元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん   作:ムメイ

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サブタイトルについてはすまんと思う


番外 合コンの負け犬は一匹ではない

合コンの負け犬というのをご存知だろうか?大抵のG&K指揮官であれば口を揃えて言うのは……

そう、己の上司でもあるヘリアンの事を言うが……実は何人か存在する。

その内の一人に数えられるのがヘレン・クローザー指揮官である。

 

「それでぇ、その負け犬ちゃんがここに来るの?」

「みたいだよ、所でそのプリンは誰のかなー?」

「勿論デストロイヤーのよ?」

「ふーん……」

「私のプリンを食べたのは……なんだ、ドリーマーか。食べたければ言えば作ったんだぞ?」

「……なん……だと?」

「おかわりはいるか?」

「いるっ!」

 

まだ監視付きではあるけどD08地区に迎えられたドリーマーはすっかり餌付けされていた。

大方ドリーマー本来のAIのノリでからかう算段だったんだろうけど……

残念ながらこのデストロイヤーはヴィオラだ。本来のAIでは無いときっぱり言っている。

逆にドリーマーが子供扱いされていてお菓子や美味しいご飯で手懐けられている。

プリンおかわりで上機嫌になったドリーマーは黙った。

放って置くと何を口走って騒動の種になるかは分かったものではないからね。

コイツの性格はかなり捻くれていて相手の楽しみを兎に角潰すことを極上の快楽としている。

もっと砕いて言うと絶望している人間を見てケタケタ笑うのが好き。

 

「ふぉうふぉうふぉはへひふはは……」

「ごっくんしてから喋ろうねー?」

「……合コンの負け犬なら男を落とす話術で釣るのが良いかしら?」

「止めてやれ……」

 

ドリーマーは兎に角こういうやつなのであんまり会わせない方が良いんだろうな。

 

「外部からの客が来るのは良いが……」

「色々警戒しなくちゃいけないから諜報部がピリピリしてるよねー」

「うむ……」

 

実際に現在一番警戒しているのが鉄血ではなく身内であるはずの人間なのが皮肉だ。

人類人権団体の過激思想を持っている連中が目下一番警戒する相手だ。

何やら強化外骨格と戦車やらでさらに強化されている模様だ。

PMCの手には余りつつあるけど正規軍は正規軍でE.L.I.Dとの殺り合いで手が離せない。

一般的な小火器では相手にできない相手に増強しつつあるから何とかしていただきたい。

 

「ちょっと工廠を貸してもらったらそれくらいどうにか出来るけれど?」

「ほう、詳しく」

「フフ、タダで教えるほど私は甘くは」

「ここに試作したパフェが」

「やる~♪」

 

こいつちょろいわ。

 

 

――――――――――――

 

 

「簡単よ、どんなに厚い装甲であっても金属には変わりないわ」

「そうだな」

「ここのポンコツマシンでどこまで出来るか試して作ったのがコチラ」

「これはなんだ?」

「何だと思う~?そのチンケな頭で考えてみなさい?」

「ふむ、わからんがドリーマーの保有する技術がスゴイのは理解した」

「~~~~~~ッッッ!!!!!」

 

完全に試作品と思われるARサイズのメカメカしい銃っぽい物が出来上がっていた。

ドリーマーにマシンの操作権限を一時的に渡すと資材を使って着手して……数時間も経っちゃいない。

途中何度も舌打ちをしていた事からも鉄血工造の技術力の高さが伺える。

工廠部分に関してはどの基地もI.O.Pからの装置をリースしてもらっていて横並びである。

規模の大きい小さいは関係して同時整備可能数や初期セットアップ可能数が違ってくるけど。

また装備に関しては自前で作ったりも出来たりするから試すことは出来たり。

まぁそれが許されているから今みたいにドリーマーがマシンを動かすことが出来たわけだけど。

そしてドリーマーはヴィオラのどストレートな褒め言葉に悶絶。

頭を思いっきりそこらへんにあったレンチで自らぶっ叩いて鎮静した。

 

「ふぅ……一々こうやってキーボードを叩かなくちゃいけないのが煩わしいわね、人間もグリフィンの人形もポンコツだから困ったものね」

「頭、頭」

「これくらいでどうこうなるほど軟じゃないわ……それより、417ちゃん、ちょっと担いでみてくれないかしらぁ?」

「おっぱい撫でるなぁ……いやに慣れてる感があるの止めて?」

「デストロイヤーの修理中に何度もしてるもの、もう慣れっこよ?」

「「ヒエッ」」

 

ふわ~っと浮いて寄ってきたと思ったら流れるように私の首筋に息を吹きかけてくるし……

片手はきっちり私のおっぱいに行ってたりでこのクソレズ感やばい。

 

「お姉ちゃんの危機を感じて!」

「ヤメロォ!これ以上は混乱が大きくなるぅ!!」

「あら、クソレズ仲間のG28ちゃんじゃない、じゃあはい、コレ試射して」

 

驚愕、私の妹がドリーマーとマブダチになってた件。

試作品のライフルを投げて渡すドリーマーとそれを慌てて受け取るG28。

何のことだろうか?と首を傾げているけど鉄血デザインな物に何か思う所があったか。

 

「シューティングレンジで?」

「コレがターゲットよ、はい、よろしく♪」

 

複合装甲材……あれ10式の正面装甲並の厚さじゃない?

 

 

――――――――――――

 

 

試作品という事もあって3発が限度ではあるけどジェネレータ内蔵。

装甲兵だろうが外骨格着て居ようが問答無用で融解して貫く熱量をぶっ放すレーザーライフルが完成していた。

試射に立ち会ったメカマン全員と撃ったG28は口をあんぐり開けていた。

その様子を見てドリーマーは笑い転げていた。まぁお遊び半分で作ったものだから適当にポイしておきなさいって言っておやつ食べに兵舎に戻っていった。

 

「そろそろかー……あれ?お前ら何してんの?」

「あ、ダーリン」

「ドリーマーがトンデモ兵器を作ってな」

「何アレ」

「レーザーライフル」

 

融解した複合装甲材の成れの果てを指さしてみるとダーリンも固まる。

ダーリンが出てきたってことはもうそろそろ件のヘレン・クローザー指揮官が来るんだろう。

護衛の人形とかはどうなんだろうか?流石に一人はくっつけているよね。

 

「諜報部から聞いているだろう、テロリストが勢いを増している事を」

「型落ちとは言え正規軍みたいな装備も出してるみたいだな」

「それを聞きかじってたドリーマーがぽんっと作った対抗策がアレ」

「さっきのゲスト権限要求それだったのかよ……」

 

ふぅぅぅぅ……とダーリンが頭を抱えてしまった……あはははは……

 

「あら、指揮官ここにいたの……ダメじゃない、私をちゃんと監視してなくちゃ」

「ぐえぇっ」

「今日ここに来る客人に持たせる手土産を作ったんだから褒めてくれなくちゃ……」

「お、おーうドリーマーが思いの外良い子で俺も助かってるぞー!!」

「ふふ、撫で方を熟知してるじゃない、良いわよ良いわよ……」

 

ドリーマーの足音は無い。こいつ浮かんで移動するんだもん。

んでもってこの基地のトップカーストに居るダーリンには完全に服従してる感じ。

私達の手作りお菓子の他に司令室に行けばダーリンが定期的にお菓子をくれるからね。

それに何気なく口出しして良い結果が出ればかなり褒めてくれる。

こいつプライドは高いけど承認欲求はかなりあったみたいで褒められるとデレッデレになってる。

余裕そうな言動してるでしょ?表情を見てみると良いよ。

ヴィオラとおんなじようにすっかり懐いた子犬状態だもん。

 

「あ、ヘリが来たよ」

「ドリーマーは兵舎に戻っててくれないか?」

「イヤよ」

「主人を困らせてくれるなよ……」

 

さて、どんな人が降りてくるのやら。




だが私は謝らない。

危険指定存在徘徊中 作者:試作強化型アサルト
から指揮官がやってくるよってお話だよ。
あっちはー……うん、なんだろう
強いのと強いのが殴り合ってるような感じかなぁ?
万能者って呼ばれてるらしいよ、強いよ!!

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