元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん   作:ムメイ

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警告:この番外は「杭打折」さん所の「妄想フロントライン」とのコラボ作品になりまーす
異色のHK417っていう人形同士のコラボだぜ、たんと食えよ。
向こうのHK417はAR区分でシリアスだからよぉ…こっちもシリアスにいくぞーぅ。


コラボ番外:出動!回収作戦!

――――――――――――D08基地司令室・夜

 

 

「今回集まってもらったのはちょっとな…回収支援の要請があってな」

「回収支援?なるほど」

 

戦闘能力に長けたFAL、前線で壁を張れるG36C、同じく前線で壁を張るスオミ、夜目が効く偵察役のMk23、この基地きっての狙撃手の私が招集されていた。

どうやらかなりの激戦区に送り込まれるんだろうと思うが…ならなぜ私達なんだろう?

この基地以外にも伝手というのはあると思うんだが…その地区はどこなんだろう?

激戦区ってなるとS地区のどっかだろうけど…

 

「そ、なんかな…開発予定段階だった人形が動いているらしいんだ。んで、そのHK417ってAR人形とSIG-510、IDWの回収が今回の依頼だ」

「HK417…?」

 

一斉に皆私の方を見てくる。AR人形って…どういう事だ?

正規で開発予定段階だったって事は計画で終わっていた人形が動いているって事?

それとも私以外にもイレギュラーな事が起こった奴が居るってことかな…

 

「そう俺も聞き返したがHK417っていうARの人形だ。ウチに居るのはRFとして登録されているHK417だ」

「じゃあその開発予定って言うのは」

「そうそのHK417だろうよ。最悪そいつだけでも回収しろって話しだ…だが俺達が目指すのは全回収だ、できるな?」

「「「「「はい!」」」」」

「よろしい、では戦闘準備してヘリに乗ってくれ」

 

私達に課せられたのは試作人形の「HK417」の回収及び撤退中のSIG-510とIDWの保護。

これからヘリで向かったとして深夜になるのは免れない。夜戦装備で行くことになる。

また当該地区は廃棄された街ということもありCQB戦もありえる…

サプレッサーの装備とNVゴーグルの用意は必須だろう。

 

部隊の枠組みを全部取っ払ってのこの基地の最高戦力をつぎ込んでいるから…失敗は許されないな。

敵のデータは送られてきたが…まぁ装甲型が多い、私が徹甲弾を叩き込む必要があるな。

他にはFALの榴弾か…純粋にAPCRでも抜けるかも…?まぁ使用弾頭は各々…とりあえず私はMk211徹甲榴弾だな。

上着のポケットにマグを2本差し込みバックパックに更にマグを追加で3本叩き込み空きスペースにMk-23のマガジンを並べる。

右足のレッグホルスターにMk-23をセーフティを掛けてから差し込み確認。よし。

レッグリグに榴弾を5発入れて…携行弾薬はこれで良し。携行食料と救急キットもバックパックに入れ込んで…よし。

頭にNVゴーグル…うん良し、各種アクセサリーのバッテリーコンディションも良し。双眼鏡も良し。

さ、行きましょうか…奇しくも同じ名前の人形を助けに行くのかぁ…

 

「小隊長FAL準備完了よ」

「HK417戦闘準備完了、何時でもどうぞ」

「G36C何時でも行けますわ」

「スオミ、準備完了です」

「わたくしも準備完了よ」

 

兵舎前で全員チェックしてから気を引き締めて行く。

今回は戦闘キチになられても困るがドンパチは避けられないからFALも榴弾装備だ。

G36Cもスオミも予備マグを沢山携行している。

Mk23はそもそも撃ち合いよりもデータリンクによるターゲットスポッティングが主だから戦闘より敵を如何に見つけるかだ。

 

「使用チャンネルは打ち合わせ通りよ。相手はハイエンドモデルも来ていると聞くわ油断はしないように」

「「「「了解」」」」

「指揮官からも言われるでしょうけど欠員は許されないわ。ダミーは最悪廃棄だけど…生きて帰るわよ」

 

 

――――――――――――

 

 

ヘリコプターはD08基地を飛び立って森林の上を闇夜に紛れて飛んでいく。

移動中のヘリコプター内は全員無言だ。通信機に指揮官からの命令が飛び込んでいるからだ。

作戦領域に直接ランディングは不可能、空挺降下は狙撃が懸念される為不可。ホットゾーン外から侵入して鉄血兵を排除しつつターゲットと接触エスコートするのが目的だ。

ターゲットになるHK417-arのデータも本部から送り込まれてきた。外見データで照合するしか無い。

今回は混同を避けるためそれぞれの種類を呼ぶことになる。私はHK417-rfと言った様子だ。

市街地マップもアップロードされ最後に通信された箇所から行動範囲を絞り捜索することになる。

撤退していると言うことから最も近い回収地点に向けて逃げていることだろう。

と言うか私達がランディングするのはその回収地点だ。そこから探索を開始することになる。

狙撃回避や回収部隊が来たことを悟られない為にその都市に張り巡らされている旧下水道を通ってアプローチを掛ける手筈だ。

この事は次に通信があった場合に伝えられるそうだが…上手いこと噛み合ってくれたら良いが…

都市について土地勘のあるSIG-510とIDWが居るらしいから逃走経路として選択する可能性もある。

上手く合流できれば御の字だが…まぁ適当な所で地上に出ることになるんだろう。

 

『詳しい指揮は向こうの指揮官の管轄になるが…お前達をもしも』

「もしも使い捨ての駒にしようとしたら違反してでも帰ってこいでしょ?」

『その通りだ、定時連絡も欠かさずやれよ』

「了解よ」

 

この先は指揮官の指揮を常に受けれる状態ではなくなる。

しかも指揮系統は切り替わって向こうの基地の指揮官の指揮下に一時的に入る。

まぁ回収支援要請を出すくらいだから非人道的な指揮官ではないと信じたい。

現在与えられている命令に従い自己判断での戦闘が主になる。

私は元々が人間だから自己判断は容易だけど…他の人形には負荷が掛かる。

加えて戦闘状態が長く続くし残弾、エネルギーの残量にも気をつけなければいけない。

それはターゲットも同じ事が言える。強制スリープになっていたらアウトだな…

 

「ふぅ、それにしてもエラーロットではなく正規の417ね…」

 

回収されたら私はどうなるんだろう…グリフィンとしては私の扱いをどうするか…

存在しないエラーロットとしてやっぱり廃棄に移るか…いや、一度もう登録してある筈だ。

まぁ今はそんな事を心配している暇は無いか…作戦を無事に終わらせることが優先だな。

 

「作戦領域に到達するまでまだ時間が掛かりそうね」

「そもそも今回向かう先は…最前線で私達とは縁があまりない所ですわ」

「鉄血勢力下にランディングですか…」

「それも偶にはスリリングで良いんじゃないかしら」

「どうであれ撃ち抜く的が多いことは結構な事じゃない…大型の的も居るんでしょ?」

「Manticoreね、あのデカい奴ね…直接やり合いたくはないわね」

「その時こそ私の出番じゃない?」

「まぁそうね、頼りにしてるわよ私達の417」

 

何が来ようが私が撃ち抜けば良い。装甲だってぶち抜いてやる。

それにセンサー部分なんて装甲が甘いでしょう…そこを撃ち抜いてやれば沈黙するでしょうさ。

任せなさいとジェスチャーで胸を叩くと皆笑ってサムズアップしてくれた。

 

 

――――――――――――

 

 

「こちらイーグル1ランディングに成功」

「さ、行動開始よ…迷子を迎えに行くわよ」

「「「「了解」」」」

 

ヘリコプターからぞろぞろと降りてから全員セーフティを解除。

チャージングハンドルを引き初弾を装填、データリンク正常作動。ダミーリンク正常。

電子マップ、GPS正常。通信機も良し。各部セルフチェック…クリア。

HK417戦闘モードに移行…さて、戦場に着いたわけだ。

 

「イーグル1離脱します、ご武運を!」

 

ヘリコプターは離脱していく。残されたのは私達人形一個小隊とダミー。

廃墟と化した都市の方を見れば戦火によって薄っすらと赤く空が照らされている。

戦火の激しさを物語っているようだった…

 

「さてボヤボヤしてられないわよ」

「下水道ですか…」

「この数百メートル先にマンホールがありますね」

「…敵影は無さそうね、先行するわ」

「殿は私が」

 

全員夜視モードに移行、接敵に備えてまだNVゴーグルは使用しない。

どこに目があるか分かったものではないので物陰になるべく身体を隠しながら進む。

先行してMk23が安全確認を取りながら行動開始だ。この時ばかりは私達よりも索敵に特化したHGタイプの独壇場だ。

もしも見つけたならデータリンクで私に送られてくるだろう。

この中でサプレッサーを装着しているのは私だけ。正確に撃ち殺す必要が出てくる。

やり過ごせるなら行きはやり過ごして…帰りに撃ち殺す。

 

こういった荒廃した街に入るのは初めてだが…雰囲気が恐ろしい。

ゴーストタウンか…ここも鉄血に攻め入られる前は人が住んでいたんだよね。

今は無理でもいつかここも押し返せると良いんだけど。

あ、FALが一応向こうの基地の指揮官とやり取りしてるみたいだ。

まぁ最初の動きはこっちの指揮官の動きでやるんだけどね。

 

『巡回中の鉄血兵発見…多分やり過ごせるわ、一応聞くけど417見えてる?』

「ばっちり…撃ち殺しても良いけど?」

『潜入の意味』

「ジョークよ」

 

データリンクで送られてきた視覚情報とMk23の現在位置、向いている方向から計算してスコープを向ける。

夜闇に浮かぶ鉄血兵のシルエット…あれはRipperか。SMG持ちのシルエットだ。

ヘッドショットを狙えるけどやり過ごせるならば今は見逃す。

 

『行ったわ…他に巡回は来ないみたい』

「この先の小道に入って、そこが一番近いマンホールね」

 

格子状に入り組んだ都市…かなり狭い路地に入った所がその下水道に繋がるマンホールの入り口だ。

巡回する鉄血兵は多くはないみたいだが…恐らくMk23が居なかったら接敵していたんだろう。

Mk23のバックアップもあって全員目的の小道に入り込めた。マンホールの蓋を引き上げて中を覗く。

物音はないしこの暗闇では何も見えない。

 

「では、先行は私が行きますわ」

「続いてわたくしが」

 

まずはG36Cのダミーが降下、安全確認後Mk23が降下視界確保。

そして私達が随時降下する。最後は私が降りて蓋を閉めればOK。

 

「ダミーリンク健在、大丈夫そうですわ」

「了解、ではいってらっしゃい」

 

するするとMk23のダミーが降りていく。意識をダミーに持っていってるんだろう、メインフレームの動きが止まる。

かなり下まであるんだろう…さて…ん、Mk23が動いた。

 

「視覚確保、周囲に敵影なし」

「随時降下、急ぐわよ」

 

回収支援作戦の本当の始まりね…つつがなく終わればいいけど…

最後の私の番が回ってきてマンホールの蓋を閉めてから下水道へとハシゴを滑り降りていく。

下ではNVゴーグルを掛けた皆が居た。私もNVゴーグルを下げて…行動開始だ。




以前触れた先駆者HK417姉貴だぞ。こっちのと違ってAR区分で超冷静でかっこいい系の417だからな。

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