元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん   作:ムメイ

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鉄血に対する解釈がねじ込まれていく


Day160 どたばた家庭力

今日で妊娠が発覚してから40日になるのかな?通算で考えれば大凡50日。

人工卵子の成長速度は二倍になっているから計算上では通常の妊娠100日計算か。

まぁそりゃ私のお腹もぽっこり出ちゃうわけですわ。

まぁ妊娠してから14週は経ってるわけで所謂妊娠初期から妊娠中期に移っている所だ。

元々稼働している人工的な乳腺も発達を遂げていてちょっとおっぱいが大きくなってる。

人間と違うのは乳頭の色素の沈着が無い所かな。メラニン色素を作ってるわけじゃないしなぁ……

まだまだ半分にも満たない、これからが本番だ。赤ちゃんが生存するためには通常の妊娠周期で22週は必要らしい。

それでも所謂早産、しかしながら生存率は50%になってしまうのでリスキー。

通常の出産では37週……つまりは259日はお腹の中で大事に育ててあげないといけない。

私とヴィオラはまだまだ始まったばっかりに過ぎないんだ。

お姉ちゃん達はそれこそまだ入り口に立ったばっかり……かもしれない。

まぁ今朝もゲーゲー吐いてたそれはもうつわりですよ。

お腹はまだ平たい素晴らしいモデル体型を維持してるけど……そのうち私と同じになるんだろうけどね。

 

「まぁ皆モデル体型だけどおっぱいがね」

「そうね……うぶっ……」

 

隣に座ってるお姉ちゃんを見てみるとまぁ凄くおっぱいだけが突き出てる。

元々の416ってモデルがそんな感じで普段はかなりスレンダーに見せておいて……

脱がせるとかなりおっきなおっぱいを持ってるっていうギャップが売りだったりする。

ちなみにI.O.P調べのアレなランキングでも結構上位に入っている。

戦術人形としてではなく普通の民生人形として生まれていたらトップセールス入るんだろうなぁ。

かなり高いとしても欲しくなる女房って言ったら……

 

「なに?」

「んー、お姉ちゃんって男から見たら凄くいい女って見えるだろうなーって」

「当然よ、私は完璧だもの」

 

ストイックだけど好きになった人の為にひたむきに頑張るし褒めれば更に伸びていく……

そして隙を見せてくれたらこれがまた可愛い物好きだったり普通の女の子してるんだよね。

このギャップがスゴイ魅力的だし見た目もかなり可愛いもんだからねぇ……

私が男のままだったらすっごい好みの女の子だったかもしれない。

もう今となってはふんわりとこうだったかなー?位にしかならないなぁ。

 

「さて、今日はどうしようか?」

「そうね……最近増えた鉄血のメンバーのお菓子作りとお掃除とか教えて?」

「お菓子作りはもう全然できるから……お掃除か」

「……ほら、私」

「あーうん、ズボラってか……ね」

 

ほったらかしにしてたらお部屋が汚部屋になっちゃう系の女の子だったからなぁ。

今は私がきっちり教育したからそんな女子力低いことはないけどね。

 

 

――――――――――――

 

 

「どうしたのゲーガー……げっそりしてるけど」

「……あぁ、417か……コレを見てな」

「……みらくるふぁくとり~」

「なんだコレは……」

 

あーうん、見ちゃったか……ドリーマーが絶対に見てるしなぁ。

ゲーガーが見ちゃう時はいつか来ると思ったけど……前回のが前回のだからなぁ。

だってS09P基地のゲーガーも出てたし……アーキテクトはあんなだし。

別の自分があんなノリに合わせてるし元上司のね……あのノリはすごくねぇ。

 

「まぁ別な基地だから……ね」

「そうだな……」

 

肩をぽんぽんと叩きながら慰めているけどうん……あんまりよろしくない。

これワンチャンこっちにも来たりするからなぁ……ゲーガーが巻き込まれる可能性も否定できない。

二人揃って同型が並ぶ訳だけど……まぁ一部の違いがめちゃくちゃ出るよね。

主におっぱいなんだけどね。ゲーガーも元々あった方だけど……でっかい。

で、今日は何をしてるんだろうか……とは思うけど。

 

「まぁ今日のおやつを作ったから一緒に食べよう?」

「あぁ……ちなみに今日のは?」

「ベイクドチーズタルト」

「ほほう、良いな」

 

いくらか顔色がよくなった感じで面を上げて食いついてきた。

うん、よしよしその顔が良いよね。ゲーガーも大型犬タイプだね。

こう実際には無いけど犬のしっぽとかが見えてきちゃいそうな感じ。

ドリーマーとかが作ってくっつけたりしないだろうか?

 

「何を考えた?」

「ん?いや何でもないよ」

「いや、絶対に417なにかを企んだだろう?」

「企んでない企んでない」

 

元上司があれだから悪ふざけだったりに対するアンテナが強いのかも。

私がちょっとそんなのがあったら可愛いよねって思ったらこれだもん。

 

 

――――――――――――

 

 

Five-seveNも色々とFALに教わっていた。

家庭的な女の子が好きっていうダーリンの一言で目の色を変えてね……

皆色々と家庭的な事を調べて学び始めた。そうお料理だったりお姉ちゃんみたく掃除をやったりね。

それこそ自分の部屋のお掃除で練習してるけどかなりあれだね。

 

「すっげぇ埃っぽいね」

「G36がすごい勢いで基礎から教えていたぞ……」

「この惨状はひっどいなぁ……」

 

まぁ掃除を初めてやった連中が物の見事にとっ散らかして居るみたいだ。

で、散らかした連中はG36によるお説教と正座と首からぶら下げられたプラカードが痛ましい。

ズラリ並んでるから何とも……基本データが無かったらこんなものなのか。

私は人間だった頃の記憶があるから下地があるしね。

それこそ機械的なロジックで整理整頓を考えてしまったのかもしれない。

ソートと同じ様に一つとってはどこかに一時置いて次に最適な場所を……って

すでに詰まってる場所が最適だけど物があるからまたそれを抜いて……

 

「同じ人形なのにどうしてこんなに差が生まれるのかしらねぇ?」

「417はそつなくこなしてるけど」

「ん?私はまぁ下地があったからね」

「416は?」

「全然よ、製造当初の私にそんなものは必要ないと思ってたもの」

 

戦術人形としてロールアウトされている人形にはそんなデータはありえない。

だから後々でリソース割いて覚えたりデータディスクでインストールしたり……

ちゃんとした手順やお約束ごと……まぁ所謂プロトコルを覚えないとね。

 

「ヴィオラも最初はそんなに上手じゃなかったけどここまで酷くはなかったみたいね」

「そうだね、流石にとっ散らかす事は無かったなぁ」

 

なおそんな様子を見ているのは私のほか最初の嫁8人衆と鉄血組。

ドリーマーは一応そつなくこなせるみたいだ。お料理は出来ないけど掃除については何よりも得意と豪語している。

デストロイヤーはまぁ無理って言った。そうだろうと思うけど。

ゲーガーは掃除についてはもう慣れたと言っている。アーキテクトが原因だろうなぁ。

スケアクロウとアルケミスト、ウロボロスはそんなの一切知らんと言ってタルト食ってる。

 

「しかし世は何があるか分かりませんね」

「そうだな、私もそう思う」

「鍛錬続きの私にもこの様な甘い蜜月のような日々が来るとはな……真に奇っ怪だな」

 

これで口元にタルト生地のカスがくっついてなかったら結構サマになってたんだろうけど。

 

 

――――――――――――

 

 

そう言えばメイドラグーンの基礎となってるプログラムはエージェントの物らしい。

つまり言うなれば簡易量産型のエージェントってことになるのかもしれない。

料理に関するプログラムは私やヴィオラ、スプリングフィールドなどから採取したらしい。

お料理に関しては鉄血に良いデータが残ってないらしい。

因みに鉄血で一般的に振る舞われているのは軍事人形用のクソマズレーション。

それどころかバッテリーに直接電気を流し込んだり栄養カプセルって味気なさすぎな物だったり。

兎に角効率を重視していて楽しみなんてのは無い、それはまぁ前にも聞いたっけか。

で、メイドモデルであるエージェントに搭載されているプログラムって言ったら……

サブアームを行使した複数作業制御プログラム、脅威排除用の自衛・戦闘プログラム。

日常生活における会話役としての高度な会話プログラム、家事お手伝いの為のお掃除お洗濯プログラム。

そう、肝心な所と言えるお料理プログラムが無い。コレに関しては別な会社で出されている物が良い。

お掃除に関してもお洗濯に関しても正直出来は良くないらしい。

でもハイエンドモデルとして外観とスペックデータは一流、軍の随伴としては不足ない……という設計だったらしい。

つまり何が言いたいかと言うと……エージェントのメシはマズかったらしい。

食っていて嫌気を覚えるくらいには鉄血のメシは不味い。それは皆口々に言っている。

エージェントも顔色一つ変えていなかったそうだけどかなり不味いのは理解していたらしい。

ハンターってモデルは自分で飛び出して狩りを行ってからサバイバル料理してたくらい。

普通にウサギとか鹿とかの生肉を焼いただけのものよりくっそ不味い料理だったんだって。

 

「レーションだってちょっと一工夫したら美味しく出来るけどね」

「……これがあの配給の粘土ブロック?」

「嘘でしょ……こんな良い風味は無かったわ」

「これならおやつ感覚で食べれる!」

「417、おかわりくれる?」

 

G&Kの配給レーションもお世辞言っても美味しいとは言えないブツだ。

でも少しでも美味しくしようと思ったら一手間加えてやれなくもない。

まぁ今回使ったのは固形タイプの配給で味は正直私もうぇっと来るやつ。

まずは味どうこうよりも後味だったり口に残る匂いから着手しようとした。

案外ここが大事で後味が悪いのはながーく続く。

正直味がなくてもここの香り一つ違えば印象は変わってくる……はず。

調味に関してはちょっと横着しちゃってお砂糖とカカオパウダーを使ったりした。

因みにこのカカオは第2宿舎の温室で試験的に採れたものです。

香りは普通に良かったので使っていいとの事だったので遠慮なく使わせてもらった。

 

「メイド対決したら絶対にここの人形が勝つわねぇ」

「むしろエージェントが勝てる未来が無いな」

「皆そうですか…」

「違いないな、エージェントも家庭的ではあるが……」

「如何せん練度が違う」

 

そもそものコンセプトがねぇ……




軍用に近い……じゃあ無駄になりそうな機能は割とコストカットくらうんじゃね?
結果:メシマズ系代理人(自覚あり)

さぁ代理人がどうここに染まるかはおわかりいただけたかなぁ?

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