皆妊娠が発覚してからダーリンの夜はかなり静かになったものだ。
理由は勿論お相手できる妻が一人残らず全員妊娠したからですよ。
カラビーナからのドクターストップがかかったし皆つわりがあってエッチ中にゲロったら大変。
私には考えが浮かばなかったんだけどダミーを利用してから自分の世話をさせるってしてる。
しかしまぁダミーと比較してメインフレームのでっぱいっぷりが凄いね。
D08地区モデルって事まずおっぱいを見れば分かるってやばいよね。
しかもメインフレームは輪をかけてでっぱい、男ならみーんな目を向けるよ。
私ならそうするし私並みにでっぱいな子が居たらそりゃ見る。
性別変わっても見る時は見ちゃうよ、おっぱいだもの。
「お姉ちゃん大丈夫?」
「おぶ……」
「ダメっぽいね」
つわり酷い勢のお姉ちゃんは今朝からゲーゲー吐いてるの。
付き添いで私とお姉ちゃんのダミーがくっ付いてるけど胃の中身全部出しちゃってる。
残ってるのはどうにも胃液だけみたいでさっきから酸っぱい臭いの水を吐き出してる。
今日のつわりが酷いのはMk23とスプリングフィールドも混ざってさっきからトイレフレンド。
隣の個室からもゲーゲー音がするもんだ。
「辛いよね、つわり」
「よくこんなの耐えたわね……うぶっ……」
「はいはい、出しちゃおうねー」
背中をさするとお姉ちゃんはまたゲーゲー……これはまた酷いね。
私は流石にここまで酷くはなかったよ?
「あ、栄養カプセルも出てるね……」
「うそでしょ……」
「もう一回飲まないとね」
ゲロの中に私も毎食後飲んでる栄養カプセルが混ざってた。
赤ちゃんの育成に欠かせない物だから戻した場合はまた飲み直しです。
ダミーが動いてから水汲みに行ったけどお姉ちゃんは……すげぇ顔色悪りぃ。
うーん、皆私やヴィオラの事をこう見てたんだろうなーって思うよ。
「はい、ダミー諸君今日からは妊婦のサポートに回ってもらいます」
「「「「おー」」」」
通常業務として基地待機兼食堂のウェイトレスをしていた私のダミー達。
その他にも掃除洗濯を担当してるんだけどぶっちゃけた話暇を持て余し気味。
お裁縫?そんなの出来て雑巾作りとか簡単な物しか出来ないんだよ。
つー訳でして私は別にもうサポートは必要ないしダミーに色々サポートさせようって事ですよ。
身の回りの雑用とか私やヴィオラが作ったお料理とかを運ばせるのよ。
「はい、それじゃおめーら散れ!」
「「「「すっぞおらー」」」」
おー!と掛け声挙げてからダミーは各々散らばって基地の各所で待機。
妊婦が来たら目の届く範囲で支援していく手筈に。
んで、私は自分の経験から数週間はこのゲロと付き合っていかなきゃいけないし……
味覚の変化やヴィオラがやらかしかけた火薬誤飲未遂とかを説明。
色々自分の変化に怖い事もあるかもしれないけどね。
それが正常な反応なんだから恐れることは無い。妊娠したサインだって事だ。
それより不安を取り除いて母体をゆーっくり腰を落ち着けて成育に励むこと。
そう、落ち着かせて生育に励むのが何より大事な母親としての事です。
お腹への衝撃は避けるべし、お腹を冷やす行為も避けるべし。
おっぱいを刺激するのも極力避けるべし、早産流産の可能性が出てくる。
「とは言っても不安と喜びが渦巻くのが現実だからなぁ……」
私はうんっと美味しいお料理を振舞ってからみんなを支えることにしよう。
ダーリンは報告で大忙しだしマタニティ服の手配でさらに忙しい。
暫く夜がご無沙汰になるからお相手はどうしよう……
誰かがオカズになるしかないだろうか?
「んぁ?ダミー2〜4どしたの?」
「ヤベーことになった」
「ジュースと間違えてダミー1が缶チューハイ飲んだ」
「めちゃ笑ってる」
私は禁酒令出てる。私のダミーはもち同じく禁酒。酒癖が悪いってなってる。
そういえばダミーが要求するリソースが増えたと思ったら……何やってんだか。
で?酔ったダミー1が騒いでるっていうのが第1宿舎の男子寮。
兄さんの部屋に転がり込んで絡んで絡んで絡みまくってるらしい。
「はいるよー?」
「で、兄貴どうしてロリ巨乳が好きだったっけ?オイラ覚えてねーんだわ」
「……」
「はー無視ですかー?オイラマジショックですけどぉ?」
うん、これは酷い。私の中にある過去の私がエミュレートされてるよ。
仕草、言葉遣いが全部野郎だった頃になってるぅ!?
超煽る覗き込み動作とかも私のボディでやってるものだからなぁ……
兄さんもこの動作に久々に直面して思わずしかめっ面。
これはうぜぇ……美少女がやったとしてもうぜぇ……
「417どうにかしろ」
「あ、うんしょっ引くね」
「オアー!離せー!!」
「暴れんな!」
「「「抑えろ!」」」
「どろへどろ!」
私が直接引っ張りたいけど赤ちゃんにボディブロー貰ったらダミーを血祭りにしなくちゃいけなくなる。
普通に安全を保つためにダミーに抑えつけさせる。
もう無茶苦茶だよ……やろうとしてた業務が止まってるんだけど?
引っ張っていって私の個室にぶち込んでから亀甲縛りしてから椅子に座らせる。
「あーオイラ何、SMプレイさせられるの?」
「いや、ちげーから……ダミーなのに何言ってるんだか」
「はぁ?オイラはジョシュアだぞおい」
「あ?」
このダミーは一体何を言ってる?本体である私しか持ち得ない情報を持ってるぞ。
一応だけど私の情報を逆に閲覧も出来るのか?
それともダミーのベースになってる物が私の深層意識の可能性も?
「んまーオイラもなんでこう起きたのかわかんねーけどなーつかやばい級のが見えてなー」
「……と言うと?」
「クソ兄貴がよーくロリに目を向けてたのが強烈過ぎてぶっちゃけ脳キャパオーバっす。マジワロ」
そう二次元至上主義だった兄さんがSAAにお熱なのは衝撃だったよ。
「おまけにオイラがメスになってるとかマジ半世紀前のノベルかよ」
「う、うっさい!」
「男が男好きになって子供孕むとか」
「今は私は立派な女の子ですぅ!」
酒に酔ったのが引き金なのかダミー1の制御が私のコントロールから外れてる。
ニヤニヤと笑ってるけどその奥にあるのは何も無い虚無だ。
「私の事はダーリンは受け入れてくれてる!」
「ほーん、じゃオイラをあわせて見ても言えんの?」
「……それは」
「語るに落ちるったーこの事やんな」
あほくさと言いたげに私と同じ顔で呆れ顔作ってそっぽ向く。
「417、ダミーが暴れたと聞いたが」
「誰だっけ、えーっとそのバカでかいおっぱいさん」
「……」
「ヴィオラ?」
「オイラ好みの良いおっぱいじゃん」
「もう黙れよ……私」
もう私にとっては悪夢だ。私が秘めてきていた事が大いにバレていく。
ヘラヘラとした軽薄な顔でヴィオラを見るダミー1
ヴィオラも何か思う所があるのかこっちを見て口を開けて……
「はー拘束プレイとか同人エロゲでいいのによー」
「もしかして417も元男とかか?」
「っ!?」
「お?」
結論から言えばヴィオラも元々人間で気がつけば人形の身体になっていたらしい。
両親の概念とか人間の営みへの知識、集団生活への異様な慣れ……
そして複製困難な複雑なAIなどからも私と似通っている。
「そっか……ヴィオラもそうだったんだね」
「現実は小説よりもなんとやらというな」
「オイラもそう思うわ、つーか意識の融合を見てるし複製過程で偶然オイラが複製されたとかなー」
からから笑いながら缶チューハイを煽る私のダミー……
いや、私の中でずっと生き続けていた……ジョシュアとしての意識。
HK416と混ざりあって構成された私と複製で偶然埋め込まれたダミー1に潜んでた……おいらの意識。
本当に奇怪極まる事だよ。
「オイラはまー普段は半分寝てるようなもんだしやっぱ死んだもんに近いんだなーって」
「そこまでエミュレートできておいて……」
「んがっ……おぁー、本体だー?」
ダミーに持っていかれていたリソースが戻ってきた。
エラーログを遡ると……ダミー電脳の制御系がアルコールによって暴走……
偶発的に私の中の記録としてのおいらと各ダミーAIに埋まってる残滓が動いた結果……なのかな?
「ダーリンに包み隠さず、話さなくちゃ……かな」
「それでも受け入れてくれるさ……さて、私の事も少し話さねばな」
ヴィオラおめー平成のヤーパン人だったの!?
久しぶりのオイラ
ダミーに残滓として散らばっていた。
酒でエラー吐いてリソースをどか食いしてようやく顕現