私とヴィオラで慰める事に。

と言っても勿論エッチは無しでね、ヴィオラの膝枕を堪能してたら良いかな?

しかしヴィオラここで勇気の攻めの姿勢でダーリンの頭を抱きかかえた。

ダーリンのご両親はなんというか対照的な人達だったなぁ。

優男かなと思ったらオロオロ系の小動物とアグレッシブな情熱的なお義母様。

ただダーリンの性格と性癖は間違いなくあのお義父様から濃く引き継いだんだろうなぁ。

 

「また今度休みにあってあげよ?」

「えー……」

「今ならちょっとわかるんだけど……子供が出来て映像だけでも見えたらあんなに嬉しかったんだ」

「そうだな……きっと主人という子供がまだ愛おしくてたまらないのだろう」

「それに親孝行、しておこうよ……こんな時代だから何時最期になるかわかんないんだし」

 

したくても出来ない私みたいなのがいっぱい居るこの世の中……肉親が生きているダーリンは恵まれている方だ。

恥ずかしいかもしれないけど私達が引っ張ってでもちょっと会わせていこうか。

 

「お姉ちゃんもそう思うよねー?」

「ん?そうね、時は過ぎ去っていくばかりよ」

「近く私達もご報告しないといけないかもしれないし」

 

FALが何か意味深な事を言ったけど何があるんだろうか……

しかしM14達も揃ってお義母様に気に入られた感じで良かったと思う。

 

「嫁姑問題にならなくてよかった……」

「なにそれ」

「息子大事な姑が嫁をイジメるって問題だ……」

「えぇ……」

 

調べると結構あるみたいだけど時代の移ろいと共に報復手段も多くなり鳴りを潜めていった習慣だ。

それもヤーパンの古い習慣だぞ……ヴィオラなんでそんなのを知ってるの?

ヴィオラのこの謎のヤーパン知識も追々聞いていってみたいなぁ。




という訳でD08地区にタカマチパッパとマッマが住み着きました。
妊娠したらこういうご報告もしないとね?

古い姑?時代の敗北者じゃけぇ……

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