おまけにガンスミス兄貴とナガンちゃん出てないとかこれマジ?
おまけに面白いかどうかは分かんねぇぞ、マジ?
今日はお客さんが来るとのことだ。場所はS09基地から。
となるとユノちゃん達かな?と思ったけどダーリンがそれで名前を出さないって事が無い。
ユノちゃんが来るなら素直にユノちゃんが来るって言うからね。
それにユノちゃんの好きそうなモノを用意するように私達に持ちかけるもん。
あとダーリンがこそこそ貯蓄している甘い甘いお菓子の在庫を確認したりね。
ユノちゃん来訪が分かってたらダーリンの所作で分かっちゃうもんだよ。
それはここ五ヶ月と連れ添ってる私じゃなくてもこの基地に一ヶ月くらい居たら分かること。
だってダーリンってかなり分かりやすいんだもん。
「ね、分かるでしょ」
「えぇ、よくわかりましてよ」
今日はダーリンの健康診断って事で朝からカラビーナ率いる医療隊が動いている。
私達妊婦の定期検診も兼ねてるから私達も同行してる。
執務の代行はM4買って出てくれたからおまかせしてる。
M4は元のAIがかなり性能がいいみたいでダミーに落とし込んでもかなり高性能。
と言うか最高級品と遜色が無いものだからよっぽどI.O.PはM4達AR小隊には力を入れているんだろう。
因みにだけど一部の人形にはさらなる妊娠疑惑が持たれている。
私達は妊娠時期が結構明確だけど……ダーリン曰く先に疲れて寝た後が怖いとか。
「全く、節操のない妻が多くて困りますこと」
「カラビーナが一番真っ先に疑われてるんだけど?」
「なぜですの!?」
「さぁね、最近しきりにマタニティグッズ漁ってるそうじゃん」
まぁイイんだけど、ユノちゃん所の医務長を務めてるペーシャがキレそう。
正直私達の妊娠を報告した時でもかなり怖かったのにね。
いい後輩が出来たと思ったら後輩の医療隊の長が妊娠とか……
まぁどれだけあの医務長怖がってるかを示すには一番いい方法があって……
一つ丁度インクがキレたボールペンがあります。
カラビーナには見えないように手に仕込んでから意識が逸れた所を見計らって……コレを握りつぶします。
「ヒィッ!?ご、ごめんなさい!」
「誰に謝ってるのさ」
「先輩ごめんさい、乙女心にはかて……居ない?居ない?」
とまぁペンのへし折れる音にくっそビビってるんです。
まぁこの言い訳からしてカラビーナはもうアウト臭いんだよね。
「あー……早くしてくれね?朝から飯抜きはつれーよ……」
「正確に調べるためです、我慢してください」
「我慢できない男は良くないって私思うけど?」
「血圧と体重は健康的で良かったです、じゃあ次はそっちの濃度を……」
「こらこらK5その濃度は夜にって言ってるでしょ、次は採血しますよーチクッと」
結局今日のお客さんは誰なんだろう?ちょっと前に打診した武器関係かな?
「取り敢えず昼までには終わらせてくれー……」
「合点承知!」
「ばっ、RFB手元を見て!」
「あ、いっけね」
「こぺっ!?」
朝から酷いこと酷いこと……ダーリンがその後目をさますのは昼ちょっと前。
M4からの伝達があってお客さんが来るのは昼ちょっと過ぎ。
工廠を空けておくこと、整備班は食事を終わらせて待機しておくこと。
PzB39、SVD、モシンナガン、TAR21、9A91、LWMMG、MG34、MG42、PKの前線整備担当人形も手を空けておくことが言い渡された。
どうやら今日来るお客さんとその用事からして招集がかけられている。
「取り敢えずお昼ご飯の用意をして待ってればいいかな?」
「移動中とのことでしたから先方の方はお食事を摂られてないと思います」
「OK、そうだ……M4はなにかリクエストある?」
「……アップルパイを食べてみたいです」
「了解」
そう言えば帳簿に防衛費として加算があったな……ふむ。
加算した日付は私が提言した次の日だったし十中八九そういう事かな。
後でマカロフにダーリンの通信記録を探らせよっと。
「じゃ、私は料理に行くね」
「あ、待ってください……私も」
「うぇ?M4もお料理?」
「はい、指揮官と……今日お見えになられるお客様のお料理を一つと」
「あー……じゃあ一緒に作ろっか」
アップルパイの他になにをこさえるべきか……あ、そうだ。
「今日来るお客さんのアレルギーとか知らない?」
「アレルギー……いえ、そもそもですが……」
「向こうの情報がない感じ?」
「はい……二人組で反応は人形らしいです」
「ふぅん……人形かぁ……」
人形の二人組でお客さん……それは珍しいけど何だろうなぁ……
防衛関係に強い人形って言ったら何だろうな……SG人形?
ここD08に所属していないSG人形ていったら限られてくるけどね。
いや、そうじゃなくても他所の基地のイサカとかって可能性も否定出来ないか。
「人形なら取り敢えずアレルギーとかの心配はなさそうだね」
「はい、遠慮なくお出し出来ると思います」
「M4は何作る気なの?」
「シナモンロール以外で考えてます」
シナモンロールって言った瞬間のM4の顔が凄く怖かった。何か恨みでもあるんだろうか。
歓迎用の軽食が出来上がった。私とM4合作のアップルパイ。
作業の片手間に食べれるようにって事でサンドイッチになった。
まぁ食べられなかったとしても整備班の面々が食うから問題ないでしょ。
「で、連絡先は分かった?」
「S09地区の基地の中でも……P基地とも繋がりがあるところの一つね」
「となると、やっぱりラジオやってる?」
「そう、そこの基地ね」
銃器紹介をしている基地だっけか。
そういやあのラジオのパーソナリティはナガンリボルバーだっけか。
P基地の副官もナガンだし……頼りになるのはナガンって感じなのかな?
となると電話先は……やっぱりあのガンスミスになるんだろうか。
防衛費として予算を組んでたのも……
「あ"~ようやく開放された……飯飯……」
「あ、ダーリン、検査お疲れ様」
「嫁の飯が今日もうめぇ……」
途中でRFBによるちょっとした医療ミス未遂があったけど……
ダーリンの健康診断も終わり一応お仕事が再開できる状態だけど……
今日はもうおやすみにして工廠をフリーにするみたい。
M4の捌いていたのは明日に回す分のお仕事だったらしい。
お昼ご飯を美味しそうつまんでいるダーリンの脇を私とマカロフで挟む。
「はい、あーん」
「あー……」
「ダーリン、今日来るお客さんってだぁれ?」
マカロフが流れるようにあーんし始める。で、私が聞けば咀嚼しながらこっちに目を向けた。
「お前達用の護身武器の相談にな」
「あぁ、ガンスミスさん?」
「そそ、武器を選んでもらうんだよ。ここも安全とは言っても物騒なのは変わんねぇし」
そう言って私の太ももに吊ってるMk-23を撫でてきた。
もう片方に忍ばせるか腰裏に忍ばせるか……かなぁ?
さて、お昼……先方のガンスミスさんがD08基地に来るのはもうすぐ。
傭兵兄貴、殺してくれても構わんぞ……
すまんてすまんて……