元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん   作:ムメイ

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違うんだ、G36Cはこんなぶっ壊れた子にするつもりじゃなかったんだ。


Day47 妹連合

――――――――――――D08基地兵舎・夜

 

 

「妹っていう横繋がりでー」

「今夜はどんな姉談義?」

「それとも姉が可愛い自慢でしょうか?」

 

兵舎の共有スペースの一角に集まった私と9お姉ちゃんとG36C、端的に言えば妹連中である。

それぞれ持ち寄ったお菓子とジュース片手に夜の会話に花咲かせるのですが…

妹という立場から見た姉の可愛らしい所や凛々しい所…詰まるところは姉自慢の開催である。

姉が可愛くて仕方ないG36Cは今か今かと話したくて仕方無さそうだが…まぁ待て。

鼻息を荒くして…あのお淑やかなG36Cはどこへ行った、帰ってこい。

 

「まぁまぁステイステイ…」

「ふーっ!ふーっ!」

「ダメだね、家族の事になると待てなんて出来ないみたい」

 

どうしてこうなった…って感じで9姉がこっち見てるけど私にも分からん。

とりあえず落ち着こうとしたのかジュース一気飲みしたし…ちょっとは落ち着くかな?

 

あぁG36姉さんは凛々しいのですがちょっとお茶目な所があってですね、それはもう大変可愛らしくて辛抱たまらなくなるのです。

わかりますか?凛々しい姉のギャップのある姿を見て落ち着けますか?私には無理ですわ!まず家事はもうパーフェクトなんです疑う余地もなくパーフェクトです。

お洗濯中のハミングなんて聞いてみて下さい昇天できますわ…あ、思い出しただけで達してしまいますわぁぁぁぁあああああ!!」

 

「「うわぁ…」」

 

コレには私はドン引き、9姉は引き笑いが浮かんでる。

めっちゃ早口で捲し立ててくるんだよ?怖いわ。つーか瞳孔ガン開き。くっそ怖い。

仰け反ってビクンビクンしてるし…あれーおかしいなこんなにヤバい奴だったっけ…?

 

「でもお姉ちゃんに想う所があるのは分かるなー♪」

「ん、んー…そう、かも…」

 

こんなに強烈に想う事は無いけどたしかに姉のちょっとした仕草とかにキュンとくる事はあるかなー?

あとはほにゃっと笑っちゃうような事とかもあるし…9姉はどんな所に想う所があるのかな?

 

「はっ…申し訳ありませんついはしたなく達してしまいましたわ…」

「思い出すだけで達するって…」

 

G36Cの認識が完全に書き換わった瞬間だったよ、シスコン勢のヤベー奴。

因みにシスコン勢は45姉も含まれている。私達は言うまでもなくシスコン拗らせてる。

9姉は45姉とべったり、プライベートではお互いの私室に入り浸ってなにかしてるし。

たまーにキッチンで二人っきりでお菓子作ってたりしてるし食べさせ合いっこをしてるのを見かける。

ちなみに私はそれを見かけてはお姉ちゃんに持ちかけてるけどねー…良い返事は貰えてない。

 

「ねぇ今回は姉のシスコンエピソードを話してみない?」

「G36姉さんがシスコン…ぶはっ」

「今度は鼻血!?」

 

G36Cが妄想したのか鼻血を吹き出して倒れ伏した。

暴走しすぎじゃないかなこのシスコンのヤベー奴…もうちょっとどうにかならないのかよ。

 

「姉のシスコンねー…お姉ちゃんはあんまり表に出さないからなぁ…」

「416はねー…でもとびっきりのエピソードがあるじゃない?この前の夜戦の」

「あー…私が負傷した時のあれ?」

「そうそう、あの416が酷く取り乱した話ー」

 

あの日の夜、左腕を負傷してボロボロになりながら駆けた夜だ。

私が見たのは通信機に怒鳴りつけて終いには地面に叩きつけて青ざめていた姉の顔だった。

45姉に聞いた話だとしくじったって通信送った後のお姉ちゃんの様子がとてもおかしかったらしい。

G11が引き止めなかったらそのまま突撃してきて私を助けようとしていた位…その結果置いていかれることになったとしてもね。

なんとか切り抜けたら通信くらい送ってくる、妹を信じろって言いくるめられて撤退していったらしい。

その途中も何度か通信していたらしくてその顔は不安で彩られていたってさ。

回収地点まで来てもうんともすんとも言わない通信機にしびれを切らしたのが私が見たあの光景。

もう少し遅かったらお姉ちゃんだけでも私を助けに飛び出していたって言うのが45姉の言。

 

9姉のファミパンでノビた後9姉にガチギレして食って掛かったらしいし諌められたら今度は私に泣きついて…

回収のヘリが来るまでずっと抱きしめてくれていたんだって…ヘリの中で目が覚めたらお姉ちゃんの胸の中だったっけか。

つくづく良い姉を持てたと私は想うよ。

 

逆に私はふんわりとしたシスコンだからなぁ…強烈に想っている所を発露はさせてないな。

ただたまーに一緒に寝よ?って提案してくっついて寝てたりG11を挟み込んで寝たり…

一緒にメイドしてる時はイキイキしてるってよく言われたりするけど…

 

「416にあんなに想われてて嬉しかったでしょ♪」

「姉に想われて嬉しくない妹なんているのですか!!?いいえ居ませんわ!!!」

「G36Cうるさい…まぁ控えめに言ってめっちゃ嬉しかった…」

「「でしょー?」」

 

妹として認めてくれていたのはあったけど本気で想ってくれていたとは半分思ってなかった。

ボロボロ泣きながら抱きしめてくれていたアレは…胸に来たなぁ…

嬉しかった反面心配させてごめんなさいって申し訳無さでいっぱいだったけどね。

 

「じゃあ今度は45姉のシスコンエピソードー♪」

 

あのセクハラ姉のシスコン拗らせかぁ…過激なスキンシップ多いんだろうなー

 

大体の拗らせは二人きりになった時に発露するらしい。

旧宿舎の時、G11はどこかに寝に出かけお姉ちゃんは私の所に行った時だ、事件が起きた。

掴みどころのない表情を浮かべてることが多い45姉が途端にデレ~っとした笑みを浮かべて抱きついたらしい。

真正面から抱きついて9姉の首元の鼻を埋めてクンカクンカ…そう、見て触れて嗅いでの3コンボ。

擽ったいと言っても聞き留めずそのまま頭を擦り付ける様は猫そのもの。

その時ばかりは45姉の頭に猫耳じみたものを幻視したらしい…なにそれ可愛い。

 

で、さらにエスカレートしていって…なんと45姉は9姉を押し倒してキスまでしたらしい。

そう、キスだ…押し倒してまでするキスだ。シスコンヤベー奴が私の姉にも居たとは…

でも安心して、拗らせるのは二人きりの時だけだから…って安心できなーい!!

 

後さらに一つ語ってくれたのは制服のスワップ事件。

制服が似てるからって取り違えた時なんだけど…45姉がトリップした。

9のにほい…とかうわ言を残してトリップ…暫くそのままにへ~っとしたまま帰ってこなかったらしい。

落ち着いた後も9姉に包まれている様で落ち着かないってやっぱりニヤけ顔だったんだって。

 

「お二人共良いですわね…まだ私にはエピソードがございませんわ…」

「まだ来たばかりだしねー」

「でもG36Cはべったりじゃん…」

 

鼻血から復活していたG36Cが羨ましそうにこちらを見ていた。

確かにこの基地に来たばかりのG36とのエピソードは無いだろうね。

でも冒頭のぶっ壊れ加減から察して欲しいけどこのG36C暇さえあればG36にべったりである。

そしてそんなG36Cに対してG36は仕方ないと言いたげに受け入れている。

なんだろう…ブレーキのぶっ壊れた犬みたいなんだよね。

 

「当然ですっ!!姉さんがこの基地に来ることをどれだけ待ち望んでいたことか!もうそれは一万と二千年待つくらいの事です!何度姉さんのことを夢に見て幻視したことか…!

この基地に配属されてから一日たりと姉さんの事を想わなかった日なんてありませんわ!一緒に寝て起き食事を共にして出撃しては頭を撫でてもらってよく頑張りましたと褒めていただいて抱きつくのです。

お掃除お洗濯も隣でお手伝いしましてからあの茶目っ気溢れる笑顔とハミングを聞いて過ごしてから一緒にお風呂でさっぱり…あーやばいやばい達するゥゥゥゥウウウウ!!」

「もういい、休めよ…」

 

もうやだこのシスコン筆頭のヤベー奴。

こんなシスコンでもお兄ちゃんのこと好きなんだよねー…あ、そうだ…

 

「ねーG36C、G36の事好きなんでしょ?」

も"ぢろ"ん"でずわ"!!!

「じゃあお兄ちゃんとG36どっちがより好きなの?」

「………」

 

あ、黙りこくった…いや、これは違う…!コイツ、フリーズしてやがる…!

あれかな、どっちが大事なんて測れなくてそのまま処理が止まったのかな?

この溢れんばかりのシスコン魂と比肩するのか…お兄ちゃんがもしG36Cをお嫁にしたら大変そうだな…

 

「G36Cってこんなに面白い子だったんだねー♪」

「知りたくなかった一面だよ…この後どうするー?」

「それぞれ姉のところに突撃でいいんじゃない?」

「そうする?」

「G36ねえさーん!妹が今行きますわー!!」

「復活まで早いなオイ…」

「ふふ♪じゃ、私達も行こっか♪」

 

お姉ちゃん…うーん今日は一緒に寝てくれるかな?

 

 

――――――――――――D08基地宿舎HK416私室・夜

 

 

「あら、今日は甘えん坊ね?」

「いいじゃん、たまになんだから…」

「ふふ…良いわよ、今日は一緒に寝てあげるわ」

 

パジャマに着替えたお姉ちゃんが私を出迎えてくれた。メイクはもう落としてある。

私もパジャマに着替えて上がり込んだから意図は言わずとも伝わったみたい。

やった♪お姉ちゃんと一緒に寝れる♪私のテンションアゲアゲだよ。

お姉ちゃんの香りに包まれて眠るといい夢を見れるんだ…よく覚えてないけど。

 

「ぎゅ~♪」

 

力を入れすぎない程度に抱きついてお姉ちゃんの胸に頭をあずけて眠る…

お姉ちゃんの手が私の頭と背中を撫でて…安らぐなぁ…柔らかくて寝心地も良い。

お兄ちゃんにおねだりして姉妹同室に出来ないかな…私はとても熱望するぞ!

 

「おやすみなさい、417」

「おやすみ、お姉ちゃん」

 

両目を閉じて息を整えてスリープに落ちていく…

ふふ、大好きだよ…お姉ちゃん。

 

余談だけど他の姉妹も同じように抱き合って寝てたらしい。

妹連合想う所は同じだったか。




もうちょっとふわふわした物を書くつもりだったんだ。でも、気がついたらぶっ飛んでいた。
G36C「訴訟も辞さないです」

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