仮名称、ベイビーミュータントは研究所から引っ張り出されて……
その生態、計画の全貌等がさらに埋没していた資料から判明した。
まず生態というのはこのベイビーミュータント……もとい、ピグミーベイビーの事だ。
計画の全体はこの子供の研究はまだ足掛かりにすぎない。
所謂臨床実験的な所でこのベイビー達で安定させれるのであればそれから段々と身体を大きくさせていく。
それに伴い知能レベルを大凡三歳児のモノから段階的に引き上げていき最終的には12才児の知能まで引き上げる計画だったらしい。
生態は至ってシンプル、排泄機能は発汗に留まる、水分は過剰に必要とせず養分も本来は必要ない。
その内部で何が起こっているのかは不明だがE.L.I.Dの活動原理が解明されていないから何とも。
ただ明確な空腹を訴えて口に入るものならばその強靭な顎で噛み砕くなどしていたらしい。
あれこれ与えた所一番反応が良かったのが牛乳であった。
それからサンプルとして母乳を妊婦より無理矢理に採取して与えたんだって。
それがバッチリマッチしてそれを要求するようになった。
まぁ思考ベースが幼児の物だから要求するのはそうだろうね。
「まぁこうなるのも納得」
研究資料を読み漁っている私のおっぱいには二人のベイビーが吸い付いている。
あの研究所で生存していたのは合計10人のベイビーだった。
名前は決められていなくナンバーで呼ばれていたみたい。
「まま、なにみてるの?」
「んー?ノーリからヂェーシャの事を見てたの」
「ふーん……あ、ままー!」
「うげっ」
「ちょっと私達はママじゃ……ぎゃー!」
「あははは……満足したら終わるからそれまでおとなしく吸われてたら、デストロイヤー?」
お料理と言うかデザート狙いで来てたデストロイヤーとガイアに張り付いてた。
因みにママ判定の目安はおっぱいの大きさと匂いだね。
嗅覚がかなり鋭いらしく人間や人形でも分からないような微細な匂いにも反応する。
まぁママって言われてる人形はどうだって?
ミルクの匂いがするからママってさ。どこで学習したから人間は噛み砕くことはない。
多分だけどそれも実験でやったんだろうけどそこは血塗れで解読不能だった。
聞いてみるとただ一言、勿体無いからってさ。ママのおっぱいは何度でも吸えるから。
まぁ言外に一度食ったのかもしれないって可能性を示唆してるんだよね。
あと4人見えないけど何処に居るって?全員の端末に居場所が分かるようにって発信機くっつけてるから分かる。
居る場所は……私とデストロイヤー二人が授乳している第一宿舎と……ドリーマーのアトリエに二人。
ゲーガーの私室とウロボロスの私室に一人ずつか。
「美味しい?」
「うんっ!」
「おいしー」
「そりゃ良かった、満足するまでたーんと飲んでね」
本当にただ吸うだけならそんなに気持ちよくもならない……無心でいられるかな。
ダーリンの吸い方がかなりえっちぃんだ、これが証明された……私のおっぱいはえっちくない。
あっあっ、強く吸っちゃ……
――――――――――――
反応が面白いからと弄ばれてしまった……おにょれベイビー達め……
隣ではデストロイヤー二人もぐったりソファーに身を預けている。
「まぁ救いというべきか……汚染皮膚はちゃんと隠されてる事か」
「見た目だけだったら普通の……一歳児よね」
「おまけに成長もしない、永遠あの姿って言うのもねぇ」
そう、元々死亡した幼児などの身体を使用しているため基本的な代謝と言う物は存在しない。
さっきも抱っこしてる間身体はかなり冷たかった。それでも活動している。
触覚もあるし味覚も聴覚も視覚もある。しかしながら痛覚はかなり鈍く暑い寒いにもかなり鈍感だ。
代謝が無い、つまりは身体が傷つけばそのまま終わりかも知れないが……あの皮膚を貫けるのは対物ライフルだ。
生半可なグレネードでは固い肌に跳ね返されてしまって活動停止や……そもそも傷一つ負わせられない。
なんとか殺せるのか?と実験していたそうだけど……結果的に殺すには活動停止するまで閉じ込める事が一つ。
もう一つは戦車砲で木っ端微塵にすること。その際に間違いなく内部組織が炭化するので解析不能。
活動停止しても同じく、さらさらと塵となって散ってしまうので解析不能。
累計100名の孤児がここで実験の為に犠牲となっていったらしいが……それ以上の数字が……
「いや、止しておこう……想像するのはやめやめ」
ともかく、あの子達がもっと成熟していって時の流れの移ろいに憂いて自ら死を選ぶまで……
私がちゃんと、面倒を見てあげないとね。本当は親っていうのは子をおいて逝ってしまうモノだけど……
幸いにも私は人間から人形になってしまった。その寿命というものもどうにかなってしまう。
更に言えば望めば電脳を摘出して同じ様な人形のボディに入れることも出来る。
あの子達の未来っていうのはいくらでも選択肢があるんだ。
「ま、今は満足するまでお腹いっぱいにさせて遊ばせて……」
「ぐっすり眠らせてってのを繰り返すばっかりね」
そう言えば端末で確認した感じ……第二宿舎の中庭でお昼寝してるっぽいね。
まぁ彼処なら仮にお腹が空いてもすぐ近くに誰かしら居るだろうしね。
主にアルケミストとかハンターとかゲーガーも自分の部屋でお仕事してるか。
ノックして開けたら多分授乳祭りになるんだと思うな。
授乳しても平気かどうかはカラビーナやトカレフがちゃんと確認してるから妊婦組もちゃっかり練習として……
「お姉ちゃんが思いの外愛でまくってたのがなー……」
「ヴィオラもよね」
「昨日の夜中のFive-seveNもすごかったね」
この基地が言外におっぱい基地なんて呼ばれてたりするけどもう言い逃れできないわ。
――――――――――――
「で、一応完成させたのが10人同時に授乳できるミルクタンクね」
「でも……ねぇ?」
「そうね」
ドリーマーがこれまた一晩で組み上げた機械式の結構おっきなミルクサーバーなんだけど……
それには一切目もくれずベイビー達は私達のおっぱいを求めてくる。
一度飲んだけどなんかいや!って駄々こねて結局私やドリーマーに甘えてくる。
私も出産するまでは別にいいけど……出産した後が大変なんだけどなぁ。
「まぁこの子達の研究データからあのクソ忌々しいコーラップスの研究が出来そうなのよね」
「でもコーラップスの研究は……」
「えぇ、リスキーすぎるから絶対にしないわよ」
漏れ出てしまえばその後はこの地区が不浄の地となってしまう。
さすがのドリーマーもそんな危なすぎる綱渡りはしないか。
そもそもどんな見返りがあるかも全然理解されちゃいない。
人間には過ぎたものすぎる気がするんだ。既にそのテクノロジーによる汚染で酷いことになってるんだし。
「それより……」
「それより?」
「このひっつき虫をどうにか出来ないかしら?」
「多分無理」
ドリーマーはかなり気に入られているみたいでほぼ誰かしらがそのでっかく実ったおっぱいにくっついてる。
そろそろ離して欲しいってアトリエから出てくるときもげんなりしてた。
流石に機械を動かす時は離れてもらってるみたいだけどね。
私以上に気に入られてるじゃん、溢れ出る母性ってのがあるのかもね。
「はぁ……ま、可愛いから許すけどぉ……」
「次は何作ってるの?」
「このベイビー達用のベッドとミシン」
「ベッドは分かるけどミシン?」
「布とパターンを入力したら全自動で手と同じように裁断するミシンよ」
「それもう大型機械って言ったほうが」
「ミ シ ン よ」
ベッドは自動で左右に揺れてゆりかごの様に寝かしつける動作をする。
おまけに起きて上体を起こそうとする動作をしたら足が折り畳まれて降りても安全な様に。
ついでに端末に起きたことを伝えて授乳に協力する人形を募集するってやつ。
後々追加するらしいけど赤ん坊の泣き声を検知して母親に知らせるのもあるらしい。
――――――――――――
「ぱぱー!」
「あはは、パパだって」
「えぇ……」
「だっこ!」
「まま、おっぱい!」
因みにダーリンはちゃんとパパ判定をもらっていた。
私達ママの匂いがするからだってさ。あっはっはっは……
で、だけどちゃんと抱っこしてあげてる辺りダーリンもパパ活の練習かな?
頭をなでてやると気持ちよさそうに目を細めてきゃっきゃ笑うんだ。
「あーパパもおっぱいが欲しいなー」
「吸うだけなら別にいいけど変に弄ったら叩くよ?」
「アッハイ」
お昼時、みんな揃ってのお昼ご飯だ。勿論ながら食堂の方も増員に合わせてちょくちょくと拡張されてたりする。
おかげでギリッギリ全員が入っても収まりきる、ついでに私のダミーもG36のダミーも大忙し。
ダーリンが抱っこしてるベイビーは先にドリーマーにひっついててお腹いっぱいだったから別に良いんだけど……
残りの9人がそうでもなくそれぞれ空腹を訴えたから私達妊婦組が抱っこしつつ授乳させてるわけです。
腕力はかなりあるから私達も安心して手放し出来るわけですよ。
まぁ抱っこ紐とか作っておいて子守りの練習もしておかないとね。
「はい、パパ……あーん♪」
「あ、あー……」
いつか来る家庭での食事みたいなことを出来て私は嬉しいかな。
本番の私達の赤ちゃんはこんなに大人しくはないだろうしびーびー泣いちゃうんだろうなぁ……
子育ての事を聞きかじってると本当に大変そうだけど……
「で、次のつわりの予想はどんな感じかなー?」
「やめろ、流石にもう迂闊に避妊具きらしてねぇから……」
「本当にー?」
「本当だっつの……流石に基地が動かなくなるのはまずいって」
「ま、信じてあげる」
さてと、この情報が流れたらどんな基地って言われることになるのやら。
セクハラ基地からおっぱい基地に変わって……次は子育て基地かな?
大陸では416のロリスキンがくるそうですね。
僕は冷静さを欠きましたが生きてます。