元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん   作:ムメイ

77 / 216
ネッコが居る、ペットロボが居る…じゃあアレも居ないとな?


Day67 わんわん!

――――――――――――D08基地農業スペース・朝

 

 

「ふんふんふーん♪」

 

そんなに汚れることはないからって制服で今日は畑のお世話をしていた。

そもそも制服だって戦場に出ていくから汚れもわりかし落ちやすい素材だしね。

種芋を仕込んでからまだ数日しかたってないからまぁまだ芽なんて出ちゃいない。

毎日欠かさず水をやって土を湿らせることだね。芽出しはしなかったけど大きすぎるのはカットしてから天日干ししたから良いでしょ。

芽が出てきたら芽かき…つまりは剪定をしてから発育を見て土を寄せて…って結構手間がかかる。

肥料なんてのも必要だけど今は倉庫の中に眠っててもらおう。何分臭うからね。

この付近に生息してるかもしれない害虫も居るし発育は楽しみだけどその後のことを考えると厄介だ。

できれば薬剤を使用したくはないしね。とりあえず見つけ次第殺す。

 

「早くおおきくなーれ♪」

 

今日の朝はここまでかな…うん、よっしゃっと立った時だ。何かこっちを見ている?

害意は無いけど不躾な視線を感じて振り向くとそこには…

 

「わふ!きゃん!」

「おーぅ…」

 

見た感じ生後数日といった様子の子犬が3匹金網の向こうに居た。

ふわふわもこもこな毛並みでくりくりの目が私を見ていた…かわいい…

これは保護対象かな…戦火を免れてここまで迷い込んだんだろう。母犬はどこに行った。

しばらく見ていても母犬らしき影は見えない…鳴いてる様子もない。

育児放棄かな…うーんこのまま子犬を放ったらかしにしたら餓死しちゃうだろうし…

まぁ保護確定として…連絡だ。わーちゃんを召喚せねば。

 

「わーちゃんわーちゃん応答して」

『何よ417、あとわーちゃんって呼ぶの止めなさい!』

「大至急農業スペースの方に来て」

『何かあったのね?了解すぐに向かうわ』

 

端末で連絡してから高さ2m近い金網を飛び越えて…おーこいつら人懐っこいな。

飛び越えて着地したら我先にって私の足元にわらわら寄ってきてから…毛玉地獄だ。

これは私一人で抱えきれないしなぁ…わーちゃんも手伝わせて救護室につれていきましょ?

 

「どれ、よっこいしょ…」

「わん!わん!!」

「お前ふわふわだな…んーでもお風呂確定だね」

 

野良とは思えない毛並みの良さだけどかなり臭う。これは救護室で健康診断したあとお風呂にいれないと。

見た感じでは元気そのものなんだけどね。どんな病原菌抱えてるかわかんないし…

 

「417ー来たわ……なによこれ?」

「やっほーわーちゃん、見ての通りのわんちゃん」

「とりあえず抱えて救護室ね…はぅん♪かわいい~♪」

「だね、暴れないでねー?」

 

総勢3匹の子犬は私達に抱えられて救護室に担ぎ込まれたのでした。

 

 

――――――――――――D08基地救護室・朝

 

 

「どうしてこうなった」

 

救護室はダイナゲートも合流してからわんわんパニック状態だ。

完璧に犬のしぐさをインストールされているのかダイナゲートはしきりに子犬のケツを追っかけ回してる。

で、残りの子犬がそんなダイナゲートを追っかけ回して走り回る。

機械での検査が行われたんだけどまぁ病原菌の類は発見されなかったので良し。

でも一応念の為として狂犬病予防の注射はしておいた。マニュアルがあったから間違いはないでしょう。

元気に駆けずり回っているしそのうちお腹が空いて餌をパクパク食べるでしょうね。

そしてお腹いっぱいになったらきっと寝ちゃうから…お風呂は私達が帰ってきてからか…わーちゃんに任せよう。

猫ちゃんと違ってお風呂を嫌がらなかったら良いんだけど…

 

「おいで~♪」

 

それはそれとしてこのわーちゃんデレデレであるよ。ぺたんこ座りしてから子犬が戯れやすいようにしている。

手を叩いてから注意を引いて呼ぶと子犬はわーっと寄っていって膝の上とかに乗ってじゃれついてる。

わーちゃんもそんな子犬を抱えて顔を擦り寄せている。もちろん顔をベロベロ舐められてる。

 

「ん?」

「(´・ω・`)」

「あぁはいはい…だーちゃんも抱っこね?」

 

ダイナゲート…もうだーちゃんって呼ぶことにしたけど。だーちゃんが私の足元に来ていた。

おっぱいに隠れて見えてなかったけどちょんちょんと足を突っつかれて気づいた。

お座りしてから見上げるカメラには顔が浮かんでいて私をじーっと見上げていた。

小柄なだーちゃんを抱き抱えると嬉しそうにしてから…可愛いものね。

頭を撫でてやるとなお喜ぶから可愛い。そのまま肩に乗せると定位置とでも言わんばかりに居場所アピールしてくる。

 

「(*`・ω・´*)」

「ふふ、可愛い♪」

「(*´ω`*)」

 

しっかり私達の言葉も認識してるから褒めるとこの顔だ。

ただ出撃にも付いてこようとするのは止めて欲しいんだよなぁ…流れ弾が飛んでこないとも限らないし。

バックパックにずっと入れてるとそれはそれで私のバックパックの意味がなくなっちゃうし…

まぁ必要なのはタクティカルポーチにぶっこんでおけばOKなんだけど。

 

「わーちゃん後は任せたよー?」

 

救護室を後にする前に見たのは子犬に押し倒されて顔を3匹にベロベロ舐められてるわーちゃんだった。

あんな調子でちゃんとお風呂入れれるかな…ちょっと不安になってきた。

まぁお仕事と切り替えれば子犬の魅力にもやられることはないでしょう。

 

 

――――――――――――D08地区前線・昼下がり

 

 

『ちょっと展開しすぎ、いざって時の連携取れる距離維持して』

「だって、突撃しすぎだよスコーピオン」

「そうそう、Uziだってそうだよ」

「敵を見つけたらすぐ417かM14が殺しちゃうじゃん」

「そうよ、私達の取り分を寄越しなさいっての」

「硝煙の匂いがつかないで済むからダーリンに気兼ねなくスリスリできるからわたくしは良いけど♪」

 

いや知らんがな、マークスマンとしては態々危険に晒す真似はしねぇよ。

今回はドローンを飛ばして逐次指揮官の指揮を受けながらの行動だ。

私とM14が殿、進行方向の結構先にスコーピオンとUzi、そこからちょっと後方離れたところにMk23って配置だ。

因みに私の肩にはダイナゲートが乗っかっている。通信のアンプ機能もあるらしく私がなんちゃって通信兵になってるのだ。

あと一応殺傷能力は無いけどスタンガンも搭載されているらしく暴漢対策になるらしい…

工廠の連中なんてものを突っ込んでるんだか…ペットロボに必要なことかよ。

 

「指揮官、敵捕捉…3時方向、数は30です」

『あっちゃぁそっちからか…前衛は即座に向かってくれ、RF二人は数を10程削ってくれ』

「了解」

「敵だー!!突撃ぃー!!!」

「戦果は私のものよ!!」

 

元気のいいSMGに経験を積ませる目的かな?まぁ私のワンマンショーしてもつまんないでしょうし。

隣で射撃態勢になったM14を見る、目が合う…まぁやることはやってからにしましょうか。

 

「じゃ、やりますか」

「今回は負けないから!」

 

RFはRF同士での小競り合いが発生した。M14もなかなか成長してきててキルレートは3:7に落ち着いた。

後はSMGが小競り合いしながら敵を蹴散らすんだろう…じゃあ私は何をするかって?

他に敵が居ないかの偵察だよ。昼間は私の目の方が効くからね。

 

「ん?」

「どしたの417」

「あれは…野生動物かな?」

『野生動物…状態は?』

「ピクリとも動いてない…死んでるのかな」

『じゃあ417のダミーを向かわせてくれ、状態のチェックだ。生きてたら保護な』

「了解」

 

ダミーの一体を向かわせる意識をダミーに移してから行動…他のダミーに私の身体を守らせておこう。

あ…この動物は…なるほど、そういう事か…

 

「この犬、母犬か…」

 

特に外傷は無いがピクリとも動いてない、眠るように死んでいる白い犬。

乳房が発達した様子から育児をしていたのだろうけど生先永くないのを悟って子の元から去ったのかな…

 

「大丈夫、貴女の子供は私達が保護したから…安心して逝って…」

『417、どうだった?』

「ん…老衰で死んだ犬でした、任務に戻ります」

『そうか…』

 

もう冷たいその身体を撫でてから意識を本体に戻し作戦行動に戻る。

 

 

――――――――――――D08基地兵舎ペットスペース・夜

 

 

「やっはろーわーちゃん元気?」

「んへぇ~♪」

「うわ…」

 

ふにゃふにゃになったわーちゃんがそこには居た。

わんちゃん達は救護室からペットスペースに移された様でそれぞれ寛いでいた。

茶トラちゃんも新しい家族に警戒気味だけど威嚇にまで至ってないから良いかな?

私の足元に来たワンちゃん抱えてちょっとお腹くんくん…シャンプーのいい香りだ。

ちゃんとわーちゃんがお風呂に入れたみたいだね。不安はあったけどやってくれたんだね。

ん?この匂いは…木工ボンドの匂いが微かにする…?

 

「あら、417も?」

「お姉ちゃん?」

 

なるほど、お姉ちゃんもそう言えば可愛いの好きだったね。子犬と聞いて来た感じか。

私は一応ながらここの世話もしてるメンツだからね?ただ愛でるだけじゃないから。

流石にお姉ちゃんはもうふにゃふにゃになることは無いけど微笑んでる。

ぺたんこ座りして膝に抱っこしてから撫でてる姿は結構さまになってるな。

 

「ボトルシップどう?」

「もう一個完成してから今二つ目を作ってる最中よ。マストを組んでる所だからもうすぐね。」

「ほほー…」

 

私も子犬抱っこしながら隣に座って肩を寄せる。肩に乗ってただーちゃんがお姉ちゃんの肩に乗っかった。

私と似てるから飼い主認定貰ったのかな?違うな、ただ興味津々な様子だな。

しきりにお姉ちゃんの横顔を覗いてはカメラを動かしてる。

それにしてもお姉ちゃんも新しい趣味に没頭してるね。ちゃんと息抜きしてるから良いけど。

 

「で、こいつは?」

「鹵獲してペットロボになっただーちゃん」

「(`・ω・´)」

 

これが器用なもので前片足だけ上げて挨拶じみた動きしてるんだぜ?

そしてほっぺたにボディを擦りつけてから私の肩に乗っかった。

 

「417に懐いてるのね」

「うん、私が飼い主って認められちゃって…」

「なかなか可愛いじゃない」

「だって、良かったねだーちゃん」

 

ペットスペースは今日も可愛いものを求める人形に溢れています。

 

「417~♪」

「「ぎゃー!!」」

 

放ったらかしたG28が押しかけて私とお姉ちゃんを押し倒したのは蛇足だけど付け加えておこう。




わーちゃんキラー追加でーす
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。