元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん   作:ムメイ

82 / 216
お世話焼きも参ればこうもなるでしょ


Day71 417も時にだらける

「押さえろ」

「へへ…これから楽しいことをしようぜぇ…」

 

怖い…私の自由は奪われて組み敷かれている。薄暗い部屋に押し込められて…

薄ら笑いを浮かべて私の顔を覗き込む二人の男の影。声が出ない。

私の意思に反して身体は動かないし声も出ない。ただただ怖さだけが募っていく。

情欲にギラついた目が私の顔を映す。恐怖に彩られた私の顔が映っている。

元々防御力が無いに等しい私の制服は見るも無残に破かれている。

そして…男が覆いかぶさって…私の両胸を揉みしだいてくる。いやだいやだいやだ…!

さらに言えば股座に固く熱くいきり立った物が擦りつけられている…何を意味するか…私だって嫌ってほど分かる。

初めて私の身体が私の意思を汲み取って動いていくれる…恐怖に息を呑んだ。

そんな私を見て男二人はいやらしい笑みを深くして…最期の砦である下着を…

 

「はっ…はぁ、はぁ…はぁ…」

 

夢だ…ここ最近ずっと見続けている夢だ…私の心の奥にこびり着いた恐怖が具現化してるんだろう…

お陰で睡眠途中で目が覚めてかく必要のない寝汗で寝間着が肌にぴったりくっついている。

蹴飛ばしてしまった布団にも寝汗が染み込んでいて重たくなっている…髪もだ…

もしもあの時お兄ちゃんが助けてくれなかったら夢の続きがそのまま現実だったんだろう…

それがたまらなく怖い…今も私の胸を締め付けて苦しめている。

男の頃なら一度も味わうことのない恐怖だ。絶対に…ありえない恐怖。

 

「ぅぉぇ…」

 

やばい、吐き気まで催してきた…洗面所に駆け込まないと…

洗面所の鏡に映る私の顔はげっそりしていてこのままだと絶対に心配される…

けど…言えるわけない…戦術人形なのに夢を見て…それも悪夢で毎晩魘されているなんて。

本来人形に夢を見ることなんてありえない…まぁ私が元人間だって言うのが関係してるんだろう。

お姉ちゃんにそれとなく聞いてみた所寝ることは必要だけど夢を見ることなんてないって…返事があったし。

つまり…今私を襲っている事は私がどうにかしないといけない問題なんだ。

レイプ未遂事件がトラウマになってるんだろうけど…どうやったら良いのかな…

 

「はぁ…」

 

まだまだ暗い兵舎に私のため息が溢れる。日が昇る頃にはいつもの調子に戻っておかないとな。

あーあ、戦場での恐怖なんて物は無いくせにレイプが怖いってなんだよ…私こんなに弱かったかな?

豆腐メンタルであったとは思わないけど…普通の…うん、ごく普通の精神性だったと思うけどなぁ。

しかし日が昇るまでの時間どうしよう…もう寝ようとは思えないし…

あ、そうだ…朝ご飯の用意とかしておこうかな…ちょっと手の込んだものを作ればあっという間だし。

 

「(´・ω・`)?」

「あはは…だーちゃんおはよ…」

「(´-ω-`)スリスリ」

 

私が跳ね起きたのに気づいたかだーちゃんも起動してた。洗面所で青い顔してる私を見上げて小首をかしげてる。

精一杯の笑顔で挨拶すると気遣ってくれてるのか足首にボディを擦りつけてきた。

 

 

――――――――――――D08基地共有スペース・早朝

 

 

やばい、お化粧して出てきたは良いけどやる気が全然起きない…

というか寝間着から着替えてない時点で私はなんだろう…お察しな気がする。

キッチンに立ってさぁやろうか…とすら出来ないとは…やばい、言葉にし辛いけど…やばい。

ペットスペースの猫ちゃんとワンちゃんは今頃寝てるしなぁ…起こすのは忍びないし。

ひたすら寝てたい…寝たくないけど。気分的には本当に惰眠を貪りたいよ。

ベッドから出たくないとはまさに事よ…人形になってから久しく味わってない感覚だ。

今どうしてるかって?まだ暗い共有スペースでソファーに座ってぐったりしてる。

お膝の上にはだーちゃん抱えてね…だれか起きてこないかな…

いや、なんか食べたらやる気が出るかもしれない…何か手頃な物…

冷蔵庫の中に9姉御用達のチョコレートバーがあったっけか?

だーちゃんを肩に乗せてから冷蔵庫をごそごそ漁る…チョコレートバーを二本程取り出してもそもそ食べる。

合成品らしい暴力的かつチープな甘みが口の中に広がって中々にエグい後味が残る。

9姉やお姉ちゃんはこれを結構好んで食べてるけど気が知れないな…

ただ舌触りはまぁ良いかな。しっとりしていて食べた後に残らない。

 

「だめだ、気力が…」

 

食べたらなんとかなると思ったけど駄目だこりゃ…相当まいってる…

うーん…こういう時はゲームしてたらどうにかなるかなぁ?なんだかんだゲームは楽しめてるし。

この時間からアーケードゲームって言うのも中々に背徳的でそそる物がある。

ちょっと重い腰が上がりそうだ…よし、このままゲームコーナーに行っちゃおう。

料理が出来ないくらいの気力もなんとかなる気がするんだよ。なんとなくだけどね。

ほらワニワニパニックとかああいうのをやるとストレスだって解消できるじゃん?

 

「……」

 

いや、朝からそれで良いのか乙女な私よ…それでは折角磨いた女子力が死なない?

あんまり残念なことをしてたら1000年の恋も冷めるなんて言葉もあるし…

ちょっと頑張って朝ご飯の用意だな…うん、そうしよう…やり始めたら動く動く。

うーん何にしようか…ふわとろなオムレツにしちゃおうか?

いやオムライスだな。バターを溶かし込んだケチャップライスのな!

 

「うん、動き出すと出来るもんだね…」

 

キッチンに立ってから料理し始めると気力が不足していてもなんとかなるものだ。

 

 

――――――――――――D08基地兵舎ゲームスペース・朝

 

 

皆にくっそ早い朝ご飯を振る舞った後私はだらだらーっとゲームスペースで暇をつぶしていた。

いや、本当は色々お手伝いとかして時間を費やすのが良いんだろうけど…

今日は流石に動く気にならないからね…ちょっとお休みさせてもらってます。

兄さんが必死こいてお掃除しているのも横目に見てたけど手伝う気が起きないんだ。

 

「とぅーとぅーとぅましぇりー…」

 

バシバシと飛び出してくるワニをハンマーでぶっ叩くワニワニパニックをプレイしています。

まぁ所謂モグラたたきみたいなものだね。この手のゲームは身体を動かすから良い。

難点と言えばメンテナンスが面倒くさいくらいか。叩くって特性上寿命がね…

 

「417ー!」

「んぁ?ごっふ!?」

「いっしょにあっそぼー!!」

 

背中に圧が…!G28が多分飛びついてきたんだろう。一瞬意識を持っていかれた。

だーちゃんも落っこちてワニワニパニックの筐体の上に転げ落ちてるし…

やっかましいのが来ちゃったなぁ…んー…一緒に遊ぶかぁ…何があるかなぁ?

 

「良いけど…何して遊ぶ?」

「これ!」

「ほーぅ?」

 

振り返ってG28が指差したのは…私が結構やりこんでたゲームだな。

イニDと言われるヤーパンの峠道を走るゲームだな。カードは無いからお互い吊るしで戦うことになるけどね。

まぁそれも良しでしょう。格の違いって言うのを見せてやろうじゃないの。

 

「417さー!何か悩んでるでしょ?」

「……なんでそう思ったの?」

「いやちょっと雰囲気暗いし」

 

む…気が付かれ無いようにってしてたつもりだけど…この妹には見抜かれたか…

この分だとお姉ちゃんもそんな感じに見えてたかな…むぅ。

 

「心配してくれてありがとう。けど大丈夫よ?」

「そう?416も心配してたから何かあったら相談してよね♪」

「ん…」

 

まぁそうなるか…お姉ちゃんも心配してたか…お姉ちゃんには話してもいいかな?

なにかいい解決方法とか聞けるかもしれないし…さてと車両は定番のを選んでおこう。

コーナー2個も抜ければバックミラーから消してやんよ。

 

 

――――――――――――D08基地HK416私室・昼

 

 

「お姉ちゃん、今良い?」

「417?えぇ、良いわよ」

 

明るいG28とつるんで遊んでいたら良い気分転換にはなったよ。

けど根本的な悩みは解決していないから…お姉ちゃんに相談に来たわけだ。

 

「ねぇお姉ちゃん…私が夢を見るって知ってる?」

「さぁね…比喩で言ったことはあるけど…まさか本当に見てたりするの?」

「実はね…今日元気がないのは今朝…ううん、最近ずっと見てる悪夢が原因なの」

「……」

 

ベッドに腰掛けてからポツポツと話してはお姉ちゃんの顔を見る。

私と一緒に寝た時とかに比喩でどんな夢を見てるのかとか…かな?まぁそれは良い。

多分今は黙ってるから悪夢の詳細を話せってところだろう。

 

「先日…レイプ未遂があったのは知ってるよね?」

「私が居たら間違いなく血を流してたわね…」

「…悪夢の内容は…そのレイプされてる夢なの」

「……そう」

 

思わずといった様子でお姉ちゃんは苦虫を噛み潰したような顔を浮かべた。

 

「直接的な解決は出来ないけど…しばらく一緒に寝ましょう?」

「え…」

「417が安心して眠れるようによ。私一人で寂しいならG28や45や9を呼んでもいいわよ?」

「お姉ちゃん…」

「そういうトラウマは幸せをイメージすると和らぐと聞くわ後は時間をかけて癒やすしかないわね」

 

そう言うとお姉ちゃんは私の隣に座ってから私をそっと…抱きしめてくれた。

暖かくて柔らかいお姉ちゃんの抱擁に確かに…安らいで来る気がする。

ふふ、賑やかな寝室って言うのも良いかも…実際に個室は床に布団を敷けば雑魚寝は出来る。

それこそG11の寝具を借りてから寝たりとか出来たらそれは楽しそう。

特に9姉が居たらそれだけで場は明るくなるし…G28も居たら相乗効果抜群かな?

 

「じゃあ…早速…」

「あら、お昼寝…?」

「うん…ちょっと眠いの…」

「そう、じゃあ…一緒に寝てあげるわ」

 

制服がシワになっちゃうかもしれないけど…別にいいや。

ぎゅっとお姉ちゃんに抱かれて私もお姉ちゃんに抱きついて…暖かい気分で眠る。

 

「ふぅ…417のメンタルに問題…ね」

「んん…」

「あんまり長引くなら16Labに連絡したほうが良いかもしれないわね…」

「……まって…おねえちゃ…」

「私はここよ…側にいるわ」

 

ぎゅっと姉妹の手は握られて優しげな416の瞳が417の安らかな寝顔を映していた。

 

 

 

その昼寝で見た夢はお姉ちゃんと兄さんが現れて一緒に自転車を転がして遊ぶ夢だった。




家族力の高いG28と姉力が高い416が合わさればトラウマ克服も楽勝でしょ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。