元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん   作:ムメイ

39 / 216
修理ってどうしてるんだろうなーって思いながら妄想だけで書いてる


Day37 修理と休息

――――――――――――D08基地工廠・朝

 

 

「うーわ結構派手にやられてるなー」

「あははは…ごめんなさい」

「野郎共気合い入れろ!417嬢ちゃんの修理だ!」

「「「「うす!」」」」

 

普段中々拝めないメンテナンス班の真面目な顔が見れてる。

それに普段は我関せずなI.O.Pテクニカルスタッフも忙しなく動いてる…あっちゃぁー…これはやっちゃった。

左腕は完全にエラー吐いて動かないし痛覚を叩き切ったまま…多分入れたらすごく痛いんだろうなー…

 

「よし、痛覚切ってるよな…そのまま切っておけよ」

「左腕の交換を行います…それと各関節に負荷がかかっていますね…整備しましょう」

「いや…交換までは要らんな、取り外して修理だすぐにやるぞ、パーツは揃っている」

「予定時刻は…だな。さ…417、キミは眠りなさい…」

 

メンテナンスベッドに寝かされた私はそのまま眠りに落とされた…

妙に皆が優しいのが気になるなぁ…ま、そうか…この基地だとメンテナンス班の仕事殆どなかったし…

すごーく平和だったからね…私みたいに大破してくるのがそうないってだけ…かな…

 

「損傷チェック…あーやはり外傷から察していましたが左腕はボロボロですね」

「取り外すぞ…よし、取れたな…次は」

 

戦火で煤けた肌はそのままに修理が進んでいく…

各部関節の簡易オーバーホール、ショックで緩んだ接合を増し締めしていく。

特に損傷が激しい左腕は一度取り外してからほぼオーバーホール。

 

「ダーリン…あら?」

「イサカか、ちょっと手が離せない後にしてくれ」

「はーい…真剣なアナタも素敵ね♪」

「……この様子なら大丈夫そうね」

「大丈夫よ、普段はおちゃらけてるけどする事はちゃんとする子たちよ?」

「そうだといいけど…」

 

主任は来客に目もくれず修理に精を出していた。

修理の様子を見に来たのはイサカと416。前者は主任に、後者は417の様子を見に…

 

 

作業は日がてっぺんに来るまで続いた…

 

 

――――――――――――D08基地工廠・昼

 

 

「ぁ…ぁー……終わった?」

「あぁ、終わったとも…至近距離でのグレネード発破に連続しての飛び降り…それから全力疾走」

「ちと足にガタが出来てたぞ、もう無理はすんなよ?」

「悔しいことながら我が社の人形は高性能ですが壊れやすいので…無理はしないでください」

「はーい…」

 

父性溢れる主任からぽんぽんと頭を撫でられてから私は目が覚めた…

セルフチェックでも各部異常なし…あとはこの破れた服と肌の汚れかぁ…

 

「すぐにシャワーを浴びなさい…破れた服はこちらで回収します、後で持ってきて下さい」

「はーい」

 

汚れは流石に落とすってことはしなかったのね。まぁデリケートな所だし…助かるけど。

兎も角私完全復活…ふぅ、痛覚を戻して…あー…ジーンと来た…術後だからかな?

術中も感覚あったら地獄だったろうなー…おー怖い怖い…

この痛覚を叩き切れるのも人形の利点だよねー…痛覚があるだけで判断が鈍るからね。

…あれが実際に撃たれる痛み…銃撃に晒される恐怖…まだ、私は戦場をちゃんと理解してなかった。

どこかフィルターを一枚挟んで見ていたんだ…ゲームと同じ様に…

 

「気分はどう、417…」

「お姉ちゃん…すっかり元気だよ」

「そう、なら良いわ…そうだ、417…あとでお願いがあるの…シャワーを浴びた後で良いから」

「ん、りょーかい」

 

お姉ちゃんのお願い…?私になにがあるんだろ…ふーむ?だめだ見当つかない。

およよ…お姉ちゃんの手が私の頭の上に…撫でられてる、おほー…これは新感覚。

それから?おやおやお姉ちゃんが私の手を握って…どうしたのかな?

 

「どうせだし、一緒に浴びない?」

「え"」

「ダメ?」

「あー…まぁ…大丈夫だよ」

 

ちょっと避けてたことの一つだ…もう同性だけど人形と一緒にシャワーっていうの…

いや、気恥ずかしいのもあるし元野郎っていうのもあって…そこはかとなく罪悪感が…

自分一人ならもう慣れちゃったんだけど…うーん…

しかしお姉ちゃんのちょっと弱気な顔に押されて了承しちゃった…やべーぃ。

お姉ちゃんの身体ってこう…破壊力があるからなぁ…私みたく目に見える破壊力じゃないし…

 

やっぱりデカい、お姉ちゃんは色々デカい。

 

 

――――――――――――D08基地第4部隊兵舎シャワールーム

 

 

「髪を下ろすと以前と変わらないわね」

「あはは…あの時はお姉ちゃんめちゃくちゃキレたね…」

「もう過去のことよ…」

 

ふぅ…今私は身を包むものなどなにもない状態だ。シャワー浴びてるからね…

隣にはお姉ちゃん、ちらっと横目で見てもまぁ…デカいしキレイだ。

実際に一緒に浴びてみてどうか?まぁ…思ってたほど恥ずかしくはない。

そしてやっぱりと言うか…興味はあるけど欲情はしないね。

もう性的嗜好とかも女の子になっちゃってる節があるし当然か。

普段はツーサイドアップで差別化されてる髪型もシャワー中はお揃いだ。

この基地になんとかたどり着いて…お姉ちゃんが着任するまでのあの間を思い出す。

あの頃から比べるとホント…私は丸くなったんじゃないかな?暴力は殆ど振るわないし。

 

「417、ヘアトリートメントはね…」

「うぇ?」

 

私なりに手入れはしてたけど…どうやら仕方が違っていたらしい…お姉ちゃんからの指摘だ。

もっと丁寧に優しく髪を撫でるようにケアするの、見よう見まねでやってみるけど…これは時間がかかるなぁ。

思えばMk23にそんな短時間でOKなの?なんて聞かれたっけ…なるほどなぁ。

私もお姉ちゃんも長いし…ケアしながらってなるとかなり時間がかかる…

 

「髪は女の命とも言うのはこういう所からかな?」

「命とまでは言わないけど…大事に手入れしているのは間違いないわね」

 

お姉ちゃんもまぁ自慢げに髪をつまんでウィンクしてきた。うん良い匂い…

真面目一辺倒かと思ったらわりと茶目っ気もあるのかな、お姉ちゃん…

 

「はー疲れた疲れた~報告書出してようやく浴びれるー…あら?」

「あら」

「あちゃー…」

 

報告書を書いていたんだろう45お姉ちゃんが入ってきた…珍しい客な私を見るなりにやぁ…と笑ってきた。

あーこれはイヤーな予感がするぅ…手をワキワキさせて何近寄ってるのかなぁ~?

 

「妹分の発育チェック~♪」

「あにゃぁぁぁあああああぁぁああああ!!」

「……程々にしなさいよ」

 

ウェッ!?オヌェーチャン!?オンドゥルルラギッタンディスカー!!?まって、45お姉ちゃんそんなに…あっあっ…

…なんかアレだよね、45お姉ちゃんは自分からのスキンシップは遠慮ないね。

私だからか?私だからなのか?…兎も角私の悲鳴が響いた。

 

 

――――――――――――D08基地第4部隊兵舎・昼

 

 

「それで?お願い事ってなーに?」

「お願い、ゲームを教えて頂戴…あの大会の結果は悔しいわ…」

「えぇ…」

 

お姉ちゃんの完璧主義から来てるんだろうけど…ちょっと意外というか…なんというか…

ヒートアップした後の私達のプレイングは酷かったけど…気にする?気にしちゃう?

というか…遊びにも本気だね、遊びを遊びとして見てないのかも…?まぁいいや。

困惑はしたけど別に教えない理由はない…ちょうど良い暇つぶしにもなる。

 

「OK、それじゃあ大会の時と同じでボンバーマンで良い?」

「えぇ、ついでだからUMP姉妹も巻き込むわよ…」

「スコーピオンに借りてくるねー」

 

私が自分の兵舎に戻る間…第4部隊兵舎からは言い争いのようなモノが聞こえたような気がする…

事情をちょっと説明したらスコーピオンは快く貸してくれた。この手のレトロゲームは貴重なんだよねー…

それを快く貸してくれたスコーピオンには感謝しないと…今度お好みのスイーツ作ってあげよ。

 

「お姉ちゃーん借りてこれたよー?」

「あら早かったわね、さ…やりましょう」

「……やるわよ」

「ふふ、楽しみ♪」

「あーあ、ゾンビ映画見るつもりだったのに…」

 

まぁそんなこんなで4人プレイでのボンバーマン開催でーす。

観客は眠そうなG11だけだ。騒いでもまぁ文句は言われないかな…?

 

「じゃあお姉ちゃんには…ボンバーマンにおける基本の詰め方から教えていくねー」

「えぇ、よろしく頼むわ」

「ティーチングしてる間に容赦なく潰すけど」

「取り敢えず…えい、えい♪」

 

基本動作は知ってるはずだからその基本動作で出来る戦略の立て方と詰め方。

なんて言ってるけど要するに如何に相手を陥れるかを実践している。45姉に対して。

 

「ふぅーん…」

「ごめんね、悪く思わないで」

 

どうやっても相手に抵抗させないためには物量で押し込むとか…ある程度プレイしてきたら見えてくる相手の癖を突くとか。

本当に基本的なことだけど…教え込んでいく…お姉ちゃんもまぁ分かってることだと思うけど。

それから連続ボムキックやボムキック流星群…要するにボムキックコントロールを教えていった。

あれ任意のタイミングで止めれるんだよね、知らないとそのままツーってやっちゃうけど。

それを応用した追い込み方、私が勝手にそう呼んでるだけなんだけどね…かっこいいじゃん?

 

修理復帰後早々に遊んで…うーん…これでいいのかな?

まぁ図らずも左手のぎこちなさは無くなってるのを確認できてるからOKなのかな?

 

「という訳で9お姉ちゃん覚悟」

「とりゃ!」

「あわわ…でも、まだ…」

 

9お姉ちゃんのダイレクトアタック、私の胸部を叩かれた…おぉ揺れる揺れる、バランスも崩れる。

だがそれだけで私の集中を乱せると思うな9姉!

 

「ブラずれたよ」

「え、うそ!?」

「嘘♪」

「あばー!?」

 

くそぅ…簡単な騙しに引っかかった…お姉ちゃんの微妙な視線が突き刺さる。おぉ痛い痛い…

名誉挽回の為に言うけどその後私ちゃんと勝ったからね!?




破損箇所を修理してあとの汚れは自分でやれってスタンスだと思うんだよね。
スオミとかサウナ付きの~とか言ってるし…


しかしアレですね、毎回感想貰うと本当励みになります。
毎朝起きてニッコニコしてますありがたき…

*追記*
誤字指摘ありがたき…

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。