元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん   作:ムメイ

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Q:急に
S:招待状が
T:届いたので

詳しくは焔薙さん所のポンコツ指揮官を見てくれや。


番外 結婚式の準備

――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

「んーS09地区からの封筒か…どれどれ…ん"ん"!?」

「お兄ちゃんどうしたの?」

「こ…こりゃ…結婚式の招待状じゃぁ…!」

「あー…S09地区の結婚したって言う指揮官の所かな?」

「やべぇよやべぇよ…人形のドレスなんてねぇしご祝儀も包まなくちゃ…」

「あとお兄ちゃん礼服!」

「やっべやっべ」

 

移動式販売を送ってくれた例の基地からの封筒が届いたんだけどその中身が爆弾だった。

セール理由に宣伝してたけど結婚したらしいんだけどその結婚式への招待状だ。

ご祝儀代わりに大量購入したばっかりだけどそれとは別にご祝儀ってのは包まなくちゃね。

そして私達もそれ相応のドレスコードって物があるでしょうよ。

つまり何が言いたいかって?着ていくドレスがねぇからやばいやばいってなってるの。

I.O.Pのカタログにはこの基地所属の人形の何体かにドレスが存在するから取り寄せるんだけど。

とっても意外な所でスコーピオンにドレスが存在するんだ。礼服っぽいのならSAAにも存在する。

スオミにはクリスマス用だがドレスが存在する。ドレスが存在する人形は限られるが連れて行く人数にも限りはあるだろう。

この基地を指揮官が離れることになる。その間の基地の防衛に人形は不可欠なわけで。

 

「というかコレ無くすなって赤文字で書かれてる。絶対無くすなよ!」

「ぉぅぃぇ」

 

まぁ招待状だからこれがないと入れないんだろうな、そうだよな!

結婚式なんて行ったこと無いからわかんないけどね。常識的に考えてこうだと思うんだ。

お兄ちゃんはお兄ちゃんでドッタンバッタンし始めたしこれ間に合うんか?

最悪指揮官は制服で出たらOKなのかな…最悪レンタルで礼服借りてくるだけだけど。

 

「I.O.Pに連絡してドレスを片っ端から取り寄せるぞ!」

「あとお兄ちゃんは街に行ってから礼服調達、はりーはりー!!」

「わぁってらぁ!仕事代行頼んだ」

「任せておけぇ!」

 

こんなお祝い事は中々無いんだから私は一人仕事をやるんだよぉ!おらぁ!!

その間にお兄ちゃんは礼服買いに出かけてもらう!さっさと私服に着替えて出ていきな!

こんな書類仕事なんざ私がすっぱりさっぱり片付けてやるよぉ!

 

「キーよし、じゃあ行ってくるぜ」

「いってらっしゃい!」

 

何だあのキーは見たこと無いぞ…何の鍵だ?まぁいいそれより書類捌きだよ!

 

 

――――――――――――D08基地工廠・夕方

 

 

いきなり言い渡された休暇に皆騒ぎながらも満喫していただろう。私は仕事漬けだったけどな!!

さてと?私も含めて数体の人形が呼び出されてるわけで…

 

「よし、おめぇら集まったな!」

「何でしょうこの集まりは…?」

「おめぇらは結婚式出席組な!つべこべ言わずに来いホイ!」

 

集められた私も含めてか。んで、その後ろにうず高く積まれた箱は?

まさかと思うが朝に発注したものがもう届いたのか?お?お?

因みに集められたメンツはUMP姉妹、お姉ちゃんと私だ。他のメンツは?

何故かヘルメット被ってるお兄ちゃんに捲し立てられて私達全員工廠の奥に押し込まれる。

その先にはI.O.Pテクニカルスタッフが待ち構えていてから物々しい雰囲気だぞ?

結局どういう事かって?んなの分かってんだろ?お着替えタイムですよ!

 

「結婚式?」

「最近交流が出来たあのS09地区の基地であるらしいわ」

「となると私達は指揮官の護衛ね」

「そういう側面もあるだろうねー」

 

私のドレスはお姉ちゃんのとお揃いだけど色合いが逆だ。

私のはパープル地に白の重ねだ。そして花飾りはカサブランカだ。

花言葉は祝賀、このおめでたい時に着るにはもってこいなものだね。

髪型はお姉ちゃんとちょっと違ってツインテールだ。いつもツーサイドアップだけどね。

見事なまでに全員ドレスですよ。これなら出席しても文句は言われめぇ。

 

「えへへ、お揃いだね♪」

「そうね…本当にこれでいいのかしらね?」

「良いでしょ、文句は言われないでしょ」

 

ピンヒールなんてのも初めて履くけどこれはちょっといい経験かも。

ただ無茶なことは絶対できないな。これで戦闘?アホ抜かせってもんだわ。

まぁ一応全員の銃を隠すためのガンケースが支給されてるんだけどね。

私は若干背伸びしてる感が否めないけどね…ロリっ子がドレスなんて着たらそうもなろう。

G11もドレスがあったら呼び出されたんだろうけどI.O.Pのカタログ上に存在しない。

それにG11はボイコットしそうだな…仕事となるとキビキビ動くんだけど。

このメンツになったの?なんでも在庫にあったからすぐに納入出来たからってさ。

あとはまぁこういう特殊環境でも遺憾なく性能発揮できそうな部隊だから。

 

 

――――――――――――D08基地食堂・夕方

 

 

「おめぇら集まったな!次は余興を考えっぞ!」

「「「「うす」」」」

「所でなんで私達はドレスのままなの?」

「慣れるためじゃない?」

「指揮官の趣味だって~」

「余興なんて定番ネタがあるんじゃない?」

 

ドレス組はそのまま参加。お兄ちゃんは流石にヘルメットを脱いでから食堂で大声張り上げていた。

頼まれもしてないけどいざって時にやれたら良いよねって私がポロッと言ったものだからお兄ちゃんが張り切った。

因みに集められたのはこの基地の人員全員である。そうD08基地総出である。

まぁ定番ネタとなるかわからないけど…盛り上げられそうなのだったら…

 

「はい417!」

「はい、やっぱり歌とか楽器での演奏が良いかなって思うの」

「歌と演奏!出来るやつ!!」

「歌ならスオミが…あ、でも417も趣味よね?」

「私ヴァイオリン弾けるよー!あと歌も!」

「9は歌うとホラーになるから駄目よ~」

 

9姉のヴァイオリンと私の歌唱で良いかな…お題曲とかの打ち合わせが必要かも。

あと9姉ヴァイオリン持ってたか?最悪レンタルになるんだけど。

練習したらピアノとかも行けそうだし…ヴァイオリンとピアノのセッションとかでも良いかもね。

それにマイクを口元に持ってきたら歌だって歌えるし…休暇申請して街まで練習に出かけるか?

 

「あとダンスとかも良いんじゃない?」

「ダンス部!手ぇ上げろ!!」

 

ブレイクダンス嗜み勢と私が手を上げた。あれー?私がオーバーワークじゃね?

余興としてのダンスってなると私が嗜んでる方のダンスが良いんじゃない?

お姉ちゃんブレイクダンス嗜んでるけどそのドレスでやるのは中々の度胸が必要だと思うよ。

あと絶対パンモロするから私はおすすめしない。絶対にな!

 

「417!」

「はい!」

「416にダンスを仕込め!そのために休みをいくら使っても良い!HK姉妹でのダンスだ!」

「了解!」

 

わぁい私の自由は無くなったぜへっへっへーい。でもまぁお姉ちゃんとべったり出来るからいいやー

盛り上がるのだったらClassicとかだけど雰囲気合わせるならI was born to love youかな?

まぁどっちも仕込んで掴みでClassic、本命にI was born to love youでって流れでいいかな。

というかこれ思ったぞ。

 

「これさ複合で良いんじゃね?」

「それだ!!」

 

 

――――――――――――D08基地共有スペース・夜

 

 

「じゃあ私が先に踊るから覚えたらついてきな」

「このドレスのまま踊るの?」

「本番はどっちにしろドレスだぞ、覚悟決めろや」

「417アンタキャラが壊れてない?」

 

まずは踊るのはClassicだ。こっちのほうが動き回るし動きが過激だ。

こっちをマスターできればI was born to love youなんて楽勝なんだよね。あっちはステップ中心だし。

ミュージックの内容としても女性賛美だから花嫁を褒め称えるとしては良いんじゃないって思うし。

G11から借りたラジカセにミュージックデータを叩き込んでから垂れ流す。

まずは私が踊る。別にドレスでも踊れなくないことを証明して見せなければならん。

 

「Hey,Where's the dram!」

 

最初のステップは何ら特別なことはない。ただリズムよく右手で二拍子刻んでステップだ。

ただ歌が始まると上半身の動きが激しくなってくる。ステップは依然刻まなくちゃいけない。

人間だったらこれが大変だけど私達は人形だ。その辺の制御は簡単だ。

そしてこのClassicに置いて最も大事なのは楽しそうに踊ることだ!

そう、表情が良くないとこのダンスは映えない。だから私は最高の笑顔で踊る。

口ずさむ歌詞に心を込めて、楽しくね。これが出来れば大丈夫なのさぁ!

 

そして…このダンスの見せ場。サビだ。

 

「You're over my hand♪I'm out of my mind♪」

 

大胆に動くステップと上半身の動きで観客を魅了するんだ。

かくいう私も一度見た時は魅了された物だ。だからここを失敗するのは駄目だ。

ここを乗り越えれば後はここまでに覚えたことの引き出しでOKだから…

踊りきってからお姉ちゃんについて来させる。あとは復習あるのみなんだよ。

 

「ぐえっ!?」

 

慣れないピンヒールでのステップに調子乗りすぎて二週目のダンスで足を挫くヘマをやらかした。

まぁ痛みにはなってないし損傷にもなってないからへーきへーき。ドレスにも汚れはついてない。

なおお姉ちゃんは歌わないなりにもダンスは一回見ただけでかなり様になっていた。

ただ表情がかったい、笑えよ、おめでたい席なんだからもっとにっこぉーって笑ってよ。

しょうがないから対面で私が踊る。良いか良い踊りって言うのは表情も決めてなんだってのを教えてやらァ!

 

「お姉ちゃん、笑顔な?」

「……こう?」

「かてぇよ!!」

 

お姉ちゃんは笑顔がくっそ硬かった。笑顔の練習も必要じゃねーか。

なにをどうしたらそんなに笑顔が硬くなるんだよ。いつもの私を見る時の微笑みとか猫ちゃん可愛がってる時の笑顔を浮かべろよ。

ほれ連想してみ、肉球ぷにぷにな子猫がとてとてこっちに走ってきてからみゃお~ってやってる姿を。

そうそうその笑顔、それをダンス中に浮かべてみような?出来るよね?完璧なんだから出来るよな?よし!

 

こんな練習風景が基地内で繰り広げられるようになった…後数日、お姉ちゃんに徹底的に叩き込んで私は私で歌の打ち合わせ…ひぃー忙しい。

ピアノの練習もしないといけないじゃん!私過労で倒れないかな…




余興はD08基地のHK姉妹に任せろバリバリーってヤツですよ。

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