「うーん……」
「おはよう……辛そうだな、417」
「ダーリン……お腹がおもぉぃ……」
今日の私はもう朝からだるーんとしていた。そりゃもうお腹がクソがつくほど重い。
赤ちゃんもすくすくと育っているようでお腹が無視できない位に大きく膨らんできた。
因みにお姉ちゃん達も膨らみが確認できるし……
あとイサカのお腹もかなり出っ張ってた。とてもうれしそうに撫でてた。
しかし私とヴィオラはもうかなり出っ張ってきていて中々つらい……
世の中のママはこれを体験してたんだって思うとそりゃ強いわって思うね。
正直甘く見てた、この重さは人形でも中々くるものがある……
「おっぶ……」
「どうした」
「赤ちゃんの迫真のキック……」
「安定期に入ってからちょっとづつヤッてたし……それに対する抗議かもな」
「そんなぁ……」
ゴム有りって事が絶対条件になったけど私もヴィオラもお許しが出たの。
ついでに言えば安定期に入った後は体調を崩さない程度になら前と変わらないようにしても良い。
まぁお腹に負担がかかるようなことはそもそもだけど私達おっぱいデカイ組は出来ないし。
絶対に胸が潰れて苦しいってなったりするから自然と避けちゃうんだよね。
I.O.Pからの回答も帰ってきていて今の所着床後の流産確率は低く……
人工子宮でも順調に生育していることが確認されている。
外的な刺激を与えた際のデータも取っているがこれもまた問題はない。
ただしながら絶対にしないだろうと思われるが……後期に入れば止めろって。
そもそもそんな時に入ったらまともに動くのも一苦労になりそうだ。
「ふげぇ……でも元気にダーリンの子供が育ってきてくれてて私は嬉しいな」
「その、側にいてやるくらいしか出来ないが……頑張って俺の子供を産んでくれ」
「……えへへ、そりゃもちろんだよ。ね、ヴィオラ?」
「……気づいていたか」
ヴィオラもちょっと前に目が覚めてる気配がしていた。
私もヴィオラもやんわり優しく抱いてもらってたから幸せいっぱいで眠ってたし……
私より先に抱いてもらって優しく寝かしつけてもらったんだからそりゃね?
ほんのり赤い顔で寝返りをうったヴィオラ。うーん、この幸せいっぱいの顔。
「私も苦しいが、これは幸せの苦しみだ……主人との愛の結晶を産み落とす……なんと胸が弾む事か」
「今日はどうしよっか……スタジオで音楽してる?」
「む……それもいいな」
「じゃあ416たちにも伝えて……後で俺も行くから聞かせてくれよ」
――――――――――――
「まさか安定期に入った段階で音楽をとは……」
「完璧な育児には必要不可欠ね」
「ダーリン!ダーリンとダーリンのベビーの為にやるわよぉー!」
「わかったわかった、まだ頭がガンガンするんだちょっと声をおさえてくれ」
イサカ、主任夫婦は比較的暇って言うのもあって揃ってスタジオに来ていた。
なお私とヴィオラ以外は殆どズブの素人です。楽器ばっかりは豊富に揃ってるんだよね。
と言っても流石に10人近くの楽器は揃えられちゃいない。
練習がてらだから結局奏でるのは……みんな知ってる曲で、コード進行が緩いやつ。
まぁぶっちゃけ私達で奏でる必要性はあんまりないけどね。
普通に兵舎でのんびりしながらレコードを聞いてっていうのも優雅だと思う。
「じゃ、軽く……カントリー・ロード」
「あぁ、今はないアメリカの……」
「ダーリン、あとでおっぱいで窒息刑ね♪」
主任がぽろっと言ったけど……太平洋と呼ばれた海は今やE.L.I.Dばかりの大汚染海だ。
無事な大地は数少なく嘗ての大国であったアメリカ合衆国は荒廃しつくし……
その対となるロシア連邦も大打撃、その煽りを受けてアジア圏も……
ダーリンのパパの故郷、ヤーパンも漏れなく滅んでしまっている。
もう気にする人は少ないけどそれでもデリケートな事だから言ったら何かしらペナがある。
イサカの場合は……罰というよりご褒美だよね。
「くっつきたいだけじゃない?」
「あら、バレちゃった?」
「じゃあもう主任と抱き合ってチュッチュしながら聞いてなよ」
「そうさせてもらうわぁ、ダーリィン♪」
有無を言わさずむぎゅっと抱きしめよったよ……
流石というべきか、イサカの恵体が更にダイナマイトと化したら……
主任のお顔がすっぽりとイサカのおっぱいの谷間に吸い込まれている。
「私だって……頑張らなくてもダーリンの顔くらい」
「Uziは何だかんだヘタレちゃって襲われてばっかだもんね」
「う、うっさい!WAだってそうでしょ?」
「何でそこで私に振るのよ!」
「ふふ、この喧騒も赤ちゃんにはいい刺激……なのかもしれませんね」
私のソロカントリー・ロードとなってしまったよ。お前ら、歌えよ。
――――――――――――
結局あの後はそれぞれ練習してからそれぞれ好きな音楽を耳コピで頑張って弾いた。
それぞれ好きな楽器ってのが別れてね……それぞれの音楽を聞いてからセッションしたりした。
私はアコースティックギターとエレキギター。ヴィオラはまんまビオラ。
FALがヴァイオリン、お姉ちゃんはベース、わーちゃんがピアノ。
スプリングフィールドがハープ、Uziはドラム、Mk23がエレクトーン。
G36Cとイサカが完全に歌唱担当。いい声で歌っていたんだ。
「で、このダミーは?」
「トライアル中の子供スキン」
「だっこ」
「このまま私の子供にしようかと思うの、どうかしら?」
「いや、それは……」
「因みにUMP姉妹にも適応されてるわ」
いや、これはどうなんだろう?確かに子供でめちゃくちゃ可愛いけど……
というか普通に素直に抱っこなんて言うんだね……可愛い……
これが私というエラーロットにならなかった場合……かぁ……
「で、こっちがD仕様ね」
「おもい……やだ……」
「……でも私より身長はあるんだね」
「そうね」
「いもうと」
「やーめろぉお前……」
「いいこいいこ、えへ……」
この子供スキンにあわせてかダミーのAIも幼くなってるみたいだ。
つまり本体が適応した場合は……まぁ今は適応なんて出来ないけどね。
私という身長も低い妹枠が居るのでめっちゃくちゃ愛でまくるの。
もう私の頭がぐっちゃぐちゃにされちゃって……んもぉ……
「因みにダーリンのことは?」
「「大好きなぱぱ」」
「ね、完璧な私達の子供よ」
外堀も完全に埋めたなこりゃ。
――――――――――――
「で、私達のダミーにもね……」
「可愛いね!」
「「おもい、たゆんたゆん」」
「……おやつ」
「わんちゃーん!わーんわーん!!」
宿舎の方に行くとまぁUMP姉妹……45姉と9姉の子供がそこにいた。
いやまぁこれまた可愛らしい子供で……D仕様な方はおっぱいを自ら弄って遊んでるし。
45姉の子供は……おやつとかがほしいのかずっと指を咥えてる。
で、9姉の子供は子犬と戯れていてさっきからゴロンゴロンと……
「ちっちゃいまま!」
「ままだー!」
「「いぎゃー!!」」
子供が子供に吸い付かれているこの……まぁD仕様だからしょうが無いか……
ベイビー達はミルクの匂いにつられてやってくる……そこに大きい小さいは関係ない。
「そういや45姉と9姉は結婚指輪貰ってないよね」
「ん、そうね」
「そうだねー、もう家族って感じだし!」
「愛してるってより好きな感じなのかな?」
「……正直わからないの」
「私は45姉に合わせるだけだよー」
45姉はちょっと……臆病なのかもしれない。
自分の気持というのに結局は踏ん切りがつかないから現状維持を選択しているのかも。
「そういうのも有りだと思う」
付き合い方なんて人それぞれの距離感がある。
それを押し付ける事はしちゃいけない……争いの元になりかねん。
「あ、でも取り敢えず面白そうだからおままごとはしよっかな」
「賛成!」
「おう、待てや」
どうでもいいけど価値観の押し付けはマジで争いの元な