元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん   作:ムメイ

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春田マッマの新妻感、分かるかい?
若妻と言っても良い。作者はすごく好き


Day21 キッチンより真心を込めて

――――――――――――D08基地キッチン・おやつ時

 

 

「ふんふんふーん♪」

「今夜はペペロンチーノとマルゲリータピザですね」

 

「417ちゃんと春田さんの合作かぁ…」

「女の子の手料理って字面だけでもうね…」

「お前らは付け合せのシーザーサラダを作れ、ボケナス共!」

「へいへい…」

 

夕方のキッチンはお料理する私とスプリングフィールドによってほぼ占拠されていた。

ダミーも私もメイド服を着てからお料理中、人海戦術は任せろー

人海戦術に物を言わせて拘りの手作り麺です。

もっちりアルデンテに仕上げていきましょう…スプリングフィールドさんはピザ生地を捏ねてる。

私はパスタ生地を捏ねていて最初の工程は似たり寄ったり。

小麦粉に塩を混ぜて、卵と水、オリーブオイルを入れながら混ぜる。

そうするとなめらかになってきて捏ねれるようになる。

ここから更に纏めていって…と時間がすぐに経つの。

 

ピザには卵は入れないけどね。大体の工程は同じでこねこねするの。

後工程で寝かせるんだけど、その時の寝かせ方が違ったり。

パスタの方は冷やすんだけど、ピザの方は温かい所で寝かせる。

寝かせてる間にデザートでも作ろうかな。

 

おっと、スプリングフィールドも同じこと考えてたみたい。

 

「しかし捏ねてるときに…揺れるな」

「あぁ…デカイとああも揺れるか…」

「無駄な脂肪だろ、くだらねぇ…ぺたんここそ至高」

「無駄口叩いてんじゃねぇ!!」

 

捏ねてる時に横から視線を感じるなぁと思ったら調理班の若い子が見てたみたい。

邪な感じじゃなかったから無視してたけど…見るものは見てたみたい。

後で料金取ってやろうかな?まぁいいや、それよりデザートは何にしようかなー?

 

「417ちゃん、デザートはどうしましょう?」

「んー…チーズスフレケーキはどうかなって思うけど」

「イタリアンですし…レアチーズタルトはどうでしょう?」

「ん、それにしよう!」

 

デザートの案はスプリングフィールドの方が一枚上手だった、くぅ…

お料理着もなんだろう…私がヴィクトリアンメイドならスプリングフィールドは新妻感が半端ないの。

セーターにジーンズ、その上に猫ちゃんエプロンだよ?はー…理想の若妻って感じ。

こんなの見せられて邪な感情を抱かないのは男じゃないと思うな!

ただのロリコンかもしれないけど…

 

「SAAたんだ…!」

「コーラだ、コーラを用意しろぉ!!」

「貢げ貢げ!」

「おめぇら…」

 

コック長以外はロリコンかぁ、私は射程外となるとつるぺたなSAAが好みかな?

SAAは多分コーラを取りに来たんだろうけど…ダミーに持っていかせよう。

細かいのはダミーには無理だもん…捏ねたりは出来てもね。

 

タルト生地はどうしよう。これも時間がかかりそうなんだけど。

 

「こんな事もあろうかと…焼いたタルト生地を寝かせておいたんです♪」

「やるぅ」

 

この用意周到さ、見習いたいなぁ。いたずら成功みたいな顔しててお茶目。

ともかくこれで30人位のデザートも残り時間で用意できるかな?

あ、ゼラチンアレルギーは居ないかな?

固めるのにゼラチン使うから居たら大変だけど…

 

「ここの職員はアレルギー持ちが居ないから楽ですよ?」

「おー…」

「健康児ばかりだ、嬢ちゃん達は存分に腕をふるってくれや」

「はーい♪」

「ふふ、腕によりをかけますよ♪」

 

アレルギー持ちは居ない、コレは良い情報だ。

型代わりのタルト生地はある、後はレアチーズを作ればいい。

 

クリームチーズに熱を加えながら砂糖を混ぜまぜしてクリーム状になるまで混ぜる。

ダマにならないように注意しながら…ヨーグルトと生クリームを入れて混ぜる…

よーく混ぜたら…一旦コレは置いて、固めるためのゼラチン入りクリームを作る。

生クリームにゼラチンを入れて沸騰寸前まで煮詰める。

で、出来上がったゼラチンを混ぜてあげて…濾すの。

濾したものを冷やしてから型に流し込んで…冷やせばOK!

スプリングフィールドと一緒に味を見ながらやったからOKのはず…

 

「ん…上出来だな、嬢ちゃん…いい嫁になるぞ」

「あははは…」

「ふふ、貰い手はまだ居ませんが…」

 

お嫁さんか…考えたこと無いけど、私もいつかはそういう日が来るのかな…?

戦術人形だし…無いかなぁ…他所の基地では熱愛があったりするみたいだけど…

お兄ちゃんはどうもそういう感じはしてないし…愛してるって言う感じはMk23くらいだもんね。

イサカは主任とくっつきそうだけど…どうだろう?

鉄屑とのドンパチが終結したら…そういうのも考えたほうが良いかな?

 

もしくは検体とかでバグの理由が発覚したら鉄血連中と手を取り合える未来があるのかな?

…今の所はあり得無さそうだけど。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・夕方

 

 

だぁくそ!隠していた例のブツをFALに見られちまった!

誰にも渡す気なんざねぇ!そもそも誰も好いてないだろ!いい加減にしろぉ!!

とにかく無駄な混乱を避けるために黙ってろって言ったが…素直に黙ってるタマかねぇ?

Mk23あたりに知られたら俺の理性をガンガンに削ってでもプッシュされそうだから嫌なんだよ…

大体俺の理想は少なくとも料理が出来る家庭的な女だ、戦術人形じゃねぇ!

理想に近いのはスプリングフィールドだが…でも結婚を切り出せるか?いや、無理だ。

 

「おにいちゃーん、晩ごはん持ってきたよー♪」

 

血の繋がりはまったくないが俺を兄と呼んで慕ってくれる人形も居る、迂闊なことは出来ないんだ。

あのアイテムのことはもう忘れよう、FALがやけに張り切っていたのも忘れよう。

それより今日の晩飯は何だろう、楽しみだな。

 

お、ペペロンチーノにマルゲリータピザか…豪勢だなぁ。

おまけに今日はデザート付き!シーザーサラダもくっついて…これは素晴らしい。

 

それにしても417のメイド姿も板についてきたな…

慎ましい姿ながらもその胸元は豊満…うーん、素晴らしい。

妹みたいに振る舞ってるが…うーん…

 

「なぁに、お兄ちゃん?」

「ん、いや…何でもない」

 

ガン見してたか、いかんいかん…

それよりさっさと食って下げさせないとな。

んー…このペペロンチーノ良いな、コック長も凝ったことするなぁ。

今日のコレ手打ちだろ、めっちゃもっちりしてて美味い…生パスタってヤツ。

舌が割とザルな俺でも分かるぞ、コレは…いや、スプリングフィールドが作ったのか?

 

「これ美味いな、誰が作ったの?」

「私だよ♪」

「えっ」

 

417料理出来たの?これは思わぬ伏兵だぞ。

妹系なのに嫁力高いって何よ。笑顔も天使だし…取り敢えず頭なでよ。

コイツは嘘を吐かない…さらに聞けば今日の料理は417とスプリングフィールドの合作らしい。

キッチンコイツに任せたら良いんじゃね…?お前本当に戦術人形?

民生人形じゃないよな?

 

「えへへ♪美味しいかぁ♪」

「うん…パスタもピザもこりゃ絶品だわ…」

 

ちょっとだけ人形を嫁にしてる指揮官の気持ちわかった気がする。

こりゃヤベーわ。沼だな。

 

「食事は終わりましたか?さ、残りの仕事を済ませましょう」

 

メイドが増えた、416お前もメイドか。

メイド流行ってるの?基地全体メイド化でもするのか?

ヴィクトリアンメイドが副官とか…はー、これ良いわ…

 

 

――――――――――――D08基地食堂・夜

 

 

「お兄ちゃん美味しいって絶賛してたよ」

「それは良かったですね、ふふふ♪」

 

カチャカチャと食器を洗いながら私とスプリングフィールドは談笑していた。

ダミーはもう兵舎に戻った、ここまで手伝わせる事は無いし。

食器洗いもメイドのお仕事の内だよね。んー…綺麗になっていく食器は良い。

 

「俺らの仕事が無くなるな…」

「まぁ良いんじゃね?」

「楽できるし、今日のまかないクッソ美味かった」

 

コック長は先に休みに行っちゃった。私とスプリングフィールドに任せておけばOKって事かな?

数日一緒にお料理しただけなんだけど…信用してもらってる?

まぁ真面目にしてればそういうものかな、あんまり考えないでおこっと。

 

「はい、今日の食器洗いはおしまいですね」

「二人がかりだとあっという間だね」

 

作業効率自体は私もスプリングフィールドも大差ない。

そこは戦術人形だからかな、効率化したらほぼ同じ動きになっちゃうし。

ただ私もスプリングフィールドも楽しくて身体でリズム刻んじゃうんだよね…

見てる人はシェフの子3人だけ、どう映ってたかな?

 

「そこに立ってるのがSAAちゃんだったらなぁ…」

「UMP45ちゃんでも可」

「スコぴっぴを忘れるな」

 

ロリコンじゃなくてこの人達ただの貧乳派閥なのね。

やったね45お姉ちゃん、喜ぶかは知らないけど。

 

私達は射程外だったらしい、ある意味安心できるから良いけど。

 

 

――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・夜

 

 

ふぅ…メイド服も慣れたけど、ちょっと動きすぎたかなー?

ゴキゴキと私の各関節が鳴る…凝り固まった感じはないけど、人間臭いなぁ。

I.O.Pは変な所でこだわってるなぁ、お陰で人間だった頃と変わらず過ごせてるんだけどね。

 

「おつかれー、今日はほんと良く働いてるねー」

「じっとしてるのは何だかもったいない気がして…」

「今日の晩ごはんは417の力作でしょ?あれ美味しかったー♪」

「タルトとかも美味しかったし…今度お菓子作ってよ」

 

クッキーでも焼いたら良いかな?チョコチップクッキーを用意したらFALとか喜びそう。

レシピは頭の中にあるし出来なくはない、今度キッチン借りて試してみよう!

 

「任せて、良いのがあるから」

「やりぃ、頼んで見るものねー♪」

 

これはワガママになりそうだけど…お姉ちゃんも巻き込んじゃおうかな。

お姉ちゃんと合作ってしてみたいし。UMP姉妹を巻き込んだらもっと楽しそう。

楽しみが日に日に多くなっていくなぁ♪

 

 

 

 

「………ふぅん?」

 

Mk23の端末にはFALよりショートメッセージが届いていた。

その字面を読み上げて面白そうに唇を歪ませていた。

 

『指揮官はアレを持っている』




まぁアレですよアレ。

特に波乱は起きないけどね。

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