――――――――――――D08基地カフェ・昼
お姉ちゃんのだらしなさにブチギレた朝から時間は経って昼。
基地の全休日と言ってもこのカフェは休みではない、絶賛稼働中である。
昼に差し掛かり昼食にありつこうと職員、人形問わず押しかける。
食堂は休みだからね、皆食事を作るのは面倒臭いんだろうね…
差し当たってスプリングフィールド一人では手が回らなくなるのだ。
ではどうするのか?臨時のお手伝いが必要になるのです。
誰がするかだって?そりゃぁもちろんそんな忙しいのを喜んで引き受けるのは…
「私、417と」
「私、G36ぐらいでしょうね」
仲良しメイド隊の二人くらいである。もちろん私もメイド服である。
他のメイド隊はどうしたって?面倒なのは嫌いなUMP姉妹は拒否するし。
お姉ちゃんも態々火の車に飛び込む酔狂な事はしない。G11?はっ(笑)
G28は今日は出かけたからそもそも無理な話だ。
しかしまぁ狭いカフェの中は昼食を摂る職員でごった返している。
満員御礼であるよ。臨時で席を追加してもコレだからね…スプリングフィールドの飯は美味しいか?
いやまぁ実際めちゃくちゃ美味しいからカフェを開いているんだろうけどね。
店主であるスプリングフィールドはさっきからフル稼働でパンを焼いてはコーヒーを淹れて…と大忙し。
私達はそんな店主のサポートだ。配膳、空き食器の回収、食器洗いにお客のオーダーを取ったり…
まぁ言ってしまえば雑用だね。これでも重要なんだけどね。おっと注文だ。
「オーダー入ります、イングリッシュマフィンセット一つ、ブラックコーヒーです!」
因みにこれでカフェラテとかが入ると私がちょっとひと手間を加える。
ラテアートをちょこっと加えるのだ。ちょっとしたサービスなんだよ。
まだ練習段階だし出来るのは限られてるんだけどね…頑張ってG&Kのマークをやろうとしてるんだけど。
「417ちゃんお願い生地を捏ねてて!」
「はーい」
店内はジャズが流れる優雅な空間なんだけど…キッチン内はドタバタだ。
スプリングフィールドがコーヒーを淹れている間に私が代わって生地を捏ねることに。
もう味は決まったようなものだし捏ねくり回すのは慣れたものだからお茶の子さいさい。
なんてこともなく私が捏ね上げてから寝かせるまでに至るけど…回転率が悪い!
そもそも寝かせる必要のある生地を今捏ねてたら間に合うわけ無いじゃん!どう考えてもピーク後のことだよね!
「そろそろ空いてるかしら…っとまだまだ盛況ね」
「ごめんなさい、まだ満席ですー!」
まだ空腹を抑制できる人形が後回しになっている状況だ。
45姉がドアを開けてそっ閉じした、まだまだ盛況も良いところだよ!というか手伝えや!
「ご注文のブラックコーヒーです、セットはまだですので先にコーヒーをお楽しみください」
「417ちゃんはそのまま生地を作って!分量はこのレシピ通りにお願い」
まぁ文句言っててもしょうがない、私は与えられたお仕事をするまでよ!
接客はG36一人でも十分みたいだし…私はキッチンでこねこねするだけよ。
というかG36の接客がパーフェクトで私が出る幕がないといったほうが正しいか。
レシピを確認してから後は分量をきっちり計って…なるほど、スプリングフィールドのレシピをゲットだぜ。
これで私も美味しいマフィンが焼ける…ふへへへ、思わぬプレゼントだね。
「おっぱいちゃんえらいご機嫌だな」
「ちょっとナンパしてみたらコロッと…」
「お客様?」
「「アッハイ」」
不穏な客はG36が眼力で黙らせてるしいやー快適ですね。
それでも不躾な視線っていうのは無くならないけどね…私は別に構わないけど。
G36やスプリングフィールドはどう思うか知らないよー?
いや、スプリングフィールドは忙しくて気づかないか…
――――――――――――D08基地カフェ・昼下がり
「はふ…お二人共今日はありがとうございました」
「いやいや、私は暇してたし」
「頼られる事を悪く思いませんから」
「「ねー♪」」
いえーい♪とG36とハイタッチして過ごすのはピークタイムが過ぎ去って一段落ついたカフェ。
職員があらから食い終わってから人形が代わる代わる入ってくる頃には忙しさのピークは過ぎていた。
寝坊助のG11が入ってきた頃にはもう穏やかに時間が過ぎるばかりになっていた。
お昼の営業はおしまいとしてお手伝いした私とG36が遅いお昼を堪能していた。
スプリングフィールド特製のイングリッシュマフィンは絶品だ。
そして自分でやったラテアートを眺めながら談笑して過ごす昼…うん優雅!
窓の外に危ないやつが居るなんて知らないよ、G36Cみたいな顔した危ないやつなんてしーらない。
「そういえば寝かせたマフィン生地はどうするの?」
「おやつ時にまた開店した際におやつとして振る舞うんです」
「なるほど」
「ふむふむ…その時にお手伝いは要りますか?」
「いえ、お昼ほど忙しくはないのでお客さんとして来てくださいな」
おやつ時は忙しくないのか…お客さんとして来るか…それとも…
そういえばスプリングフィールドはマフィンの他にもケーキとかも焼くから人形がこぞって来るんだよね。
特にわーちゃんは甘い物に目がないから入り浸っていたり…
甘いのに弱いのはなんと私のお姉ちゃんも例外ではないのだ…甘いの恐るべし。
因みに私の好物はふわふわなスフレチーズケーキだ。
これは人間の頃からなんだけどね、甘くて口当たりも良い物は極上だよ。
まぁこのご時世にそんな高級品はめったに食べれないけど…
「じゃあまた後で来るね」
「私も家事に一段落つけばまた来ます」
ふぅ、遅いお昼はぺろりと平らげて次の行動に移りましょう。
G36は足早に基地の方へ行ったな…基地のお掃除かな?
お皿だけでも下げてから私もカフェから飛び出る…何をしようかな?
――――――――――――D08基地カフェ・おやつ時
結局私はあの後食後の運動としてロードバイクで基地の周りをぐるぐる周回した。
あとしたのはちょっとしたスタントだね、ロードバイクでも出来るスタントは限られるけど…
この人形ボディになってからポテンシャルがかなり上がったからやりたかったことがアレコレできるんだ。
まぁそれはそれとして…今はおやつ時でカフェがまた開店している。
中はもう甘味を求めた人形でごった返している。
騒がしいのが嫌な人形はテイクアウトして自室で食べてたりするらしいけど。
あ、第4部隊のメンバーが仲良く食べてる。ちょっと混ぜてもらおうかな?
「いらっしゃいませー…あら、417ちゃん」
「やほー、チーズケーキある?」
ケーキは日替わりで出てる種類が変わる。ラインナップに関しては聞いたほうが早い。
で、私は好物のチーズケーキがあるかどうかを聞いてみてからあったらそれにしようと思ってる。
無かったらチョコレートケーキがあればいいかなぁ?
「本日は焼いていますよ、はいどうぞ」
「やりぃ♪」
好物があるとなるとテンション上がるねー♪
さっそく支払手続きしてから商品を受け取り店内の一角へ。
「相席良いかな?」
「あら、417も今日はカフェに?」
「ほらここに座りなよ♪」
「こらG11私のケーキをつまむな!」
「えーいいじゃーん…」
9姉が隣を開けてくれてそこに私が滑り込む。詰めれば5人ギリで入れるテーブルで良かった。
UMP姉妹が普通のショートケーキでお姉ちゃんはチョコレートケーキ…G11はアイスクリームだ。
そして私のチーズケーキが加わって本当に色とりどりになったなぁ。
「んー♪」
「やっぱり美味しいよねー♪」
一口食べただけでも美味しさの暴力に簡単に私は屈した。美味すぎる…!
ほっぺた押さえて悶ちゃうと9姉が同じ様にショートケーキ食べてにこにこして
「やっぱり9が一番可愛いわ」
「は?何言ってるのよウチの417が最カワでしょ?」
「あ?」
「何よ?」
「ひえぇ…」
なんか姉連中が一触即発になってるんですけどぉ?なんでなんで?
9姉は我関せずでそのままケーキに没頭してるし…マイペースだなぁ!
G11なんてそんな一触即発なお姉ちゃんと45姉の合間だから完全なとばっちりだし…
というか姉連中そんなキャラだったっけ?
「お待ちを」
「「あぁん?」」
「愛らしい妹であるなら私の妹、G36Cが一番であると具申します」
「「よし、表へ出ろ」」
イヤーな予感…隣で食べてたG36も混ざって姉連合が外に出ていったぞ…G36Cはトリップしてるし。
いや、本当にこれどうするのよ…お姉ちゃんと談笑しながらのおやつのはずだったのに…
「45姉の食べかけ…んー♪」
「へへへ、今の内に食べちゃえ…」
出ていった姉の食べかけ…ごくり…9姉は躊躇なく食べてるし…
G11はこれ幸いにともそもそ食べ始めて…ま、待って私も食べるぅ!
「何するんだよぅ、これは私のだぞぅ」
「お姉ちゃんのは私のなのー!一口、一口だけでも良いからぁ!」
唸れ私のシスコンエンジン!お姉ちゃんのケーキは私のもんだー!
所変わって店外。
「9の天使っぷりにアンタ達ひれ伏しなさい。毎朝の挨拶がもう天使そのものなのよ?満面の笑顔でおはよう♪今日も元気に行こうね♪なんて言ってくるのよ?それも私にだけの特別な挨拶なのよ?もう昇天物よ。」
「はっ、そんなのまだ甘いわよ。ウチの417なんて挨拶だけだと思う?そんなのじゃ甘いわ朝ご飯まで持ってきてくれてから一緒に食べよう?なんて甘えてくるのよ。これこそ天使って言うものでしょう?まったく完璧な妹には参ったわ」
「お待ち下さい私の妹G36Cはお手伝いの居ない日に限って率先してお手伝いをしてくれるとても健気な天使なのですよ。本日もお洗濯中文句一つ言わず手伝ってくれた大天使です。おまけに気遣いに今日もお疲れ様ですなんて声を掛けてくれるのです」
「「「私の妹が一番に決まってるでしょう!!」」」
「何だありゃ?」
「さぁ…妹自慢合戦?」
「姉の妹煩悩って奴か。微笑ましいねぇ」
店外では姉連合による妹自慢合戦が始まっていてその余波は凄まじく…
その後暫く私達妹連合のメンバーは揃って温かい目で見られることになった。
妹たちの暴走と姉の暴走は同時に起こるもんだよ。
*追記*
誤字脱字報告ありがとうございます