元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん   作:ムメイ

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某絵師のG11リスペクト


Day61 ダンスダンスドールズ

――――――――――――D08基地共有スペース・朝

 

 

今日の朝は混沌とした朝を迎えていた。いや、なんで?

G11が珍しく朝から元気に起きていると思ったら変なTシャツ着てるんだよ。

それだけならまぁ珍しいだけで済むんだけど…もう一つ持ち出しているのが混沌とさせていたんだ。

ラジカセだ。バッテリー駆動のラジカセを持ち出して大音量で音楽を流してやがるんだ。

流している音楽は詳細不明だが…かなりノリが良いHIPHOP系だと思われる。

妙ちくりんなグラサンまで持ち出して何をするのかと思えば今はとりあえずノリにノッてるだけだな。

朝からとんでもない音量の音楽に半ギレで出てきた人形達が皆揃ってポカーンと口を開けている。

チャチなスピーカーユニットから流れてくる音楽は質が悪い。

さてオーディエンスは私含めてFAL、わーちゃん、ステン、イサカ、G36C、スプリングフィールド、SAA、スコーピオン、M14、Uzi、お姉ちゃん、スオミ、G28と言った具合。

意外な事にスプリングフィールドは早く起きるけど無理矢理起こされるとめっちゃくちゃ怒る。

多分この基地で怒らせたらいけない人形の一人に数えられると思う。

前にMk23が朝にはしゃぎすぎて叩き起こした事があったんだけど…まぁー廊下に正座させられてガミッガミッ説教されていたな。

いつもにこやかにしているスプリングフィールドが能面みたく無表情で叱ってくるんだよ?

それから早朝は絶対に騒いだら死ぬって肝に銘じてたんだけど…今日は流石に度肝を抜かれてるな。

ガチギレしてたお姉ちゃんもこれには目をパチパチと瞬かせて私と顔を合わせてるんだもの。

私もそれとなくキレてたけどね。これは流石に…いやかなり驚きだもん。

 

「HeyYoAll,GetSirius」

 

G11が動いた。何が始まるっていうんです?やったら流暢な英語を喋ったと思ったら…

その場で逆立ち…いや違う、腕だけで身体を支持してから頭と足でバランスを取っている!?

んでもってそのまま足を振ってリズムにノッたかと思えば頭を地面につけてぐるぐる回転…

これは…あれだ、ブレイクダンスって奴だ。ヒップホップ4大要素の一つに数えられ嘗ては世界中で踊られた物だ。

チープな音楽とえらくラフな格好のG11から繰り出される意外過ぎる物にオーディエンス目が釘付け。

私はブレイクダンスに明るくはないが…このアクロバットな動きはスゴイな…

おぉ今度は上体を地面につけて腕を巧みに使って回転するってものをし始めやがった。

あの動き私には出来ないな…おっぱいが邪魔するもん。

 

「お姉ちゃん、あれなに?」

「私が知ってるG11じゃないわ…」

 

ですよねー、私もあれG11の皮を被った別な人形かと思ったもーん。

皆もざわざわしてから何かバグったのかと口々に言っている。

G11と言ったら口にするのは寝坊助、めんどくさがり、出不精の3コンボ。

とてもではないが休日にブレイクダンスを嗜むような人形には思えない。

FALやスプリングフィールド等は呆れ半分の表情で部屋に戻っていった。まぁ何時もの馬鹿騒ぎだからね。

一部の動作とか真似てみようかな…出来るとかっこいいね。

 

「ねぇお姉ちゃんもあれ出来る?」

「出来るわよ、私は完璧なのよ」

「おっぱい邪魔にならない?」

「417ほどデカくないから大丈夫よ」

 

お姉ちゃんが踊るG11に対抗して制服のまま見よう見まねでヘッドスピンに挑戦しようとして…

おぉっと逆立ちが出来ないぞー?バランサーが初めての試みにエラーを吐いてるね。

試しに私も…っておーこれは難しいな。人形ボディでも最初は出来ないものだね。

特に私の場合は前にでっかい重りがあるからそれも計算に入れてっと…手と頭の3点支持なら…

 

「「きゃん!」」

 

姉妹揃って背中からずっでーんと行って悲鳴が上がる。

そんな私達なんざ知ったことかとG11は華麗に両手を地面につけて器用に足をくるくると振り回し円を描いている。

サングラスに阻まれていて表情は読み取れないが唇の形から私達を見て…

 

『ぷっ…無茶してんのー…』

 

こんな程度に笑ってるんだろうな。お姉ちゃんはよっぽど悔しいのか部屋に篭ったぞ。

んー…今やってる動きなら私でも出来るかな?

 

「私も踊るぞー!」

「おー!踊った後はコーラだよね!」

 

私が真似し始めたのを見てからかスコーピオンとSAAが飛び込んできた。

これにはG11も驚いた様子で口を尖らせたぞ?一人で踊っていたかったのかな?

 

「止めろよぅ、私一人のオンステージなんだぞー?」

「「楽しそうなのが悪いー!」」

「G11にもこういうアクティブな趣味があったなんてね、お姉ちゃんは安心したよ?」

 

意外と難しいけど手順を覚えたら難しくはないな。人間でやろうと思ったら練習が必要だろうけど。

ダンスの基本である体幹をブレさせないっていうのは同じかな?

私も別なダンスは嗜んでいたから分からなくはないかな。

渋るG11は無視して並んで一連の動きを真似してみる…逆立ちはまだ難しいけど。

バランサーが上下逆になってなぁ。それの修正を今即興で組んでるけどこれが上手く行かないとな。

 

残念ながら私はその後何度も背中を強打することになった。

SAAとスコーピオンが普通に逆立ちしてからヘッドスピンしてるのが納得行かなーい。

その後お姉ちゃんが部屋から飛び出してきて色んな技を見せてきた。

多分ブレイクダンスについて理論から調べてたんだろうな…そんなに悔しかった?

 

 

――――――――――――

 

 

主に私がドッタンバッタンとしてたせいで乱闘騒ぎと間違われてお兄ちゃんがすっ飛んできた。

ここで意外だったのが…お兄ちゃんもブレイクダンスの心得があったことだ。

G11と楽しそうにブレイクダンスの事を話していたんだ。

で、下手っぴな私に手解きしてくれることになったんだけど…

 

「お兄ちゃん」

「なんだ、417」

「スカートのままじゃないとダメ?」

「ダメ、じゃないと教えない」

 

私はスカートのまま踊れって命令された。つまり私は制服のままです。

羞恥がないというわけじゃないんだよ…?まぁもう色とかはバレバレなんだけどさぁ…

完全にこれお兄ちゃんの眼福の為だよね…むぅ、お兄ちゃんのエッチ。

 

「じゃあ簡単なトップロックからな」

「トップロック?」

「まぁ立ったままやるヤツな」

 

そう言ってお兄ちゃんはG11が垂れ流しにし続けているBGMにノッて手を交差して解いてを繰り返しながらステップを踏み出した。

私も真似して追従していく。簡単なステップだけどこれもブレイクダンスになるの?

まぁ多分構成する要素の一つなんだろう。黙って追従していく。

トップロックって一言で言ったけど色んなステップの動きがあるんだね。

 

「……」

「お兄ちゃん?」

「うん、417無理は言わん…お前には無理だわ」

「えー!?」

「そのおっぱいでは無理だな」

 

ブレイクダンスについて教えてもらっている内にお兄ちゃんが黙ってこっちを見てきた。

そして私のステップを見ながらただそう言ってきたの。

おっぱいが原因で無理って何事よ…いやいや教えるだけなら良いでしょ?

 

「そのな…男としては眼福なんだが…怪我に繋がりかねないからな?」

「じゃあお兄ちゃんの眼福のために頑張る」

「やめろ」

「ぶぅ…」

 

人間と違ってクーパー靭帯がぶっちんなんて事はないんだぞ?

ぴょんぴょん飛び跳ねて大丈夫だぞーってアピールしてみてもすぐに止められた。

 

「さて、じゃあ416に叩き込んでくる」

「ぶー…もう良いもん、だったら知ってるダンス踊るだけだもーん」

 

そう言ってお兄ちゃんは一人苦戦してるお姉ちゃんのところに行った。

私が知ってるダンスと…あとはミュージックも必要だな。

DolTubeはまだ健在かな?あ、イケるね…やりぃ、動画ストリーミングいけるじゃーん。

あ、でも振り付けが一部うろ覚えだな…んーいけるかな。難しい動きは何らないもん。

 

曲名は…極楽浄土。私が気に入ったミュージックだ。

独特な歌声の女性ボーカルの曲でヤーパンの曲調とロックを混ぜたような物だ。

振り付けも女性らしい動きがあって人間の頃はちょっと恥ずかしさもあったけど…

今ならやったらかなり様になるんじゃないかなー?

ついでだから歌いながら踊ってみようかな。

ただ動きのペースは早いから…さて、つっかえずに動けるかな?

 

「ミュージックスタート」

 

ダンスバトルの時間だゴルァ。

 

 

――――――――――――D08基地共有スペース・昼

 

 

「だから私もダンスの心得はあるの。ブレイクダンスだって踊れるんだから」

「はいはい、そーな…あのキレのあるダンスを見たらわからぁ」

「あーあ…私だけの特技だったのにー…」

「G11のクセに私より動けるなんて思い上がらないで」

「ブレイクダンスって面白いねー」

「ぷはー!コーラがうまーい♪」

 

主に動いていた私達とお兄ちゃんで集まってお昼にしていた。

他の人形や人間へのお食事はまぁスプリングフィールドのカフェをご利用下さいってね。

私が用意するのはお姉ちゃんとG28、G11とかの為の食事とお願いされた時位だから。

今日のお昼はボロネーゼです。麺はちょっと手を加えてフィットチーネと言う平たい物に。

もちもちとした食感がくせになる物で濃厚なパスタに合うかな?

ボロネーゼがなんぞやと思う人はミートソースパスタって言えば通じるかな。

正式名称はラグー・アッラ・ボロニェーゼ。発祥はイタリアのボローニャ地方だね。

トマトの赤み旨味と玉ねぎの風味、挽肉がうまーいソースだね。

 

お腹をすかせたお兄ちゃんはがっついてるしG11はぶーぶー文句言いながらいつもの調子に戻っている。

お姉ちゃんはお兄ちゃんの指導もあってからかあっという間に上達していた。

特に指導されてないのに出来てたスコーピオンとSAAはなんだよ。

 

で、一人別なダンスを踊っていた私をお兄ちゃんは見てたけど教えることに関しては依然として渋ってくる。

なんだよぅ私の何がいけないんだー?言いやがれちくしょー…

 

「指揮官あれでしょ、417のおっぱいの動きに我慢できそうになかったんでしょー?」

「ち、ちがわぁい」

「指揮官、ちょっとお話良いかしら?」

「ヒエッ」

 

おーぅ、そういう事?ただのお兄ちゃんのヘタレが発動してただけか…

そしてお兄ちゃんナムナム…お姉ちゃんが過保護モード入った。

これはお説教か鉄拳制裁ルートだな…うん。このままだったらね。

 

「お姉ちゃん」

「なに、417…これからお話があるんだけど?」

「手心は大事だよ、イイ女って言うのは受け入れることも大事なんだから。私は気にしてないからね?」

「……417に感謝しなさい、指揮官」

「オッフ」

 

なんだかんだお姉ちゃんもお兄ちゃんに暴力振るうのは躊躇ってきたし私がこうやって譲歩する動きを見せるとすっと引くようになった。

お姉ちゃんも女子力磨く位にお兄ちゃん好きなんだろう?そろそろアピールしないと取っちゃうよー?

見てたからね、手解き受けてる最中めっちゃくちゃ嬉しそうだったの。




ダンスについては映像をみちくり、文章で表現するのは死ぬ。

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