ヤンデレから来た人はいつものD08地区だから安心しぃや。
――――――――――――D08基地共有スペース・朝
「あ、おはよ♪」
「おう…」
「もう少し遅かったら起こしに行ってたよ?さ、座って座って♪」
んふふ、兄さんが眠そうな目を擦りながら人形寮に入ってきた。
エプロン装備を解きながら私が出迎えて共有スペースのテーブルに着くように促す。
一応取り決めで共有スペースならどっちの寮に入ってもOKとなった。
同意が得られていたら個室に入ってもOK…まぁイサカと主任とかは(自主規制)してるんだろうなぁ。
おかげで朝は私かG36にご飯をねだるなんて事も可能になったわけだ。
今の所私が進んで腕を振るっているのは人形とお兄ちゃんと兄さんだけだ。
「今日の朝ご飯はイタリアンにしてみました」
「ほー…ペペロンチーノな」
「うん、良い小麦粉が手に入ったからね♪」
昨日の夜に仕込んでおきました、良い小麦粉が手に入るといろいろ出来るからね。
まぁいつもの手順で生地にしてから…棒で伸ばしてから包丁で細長くカット。
昔はそれ専用のマシンなんてものがあったらしいが…まぁ仕方ないね。
熟練の職人は手で伸ばすとかなんとか…うるせぇ知らねぇ楽な方法に逃げさせてもらうぜ。
「なぁ」
「んーなぁに?」
「お前さ、こんなに料理するような奴だったっけ?」
「いやこれが楽しくて…」
「ふーん…戦役から退いたら店を構えても良いかもな」
「そこまで上手じゃないでしょ」
兄さんお世辞は良いからさっさと食えや。朝飯食いに来るのはおめーだけじゃねぇんだよ。
「おはよう、417」
「ん、お姉ちゃんもおはよ♪」
「そう言えば新しい職員が…そう、アンタが」
「おう、一週間ぶりだな…」
おーぅ一触即発な雰囲気じゃんよ…朝からピリピリしないでいいから。
主にお姉ちゃんが食って掛かりそうな雰囲気を醸していて無言でめっちゃ圧をかけてる。
お姉ちゃんお姉ちゃん女の子がしていい顔してないぞー…はい笑顔笑顔なー?
「ボトルシップの進捗はどうかな?はい朝ご飯ね」
「ん、ありがとう…進捗はまぁもうすぐ完成ね。私らしい完璧な物が出来上がってきてるわよ」
「ほー…ボトルシップなー」
「で、アンタは何で417の料理を食ってるのよ」
「いや、コイツが「私が誘ったの、何か?」ってぇわけだが?」
「そう…くれぐれも勘違いしないでもらいたいけど417は私のた・い・せ・つ・な妹だから」
「食事中位和やかに頼むよ…お姉ちゃん…」
私の腰を抱き寄せて主張せんでいいから、とっとと食え。
あと私の切実なお願いな、食事中は和やかに頼むよ…私はどっちの妹でもあるぞー?
兄さんはあーはいはいって感じでそのまま食事に入っていったし…
お姉ちゃんも私に目線を合わせてから食事を開始した…食事中は静かなんだよね。
まぁそれは良いことだから私も食事にはーいろっと…
ペペロンチーノはすっごく単純なパスタ料理です。にんにく、オリーブオイル、唐辛子だけで作るほんっとにシンプル。
アレンジをしてみても良いけど今はそんな冒険をするだけの経験は無いのでレシピどおりに作る。
オリーブオイルが合成物だが…まぁ薬品臭さは飛ばせてると思う。
合成調味料類は弾いてるから変な味わいになることも無いでしょう。
にんにくの旨味とオリーブオイル、塩で味付けしてるし味見もしてるからだいじょーぶ。
あと私の完全な好みだけどブラックペッパーを振り掛けていて風味もグッド。
リアクションは薄いけど兄さんは食べながら頷いて口角が上がってる。
お姉ちゃんは文句が一切出てないから多分大丈夫だと思う…リアクションが薄いのがこわーい。
「美味しかったわ」
「良かった♪」
よっし良かった。兄さんの反応も良好だしまぁ美味しかったんだろう。
――――――――――――D08基地兵舎ゲームスペース・朝
「で、今日はこれで遊ぶってわけか」
「いえーす、私達にはもってこいでしょ?」
「なんで私まで…」
「「負けるのが怖いの~?」」
「あ"?やってやろうじゃないアンタ達をぶっちぎってやるわよ!」
はーい今からやるのは名作パーティーゲームのザ☆ビシバシでーす。
コイツはまぁ簡単に言うとミニゲーム集だね。それも簡単な3つボタン操作のね。
各ゲームの説明も5秒足らずで終わる設計で大人から子供まで楽しめるんだ。
お姉ちゃんは普通に渋っていたけど私と兄さんの煽りにキレて参加した。
渋ったらとりあえず煽ればノッてくる。これマメね。
まぁこれパーティーゲームだから楽しんだもの勝ちなんだけどね!
私はこの他にも好きなアーケードゲームはあるけど…ソロ用だったりする。
まぁそれはまた今度だね。じゃあビシバシをやっていくんだが…
「弾んで!跳んで!ラブジャンプ!!説明!」
そうこのタイトルコールと特徴ある説明!である。これこれこのバカゲー感がたまんないんだよね。
まぁやるのは画面に映ってる色と同じボタンをバシバシ叩いていくんだ。
ステージ1のコレの場合は次の足場と同じ色のボタンを押せってやつ。
「レッツゴー」
「リッローイ!!ジェーンキンス!!!」
「は?」
私も兄もゲーマー、お姉ちゃんは人形。これはいい勝負になるぜぇ…
私とお姉ちゃんは画面から気合入力でそのままイケる。兄さんは確かビシバシガチだったっけ?
兄さんの掛け声に面食らいながらもほぼ同時に入力していくぅ!
あと兄さんの本名はリロイ・ジェンキンスじゃねーぞ?
「……」
「フヒ……」
「何…この…何?」
途中途中入る寸劇にお姉ちゃんが拒絶反応を示している。
隣のピクトフィリアはちょっと気持ち悪い笑いが出てきてた…
確か制作が同じだからって事で恋愛シュミレーションのキャラが出てるんだっけか。
私?いや、その手のゲームとは無縁だったので無反応です。あーかわいいねー
「結果発表!」
「ふふん」
「チッ」
「……」
コンマ差で私が1位全員揃ってクリア判定だけどねー負けず嫌いが揃って悔しそうだぜ。
ほら肩の力が抜けよ、初めてなんだろ?そんなんじゃ楽しめないぜ。
「次行こうぜ」
「おう、次は獲る」
「私は完璧よ」
「良いちくわ!悪いちくわ!空からちくわ!!説明!」
ミニゲームは続く続く。次は左右のボタン同時押しでキャッチしていくって奴。
これは膠着するんだよねー…同点バトル発生するかな?
「カマーン!」
「スッゾオラァァアアア!」
「次は負けないわよ」
人形スペックに勝てる訳無いだろ、兄はすっこんでろ!
あ、因みにステージは22まであるのでたっぷり遊べるぜ。通しでやれば17分は取られるぞ。
初見殺しもあるけどね!そして今やってるのがまさにそれだぜ!
このステージも貰ったぁ!!
「っしゃぁ!!」
「何で最後がそのボタンなのよぉぉぉおおおお!!」
一定の数が流れた後はフィニッシュボタンだぜ。はっはっはー!
――――――――――――
ビシバシはあの後結構私とお姉ちゃんのスペック争いになった。
で、今何をしてるかって言うと…
「棒立ちの的を撃ち殺してる感覚ね」
「ほぼそうだねー」
<イテッ!イテッ!イテッ!モウオコッタゾー!
名作体験型シューティングゲームのタイムクライシスだ。
兄さんはボッコボコにされて凹んだか一人でワニワニパニックをやってる。
背中に哀愁漂ってるなぁ…
さてタイムクライシスだが拳銃型のデバイスで画面を狙って引き金を引くってゲーム。
画面に出てくる動くものは全部敵だからバシバシ撃っていって良い。
まぁお姉ちゃんも私も戦術人形だから普通に雑談しながらバンバン撃ち殺していってる。
忌避感?いやいやそんなのはないよ。私だっていつかテロリストと戦うかもしれないけどね。
そんな時に躊躇なんてすると思う?残念だけどその答えはNOだよ。
無力化するのに遠慮は要らない。生死問わない無力化なら迷わず殺す。
私はセルフ縛りでハンドガンモードだけ。お姉ちゃんはキレイに使い分けしてる。
二人揃って狙ってるのは寸分違わず頭のド真ん中。
「お、テラーバイト…うぇ」
「……気持ち悪い」
私はこのテラーバイトっていう生物兵器が嫌いだ。見た目がくっそグロい。
お姉ちゃんも同意見の様で露骨に顔を顰めながらトリガー引いてる。
「ねぇお姉ちゃんマジでこんなの出てきたら」
「止めて、考えたくないわ」
「銃が効くなら退治は出来るんだろうけどねー」
私は特に嫌いなのがステージ1に出てくる芋虫型…あんなのにわらわらと群がられたらと思うと…
うぇ、考えただけで吐き気してきた。銃弾が効くなら退治は出来るけどね。あとは榴弾祭りかな。
しかしお姉ちゃんの苦手なものが一つわかったな。昆虫かぁ…
人間の時に腕にムカデが這い上がってきたことがあったんだけどそれ以降トラウマなんだよね…
「流石に上手いな」
「お、兄さんもう気ばらしは良いの?」
「私達は戦術人形よ、こんな児戯朝飯前ね」
「だろうな…人形…か…」
まざまざと人間とのスペックの差を見せつけられた後だから感慨深げだな…
私を見る目もなんだか遠いものを見るような感じだ。
「ま、でも…ゲーム中のお前はホント変わんねぇよ」
「わ…もう、何よ頭を撫でて…」
「兄が妹の頭を撫でるのがわりぃか?」
「髪が乱れるぅ~」
こんなやり取りしてるけど目は画面に向いてるしバシバシ敵を撃ってるんだけどね。
兄さんは改めて人形のスペックを見ることになるんだろう。
私とお姉ちゃんのプレイに酔いしれな!
あ、でも兄さん絶対にお姉ちゃんにFPSゲームを見せるなよ。絶対だからな!
特にM4とかM16が出るゲームは見せるなよ!!映画でもダメだぞ!
「なぁ416…だっけか」
「何よ」
「後でCoDやんね?」
「CoD?」
「おいバカやめろ」
多分次はFPSで416がブチギレる
休日回は膨らむなぁ…