元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん   作:ムメイ

171 / 216
平和なドルフロはお嫌い?


Day149 夢のような平和

早朝の日が昇って間もない頃、麦わら帽子がチャームポイントなあぐちゃんとスオミが畑を見ている。

順調に発育してきているジャガイモは中々いい具合になってきていてもうそろそろ収穫しても良さげな感じがしてきている。

収穫時期になったらあぐちゃんが勝手に回収してくれるらしいけどね。

私も動くことは許されたのでスオミのお隣で土をいじくり回している。

 

「そういえばドリーマーが畑の水循環システムを作ってるんだって」

「畑にまで……一度見に来ただけですけど、大丈夫なんですか?」

「下の方の配管は専用に作り出した掘削作業だーちゃんを使うから平気だってさ」

 

夜中にどっと降り込んだ雨や霜などを貯水タンクに溜め込んでそこから重力で下に流していくんだろう。

取水量の調節ついでにろ過フィルターを通して不純物を取り除くらしい。

で、高効率モーターとバッテリーのコンボでそこから発電、ポンプを作動させてまた地下から汲み上げてからタンクに入れる。

かなり効率的な水循環システムだ。おまけに配管には電子制御弁が配置されていて作物に応じて水の分配が可能。

ドリーマーが言うにはだーちゃんを使うのも良いけれどそれじゃ結局スマートじゃない……らしい。

完全オートメーション化できる所はさせて然りがドリーマーの言だ。

まぁ言われてみれば労働力をだーちゃんに肩代わりさせてるってだけでもあるしね。

その他にも監視用の櫓の改良、水産物養殖池、新しい発電システムの構築等精力的に動いている。

発電システムに関してはどうも落雷のメカニズムから引っ張り出すみたい。

後は自然発生した雷等の電荷を収集するシステムを構築しているみたい。

この基地が一種のパワープラントになるのはそう遠くないのかも。

 

「あの大型倉庫さ本来の用途以外でばっかり使われてない……?」

「作物の倉庫はここにありますし……もっぱら弾薬等の貯蔵庫となってますね」

 

現在基地にずらっと並ぶ戦車や装甲車、戦闘車両などに使われる弾薬。

私達の銃火器に使われる弾、各種動かすための燃料だったりが保管されているが……

作り上げた規模に対してちゃんと使っているかと言ったら微妙な所で……

ドリーマーのアトリエが一区画を占拠、その隣に生産プラント等を作るみたいだけど……

それでもまだまだ余裕があると来た。あのチャペルもまた組もうと思ったら何時でも組める。

 

「あ、そうそう聞いた?」

「何をですか?」

「イサカが指輪を買ったの」

「え!?という事はまさか……」

「誰にだってお金さえ払えば所有権譲渡が可能ってのはご存知の通りだと思うけど」

「イサカさん……そのためにずっと節約されてたんですね」

「みたいだよ、でも式まではしないって……私達に祝われればそれでいいって」

 

ちなみに今現在ですが私とヴィオラでイサカに内緒でウェディングドレスを製作中。

予定としてはプリンセスラインのドレスだけどAラインでもいいよねーってなってる。

 

「私も……」

「スオミの場合はダーリンが貰ってくれるよ」

「え?」

「好意に気づかないほどダーリン鈍感じゃないし、一度9人も抱え込んだらもう何人増えようが変わらないよ」

 

勿論私にはちゃんと相談してもらってるし皆同意の上だから。

この基地の皆は家族同然なんだから、気にすることは無いじゃん。

 

 

――――――――――――

 

 

「UMP40?」

 

食事前にダーリンが連れてきた人形だ。顔立ちは確かに45姉に似てる。

I.O.Pのカタログデータには存在していない。訳有っぽいなぁ。

じゃあ45姉の方を見てみると……これでもかってくらいに目を見開いている。

感情がオーバーフローしてフリーズを誘発させてるっぽいな。

対するUMP40はというと45姉の姿を確認して同じ様にフリーズ。

両者ともにフリーズするから9姉とかもそうなのかなって思ったら……

いや、普通にオロオロ45姉の顔を見て手を振ってたりするから平気っぽい。

となると45姉と40の間の何かがあるのかもしれない。

 

「実はねぇ、この子私が作ったの」

 

未だにフリーズから戻ってこない40、45姉を無視してドリーマーが説明しだす。

時を遡ること約一年前、蝶事件が発生した時だ。

試験運用中だったUMPタイプのファーストロット、UMP40とUMP45がロールアウトされた。

しかしその躯体は実は鉄血製でI.O.P製ではなかった。

表向きはI.O.P製の人形と称してG&Kに潜り込み諜報活動をするスパイ人形だった……筈だった。

しかしそれも実は裏があって鉄血側の内通者による工作が入っていた。

AIの根幹はI.O.P製でありその上に鉄血製の電子戦モジュール等が追加されていた。

更に言えばUMPモデルのAIデータというのはほぼ同じで量産に適しているというものだった。

ではUMP40が居なくてUMP45がI.O.Pの量産モデルに入っているのか。

オリジナルとも言えるUMP45は蝶事件を生き残った。

鉄血製に分類されるUMPシリーズもメンタルフォーマットの対象であった。

しかしUMP40のサブでしかなかったUMP45はUMP40という親機を失えば呪縛から開放された。

バックアップもなにもないと知らされていて死ねばそのまま二度と復活は出来ない。

それを知って尚UMP40は45を生かすために犠牲となった……らしい。

45姉はそんなオリジナルとは違うけどその流れをくんでいる人形。

 

「はじめまして……な筈なのに……何なの?」

「45……」

「わからない……わからないけど……」

 

フリーズから立ち直った45姉がふらりふらりと歩み寄っていく。

抱きしめる45姉と抱き返して良いのか迷っている様子の40。

表情は伺うことは出来ないけど……床にこぼれ落ちている水滴が雄弁に物語っていた。

 

 

――――――――――――

 

 

ボロボロ涙を流す40と45姉は9姉と揃って3姉妹として初めての食事。

ドリーマーはちょっと捻くれた性格してると思ったけど……意外というか……

 

「イジメるのは楽しいけど絶望させるより楽しい事を見つけたからよ」

 

ふふん、と鼻を鳴らしてから朝ごはんを食べるドリーマーはここに来て一番の笑顔をみせていた。

これだけ見てるなら凄く良いんだけど……隣に縄で縛られてるデストロイヤーが全て台無しにしている。

そして片手はそんなデストロイヤーの背に回され片胸掴んでるんだもの。

 

「はい、今日の朝ごはんよぉ」

「だれかこのクソレズを止めてよぉ!!イヤー!!!」

「ドリーマー、止めてやれ……」

「ゲーガー……!」

「やるなら食堂ではなくアトリエでやれ」

「その通りね♪」

「ギャー!!」

 

本家本元とも言えるデストロイヤーも保護したからドリーマーのテンションが爆上なんだよね。

ちなみにデストロイヤーとヴィオラは遭遇して……

 

「たすけてぇヴィオラァー!!」

「……ドリーマー?」

「アッハイ」

 

対ドリーマーお仕置き人として味方につけている。

ちなみに私とも仲良くなってるから暇な時は遊んでってせがまれる。

ゲーガーはまだ雰囲気に慣れてない感じで居心地が悪そうだけど……

 

「美味い……」

 

とてもいい笑顔で食事を楽しんでいるし戦い以外の事で何かしたいならお好きにって言ってるから……

そのうち自分の楽しみっていうのを見つけると思うんだ。

頭をつかうのが得意らしいからドリーマーの副官てきな所になるんだろうか。

ドリーマーは色々着手してるから人手は欲しいだろうし……

まぁでも今日は無理かもね、3人改造が待ってるし。

 

「あ、417!改造終わったら一緒にゲームしてよね!スコーピオンも誘ってるんだから!」

「はいはい」

 

一番馴染んでて楽しんでるのはデストロイヤーだろうなぁ。

 

 

――――――――――――

 

 

案の定というか鉄血組に並んで40の胸部もバインバインだね……

でも三姉妹並んでみると……45姉が一番小さかったり。

それでもGカップ相当あるからでっかいんだよね。他が規格外ってか……

さすが人形って感じのスタイルになりつつあるのがまーたなんとも。

 

「手加減は無しって言ったじゃん」

「泣くくらいなら最初に言ったCo-opゲーにしておけば」

「ひぐっ……」

 

現在改造が終わったデストロイヤーとスコーピオンとで対戦ゲーム中。

デストロイヤーもそのちっちゃいボディにデカデカとした物をくっつけるようになった。

コレを見てドリーマーが何かまた思いついた様子でアトリエに向かっていった。

また何をするつもりなのか不明だけど不利益にはならないだろうと思いたい。

さっき早速と言うべきか配管工事の下準備のために掘削ドリルくっつけただーちゃんが走っていったのを見た。

補強用の筒も身体に巻き付けていて非常に愛らしかったなぁ。

やってるゲームはこれまたマイナーでチョロQ64である。

完全なレースゲームである。ただしパーツの組み換えとかで性能が劇的に変わる。

私もスコーピオンも熟知しているからコースに合わせてちゃんと変えるんだけど……

デストロイヤーはそんなのは知らないからパラメータが良い物を適当につけているだけ。

おまけにコースを知らないわけだから私達がギミックを使ってショートカットしていく。

その後をなんにも知らないデストロイヤーがついてくるんだけど……

前提条件とかを知らないし侵入角をちゃんと決めないとこれが成功しなかったりってね。

 

「ほら、デストロイヤーが好きそうなのやろ?」

「ぅぐ……」

「お姉ちゃんがちゃんと教えてあげるから、ね♪」

「あ、じゃあ次はカービィシリーズやってみよっか」

 

なお何をやらせてもデストロイヤーはちょっぴりポンコツが入っていた。

けれども一番楽しそうにしてくれてるから間違いはなかったかな?

 

「あ、動いた!」

「ん?あぁ私のお腹の子ね?」

「人形でもちゃんと……産めるんだね……」

「時代は変わっていくからね……デストロイヤーもいつか産んでみたい?」

「わかんないわよ」

 

疲れて寝っ転がって私のお膝の上に頭を載せたデストロイヤーがはしゃいだ反面……神妙な顔で私のお腹を撫でた。

曖昧に笑っていたけどデストロイヤーもそういう願望があったりするんだろうか?

それともドリーマーに……ううん、それはよしておこう……




ドリーマーが本格始動です。
もうほとんどコイツに任せて好き勝手にさせれば色々捗る疑惑
UMP40も無事D仕様ですしいよいよもって45姉に鼻を捧げなければならんな。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。