【何故こうなった。】って作品な!!
今日は何やら本部からお客さんが来るらしい。二人組で揃って人形らしい。
なんで来るのかは全く不明だけど取り敢えず来るのは確定らしい。
本部からお客が来るのは初めてかも。ダーリンもコレには怪訝な顔してたし。
「目的聞いてもただのお遊びだって言うもんだからなぁ」
「不思議だね。あ、今動いた」
「ほー……もうそんな時期か」
「そろそろちょっとしたヨガとかなら許される時期かな?」
「水泳も良いって聞いたぞ」
「へぇー……あ、丁度ダーリンに水着を見せたかったし良い機会かも」
「明日には建設が終わるリゾート風の宿舎にはデカイプールも設置してるしどうだ?」
「おー良いね」
大きくなってきたお腹の中では赤ちゃんがちゃんと育ってきてくれているんだろう。
嬉しいけどおっぱいの張りがなかなか辛くなってきた。一時的に胸が膨らむかもしれないと言われたけど……
うん、私のおっぱいもそうなったみたいで普段遣いのブラがギチギチ言ってて付けられたもんじゃない。
ゲーゲー吐いてたのも治まってきて食事も楽しく採れるようになってきた。
いや、楽しくなかった訳じゃないけどいきなり吐き気催して戻すことがあったし。
案外コレが辛かったもんだよ……ちゃんと食べなくちゃいけないけど戻しちゃうし。
最悪栄養カプセルが戻ってたらまた服用しないといけないからね。
あんまり酷いなら後ろからずっぷり刺すタイプになりかねなかった。
「で、遊びに来るって言ってもここそんなに……」
「兵舎のアケゲー祭りを見て言えるのか?」
「あっ」
「子犬子猫とのふれあいスペース完備」
「それに私個人持ちのゲーム類もあるか……」
「カフェだってあるしな」
娯楽に癒やしのスペースは確かにあるけど基地に遊びに来るってなぁ……
本部はそんなに居心地が悪い訳でも無さそうなのに……
「お、くる人形の情報がようやくき……え?」
「なになに?UMP45と……スィストラ?」
「両方共に非戦闘員っぽいんだよな、グローザ!」
後者は全く知らない人形だ。非戦闘員のUMP45って言うのもなんだろう?
って事でダーリンもちょっと怪しく思ったのかデータルームで働いている諜報部のグローザを呼び出した。
司令室のお隣はデータルームとダーリンの私室、呼べばすぐに聞こえるんだ。
「何、指揮官?なにか調べ物?」
「G&K本社所属のこの2体を調べてくれ、今日来るらしい」
「……了解、すぐに調べるわ」
来訪者リストの二人を一瞥するとすぐさま踵を返してデータルームへと籠もった。
防衛設備強化に伴いデータルーム内のマシンスペックも強化が図られ攻性防壁等も多量に仕込まれることに。
主に防壁関係はP7が躍起になって設営しているものでうかつに踏み抜けば人形ならばメンタルを掌握してこちらに寝返らせるとかいうかなりヤバイ物。
掌握自体は1時間も無いけどその間にD08地区への敵対行動をとる思考を抜き去って所属の記憶もD08に書き換えちゃうんだって。
つまりこっちのスパイって事にしちゃって向こうの動向を探ってもらうの。
大体そういうハッキングをしてくる人形っていうのは電子戦特化だったり諜報向けにカスタムされている。
あるいはウチみたいに外部演算装置として端末やらと接続して演算リソースを確保している。
どんなに高性能な人形であっても出来ることは限られている。
だから設備とか装備はケチったら人形は帰ってこなくなる可能性もあるからね!!
出し惜しみはしちゃいけないよ。どんな界隈にも言えることだと思うけど。
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調べ上げられたデータではどうもUMP45は色感センサーが著しく破損していて視力が悪いらしい。
全盲ではないが日常生活にも支障が生じていて正直な話付き添いが必要。
ぼんやりとしか見えず白黒でしか視認することが出来ないらしい。
全盲でないだけマシかもしれないがかなり重いな。それでこちらに遊びに……
というか療養的な意味合いが強いのかもしれないね。
続いてスィストラだけどヴィオラと同じで鹵獲された鉄血ハイエンドモデルらしい。
ヴィオラと違ってひどい目には遭ってないみたいなのが救いかな?
代理人って言われているモデルの予備個体が離反した感じみたいだ。
今はもっぱら雑務をこなしているそうだ。あんまり戦闘をこなす人形ではないらしい。
同じく鹵獲されている鉄血人形が何体か確認されているみたい。
「スパイとかでは無い様子ですので安心くださいまし、ではあたくしはまた仕事に戻りますわ」
警戒していたどこかの基地からの回し者等では無いことが確認された。
後数分で到着するけど変に警戒することは無いってなると安心した。
ヘリアン上級代行官からの連絡で仕事を休ませている身だから丁重にな?と釘を差された。
主にダーリンはセクハラしたら締め落とすとさらに釘を刺されていた。
まぁ勿論私とお姉ちゃんがきっちり押え込むから大丈夫だと思うけどね。
「お、あのヘリだな」
「本部からわざわざヘリかぁ……」
見えてきたヘリはG&Kのエンブレムが描かれた輸送ヘリだ。
私達の基地にあるものよりは小型だけどそのかわりに機動性に富んでいて要人移送に用いられる。
ヘリポートに降り立ってからスライドドアが開けばその中から二人組が降りてくる。
「ようこそ、D08基地へ、ここの指揮官のタカマチだ。よろしく」
「妻のHK417だよ。ようこそD08基地へ歓迎するよ♪」
降りてきた二人に笑顔を見せて握手を求めるように手を差し出す。
「えっと……スィストラといいます。よろしくですね」
「UMP45よ……て言ってもこっちにも居るんでしょ?」
視覚障害を持っているようには思えない穏やかな笑みを湛えた45が降りてきた。
しっかりとこっちを見ていて全盲ではないのをしっかりと認識させてくれる。
ただやっぱり覚束ない感じで見ていてハラハラはするなぁ……
どこか違和感があると思ったら目の色素が薄いな。これは見分けのポイントとして挙げれるか。
「長旅で疲れたでしょ?案内するからついてきて」
45の手を握ってあげてからゆっくりと先導する。ダーリンには先に行ってもらって皆の準備を万端にさせよう。
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私が手を引いて向かった先は取り敢えずって事で食堂に連れてきた。
ここが結局全員を収容する広大なスペースだったりする。
「みんなー、お客さんが来たよー!」
扉を開けて私が第一声で大声をあげると中でスタンバイしていた皆が一斉にこちらを見る。
主賓を迎えるテーブルはしっかり確保されていてD08地区ではもうポピュラーになりつつある天然紅茶を出しつつ……
G36とスプリングフィールドが主導して作り上げたパーティーメニューがずらりと並ぶ。
UMP45が居るということで45姉の好みを参考にしつつ色々出してみた。
スィストラの好みは不明だったがヴィオラが一応同じ鉄血ハイエンドということで聞いてたり。
ヴィオラはかなりヤーパン料理が恋しいと言っていたが普通に何でも食べると言ったしなぁ。
「ふたりともお食事がまだだったりお腹が空いてたらいっぱい食べてね」
「席まで案内ありがと……良い匂いね」
「わぁ……待って肉じゃががある!あ、鶏唐揚も!」
「味噌汁もある、必要なら言うと良い」
私達も座ってから軽くお食事しながら談笑と洒落込もうと思う。
お客二人はサイドをUMP姉妹で挟み込む。45には9がスィストラには45姉が。
スィストラを見て何か考える素振りを見せているのがAR小隊のダミー連中。
何となく聞いてみるとAR15が腕を組んでスィストラの顔を見ながら……
「いや、なんでかわからないけど抱きしめなければいけないって欲求に襲われるのよ」
と呟いて抱きしめるようなジェスチャーをするんだよね。
それに対してスィストラがヒェッと言った様子があったから何かあったんだろう。
AR小隊って真面目連中じゃなかったっけ?私の認識違いだったかな?
「それで~なんで今日は遊びにきたの?」
「えっと……」
「あら、このおっぱいが気になる?」
「そこー45姉、あんまりからかわなーい」
「世話係は私に変わるわよ」
「ちょっと416は……なにするのよ!」
あーあ45姉とお姉ちゃんのキャットファイトが始まったよ。
お客さんの前でやらないで欲しいのになぁ。45姉のからかいが発端だから45姉が叱られるでしょ
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「ここがウチの兵舎だよ。見ての通りとっても広いでしょ?」
二人が話したいって言うから兵舎の共有スペースに案内してから腰を落ち着ける。
私の隣には同じく妊婦であるヴィオラが座っていてスィストラと対面している。
「あ、はい取り敢えずだけどコーラね」
「大方こっちに来たのは私達妊娠組に興味があると言った所か」
「あはは……まぁ見ての通りで妊娠二ヶ月にもうすぐなるかな。おっきいでしょ」
マタニティ体型になりつつある私とヴィオラはゆったり目の服装だ。
私がお腹を見せてみるとぽっこりと出ていて中に赤ちゃんが居るのが見て取れるかな?
私の笑い声とかに反応して動いているから元気いっぱいなのがわかる。
「今はまだ実験段階みたいだけどこれが安定するようになったら貴女達もこういう子供を儲けれるかもね」
「まぁなんだ……本部で暇を持て余すのならば何時でも遊びに来てみるも良い」
「今日話してる感じだと二人共いい子なのはよく分かったし」
「なんならそこのアーケードゲームで遊んでいくか?」
「アーケードゲーム?」
「私、目が……」
「簡単なのもあるからほらほら私達妊婦でも出来るのとかあるし」
「重い物を抱え続けては疲れるぞ、吐き出すか動いて解さねばな」
という訳で私とヴィオラで色々アーケード筐体をはしごしながら色々させてみたの。
お手本にワニワニパニックとかさせてみて感覚を掴んでもらったら今度は感覚がモノを言うゲームとか……
それこそパーティープレイが面白いザ・ビシバシとかね。
ゲームで遊んでカラオケで歌ってって色々巡ってみたけど……楽しんでもらえただろうか?
「これは私、ヴィオラの端末の番号だ……何かあったら相談ぐらいには乗るぞ」
「あ、私のも……お話相手が欲しかったりしたら遠慮なくかけてね」
時間が来て帰る前にスィストラに話しかけてから個人のアドレスを教えておく。
「なんだか知らないけどシンパシーを感じちゃって」
「あまり抱え込みすぎるな……もしも何かあればここに逃げてくるんだ、何もなくとも辛いことがあれば話すと良い」
表情に少し浮かぶ影に思うところがあったのかヴィオラが私よりデカイおっぱいにスィストラを抱え込んでいた。
こうしてみると鉄血の姉妹って感じだなぁ……ふふ、良い一枚の絵になってるじゃん。
ドタバタにはならなかったけどただ遊びに来るだけっていうお客って珍しいことはこうして過ぎ去った。
スィストラちゃんは代理人ボディの元男だぞ。
皆すこれ。